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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第4章 竜国政争編

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 竜国と商国の通商戦争によって、国内はいまだ混乱している。

 先日の王都の火災や、特定部品を商国商会が押させたことによって、商品の流通が滞りがちになっている。
 僕がリンダに、商売もしくはそれに類することを話すのだと思ったようだ。

「この前アンさんには話したんだけど、僕自身についてなんだ」
「はぁ? 今さらレオンについてなんて。幼なじみなんだから何でも知っているわよ」

「そう言うと思ったけど。実はそうじゃないんだ」
「なに? そこまで勿体ぶるなら、大層な話なんでしょうね」

 言えるものなら言ってみなさい。そんな感じが見て取れる。
 心なしか、リンダの鼻の穴が膨らんだ気がした。

「僕は数年前から、竜国を裏から支える〈影〉として活動しているんだ」
「えっと、なにその〈影〉って?」

「普通の人は知らないよね。〈影〉というのは女王陛下直属の集団で、国内に入ってきた悪い連中を見つけて排除するのが仕事かな」

「……どういうこと?」
「表向きは平和に見えるかもしれないけど、竜国は絶えず狙われているんだ」

 犯罪が行われても、公にできないものもある。
 たとえば、密かにやってくるスパイなどがそうだ。
 表向きは行商人、裏では竜国の情報を探って、その秘密を自国に流している。

 もし町の治安部隊が捕まえようとしても、彼らは真っ当な仕事をしている善良な民である。
 裏で行っている悪事を表に出せば捕まえられるかもしれないが、ほとんどの場合、国が関与していたりする。

 魔国に情報を流していた行商人の場合、罪を公にすれば魔国が反発する。
 ニセの罪をでっち上げて自分たちを貶めようとしていると。

 秘密裏に動いている彼らを処理するには、同じ手段を取らねばならない。
 こうして水面下でスパイの応酬と摘発が行われてきた。

 竜国が魔国の情報を掴むには、やはり現地へ潜入しなければならない。
 その場合、ただの行商人についでで頼むわけにもいかない。
 専用の者が必要であろう。

 これら表に出せない様々な用途に使える人材を総称して竜国の〈影〉と呼んでいる。
 僕はリンダにそう説明した。

「知らなかったわ。数年前からって言うけど、本当はいつからなのよ。急に始められるわけじゃないでしょ」
「そういう意味なら、訓練をはじめたのは物心ついたときからかな。僕は父さんの跡を継いだんだけど」

「ハルイさん? だって、ハルイさんは魔国の人だったんでしょ?」
「いろいろあって、女王陛下の信頼は高いと思うよ」

 アンさんに話したときと同じように、パン屋をやりながら、町を守るつもりでいたら竜紋が現れて竜操者になるしかなくなったことまで話終えた。

「はーっ、ビックリだけどいろいろ納得。ということは、ときどきあなたが持ってきた情報って……」

「女王陛下から直接聞いた話かな」
「そりゃ、早くて正確だわ」
 おかしいと思ったとリンダは嘆息した。

「アンさんに話したら、リンダにもちゃんと言った方がいいってことになってね」
「それで他言無用って言ったわけね。……このこと、父さんに話していいのかしら」

「うーん。できたら止めた方がいいかな。他に漏れると困るわけだし」
「そうね。女王陛下がかかわっているんじゃ、様子を見たほうがいいかしら」

「それで僕が〈影〉だって話はいいんだけど。その仕事をする上で知ったことがあるんだ」
「それをわたしに話してくれるわけ?」

「そろそろ知れてくる話だしね」
「じゃあ、聞かせて。さっきはすごく驚いたけど、もう大丈夫よ。心の準備はできたから」

「じゃあ言うよ。近々、大転移がおこる」
「…………はっ?」

 リンダは固まった。

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