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11話 初迷宮1






11話

初迷宮1





■装備品


・良質な鋼鉄の短槍

・コンポジットボウ(縮小の輪装着)

・火のナイフ(火属性+)

・鋼鉄のナイフx3

・鋼鉄の針x8


・鋼鉄のサレットヘルム

・鋼鉄のリングメイル

・鋼鉄のプレートメイル

・鋼鉄のガントレット(籠手)

・鋼鉄のグリーブ(足・すね防具)


・火のガードリング [守備力微+][器用微+][火耐性+]

・毒耐性のリング[出血毒耐性+][神経毒耐性+]

・敏捷のアンクレット[敏捷+][防御微増]

・隠密のアンクレット[敏捷+][足音隠蔽+]

・力の腕輪[力+]

・知力の腕輪[知力+]

[off]回復のリング [時間回復微上昇][軽傷回復x5]

[off]力のリング[力+]

[off]器用さのアンクレット[器用+]





迷宮内に入ると、頭上から血飛沫が飛び散ってきた。


記念すべき迷宮の一歩目が洞窟コウモリのスプラッターまみれなど目が当てられない。


称号と鍛練で極限にまで底上げした敏捷と、素手熟練度という名の体術の向上で、一滴もかぶることなく避けきる。


地に塗れた死骸は、じゅくじゅくと音を立てながら魔石を残して迷宮の床と壁に取り込まれた。



「おいおい、張り切りすぎだろ……」


「ははは、悪いな。さっきから入ってくる奴皆、最低限のマナーもわかってないやつばかりで気が立っていたんだ」


「まあ気持ちはわかるけどな……巻き込まないでくれよ」


「お前さん見ない顔だな。装備的に新人って感じはしないが」



ほう、人の出入りの激しい迷宮で人相を把握しているのか。


こういったところが人間の恐ろしさだよな。



「さあどうだろうな。俺はとっとと先に行かせて貰うぜ。掃除人さん」


「俺のことがわかるならずぶの新人じゃねえだろうが……例え新人だとしても目端の利く奴なら文句はねえ。


 迷惑掛けちまったな。ほれ、詫び料だ」



回復薬と軟膏、出血毒消しを放り投げてくる。



「へえ、太っ腹だねえ。毒消しなんか結構するでしょ」


「かかか、新人の遺産ってやつよ。存外金持ってんのかねえ孤児ってのも。薬持ち多いぜ」


「怖い怖い。巻き込まないようにしてくれよ」


「かか、誰に向かって言ってやがる。


 引っ張って一纏めにした魔物共をごっそり突っ込んで持って行きやがる新人小僧が多くてな。そういった奴しか手は出してねえよ」



やはり名前が知られていると、大義名分がないと下手に手が出せないのだろう。


あまり殺し過ぎる奴や私利私欲に走るやつは、賞金首だからな。


ちなみに、1~10階層は敵の沸く(出現する)速度が段違いに早い。


だから10階層専門の掃除人が成立するのだ。



「そりゃ良かった。ああ詫びついでに教えて欲しいんだけど。


 今月の1~10階層の階段だけど、A9、C4、I5、D2、H4、G5、J6、E2、B6、F0で間違いなかったかな」



迷宮内の区域をおおざっぱに0~9、A~Jの10:10等分に区切った場合の、次の階層への階段の位置を聞いた。


迷宮は1~2月に一度地形が変化するので、定期的に情報を更新しないと次来た時手間なのだ。


10階層までの狩りが専門の人間にしてみても、11階層以降で狩る人間が階段を探してうろうろされると邪魔なので、意外と親切に教えてくれる。



「ああ間違いねえ。8階層のE2だがな、岩場の影にあるから見つかりにくい。注意しろよ」


「ありがと。酒場であったら一杯奢るよ」


「おお、面覚えたからな! 会ってとぼけんなよ!」


「わかってるって。じゃあな」


迷宮内は、特殊なエリアは変わってくるのだが、基本的に薄暗い洞窟の様な構造になっている。


魔物の住処、拠点という意味では地下構造と建造物の様に上るものどちらもあるが、迷宮と名を冠するものは確認されている全てが地下構造式だ。


階段のあるであろう位置まで駆ける。


床は多少でこぼこがありやや歩きにくいが、おおよそ平坦だ。


魔物同士が戦いやすく、蟲毒として効率よく機能するためのものではないかと言われている。


そこそこに重い装備をしているのだが全く問題ない。


多重で称号持ちで力と持久は高く、防具の隠し熟練度も軽装甲、重装甲共に3の称号も持っているため体の一部のようだ。


そして1~10階層では大した罠もない。


そして掃除人達がしきっているので、余程下手を打つか暗黙の了解をすっとばさなければ他人にはめられることもほぼ無い。


そしてほとんどの箇所がひらけた洞窟のようになっているため、下手に一か所に留まるとあっという間に魔物に囲まれる。


寄って来た洞窟コウモリを短槍で薙ぎ、洞窟ネズミを突き殺し、走り寄ってくる下っ端ゴブリンの頭蓋を抉り取りながら前へ前へと進む。


殺して数秒で迷宮に融けていく魔物達。


蟲毒であり、魔物を生みだす迷宮では、魔物の死体は迷宮に吸収され還元される。


そしてその材料(肉)を再利用し、コアアイテムからエネルギーを吹き込まれ、新たな魔物が生まれるのだ。


いたちごっこで、永久機関じゃないかと思われるが、その通りである。


もっとも、そのいたちごっこをこちらが終わらせてしまうと、増えすぎた魔物が街に排出される運命が待っているわけだが。



殺し合って力を蓄えた魔物の場合、蓄えた部位がドロップ品のように残ることがある。


――がしかし、ここら辺の魔物では、力を蓄えることができない速度で狩られるため、体の一部がドロップすることもなく魔石だけが落ちている。


魔石は全スルー。回収していない。


こんなところでちまちまする狩るほど金には困っていないし、礼儀をわきまえているとはいえ新人だ。


他の木っ端の新人と一緒くたにして覚えられたらたまったものじゃない……さっさと通り過ぎてしまうに限る。











さっくりとショートカットを繰り返し11階へ。


特に苦戦することもなく階段を下る。



「ようやく迷宮って感じになって来たな」



1~10階層はほとんど開けたMAPばかりなのだが、11階層から通路が多くなってくる。


迷宮物につきものなワープポイント、ショートカットは一応存在するのだが、ゲームや漫画のように簡単なものではない。


何しろ作成するのに3日3晩かかるし、モンスターに破壊されればまた作り直し。


膨大な魔力の持ち主と、貴重なレアスキル持ち主、それに希少な物質が必要で、一度壊されたらおいそれと治せるものではない。


せっかくゲートを設置しても魔物に壊されれば意味がない。


つまり常に戦える人間を配置していなければならないのだ。


よって、ゲートの周りには堀を掘り、塀を築き、簡易基地を作り、兵士を配置している。


さらにほぼ常にギルドでは警備員を募集している。


この依頼、言うまでもなく非常に過酷だ。


探索するでもなく、常に気を張り詰めなければならないし、迷宮内なのでまともな飯も出ない。


ゲートの魔力につられて、魔物が絶えず散発的に襲ってくるので精神的にも苦痛だ。


その代りなかなかの高給で、なによりもギルドの評価が非常に上がりやすい……のだがやはり非常に人気がない。


戦闘力の高い国保有の奴隷はここに回されることが多いという。



現在は30階層、50階層、70階層、80階層、90階層までワープゲート、通称ゲートが設置されている。


この数字からわかるかもしれないが、30階層まで行って初めて冒険者と認められ、50階層で中堅と見られる。


100階層以上を行ける人間は軍でもクラン(冒険者の独自の集まり)でも引っ張りだこだ。


100階層からはゲートが無いため、さらにすすむ冒険者達は迷宮内でキャンプを張りながら進むしかない。


迷宮内では魔物は魔石となって消えてしまうので食料と水の調達が困難で、非常に険しい道となっている。


非常に、超非常に高価なマジックアイテムや消費アイテムならワープもできるらしいのだが、本当に上級も上級クラスの人間の話である。


この事実が、迷宮の攻略速度が大きく遅くなる主原因といえるだろう。





ではなぜ90階層までしかワープゲートを設置しないかというと、ゲートを保持するだけの人材を確保するのが困難だからだ。


100階層レベルで防衛可能なレベルの人間を一か所に、しかも長期間拘束しておける人材的余裕も、この国にはない。


このゲート利用したければ、自分がその階まで到達し、そのゲートと契約をしなければならない。


そしてさらに、ゲート登録はごく一部の例外を除いて、二ヶ月毎に更新しなければ効力が失われてしまう。


おかげで迷宮を主な戦場にしている冒険者は、余り長期間の遠出ができないのだ。





このビッグ1、現在確認されている最深の階層が『201階層』だ。


最強の冒険者と、人類の最終兵器とまで言われた軍人、その他優れた人間が所属を問わず6人集まり201階層までは確認してきている。


201階層までしか行けなかったかというとそうではない。


だが、物資に限りがあり、実力があろうと補給が困難な迷宮をただ進むわけにはいかないのだ。


さらにこの大陸の人間で10の指に数えられる人間を6人も、長期間一か所に拘束するだけの余裕が人類にはなかった。




(いつか俺も行ってみたいものだ。というかこのビッグ1のコアアイテムってなんなんだろうな。


 尋常じゃない力を持っているのはわかりきっているが……。


 ゲームの設定では、恐らく複数のコアアイテムでこの迷宮は維持されているはず。


 このコアアイテムの数を減らせば迷宮は弱体化する……はずだ、きっと)



そんな他愛もない考え事をしながら、淡々と敵の攻撃を捌いて行く。


『足払い』


時間差でこちらに向かってきている4体のゴブリンの内、前2体の噛みつきゴブリンに槍スキル『足払い』を仕掛け転ばせる。


ゲーム内で言う「スタン」状態だ。


『疾風突き』


動いている2体の内、外側のゴブリンの眼窩をえぐり飛ばし無力化し、もう1体のハンマーの一撃を槍の柄で逸らす。


この程度の攻撃なら、『受け流し』スキルを使うまでもない。


この際、わざと疾風突きの威力をを落とし、限りなく隙を少なくしている。



「まとめてくたばれ」



『ヘヴィスイング』


長柄スキルヘヴィスイング。


これが槍、ハルバードなどの面白いところで、その形状によっては複数種類の武器スキルを使うことができる。


柄の部分が長めの槍なら、槍のスキルと一部の長柄(棍など)スキルを使え、ハルバードや戟など槍+斧のような形状なら槍スキルと斧スキルも一部使用が可能になる。


武器を装備していても素手スキルはある程度使えるし、形状によっては剣で斧スキルを使うこともできる。


その代り、やはり威力は本来の武器を使った時よりも下がるし、体にかかる負担も大きくなる……が、利点から考えればその不満は小さいものだろう。


この、スキルで兵器バランスが崩れそうな世界でおいても、完成された強さと呼ばれるハルバート、早く手にしたいものである。



ヘヴィスイングで吹き飛んだ3体の内、2体がクッションになって辛うじて息のある1体にとどめを刺し、魔石を回収する。



(格は上がっても所詮はゴブリンか……この階層はまだコウモリ系が目立つ。

 

 あまり多く矢は持ち歩いていないし探索を進めるとしよう。


 今日は本気の狩りではなく、あくまで肩慣らしだからな)



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