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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第3章 商国陰謀編

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 リンダの意味深な笑顔に僕も釣られて笑おうとしたら、引きつった。

「アン先輩は身分を明かして、王宮にいるわ。兎の氏族を代表した親善大使だし、挨拶に訪れる人が後を絶たない感じみたい。それと数日おきに式典に出席しているみたいで大変そうよ」

 リンダこの休みの間に南方の商売を始めたいらしく、アンさんと相談しなくてはいけないことがあって、この前会ったらしい。

 そのわずかな時間を確保するだけでもかなり大変だったとか。

「それにね、入学式の準備があるでしょう?」
 王立学校では新三年生が企画して、新二年生と合同で入学式の準備を行っているらしい。

「そっか、思い出すなぁ、あれ。控室で囲まれたっけか」

「そのおかげで会えたのよね、そういえば」
「そうだった」
 逃げ出した先のテラスでリンダに会ったのだ。

「それで入学式の次第を確認した生徒たちが騒いでね。来賓の挨拶……王女殿下の前にアン先輩の名前があるわけよ。これって!? っていま噂になっているわ」

 アンさんの本名はアンネロッタ・ラゴス。
 すでに名前は学校に登録して変更済みのはずだ。

 貴族の場合、学生生活の間でも名前や苗字が変わることはわりとあったりする。
 親の再婚や離婚だけでなく、有力者の養子に入ったりして立場が変わる生徒がチラホラ出るのだ。

 アンさんの場合も、とくに話題にも上らなかったという。
 だが、同じ名前が来賓として登場し、その苗字が『ラゴス』とくれば別である。

 氏族の内乱劇はまだ記憶に新しい。
 序列一位の大山猫の氏族を完膚なきまでに叩きのめし、実質技国のトップに上り詰めたラゴス家。

 その名を冠し、技国親善大使の名の元に、来賓として挨拶をする。
 つまりアンさん……いや、アンネロッタ・ラゴスは重要人物なのだと気づいたわけだ。

「僕とアンさんの関係は……その」
「当然みんな知っているわよ。わたしが広めたもの」
「まじか」
「当然でしょ。隠してもいいことないし、こういうのはいっぺんに発表しちゃった方がいいの」

 それも一理あるのかな。
 けど僕の場合、学院内でも結構特殊なんだよな。浮いているともいう。

「アン先輩も入学式が終われば通常の生活に戻ると思うわよ。会いたかったら、それまで待った方がいいわ。いまはちょっと忙しそうだし」

 この三月から四月へと切り替わる時期は、王城もなにかと忙しいらしい。
 多くの行事にアンさんが駆りだされているとか。

 そういう話を聞くと、連絡を取りにくくなる。
 たしかに入学式が終われば、落ち着く。それでいいかなと思った。



 そんなこんなで数日が過ぎ、もうすぐ入学式かと、一年前のあれこれを思い出していると、事件がおこった。

 憂鬱な顔をしたアンネラを見かけたので、僕が声をかけた。

「先輩、商会の人たちがまだ王都に着いてないんです」
「そうなの? この前、王都で新しく商売をはじめると言っていたよね」

「はい。もうとっくに着いていいと思ったんですけど、来ていないんです。教会の人がちょうど町まで行くので聞いてくれたら、もうとっくに出発しているって」

「それはいつの話?」
「町を出たのは十日前です。レオン先輩……私どうしたら」

 アンネラを慕って商会の人たちだ。
 突然心かわりして見捨てることはありえない。

 だとすると移動途中で行方不明になった?
 強盗に襲われたとか?
 ……竜国でそんなことがありえるのか?

 竜によって竜国中は監視されている。
 変な噂が広まれば、地上と空から竜が虱潰しに探すだろう。

 他国と違って、移動する商人を襲うような強盗は出にくい。
 しかも王都に向かう商隊を襲うなんて命知らずなマネをするだろうか。

「知り合いに聞いてみるよ。もう少し詳しく話してくれる?」

「はい。最後に手紙が来たのは三月に入って少ししてからでした。もうすぐ準備が終わるから、三月の中旬には到着するって書いてあったんです」

「他になにか変わったことは書いてなかった?」
「拠点は売り払うので、そのお金でこっちでお店を持つって。そのくらいです」

 拠点を売り払ったお金が目当てか……いや、リスクに対して益は少ない。
 小さな商会のお金なんて、大した金額にならないはずだ。

「僕は教会に行ってみる。それと王城に知り合いがいるから、その人にも聞いてみる。強盗団が出たならば、話が行っているはずだ」
「はい」

「心配だろうけど、落ち着いて待っているといい。それともうすぐ入学式だ。何があってもそれには出席するんだよ」

「でも私、心配で……」

「大丈夫。とにかく平常通り行動するんだ。捜索は慣れている人がいるから、お願いできる。いいね」
「は、はい。分かりました」

 アンネラを部屋に戻し、僕は義兄さんのところに行った。

「強盗団ね……聞かないな。そもそも、竜が行き来するような場所で強盗は働けないだろうね」

 竜の速度は馬の比ではない。
 見つかったら逃げられない。

 そして戦闘力は人が束になっても敵わない。
 僕も竜国内で大規模な盗賊団が出るような話は聞いたことがなかった。

「でも十数人が行方不明なんだけど」

「襲われたんだったら、だれ一人として逃げ出せないってのもおかしいな。それに街道を進んでいたはずだろうし、だれも戦闘跡を発見していないとなると、襲われた可能性は低いんじゃないかな」

「だったら何だろう」
「不思議だな。おれが〈左手〉に知らせておこうか?」
「いや、今夜女王陛下のもとへ行ってくる」

「女王陛下を煩わすのか?」

「町の人口が急に増えたからね。もしかすると、似たような例が他にもあるかもしれないし」
 早めに知らせておきたい。そう僕は答えた。

「よし、おれの方も少し調べておくか。同じ〈影〉に連絡をとってみよう」
「お願い」

 こうして僕は、アンネラの商会仲間、十数人もの人間がこつ然と消えた事件を調べ始めた。


腕を怪我しまして、みなさんにご心配おかけしました。
昨日、整形外科に行ってまいりました。着替えと風呂を諦めてずっと固定していたからでしょうか。
バンザイできるまでに回復しておりました。ただし、特定の動きで激痛がはしります。
お腹は触れるけど、背中に腕を回せない。「小さく前にならえ」の状態のまま腕を外に開けないといった感じです。そのため、「よしなさい!」とか「ええかげんにしなさい!」ができなくなりました。
今年のM-1グランプリが終了して、来年に向けて特訓をしなければいけないのに大変です。毎朝行っている「ええかげんにしなさい!」素振り1000回ができなくなりましたので、ボケ担当に変更しようか考え中です。(白目)

冗談はおいといて。
日頃から運動しているため、重篤な状態になっていなかったようです。「足だったら半年入院してもらったんだけどね」と言われましたが、本当でしょうか。冗談には聞こえませんでしたので、怖かったです。
動かないでいると関節の可動域が狭くなるから、痛みが出ない範囲でよく動かせと言われています。やっぱりツッコミに復帰……。

というわけで、入院しませんので更新は大丈夫そうです。(念のため10日間分、予約投稿を増やしておきました)

さて物語ですが、もう少ししたら、レオンくんがいままで知らなかった商国の思惑や狙いでしょうか。そういうものが少しずつ明らかになってきます。それで謎が深まるともいいますが……。

そして本編でいうと236話(12月10日の18時投稿分)で、重大な情報が明かされる感じです。

というわけで、いろいろご心配おかけしましたが、体調に気をつけてこれからも投稿を続けていきます。
みなさん応援よろしくお願いします!!

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