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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第3章 商国陰謀編

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 その日の深夜、暗殺者が僕のもとへやってきた。
 お客さんは三人だ。

 ノイネン外交官を煽れば何か反応があるかと思ったが、直情型だったようだ。
 あれは演技でもなんでもなかったらしい。

 すでにディオン氏族長にも話を通してある。
 対魔国のカードを欲しがった氏族長は、僕の提案に乗ってくれた。

 暗殺者もさすがに認識阻害の魔道をかけているらしく、氏族長が配置してくれた見張りが気づかない。
 このままでは僕の寝室まで来てしまうので、闇の中から手を伸ばす。

「……!?」

 暗殺者の足首を掴んで膝から転がした。
 その音で見張りが気付く。

「だれだ!」
 見張りが誰何すいかする。

 続けざまにもうひとりの首筋に手刀を打つ。
 打たれ強いのか、気絶することなくたたらをふんで、踏ん張ったようだ。

 これで襲撃は失敗したも同然だが、残りのひとりはどうするだろう。
 僕が影の中から見ていると、残ったひとりが逡巡したのち、逃走にかかる。

 氏族長が派遣した兵が敵の行く手をふさぐ。
 剣の構えを見る限り、腕は確かそうだ。

 その頃僕は、すでに離れた場所で姿を現している。
 幸いだれも僕には気づいてない。『闇刀』で魔道使いの服を切り裂いた。

 ――ゴトッ!

 暗殺者の隠し持っていた武器が床に落ちた。

「いまだ、捕まえろ!」

 氏族長は吝嗇りんしょくではなかったので、充分な数の見張りを用意してくれた。
 殺到する兵たちに、三人の暗殺者はすぐ捕らえられた。

 僕は一部始終を見届けると、部屋に戻って就寝した。
 明日を夢見ながら。

               ○

 翌朝。
 謀られたとか、陰謀だとか、事実無根だとか叫ぶノイネンの姿があった。
 現行犯で捕まった暗殺者たちも観念したようで、昨夜のうちにいろいろ喋っているらしい。

 捕まったのはみな、ノイネンとクルラッハの付き人たちである。

 これらのことがノイネンに知らされたのは、尋問が終わった後。

「技国には吐かせる道具も揃っているらしいしね」

 このあと、ノイネンたちの行為について、魔国に問い合わせが行くことになる。
 それまで身柄は兎の氏族で預かることになりそうだ。

 なにしろめでたい結婚式があったその日の夜に招待客を襲ったのだから、いろいろと使いみちがある。
 魔国がどう出るか分からないが、ここで全面対決はしないだろうとのこと。

「個人に罪を着せておしまいだろうが、襲撃した事実は残る。それに身柄を引き取るか取らないかで、彼らの重要度が違ってくるわけだ」

 外交に使える良いカードが手に入ったと、ディオン氏族長はホクホク顔だ。
 結果がどうなったか教えてくれるという。

 僕は竜操者の襲撃の件と大転移についても知っているらしいので、その辺を重点的に攻めるといいとアドバイスしておいた。



 さて、昨夜遅くまでパーティに参加していた人たちだが。
 いまだ寝ているらしい。

 昼過ぎには起きだしてくるのではないかと。
 いい身分だな! と思ったら、みなそういう身分だった。

 結婚式が終わったとはいえ、外交は残っているだろう。
 サーラーヌ王女は今日も忙しいに違いない。

 僕はすることがないので、買い物をするつもりだ。
 兎の氏族の本拠地内にも店がある。
 このへんは、鴎の氏族と同じだ。

 買い物に出かけようと思ったら、王女が起き出してきたと護衛の人から言われた。

「暗殺者の件、報告しておくか」
 王女にお目通りを願って、簡単に報告しておいた。

 王女は一通り聞いたあとで、ゲラゲラと笑っていた。
 血は争えないなと思う。面白がるところはそっくりだ。

「あなたも相変わらず悪ね」
「ちょっと待った!」

 なぜか僕が悪人になっている。
 理不尽だ。

「魔国の外交官って、あのデコボココンビでしょ。私も嫌だったのよね。臭くて。いい気味だわ」
 完全に個人の好悪で判断している。

「それと、昨日鴎の氏族から依頼がありまして……」
 ついでにイーナさんの提案についても相談した。

「いいわよ」
「いいんですか?」

「どうせ最初の予定では、あなたは編隊に参加しない事になっていたし」
「それはそうですが、政治的な問題とか……」

「別に気にしなくていいわよ。商国の西か東の都の上空でも飛ぶの?」
「なんでそんな好戦的なんですか!」

「そうじゃないから、竜が都市に向かうなんてよくあることだもの。問題ないわよ」
「さいですか」

 本当に問題ないらしい。あっさりとしたものだった。
 王女が言ったように僕はイレギュラーな存在であり、帰りに抜けても問題ないのかもしれない。

「それで今日はどうするの?」
「買い物でもしようかと」

「だったら私も……」
 言い終わるよりも早く、護衛がヌッと進み出た。

「ご予定がございます」
「……みたいね」

 さすがに公務をすっぽかすわけにはいかないようだ。
「じゃ、僕はお土産でも買いに行ってきますので」

 当初の予定どおり、町に繰り出した。
 後ろからなにか声が聞こえてきたけど、聞こえない。
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