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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第3章 商国陰謀編

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「ねえ、父さんが言う黒幕って誰なの?」
「さあな。五会頭が関わっているんじゃないかとは思っている」

 やっぱり五会頭か。
 これだけ大規模なことをただの商人ができるとは思えないし、妥当な線か。

 だとすると、五会頭の誰かだけど……。
 いや、その判断はまだ早いか。

「まずは捕まえた連中から何が聞き出せるかだね」
「そうだな。大がかりな計画でなければいいが」

 父さんの名前を裏の世界に知らしめた出来事がある。
 ――ソールの大粛正という。

 あのときはクーデター一歩手前まで進んでいた。
 そういうことが起きなければいいけど、今回はどうなんだろう。

 その日の夕方、大量の資料を抱えてリンダが戻ってきた。

「ただいま。聞き取りがようやく終わったわ。あとは整理するだけだけど、あなたの方はどう? なにか進展があった?」

「うん。盗賊を捕まえた」
「そう、捕まえたのね。あなたにしてはやるじゃない…………えっ!?」

 リンダが目を丸くしている。
 口が半開きだ。そんなに驚くことなのか?

「運良く、不審な馬車を見つけてね」
「どういうこと? はじめから話しなさい!」

「……分かった。でも僕だって全部を知っているわけじゃないからね」

 町を出発した馬車があったこと。ちょうど僕がそれに乗り込むのを見ていたことを話した。
「それで怪しいと思ったわけ?」

「どん詰まりの町って聞いたし、わざわざやってきて何も売らず、買わずに出発したからね。引っかかっていたんだ」

 シャラザードに乗って上空から見ていたら、荷物を馬車に運び入れる姿を目撃したこと、どこから荷を調達したのか、それでピンッと来たことなど、僕は盗賊を捕まえるまでの一通りを話した。

「……なるほどね。商人に化けて街道を移動。盗賊でいる時間はほんのわずか。あとは商人に戻っていたわけね」

 盗賊は、最初から最後まで盗賊である必要は無い。いくら探しても見つからないわけだ。
「でもそうすると、他に盗賊がいたとして、その人たちを見つけることって不可能なんじゃない?」

 被害者は連絡手段を奪われてしまう。
 助けを求めようにも、できないのだ。

 その間に馬車は遠くへ行ってしまう。
 町中に入られてしまえばもう分からない。

「そう。だからそれを操っている黒幕を見つけて捕まえた方が早いんだよね」
「黒幕の見当はついているの?」

「まだそこまでは……けど、国に話したら動いてくれると思うよ」
「そうね。敵の正体が分かっただけでも成果だわ」

「リンダの聞き取りは終わったんだろ?」
「ええ、そうよ。一旦王都に戻った方がいいかしら」

 ソールの町を中心として、盗賊を働く商人の対処は父さんに任せてある。
 きっと領主を動かしてなんとかしてくれると信じている。

「王都に戻った方がいいね。他の町でも同じ事が起きているかもしれない。なるべく多くの町にこの事実を知らせた方がいい」

「だったら明日の朝戻りましょう。その間に、もう少し詳しく話してくれるかしら」
「えっと……僕?」

「そう。聞き取り調査ね。パパに報告する内容を書かなければいけないでしょ」
「……そうだね」

 結局僕は、また寝不足になることが決まってしまった。



 翌朝、シャラザードに乗ってソールの町を出発した。
「意外と出会わないものね。ちょっと見てみたかったんだけどな」

 すれ違う飛竜の姿を見てみたいらしいが、この広い国土ではなかなかお目にかかれないと思う。

「ほとんどの竜は陰月の路付近いるし、次に多いのは王都かな。あとは大きな町だけど、移動中にすれ違ったことはないかな」

 思い返してみても、なかったと思う。
「ふうん。同じようなルートを通るのに、そんなものなのね」

「シャラザードの場合、ルートは違うかも。途中で休憩を入れないからまっすぐに飛ぶし」

 シャラザードはソールの町から王都まで一直線、休憩なしで飛びきってしまう。

 普通は二回くらい休憩をいれるらしい。
 専用の休憩スペースが街道ぞいにあって、そこを目指して飛ぶ。

「なるほどね。そういえば、商国が持っている竜は海上を飛ぶって知っていた?」
「いや……月魔獣と関係ないことだと授業でも習わないからね」

「竜国内を飛ぶとき、飛行許可を取るでしょ。港町から王都までの申請が一番多いのよ」
 そういえば僕らが他国の上空を飛ぶときも飛行許可を得ていたはずだ。

 商国や魔国が保有している竜が竜国内に来るならば、やはり許可は必要なのだろう。
「海上ね……たしかに飛行許可はいらないね」

 少しでも申請距離を短くしたいのか、ルートを探られたくないのか。
 飛竜ならな海面に浮くことができるから、別段海上ルートでも問題ないのだろう。

「意外と知らないことも多いな」
 竜操者とは言っても、まだ一年間勉強しただけだ。

「商人たちの間では常識になっているけど、竜操者には関係ないものね」
 軍人として生きる場合、月魔獣を狩るのが仕事となる。

 商人の飛行ルートが関係することはないだろう。

 しかも外国に少数の竜しかいないのだから、気にする必要も、授業で扱う必要もないのかもしれない。

「……お腹が空いたわね」
「そろそろ王都かな」

 リンダの空腹が我慢の限界を迎えるより早く、僕らは王都に戻ってきた。

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