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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第8章 大転移-月戦編

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「シャラザード、行け!」
『任せろ!』

『雷弾』を次々と放ち、支配種に着弾していく。
 当たったのは全体の三分の二程度。残りは明後日の方角へ飛んでいく。

 シャラザードが放った『雷弾』だが、支配種が背中で受けたため、ダメージがそれほど通らなかった。
「マズい、反撃がくる」

 支配種は衝撃波を放つ体制に移った。
 この距離では、僕もアンネラも躱せない。

 衝撃波をまともに喰らったら、遠くまで吹っ飛ばされてしまう。
 そうなったら、また振り出しだ。

「アンネラ、次の準備はできているか?」
「まだです。ターヴェリさん、急いでください」

『慌てたって、そんなに早くできやいないよ』

 これは僕のミスだ。
 支配種は僕らの攻撃を受けつつ、反撃の機会を狙っていた。

 僕が安易な方角から攻撃を仕掛けたために、支配種に余裕を与えてしまった。

「間に合わない! アンネラ、待避するんだ」
 僕とアンネラの両方が吹き飛ばされるのは避けたい。

 せめてアンネラだけでも無事逃げてくれれば。
 そう思っていたら、支配種の身体が燃え上がった。

「やあ、待たせたね」
 ソウラン操者が到着した。
 支配種が燃え上がったのはソウラン操者の属性技だったようだ。

「助かりました」
 青竜の消えない炎は支配種を焼く……はずだが、支配種が身体をひと震えさせると、炎は消し飛んだ。
 だが、貴重な時間はすでに稼ぎ終えている。

『さあ、行くよ!』
 ターヴェリの属性技が支配種に降り注ぐ。

 相変わらずターヴェリの技は周辺に多大な影響を及ぼす。
 被害の大きさではシャラザードもあまり変わらないが、見た目のインパクトが違う。

 ターヴェリの放った強風に支配種がのけぞったところに、シャラザードの『雷鳴刀らいめいとう』が振り下ろされる。
 爪を振るう要領で、雷でできた刀が支配種を襲う。

「ようやく俺も参加できるのか。こっちも加減なしでいくぞ」
「お願いします」
 ソウラン操者が加われば、属性技の連打にも少しだけ余裕ができる。

「さあ行け!」
 青竜の口からドロドロとしたものが吐き出された。
溶炉ようろ』という粘着質の炎だ。
 それが支配種に当たってジュージューと煙をあげた。

 三体に増えた属性竜が交互に属性技を浴びせ、支配種を圧倒する。
 反撃の隙を与えないでひたすら攻撃する作戦は、成功したかにみえた。

 だが、支配種はすでに僕らの攻撃を見切っていたのである。

 支配種は僕らの攻撃を食らい続けた。
 ときに痺れ、ときにのけぞり、ときに熱で身体を削られる。

 そんな攻撃を受けつつ、支配種は僕らの限界をしっかりと見極めていたようだ。

 ――ブウウウウン

 巨大な風斬音が聞こえた。

「えっ?」

 直後、ターヴェリの姿が消えた。
 ターヴェリがどこへ行ったのか探す暇もなく、ソウラン操者もまた青竜ごと消えてしまった。

「何が起こったんだ?」
『尻尾だ。見てみろ。長い尾がうなっておる』

 支配種の後部には、いつ生えたのか長い尻尾が舞っていた。
 全長数キロメートルにも及ぶ長い、とても長い尻尾だった。

「まさか、ふたりはアレにやられた?」
『そのまさかであろう。主よ、向こうに青竜が倒れておるぞ』

「支配種は、そんな攻撃もできたんだ……」
 これまでだれも近寄って攻撃した者がいなかったから、知られていなかったのか。

 支配種は、遠距離攻撃の光線、中距離の衝撃波だけでなく、近距離では長い尾での攻撃ができたのだ。

 青竜はいまだ起き上がってくる気配はない。
 ターヴェリは瓦礫の中からゆっくりと身体を起こした。

 衝撃が強烈だったらしく、いまだ飛べずにいる。

『主よ、来るぞ!』
 支配種の尾が左右に大きく振られる。
 めいいっぱい反動をつけた尾が、僕らに向かってやってきた。



○月戦隊

 飛竜編隊が地上部隊のフォローに回った。
 そのすぐ後、衝撃波が何度も地上部隊を襲った。

 そのたびに竜操者たちは振り回され、瓦礫の影に身を寄せていった。

 そしてレオンたちが周辺の被害をものともせずに属性技を連打した後はというと……。

「待避!」
「隠れろ! いや、逃げろ!」
「ここから離れるんだ」

 竜操者たちの絶叫が響き渡った。
 それもそのはず。

 狙いが甘くなった属性技はときおり目的の場所を外れ、月魔獣を相手していた竜操者たちのもとまで届くのであった。

 竜操者たちは、湧いてくる月魔獣を相手しつつ、属性技の誤射にも気をつけなくてはならなくなっていた。

「ここは俺に任せろ。地上部隊は他に行け!」
 飛竜編隊の中で唯一、中型竜で生き残っていたデスレ・ロディスは、月魔獣を蹴散らしつつ、地上部隊に避難を促した。

「だが、ここで踏ん張らないと、中に月魔獣が侵入してしまう」

「作戦は第二段階に入っている。俺たちだろうが、月魔獣だろうが、近づけやしない。あそこは瓦礫が粉になるほどの激戦だぞ。いいからとっとと逃げろ!」

 中型竜だからこそ、なんとか耐えられている。
 ここに地上部隊が留まっていてもただ全滅するだけである。

 デレスとしても、周辺の月魔獣を蹴散らしたら、そのまま避難するつもりであった。

「……にしても、すげー戦いだな」

 ようやく視認できるほどの距離。
 すでにこの周辺の瓦礫ですら吹き飛ばされて何も残っていない。

 あのただ中で戦っている支配種と属性竜の凄さが改めて分かる。
 直後、近くで大爆発が起こった。

『雷弾』のひとつが飛んできたのである。

「っと、直撃したらひとたまりもねえな。敵はっと……」
 ここにいる月魔獣は二十体ほど。

 他の地域にいけばまだ結構いるようだが、ここにいるだけならば、なんとかなる。
 デスレは愛竜に指示を出し、月魔獣の殲滅に集中するのであった。

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