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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第6章 大転移-竜魔編

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 正直、天幕の出入りを制限するために物理結界を張るとは思わなかった。
 あれは複数の魔道使いが同時に張らないと出来ないと聞いていたが、改良したのだろうか。

 やはり、魔道の国だけのことはある。竜国より進んでいる。
 先に潜り込んでよかった。

 天幕なんて、必要な数しかない。王を避難させる場所は限られている。
 この豪華な天幕が倉庫として使ってあるならば、ここを利用するだろうと予想したが、その通りだった。

「しかし、フローリアが狙われたのは意外であったな」
「まったくです。無警戒だったと言っていいでしょう」

「表に出さずにおいた魔道使いの素性など、どこで知ったのやら」
「恐ろしい敵ですね、インビジブル・ナイフ」

 魔国王と話しているのが副官か。
 互いに親しさを感じているような口ぶりだ。

 ただ、相手をしている方の年齢が若い。若いと言っても、三十代か四十代くらいだろうが。

「作戦はどうなっておる?」
「当初の目的はまだ達せられておりません。現状では難しいかもしれません」

「余所に期待だな」
「はい」

 ……余所?
 どこかで別の作戦が行われているっぽいな。
 竜の警戒網をかいくぐるのは難しいだろうけど、何があるのかだけでも話してくれないかな。

「明日の一戦で竜は出てくるかのう」
「そうですね、大転移で出払ってしまったのは分かりますが、今日の戦場に投入しなかったのはおかしいですね」

「警戒はしているのであろう。こちらも魔道使いを出さなかったしのう」
「準備はできていました。それを読まれたとは思えませんが、明日は温存する余裕もないでしょう」

 結局、余所の作戦とyらについては話してくれなかった。
 かわりに対竜操者用の「何か」があることが分かった。

 おそらくだが、陣地内にあった槍の射出機などは飛竜対策だけで、メインは別にあるのだろう。
 話しぶりからすると、魔道使いを竜にぶつけるつもりのようだ。

 大規模な魔道であるほど、使用に制限がついてくる。
 といっても連続使用できないとか、連発するとしばらく疲弊するとかだろうが。

 半日も続く戦いならば、使いどころを見極める必要があるだろうし、竜が出てこなかったから、魔道使いの出番がなかったのかな。

 そこから話は作戦の詳細にうつり、僕の分からない内容を話し始めた。
 聞いていたが、重要なところは暗号を使っているっぽい。

 いま動かないで、会議が終わって人が減るのを待つ方がいい。
 それまでは気配を探られることのないよう、じっとしていよう。

 そんなことを考えていると、話は少し変な方へ進んだ。

「それだと、できるだけ多くの兵を殺すのに、いささか厳しいのではないか」
「今はまだ竜国側に多数の兵が揃っておりません。大規模魔道を使うには時期尚早じきしょうそうでしょう」

 ……ん? んん? 竜国の町を落とすのが目的ではないのか?
 できるだけ多くの兵を殺すって……。

 そういえば、さっきまでの会話を思い返してみる。
 士官たちの賛同は得られているとか、竜国を巻き込む作戦だとか言っていた。

 何のことかと思っていたけど、意味が分からなかったので聞き流していた。
 今の言葉が真実だとすると、事情が少し変わってくる。

 ・敵兵をできるだけ多く殺す
 ・士官もそれに賛同している
 ・これは竜国を巻き込む作戦である

 出てきたのはこんな感じか。これから類推されることは……

 ――人減らし?

 魔国の目的は、領地の奪取ではない?
 いや、それもあるだろう。大転移で使える領土が大きく減るし。

 だけど、真の目的は別にあったとしたら?

 なぜ魔国が捨て身とも思える侵攻を最近続けてきたのか。
 技国、商国、竜国へと次々攻め入ってきた。

 そのうちいくつかは僕が……僕とシャラザードが撃退したけど、あの侵攻が成功したら、国の地図が変わるところだった。

 そのため、魔国の目的は領土を拡張して生き残ることだと思っていた。
 もし、魔国の目的が『人減らし』にあるのならば……。

 各国の人……この場合は兵士だ。兵士を減らして、将来やってくる食糧不足をマシにしようとしている?

 少しだけ、ほんの少しだけでも世界中で人が減れば、あとは為政者の頑張り次第。そんなところだろうか。

「……そういえばウルスの町なんて防衛ガチガチだったけど、その衛星都市に攻撃をしかけに来ているんだよな」

 ソウレルの町に侵攻したのは、リトワーン卿も認める魔国の将軍エーラーンだ。
 そんな人物がなぜ……とも思ったけど、同じ目的としたら?

「何かつながってきた」

 僕らは大きな勘違いをしていたのかもしれない。
 それと同時に、心の内から沸き上がるこの怒りはなんだ。

 どうやら僕は、魔国王の話を聞いて怒っているようだ。


というわけで、長い伏線のひとつが消化されました。
連載開始前から「魔国の動き」をどうするかかなり悩んだのですが、魔国王は本文にあるような選択をしたと判断しました。

この辺は次話でもう少し解説します。


日本の自給率で、この先ずっと他国から一切の食料品が輸入できなくなったらどうする? をイメージしました。
どんなことがあっても、二度と米粒ひとつすら入ってこない場合、どのような選択ができるのかという感じです。

それといよいよ、拙作『竜操者は静かに暮らしたい』書籍版発売の2週間前になりました。

変更点含めた書籍版内容についての詳細は、本日の活動報告に載せてあります。
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