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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第4章 竜国政争編

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 ジダイ大臣から聞かされた重大情報。
 さすがに僕も驚いた。

 というか、ヤバイ。ヤバ過ぎる。
 まず魔国が技国に攻め入った。戦争だ。

 兎の氏族と軍事同盟を結んでいるいま、竜国だって他人事ではない。
 それどころか、王女殿下が襲われて行方不明。

 もし身罷れたら、どうなってしまうのか。

「王女殿下が行方不明ということですが、安否の確認はだれか?」

「そのままだな。そもそも大っぴらに探せないというのもある。脱出時はある程度まとまって飛び、安全が確認されたら、散る手はずになっていたらしい。だが敵の執拗な攻撃を受けて飛竜隊は混乱し、半数が撃ち落とされた。その中に王女殿下の乗った飛竜がいたようだ」

 セネゲイ操者は助けに向かおうとしたが、下からの攻撃が激しく、しかも王女殿下より直接命令を受けていたため、やむなくこっちへ向かったらしい。

「王女殿下の命令……違える訳にはいかなかったのですね」

「そうだ。我々がそれを知ったのも今朝のことだ。彼は瀕死の状態でここに辿り着いたあと、そのまま昏睡状態に陥った。朝になってようやく目覚めたというわけだ」

 事情を聞いて驚愕し、慌てて僕を呼び寄せたのだという。

「きみを呼んだのは他でもない。現地に飛んで王女殿下の安否を確認してほしい。戦場に小型竜が向かったところで二の舞いだろう。この情報はまだ王都にも届いていない。すぐに動けて成果が期待できるのは、漆黒の破壊者クラッシャー、きみしかいないのだ」

 気のせいだろうか。また変な呼び名があったのだけど。

 王女殿下を探しにいくのは構わない。
 シャラザードの巨体なら、槍の一本や二本、どうってことない。
 そもそも刺さるのか疑わしい。

 それよりも気になったことがあった。

「いまの話。他の人には知らせないのですか? 兎の氏族とか」

「無論、兎の氏族の者には知らせる。盟約があるから当然だ。だが他の氏族については、王族かそれに準じる者の許可がなければ漏らすわけにはいかない」

「どうしてですか?」

「これが軍事情報だからだ。兎の氏族にしたって、王女殿下の件は伏せる。蜻蛉の氏族も蜂の氏族の情報もまだ掴めていない。徒に不安を煽ることもできんし、虚報だった場合、非常にまずい立場になる」

 たとえば、魔国の高官を拘束したとする。
 竜国が与えた情報が間違っていた場合、それは大問題となる。

 軍事関連で嘘の情報を流せば、信用は地に落ちる。
 大臣とはいえ、簡単に決断できる案件ではないのかもしれない。

 状況は分かった。
 この情報を知っているのは、ここに集まった人たちだけ。

 竜の伝達速度を上回るものがない以上、情報戦で先手を取れる。

「分かりました。行きます。そして王女殿下を探してきます」

「助かる。ソウラン操者か、中型竜の編隊が向かえば良いだろうが、おそらく時間がかかる。笑顔の殺戮者たるきみなら安心して任せられる。頼むよ」

 ちょっと待て! 笑顔の殺戮者ってなんだ? そろそろ怒っていいよな。

「……で、救出したあとはどうすればいいんでしょう」
 多少、不機嫌が顔に出ても仕方ないと思う。
 いっそのこと笑ってやろうか。

「技国を脱出し、王都まで戻ってもらいたい。少し前にチュリスの町へ竜を飛ばした。それが戻って来次第、我々も撤退する」

 ここにいると魔国の兵がやってきた場合、拘束される危険があるから、当然の措置だろう。
 しかし、魔国もよりによってこんな時期に狙わなくても……。

 いや逆か。
 人々の目が競技会に向いて、重要人物がみな技国の東側にいたときを狙ったのかもしれない。

 誤算は王女殿下の飛竜編隊が兎の氏族にいたこと。
 攻めに行って飛竜が多数飛んでいて驚いたことだろう。

 飛竜がいれば、情報がすぐに拡散する。
 真っ先に倒しにきたに違いない。

 飛竜さえいなければ、このままこっそり侵攻して、技国のほとんどを落としてしまいたかったのかもしれない。
 そう考えると、行動は早いほうがいい。

 建物の外に出ると、シャラザードの準備はすべて終わっていた。
 僕の着替えは、飛行中でも構わない。

「シャラザード、行くぞ!」
『戦いか?』

「そうだ。戦場に殴りこむ」

『ふむ、戦場か。最近運動不足でな。構わんぞ』

 戦場に行くといっても、シャラザードは動じない。
 人の力では、自分をどうにかできると思っていないのだろう。

「場所は兎の氏族領だ。全速力で行くぞ」
『心得た!』

 僕はシャラザードに飛び乗り、すぐに発進させた。


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