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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第8章 大転移-月戦編

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 支配種を倒すには、国をあげて取り組まねばならない。
 そのため、各団体の代表が集まって会議をしているのだが、先日、竜国商会と色々あった。

 それを引きずったまま、実行部隊の募集が始まった。

 竜操者たちを通して、支配種討伐に関する情報が、一般の国民にも流れ始めた。
 竜国の民の関心は、成功するのか、どういった作戦なのか。
 そして自分たちの負担は如何ほどなのかだったりする。

 そして竜操者の関心は、作戦の内容が主のようだった。
 僕はあえて他の竜操者との接触を避けている。

 聞かれても答えられない事が多いし、そもそも僕が話すと、彼らの考えを誘導させることになると思ったからだ。

 募集期間は二十日間で、申し込んだ竜操者が多ければ、その中で選抜が行われる。
 足らなかったら二次募集があるかもしれないが、そのへんは僕の関知するところではない。

「集まったら訓練か」
 おそらくだが、二ヶ月近くは訓練に費やすことになるだろう。
 時間を無駄にするような気もするが、おそらく必要なことなのだろう。

 今回ばかりは個々の力量よりも、全体としての動きが重視される。
 連携がとれていなくて全体を危険にさらすわけにはいかないのだ。

 また敵の支配地域に入って活動することになるため、それについての勉強も欠かせないだろう。

 噂によると、すでにそれなりの数の申し込みがあったらしい。
 はじめに我先にと向かう人たちは、どこにでも一定数いるようなので、問題はこれからだと思う。

 尻込みする人は論外として、本気で悩んでいる人は多いだろう。

 大転移さえなければ、かなりの数の申し込みがあったと思う。
 月魔獣の大量降下で自信を無くしたり、自分の力の限界を知った者も多かったのではなかろうか。

「まあ、もう少ししたら分かるか」
 次の会議のときには申し込みは締め切られているので、結果が出ているはずである。

 その次の会議だが、商人がどうなったか。
 商会に協力をお願いするのだから、商会の方が立場は強いはずである。

 だが、それをいいことに全体をかき回されてしまっては本末転倒である。
 今までは僕が見ても、ルビン総長の発言は酷かった。

 女王陛下から、協力をお願いするのは、竜国商会以外でも構わないと言質を貰っている。
 だが、そう簡単に乗り換えできるものなのか。

 商会の支援がないと、成功がおぼつかなくなる。

「支度金は国が出してもいいだろうけど、物資を用意するのは商人だからなぁ」

 ものを持ってくるのは商人である。
 彼らの機嫌を損ねたままだと、ひもじい思いを抱きながら戦うことになるかもしれない。
 それは誰もが避けたい状況だろう。

 会と竜国商会の関係を気にしつつも、僕は新たな命令を受け取った。
 アンネラと交代して、『楽園』関連の仕事に携わることになった。

 カイルダ王国には三つの領があり、その代表者たちが竜国を訪れることになったのだ。
 僕ひとりで迎えに行くのではなく、こちらからも古代語が話せる人が一緒に付いてきている。

 彼らは一度王都に来てから、竜国の各町を視察するらしい。
 僕は王都まで連れてくるだけなので、そこから先はお任せである。
 期間の予定を聞いたら、どうやら一ヶ月以上先になるらしい。

 そのせいか、今回連れてくる人数も多く、総勢で百五十人になるという。
 そんなにたくさんの人が来て、受け入れる方は大丈夫なのかと思ったが、半数以上は職人らしい。

 竜国を見て回りつつ言葉を覚え、技国にも顔を出すらしい。

 職人の他にも、大陸の言葉を覚えるために、やってくる者もいる。
 言葉が喋れなくても、竜国にいればそのうち覚えるだろうという大雑把な計画だ。

 かなり放任な形らしいが、それでも多くの若者が参加したがったらしい。
 募集したところ、希望者の列ができたそうな。

 若者たちがより関心を持ってくれるならば、両国の関係も良好なものになるだろう。
 これならば、本格的にカイルダ王国と交流が始まっても大丈夫そうだ。
 みな好意的に両国のことを思ってくれている。



 僕は王都とカイルダ王国の各領を何往復もした。

 ようやく命令をやり遂げたと思ったらもう、次の会議が始まる期日になっていた。

 今回は、どんな意見が飛び出すのか。
 というか、商会はどうなったのか。

 そして〈影〉の動きはどうなっているのだろう。
 しばらく王都で情報収集をしていなかったが、ハリム以下、何かを企んでいそうな連中がどうなったのか気になる。

 会議が終わったら、シルルさんに確認しておいた方がいいだろう。

 何にせよ、僕は会議室に顔を出した。
 すると、見たことない人が何人かいた。

 リドルフ副操竜長はそのまま。
 竜導教会のリギス会長もいる。

 そして前回、会議の席を蹴って、途中で退席したルビン総長だが……いなかった。
 竜国商会は本当に協力を辞退したのか。そう思ったら……。

「ヨシュアさん!?」

「……やあ、レオンくん。久しぶりだね」
 久しぶりでもないと思ったが、僕は「どうも、お久しぶりです」と挨拶を返した。

 ヨシュアさんがどうして? と思ったが、ルビン総長の代わりだろう。
 ということは、竜国商会はこのまま継続して協力体制を敷いていく感じでいいのかなと思ったところで、見知った顔を見つけた。

「えっと……」

「初めましてですな。私はミドレイ・グルラッハと申します。商国商人連盟の会長をやっております」
「はあ……僕はレオン・フェナード、竜操者です」

「存じております。黒竜殿の主ですな」
 このミドレイさん、この前僕が忍び込んだ屋敷にいた人だ。
 なんでここに?

 あのときの僕は黒衣だったし、〈影〉での活動のときは意識して口調を変えている。
 声音こわねも変えて、低くしているので、今の僕と話しても気づかれることはないと思うけど、ちょっとびっくりした。

「わたくしは旧魔商会(ましょうかい)の代表をやっております、ドルム・ガットと申します。お見知りおきくださいませ」

「こちらこそ……よろしくお願いします」

 魔商会とは、魔国商人連合会の略称だ。
 魔国がなくなったので、旧がついたわけだ。

 ヨシュアさんが竜国商会の代表として、商国商人連盟ってなんだ? 聞いたことがない。
 それと今はもうなくなった魔国の魔商会まで……。

 唖然とした顔をしていたのだと思う。
 リドルフ副操竜長に、座るよう促された。

 そして他に見たことない人たち。
 座っている位置からして、竜国の政治家たちであろう。

 どうやら僕が『楽園』と王都を往復している間に、いろいろあったようだ。

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