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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第8章 大転移-月戦編

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 僕らの戦いは振り出しに戻った。
「レオン先輩、また来ます!」
 アンネラの叫びが聞こえた。

 支配種を見ると、身体を丸めはじめた。
 あれは衝撃波を出したときと同じ姿勢だ。

「アンネラ、回避!」
「やっています」

 上空にいると衝撃波に巻き込まれる。下手をすると、地上に叩きつけられてしまう。
 地上スレスレでやり過ごす。

 ――ブゥゥン

 大気が震えた。
 直後、不可視の衝撃が何重にも渡って襲ってきた。

「ギリギリ避けられたな。シャラザード、これが収まった直後に接近するぞ」
『心得た!』

 近づきさえすれば、衝撃波は怖くない。あれは支配種の背中から放たれる。
 足下は平気だ。

 衝撃波が頭上を何度も吹き抜ける。
「よしっ、切れた」

 衝撃波が止んだ。シャラザードが支配種に向かって飛ぶ。

 シャラザードに体当たりさせるつもりだ。
 支配種の目をこちらに向けて、アンネラに攻撃させる。

「行け、シャラザード!」
 アンネラは僕の意図を理解してくれた。属性技の準備に入っている。

『がぁあああああ!』
 シャラザードほどの大質量が高速で体当たりすれば、支配種といえどもダメージはある。そこから属性技で攻撃だ。

 速度が上がり、支配種がすぐ近くに迫ってきた。

 ――ジュッ

『……ぐっはぁああ』
 支配種の遠距離攻撃だ。シャラザードが喰らってしまった。

 支配種の遠距離攻撃の出所がわかった。背中に並んでいるイボのような突起。
 そこから熱線を出していた。

 熱線はシャラザードの肩と翼を貫き、そのまま虚空へと抜けていった。
「きゃああああ……レオン先輩」

 アンネラの悲鳴が届く。
 遠距離攻撃に貫かれればそのまま地上に落下する……のだが、シャラザードはここからが強い。

「行けるか?」
『勿論だとも!』

 身体に穴を開けられても、シャラザードの速度は落ちなかった。当然、威力も。
 シャラザードは翼を畳み、風の抵抗をすべてなくした上で、頭から支配種に突っ込んだ。

 ドーンという鈍い音とともに、僕にももの凄い衝撃が来た。
 支配種はというと、脇のあたりに体当たりを受けてそのままひっくり返った。

 完全に支配種の身体が浮き、地響きを立てて大地に投げ出されたのである。
 シャラザードはぶつかった衝撃でこちらも後方にはじき飛ばされるも、翼を広げて地面への落下は免れた。

 だが強く頭を打ち付けたのか、シャラザードの意識が朦朧としているようだ。

「アンネラ、頼む」
「分かりました。ターヴェリさん、お願いします」

『準備は出来ているよ!』

 転がった支配種を中心に、巨大な竜巻が発生した。
 風は勢いを増し、それによって徐々に支配種の身体が動いていく。

 初めて見る技だ。
 風は勢いを増し、ついに耐えきれなくなったのか、支配種の身体はその場で回転をはじめた。

 グルグルと回るたびに支配種は身体を動かし、そこから抜け出そうとする。
 だが渦の強さはそれよりも巨大だったようで、支配種はまるで球になったように回り始めた。



○月戦隊 飛竜部隊

「生き残った者は?」
「九名です」

 属性竜が支配種のもとまでたどり着いたことで、飛竜部隊の役目は終わった。
 あとは邪魔にならないよう距離をとるだけである。

「これより地上部隊の援護にまわる」
 どうやら生き残った飛竜部隊の中で、自分が一番先任らしいとオクト・リズボンは思った。
 ならば、自分が指揮をしなければならないと。

 飛竜部隊の役目は支配種の目を釘付けにすること。
 といっても、こちらの攻撃を支配種に届かせる手段はない。

 この戦い、空の的となることが、飛竜部隊の任務といえた。
 属性竜を支配種の元まで届ければ勝ち。そうでなければ人類全体の負け。

 そんなシビアな戦いをするため、自分たちは捨て石となったのである。

「三名ずつに分かれろ。右翼、左翼、中央へ」
「「はいっ!」」

 元気な声が返ってきた。
 生き残った者はみな若者だ。

 なぜならば、年老いた者ほど先頭を進んだからである。
 今回の編隊飛行は、少しでも若い者を生き残らせる。そんな心理が働いていた。

「だからって、俺が最先任かよ」
 今年三十二歳となるオクトは、散っていった同胞たちの姿が目に焼き付いている。

 一体、また一体と遠距離攻撃に貫かれて落ちていった。
 生存は絶望的。それを見ても臆することなく、彼らは任務を全うしたのである。

「よし、残った二名は俺に続け!」

 今度は地上部隊の救援である。
 この命、最後まで使い潰してやる。

 オクトがそう考えたとき、大気が震えた。
 支配種が別なる技を使ったようだ。

「なんだよ、ちくしょう。これだけ離れても届くのかよ」
 全方位に向かって放たれた衝撃波はオクトの乗った飛竜すら巻き込んだ。

「今の高度を維持しろ。下に行くと、地上に激突するぞ」

 支配種と属性竜が戦っていると、離れた場所で支援することすら、命がけである。

 オクトはなるべく高所に行かないよう仲間に伝え、月魔獣へ向かっていった。

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