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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第5章 大転移-回天編

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 正門付近のエントランスで足を止め、僕は戦った。
 足下には、多数の兵の死体が転がっている。

「ここまでは予定通り。……見つかった時点で予定通りじゃないけど」
 それでもフォローは順調だと思う。

 敵の魔道使いはなぜか僕の位置が分かる。
 ただし、細かい所までは分かっていない。

 いま僕は宮殿を脱出しているように見えているはず。
 ここからは時間との勝負だ。

 魔道使いは僕を追いかける指示を出す。
 僕はその裏をかく。

「宮殿の最奥部まで一直線だ」
 魔道使いがそれに気づいて指示を出す。

 エントランスに集まった兵がそこへ向かう。
 その頃の僕は、目的を達成して脱出しているだろう。

「上手くいくといいな」
 僕は闇に溶けた。

 一階だけは何回か移動しているので、およその構造は分かっている。
 一気に二階に向かって、そこからは出たとこ勝負だ。

 宮殿は四階建てなので、さっさと最上階まで行ってしまおう。

 途中何度も兵とすれ違ったが、闇に溶けた僕に気づく者はいない。
 彼らは一階を目指して走っている。

 そこにはもう僕はいないのにだ。ご苦労さま。



 宮殿の中は、全体的に暗い。いたる所に闇がある。
 そのおかげで、最短距離を進むことができた。

 最上階を進む。
 人の気配が集まっている部屋――つまり注意が必要な部屋は二カ所。

 そのうちのひとつはすでに通過している。
 衛兵の詰め所だろう。

 僕の侵入にも慌てず動かないことから、もうひとつの気配を守る存在だと思われる。

「さすがに人の多い所には行けないよな」

 最上階をどのように使っているか分からないが、この時間に会議室や資料室を使用しているとは思えない。

 人気のない部屋を僕は覗いてまわる。
「ガランとしているけど、所々仕掛けを動かした跡があるな」

 何があったのか、焼け焦げた壁があったり、爆発したのか、木の破片が飛び散ってそのままの状態になっている部屋があった。結構悲惨だ。

 この宮殿を探索するときに、いくつか動かしてしまったのだろうが、なかなか破壊力の高そうな仕掛けだ。

「……おっ、ここは当たりかな」
 テーブルを中央に置いた、それなりに広い部屋があった。

 テーブルの上には何もない。
 だが、周辺の棚に筆記用具が置かれていることから、この部屋を最近まで使用していたことが分かる。

「こういう場合は、どこかにあるはず……これかな」
 棚のひとつを開けると、中から紙の束が出てきた。

 作戦立案記録らしい。
 作戦の可否が書かれているから、実際に使用しなかった戦術も載っているかもしれない。
 一応、腰の袋に入れておく。
 他に何かないか探したが、他に目立つ場所には何もない。

「ここはもうないな。次の部屋に期待か」

 作戦立案もここでやっていることから、文官に類する者がいて、計画を練っているのだろう。
 その者が書いた資料があればいいのだが……。

 次の部屋に入った。
 前の半分ほどの広さで、箱が乱雑に積み上げられている。
 倉庫として使っているらしい。

 箱のひとつを開けてみるが、魔国から持ってきたらしい用途の分からない物が大半だった。
「ガラクタかな」

 箱に入れられ、積み上げられていることから、大事なものはなさそうだ。
 次の部屋に期待しよう。

 廊下に出たところで、気配が生まれた。
「もう気づかれたかな」

 まだ部屋を三つしか見ていない。
 やってくるのが思ったより早い。しかも、やってくる連中の動き――呪国人か。

 呪国人は魔国軍の兵とは違い、軽装で歩くときも音を立てない。
 彼らと戦っているとすぐに囲まれてしまう。

「ここは逃げるしかないか」

 彼らの目の前で闇に溶けるのは嫌だ。
 急いで彼らの反対方向に走り、角を曲がったところで、闇に溶けた。

 そこで安心せず、手近な部屋に入り込む。

「ふー、やれやれ」

「侵入者、来ました」

 奥から声が聞こえた。
 だれかいるのか? 気配を探ると、奥に数人がいることが分かった。

 大人数の気配はこの少し手前にあったし、ここの部屋の住人はみな気配を消していたので、部屋のそとからでは気づかなかった。

 しかし闇に溶けた状態なのに、僕が入った瞬間に気づかれたんだが。
 女性の声だったが、彼女がくだんの魔道使いか?

 この部屋は縦長の大きな造りで、奥の気配は四人……いや五人か?
 そんなことを考えていると、突如としてまぶしい光が部屋を満たした。

 真昼の太陽が間近に落下したような光のもと、いつのまにか僕の全身は露わになっていた。
 一切の影がなくなったのだ。

「侵入者です!」

 だれの言葉だっただろうか。
 僕はとっさにソファの陰に隠れた。

 そのとき、周囲にあった物が石化した。


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