挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第8章 大転移-月戦編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

634/655

633

「見えた! 支配種だ」
 アンネラと僕が先行し、支配種が見えるところまできた。

「レオン先輩、大きいです!」
「ああ、以前竜国に降下した奴よりよほど大きいな。シャラザード、行け!」

『心得た!』

 支配種がこちらに狙いを定める前に攻撃する。
 うまい具合に、懐に飛び込むことができた。この気を逃す訳にはいかない。

 シャラザードの身体が帯電し、頭上に多くの雷が集まる。
「アンネラ! 頭を伏せて、目を瞑るんだ」

 ――ピカッ!

 音はしなかった。
 強烈な光が瞬いて、辺り一面が真昼より明るくなった。

 シャラザードの属性技『雷光らいこう』だ。
 僕は頭を下げて片手で目を覆った。その上で目を閉じたが、全身が熱くなるほどの光が発生した。

 月魔獣は目によって対象を認識する。そこに強い光だ。
 それはシャラザード同様、強烈な光は身体の大きさに関係なく効く。

『目がぁ、目がぁ!』
「シャラザード、お前もか!」

『……張り切りすぎたわ』
 目を閉じろと言ったのに、何をやっているんだ。

「レオン先輩。わたしが行きます! ターヴェリさん、お願いします」
『あたしらの初撃かい。だったら、特大をお見舞いしようかね』

「ほどほどでお願いします」
『何だい、意気地がないねえ……ならこれでどうだい』

 ターヴェリの前に百を越える小さな竜巻が生まれた。
 そのひとつひとつは高速で回転し、周辺の空気をすべて巻き込むほどである。

『さあ、粋なところを見せてごらん』
 ターヴェリの言葉とともに、小さな竜巻は次々と支配種に向かって飛翔していく。

 ターヴェリの属性技『嵐弾らんだん』である。ひとつひとつは小さいものの、連続して支配種の身体に降り注ぐ。

 衝撃に耐えるにも、数が多すぎた。
 支配種は『嵐弾』を受けてバランスを崩し、後ろに倒れた。

「目が見えない今がチャンスだ。シャラザード、どんどんいくぞ」
『もちろんだとも!』

 支配種が起き上がる前に、シャラザードの準備が終わった。
 巨大な雷の槍が幾本もシャラザードの周囲に展開する。

 これは『雷槍らいそう』だ。
 巨大な雷の槍が何本も支配種に襲いかかる。

 この『雷槍』、威力は申し分ないのだが、シャラザードが撃つ場合、命中率がそれほど高くない。

 半分ほどが標的から外れ、支配種の周囲に突き刺さった。その後、周辺を巻き込んで爆発する。

「相変わらずだな。もう少し狙えないのか?」

『なにを言う。十分狙ったではないか』
 シャラザードとしては、半分当たればそれで満足らしい。

「レオン先輩、崩れます」

 支配種の足場が脆かったのか、『雷槍』の威力が高かったのか、首都の中でも城があった場所は他よりも盛り上がっている。

 そこが崩れ、支配種はもっと下方にずり落ちていった。
「結果的に良かったのか?」
『我のおかげだな』
 どや顔のシャラザードだが、いまのは偶然の産物だろう。

「ターヴェリさん、畳みかけてください」
『何がいいかね……アレと同じでいいか』

 ターヴェリの周囲に『雷槍』と同じような風の渦ができあがった。
 シャラザードの『雷槍』よりも大きい。

「これ、『嵐槍らんそう』ですよね」
『少しは効くだろうさ。これならね』

「えっと……ターヴェリさん?」
『ホラ、喰らいな!』

 放たれた『嵐槍』は、支配種に当たっても威力を減じることなく、そのまま威力を保ったまま、押し込んだ。
 耐えられなくなった支配種の身体が浮き、数回転して空中に転がった。

 地上は被害甚大である。

『ぐぬぬ……我より目立っておるではないか』
「そんなどうでもいいこと気にしているのか」

『我が作った隙だぞ』
 たしかに『雷光』で支配種の目が見えなくなった。

 それを活用するのは当たり前だ。
 どちらが活躍したとかではない。

「それよりシャラザード。合わせ技でいくぞ」
『ふん。仕方あるまい』

「ターヴェリさん、合わせ技です」
『あいよ』

 雷と嵐の合わせ技。
 シャラザードは『雷撃』、ターヴェリは『嵐蛇らんじゃ』を同時に放つ。

 シャラザードの頭上に雷の球が浮かぶ。
 ターヴェリの頭上には、巨大な風の蛇が出現した。

「シャラザード、行け!」
「ターヴェリさん、お願いします」

『ほらっ、受け取れ!』
 雷の球が風の蛇に吸い込まれる。

 雷が風に煽られてバチバチと周囲に影響を及ぼす。
 それが成長して、巨大な雷と嵐の蛇が誕生した。

『これを喰らったらどうなるのか、あたしゃ、知らないからね!』
 膨れあがった巨大な雷と嵐の蛇が、支配種めがけて躍りかかった。

 だがそれが支配種にたどり着く前に、支配種の身体がブレた。
 ブーンという耳障りな低音が響き、衝撃波がシャラザードたちを襲った。

「うわっ」
「きゃあ~」

 衝撃波は雷と嵐の蛇を蹴散らし、そのままシャラザードとターヴェリへと達した。
 目に見えない圧力に押され、シャラザードたちはそのまま後方に吹っ飛んだ。

「な、なんだったんだ?」
 これが支配種の技かと気付いたときにはもう、地表にあった建物が砂のように崩壊していた。

 支配種の衝撃波は、石や岩を粉にする威力を秘めている。

「レオン先輩、支配種の目!」

 支配種が目を開いている。
 どうやら初撃で与えた有利は、これで終わりになってしまったらしい。

「ここからが本当の戦いだな」
 支配種がこちらを睨む。

 僕らを真っ先に倒すべき存在だと認識したようだった。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ