挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第6章 大転移-竜魔編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

497/657

496

 魔国王の話を盗み聞いてから、どうにもムカつきが押さえきれない。
 どうしてだろうかと考えるも、その答えが喉元まで出かかっていて、そこで止まっている。
 ただこれだけは分かる。

 ――僕は王の作戦を滅茶苦茶にしたいんだ。

 野営地は蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
 どれだけ殺したか分からないが、敵はいま僕を殺そうと剣や槍を構えて大木を包囲している。

 そんな中、僕は大木から飛び下りた。
 同時に『闇纏やみまとい』を発動する。

 落下途中の僕の身体は漆黒の闇に包まれて、大地に降り立つまえに消え去る。

「お、おい。今の……」
「影の……魔道使い?」

 慌てる兵士をよそに、『闇渡り』で移動する。目指す場所は魔道使い兵の後ろ。

 後ろから姿を現し、心臓をひと突き。それを人数分繰り返すだけ。
「……おっと、気づかれたか」

 兵士が割り込んできた。

 中々強敵のようだ。このまま戦えば苦戦する程度には強い。
 鎧の紋章が他と違うことから、実力で士官の地位を勝ち取ったのかな。

 そんな奴と、まともに相手をしたくなない。
 距離をとって、地面に手をそえる。

「囲め!」
 武器を構えた兵士たちが鎧をガチャガチャ言わせて僕の周囲に集まった。
 フル装備なのは、僕の戦い方を見たからだろう。

 急所を隠し、露出部分を減らせば、死ぬような怪我を負わないと思ったか。

「こっちも準備はできた」

 先ほどの強敵目がけて、『闇鉤爪やみかぎづめ』を放つ。
 大地をえぐり、鋭い闇の爪が男に迫る。

 飛翔する矢程度には速いそれを避けるのは難しい。しかも矢と違って『闇鉤爪』は見えないのだ。

「うおおおおおおっ!」

 男は剣で迎撃しようとしたようだ。
 月魔獣には効かなかったが、人相手では過剰過ぎる力に剣一本で立ち向かうとは。

『闇鉤爪』は剣を砕き、そのまま威力を減じずに男を斬り裂いた。
 男の後ろにいた数人の兵を巻き込んで消え去る。

「…………」

 集まった兵が呆然と大地にできた傷痕を見ている。
 その間に僕は闇に潜る。

 暗がりを移動している間に気がついた。
 かがり火の数が少ない。

「火事を恐れて消したか遠ざけたかな」

 四方に飛び散った種火は、風に吹かれていろんなところ転がっていった。
 足下に散らばれば、兵の行動にも支障が出るし、なにより苦労して拾い上げて元に戻しても、蹴飛ばせば元の木阿弥だ。

 いろいろな面倒を避けるため、地面に落ちたのはそのまま消火したらしい。

 反対に僕は動きやすくなった。
 闇に溶けたまま移動すればどこへ行こうが見つかることはない。

「このまま思惑通りに行かないことを思い知らせてやる」

 魔国王は頭がいいのだろう。僕が考えているよりもずっと。
 頭が良すぎるから、正解が見えてしまった。

 それは政治的に有効な手段なのかもしれないが、僕の嫌いな考えだ。

 だから僕はここで、一人でも抗う。

 兵たちに恐怖を植え付ける。
 士気を崩壊させ、彼らが死兵となるのを防ぐ。

 魔道使いも倒す。
 戦争継続できなくなるほど兵を倒すのは難しい……というか、不可能だ。

 ならば、虎の子とも言える魔道使いたちを倒せばいい。
 竜操者にぶつけるつもりならば、大規模魔道の使い手であろう。

 僕のように対人戦に特化していないはず。
 それならば僕でも狩れる。

「他には……えーっと、士官を倒すかな」

 一般の兵とは違い、士官たちは強い。
 訓練を積んでいるのだからあたりまえだ。

 僕が苦戦する者もいるだろうし、護衛を付けているのもいる。

 だから闇を使って僕は魔道で倒す。
 とにかくこの野営地を荒らし回りたい。

 次なる得物を探して闇の中を移動していると、遠くの方から大勢の声が聞こえた。
 混乱に拍車がかかったようだが、どこかで火事でもおきたのか。

 そう思っていると、金属と金属を打ち合わせる剣戟の音が、ここまで届いてきた。

「……ん?」

 もしかしてと思ったが、どうやら竜国軍が夜襲を仕掛けたらしい。


+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ