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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第8章 大転移-月戦編

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○月戦隊 旧首都イヴリール ソウラン

 支配種討伐に向かった月戦隊の一行は、橋頭堡を発ったあと、順調に進んでいた。
 それには、竜操者の被害は含まれていない。

 順調とは、予想外のことが起きなかったという意味である。

 ところがイヴリールの到着してから様子が変わった。
 月魔獣が待ち構えていたのである。

 偶然と呼ぶには、あまりに用意周到。
 多数の大型種を含む月魔獣が隠れていた。

「ここは俺が受け持つ。ふたりは先に行ってくれ」
 ソウラン・デポイはそう告げてこの場に残った。

 理由は二つ。
 ひとつは純粋に戦力が必要だったから。

 ここで加勢しないと、遠からず月魔獣にメンバーが全滅してしまう。
 それほどまでに、現れた月魔獣は多かった。

 そしてもうひとつの理由。
「……あいつらは、細かい作業は苦手だからな」

 近くで仲間の竜操者たちも戦っている。
 シャラザードとターヴェリは共闘に向かない。動作のひとつひとつが強力過ぎるのだ。

 ソウランはこれらのことを考えて、自分が残ることを選んだ。
「その分、彼らだけで支配種の相手は大変だろう。早く向かってやらないとな」

 青竜の属性技は消えない炎。
 この炎、水をかけたところで意味は無い。本当に消えないのだ。

 そして、岩でも土でもなんでも溶かす。
 青竜が吐いた炎はその場で燃え続け、他の竜操者たちはその付近には近づけなくなってしまった。

 迷惑度合いで言えば、青竜もまたそう変わらないのかもしれない。

 ソウランは青竜を駆り、大型種を引き受けることにした。
 どうもシャラザードに比べて、青竜自身の戦闘経験は劣るらしい。

 これは竜操者の技量で差を埋めることができず、ソウランも歯がゆい思いをすることがある。
「どれだけ月魔獣を憎んでいるか……なのかね」

 シャラザードが月魔獣を相手にする様を見て、そんな印象を抱いた。
 憎くて憎くてしょうがない。破壊せずにはいられない。それが傍から見て分かるのだ。

 今回の戦い、暴走しないように年長者がストッパーとならなくては。
 ソウランはそう考えていた。

「やはり、早く向かおう」

 大型種を倒し終えたソウランは、他の竜操者を見る。

「ここは大丈夫です。行ってください」
「まだ多くの月魔獣が残っているけど」

「それは我らでなんとかします。どうか、支配種を倒して、この地を解放してください」
 支配種が倒れれば、支配地域はなくなると言われている。

 支配地域内では、月魔獣の寿命が尽きないことが判明している。
 通常、活動を始めた月魔獣は半月ほどしか動けない。

 体内の月晶石に溜め込まれているエネルギーを使い切るためだ。
 それが支配地域下では補給される。

 いつまで経っても動き続ける月魔獣は脅威である。
 支配種を倒さねばならない理由がそこにある。

「……分かった。俺はいく」

「はい。支配種を倒してください。それが我ら一同の願いです」
「必ず倒そう」

 ソウランはこの場を任せて、先行したレオンたちを追うために飛翔した。

 そのとき、もの凄い衝撃波が襲ってきた。

「支配種と戦っているのか? だけどこれは何だ? ターヴェリの属性技でもなさそうだし……支配種の攻撃?」

 どうやら支配種は多くの隠し技があるらしい。
「ならば、早くいかないとか」

 ソウランは衝撃波の発生した方に向かって飛び立った。



○支配種との戦い レオン

「レオン先輩、シャラザードさんは大丈夫ですか?」
「想定済みだ」

 シャラザードは遠距離攻撃で身体を貫かれた。ダメージはある。
 だがそれは、戦いを始める前から分かっていた。

 無傷での勝利はありえない。

 ゆえにシャラザードには前もって聞いておいた。

『なあに、あんなもの、三、四発喰らったところで問題ないわ』
「本当か? いい加減なことを言うと、あとで困るんだからな」

『問題ない。すでに何度か喰らったから分かる。三、四発程度で我がどうにかなることはない。……まあ、五発までなら耐えよう。それを越えると分からんな』

「分かった。五発が限界だな」
 そんな会話があった。

 遠距離攻撃を食らっても攻撃を続行したのは、そういう理由からだった。

 月魔獣はいま、ターヴェリの属性技を受けて回転している。

「シャラザード、デカいのを頼む」
『あい分かった!』

 デカい属性技といえば、『雷玉らいぎょく』だ。
 シャラザードの頭上に雷の球が出現した。

 バチバチと『雷玉』が弾けんばかりに大きくなった。
 シャラザードだけでなく、僕も帯電している。

 どうも最近、雷に強い耐性が付いたように思う。

「いけ!」
『勿論だとも』

 すでに回転が緩やかになった支配種の腹に、『雷玉』が炸裂し、まばゆい光が夜空へ向かって広がっていった。

 遠くからでも十分見えただろう。
 巨大な光の柱が天高く立ち上った。

「レオン先輩、どうでした?」
「さて……今のところ弱点らしい弱点は見えないな」

 僕とアンネラがなぜ単発の攻撃を繰り返しているのか。

 それは、支配種の弱点を探しているからである。
 支配種の身体は非常に硬く、必殺技を打ち込んでもけろりとしている。

 ゆえに防御の弱いところを探し、そこへ強烈な攻撃を叩き込むつもりであった。
 だが、今までの攻撃で弱点は見つかっていない。

「弱点……背中ではなさそうですよね」
「ああ。だけど、胸板もかなり厚いんだよな」

 心臓部を保護しているのか、支配種の胸板は強固な鎧のように見える。

「もう少し攻撃しますか?」
「そこまで支配種が待ってくれればいいけど」

 シャラザードの『雷玉』を受けてすら、少しの時間稼ぎしかできなかった。

 支配種は立ち上がったのである。

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