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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第3章 商国陰謀編

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 商国が本気で動いている。
 ヨシュアさんはそう言った。

「対抗策はあるんですか?」

「組合を作るしかないね。竜国商業協会だっけ。それでもいい。結局、数は力だよ」
「数は……力ですか」

「力だね。商国商会をより迅速に排除するには、大勢で一斉にやらなければならないはずだ。それともうひとつ……」

 ヨシュアさんは指を一本立てた。

「もっと情報収集を重視した方がいい。これは後手に回ったら負ける。今回の件ならば、『豪商』が結んだ契約は私が控えてある」

「契約ですか?」

「取り引きは阻止できなかったけどね、何を集めているのかは分かった。足りなくなる物資が事前に分かったのは大きいと思うよ。今のうちから集めておけばいい。北方でのせめぎ合いは物資の確保が重要と判断したんだろうね。今後もそういうものが増えてくるから、しっかりと情報を集めて分析して、被害を最小限に留める措置が必要だね」

ヨシュアさんは紙片を僕に渡してくれた。

「ここに書いてあるのは、私が北方で集めた情報だけだ。他は分からない。商国がどこでどんな動きをしているか。それはもっと上の人たちが調べるべきだと思っている。レオンくんに情報を流した人にそう伝えれば分かるだろう」

「分かりました。ありがとうございます。必ず伝えます」

 早ければ一年後、大転移がおきる。
 商国が魔国と手を組んで竜国を狙っている今、情報は重要だ。

 足りなくなるものを事前に知れれば、たしかに有効だ。
 僕はもう一度お礼を言ってから、ヨシュアさんの家を辞した。

              ○

 ヨシュアさんから聞いた話をそのままにできないので、女王陛下に伝えておく。

 竜商会りゅうしょうかいが始まったことで、商人たちは活気づいている。
 その分、商国由来の商人たちがかなり反発しているらしい。

「団結と組織化で対抗してきているわねえ」

 商国由来の商人たちが集まってできた商国商会というものが昔からある。
 商国のブランド化といった感じで、それを目当てに中小の商会は参加している。

 これが変わるようだ。
 今までのような緩い繋がりではなく、商国であることを前面に押し出して、より結束を強めているらしい。

 竜商会と商国商会の全面対決になってきた。

「北方ではかなり切り崩しが進んでいるように聞いておりますが」
「そうみたいね。やはり陰月の路があると駄目ね。生きた情報が入ってこないもの」

 五会頭のひとりが現地入りしていることを掴んでなかったらしい。
 北方へは海路を使うため、寄港しないと、動きが掴めないのだ。

「僕からの報告は以上です」

「ありがとうね。……そういえば、ディーバ商会の人たちはもうすぐ王都に来るわ」
「そうですか。アンネラも喜びます」

「それと『楽園』探索チームを作らせたの」

「……は?」
「楽しみよね。……あるのかしら、楽園」

 相変わらず女王陛下は、僕の予想を上回ることをやってのける。
 大転移とか、商国とのシェア争いとか、他にやることが一杯あるというのに。
 宝探しか。

「がんばってね」

「……………………はっ?」


 みなは言うまい。
 後日、忠義の軍団(ロイヤル・レギオン)から召集令状が届いた。
 僕も宝探しのメンバーに入っているらしい。




 二日後、アンネラの商会員たちが王都に到着したという知らせが届いた。

 その情報をアンネラに届ける。
「いま竜導教会で保護している。会いに行きたいだろ?」
「はい、もちろんです!」

 アンネラはここ一番の笑顔をする。

「ただし、ハリム会頭が『楽園』の情報を諦めてない可能性もあるので、僕も一緒に付いて行く。いいね」
「はい。お手数おかけします」

「いやそれはいいんだ。いま大事なのは、この前のような誘拐事件が起きないようにすることだから」

 アンネラには学院の外に出ないよう、出るならば僕に必ず声をかけるように伝えてある。
 それを守っていたために窮屈な思いを味あわせたかもしれない。

「明日は授業もないし、ちょうどいい。朝から向かおう」
「ハイ!」

 翌日、馬車を用意して僕らは竜導教会へ向かった。
 道中何事もなく到着し、アンネラは晴れて商会のメンバーと再会できた。

 感動的な再会を邪魔しては悪いと思い、僕はその場を離れた。
 竜導協会の中ならば、学院と同じく安全だし、話は後でもいいだろう。

 チョイチョイ。

 ガイスンさんが僕を手招きしている。

 ガイスンさんは竜導協会の本部長で、忠義の軍団(ロイヤル・レギオン)の一員だ。
 嫌な予感しかしない。でも行くしかない。

「ガイスンさん、アンネラの身内を保護してくださってありがとうございます」
「なに、彼女も立派な竜操者です。その身内を守り、導くのも私どもの役目でございます。レオン殿、どうぞこちらへ」

 ガイスンさんはニコニコして、僕を一室に招き入れた。

「本日、レオン殿がちょうどよい所にいらしていただいて、助かりました」
「もしかして、『楽園』の探索ですか?」

「はい。いま王宮と協会本部にあります史料をあさって、多くの情報を抜き出している最中でございます。また、旧王都に眠るいまだ発見されていない古文書も探し始めたところです」

「ずいぶん本格的ですね」
「女王陛下の指令ですから、当然のことでございます。それで、比較的すぐ分かった情報がございますので、それをお伝えしようかと思いました」

 なるほど。
 おそらく史料の調べ物は、大人数でとりかかっているのだろう。
 それで、分かったことがあると。

「僕が聞いていいのですか?」
「はい。おそらくですが、レオン殿に向かってもらうことになるのではないかと思います」

 ……向かう? どういうことだ?

「話を伺います。なんか、まったく予想が付かないもので、詳しく話してもらえますか?」

「もちろんです。……旧王都にありました協会に史料が残されていました」

 ガイスンさんは重々しく口を開いた。
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