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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第8章 大転移-月戦編

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 作戦の第二段階はこうだ。

 ――属性技を撃ちまくる

 うん、変わってない。
 だけど実際にやってみると、これまでと大きく違う。

 最初に僕らが属性技を打ち込んだ時は、目的があった。
 支配種にどの程度効果があるか探るのもそうだし、弱点を見つけることだってそうだ。

 いわゆる「探りながら撃つ」というやつだ。

 それと、周辺への影響も極力少なくした。
 あまり威力を絞るわけにはいかなかったが、それでも全力ではない場合もあった。

 だが第二段階は違う。

 極端な話、支配種に当てなくてもいい。
 牽制になればそれもまた攻撃だ。

 そして周辺への影響は考えない。
 ガンガンいく。

 最初に属性技で攻撃したときは反撃を受けたが、今度は絶え間ない波状攻撃でやっていく。
 本当はソウラン操者がいた方がよかったのだが、あとで合流してくれれば問題ない。

「アンネラ。海上でやったあれだ。覚えているよな」
「はい、レオン先輩」

 属性技は連射できない。
 ゆえに僕らが交互に撃つ。

 多少狙いが外れようとも、次々撃っていくのだ。
 反撃はさせない。シャラザードやターヴェリの力が続く限り、撃ちまくる。

 それで少しでも外装を削れればよし。
 そうでなくても、ダメージは必ず残る。それを信じて特訓してきた。

「シャラザード、行け。遠慮するなよ。どんどん行くんだ」
『任せるのだ!』

「ターヴェリさん。シャラザードさんが撃ち終わったらすぐに行きますよ」
『ついにあれをやるんだね。こっちは待っていたんだよ』

 シャラザードが短い時間で雷を集め、『雷爆らいばく』を放つ。
 それは支配種の足に当たり、大爆発をおこした。

 支配種は少しよろめいただけ。さすがに硬い。
 続いて、ターヴェリが『凶嵐きょうらん』を放って、周辺の風が四方八方から支配種へと集まっていった。

 風の中心地はどうなっているのか。
 瓦礫に隠れて見ることが出来ない。

「シャラザード、まだはじまったばかりだぞ。今度は僕らだ」
『分かっておるわ。主は見ておればよい』

 シャラザードが嬉々として『雷鞭らいべん』を放つ。
 四方八方から伸びた雷の鞭が支配種を拘束する。

 動きを封じられた支配種が拘束を解こうと足掻く間に、ターヴェリの属性技が完成した。『砂嵐さらい』だ。

 支配種を中心とした一帯に砂嵐が吹き荒れる。

 これらはみな、僕とアンネラが実際に海に出て実験したもの。
 陸から遠く離れた場所で行ったため、被害はでていないと思う。

 海中にいた魚のみなさんは……ごめんなさい。

 ソウラン操者がいれば、もう少し余裕が持てるが、僕とアンネラで行った実験だと、二人いればなんとかなった。

 ただし、余裕がないため、精度は甘くなるし、溜めのある属性技は使えない。
 ゆえに……。

「きゃっ、ターヴェリさん。どこを狙っているんですか。竜巻が飛んでいってしまいましたよ」
『そういうこともあるさ』

「シャラザード、まだか? 反撃がくるぞ」
『いまやっておる』

 周辺への被害がひどく、効果時間が短い技の場合、どうしても隙ができてしまう。

 それと、最大の問題。
 これ、支配種に対して効果があるのだろうか。
 確認する余裕がない。



○月戦隊 ソウラン

 大型種のみに絞って戦ったものの、数が多すぎた。
 仲間は戦場に散ってしまい、月魔獣によって各個撃破されつつあった。

 粗方の大型種を倒し終えたあとも、俺は彼らを見捨てることができず、敵の一部を受け持つことになった。

「先に行ってください」
「ここは我々がやります」
 月戦隊の面々がそう言ってくれる。

「そうしたいのだけどね。このまま進むと、ここは早々に壊滅しそうなんだ。そうなったら、結局俺たちの誰かが相手をしなければならなくなる。どちらでも一緒ならば、ここで倒してしまおう」

 先に向かったレオン操者とアンネラ学院生……アンネラはまだ学院を卒業していないので、どうにも正式に竜操者と呼びにくい。

 この二人を先に行かせて正解だった。
 俺がいなければ、この数に対処できなかっただろう。

 ある程度の遅れは出るものの、結果的にはプラスに働くはずだ。

 そしてすべての大型種を倒し、月魔獣の数が減ってきた時期を見計らって、俺は先にいった二人を追うことにした。

 ときどき戦闘音がここまで聞こえてきたし、支配種の攻撃と思しき衝撃波も観測されている。

 苦戦しているかもしれないと、俺は急いだ。

 もう少しで到着するという段になって、雷と嵐がここまで届いてきた。
「……もう第二段階に入ったか」

 予定より早い。
 これは最初の計画がうまく行かなかったことを意味する。

 二人が作戦を早めないと、対処できない状況に陥ったのだ。

「……弱点らしい弱点はなかったということかな」
 もし支配種の弱点を見つけていれば、多少被弾したとしても、正確に弱点を狙う方が効率がよい。

 いま、作戦は第二段階に移っている。
 数で勝負をしている感じだ。

 威力や正確さは二の次。
 反撃を受けない距離で、反撃されない間隔で属性技を撃ち続けているのだ。

「これは早く合流した方がいいな」

 速度を上げようとしたところで、一部の走竜がついてきた。
「下がるんだ。ここから先は属性技の影響範囲内になる。巻き込まれたら、いくら竜だって一瞬で死ぬぞ」

 今後この辺は、属性技が乱れ飛ぶ。
 周辺にどれだけの被害が起こるか分からない。

 ついてこようとする者たちを遠ざけさせ、俺は合流するために急いだ。

 第二段階は、属性技の乱れ打ち。
 これが効かなければ、もう残された策は少ない。

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