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竜操者は静かに暮らしたい 作者:もぎ すず

第2章 技国内乱編

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 王宮に施された魔道結界がまた新しくなっていた。
 僕に対する嫌がらせか?

 しかも所々、僕だけを対象にしている仕掛けがある。
 あからさま過ぎて、逆に笑ってしまった。

「まあ、その方が練習になるか」
 このところ色んな結界を見てきたので、対処能力が格段に上がった。

「報告にあがりました」

 女王陛下の寝室に入り、僕は姿を現した。
 控えていた〈左手〉はふたり。ぎょっとした顔を向けてくる。

「旅は快適だったかしら」
「女王陛下のご配慮のおかげで、とても助かりました」

 事実、行きも帰りも空の旅だ。いい経験になった。
 将来飛竜を得ることになったら、さぞや気持ちがいいだろうと思うほどに。

「良かったわね。それでは報告を聞きましょう」

 女王陛下が〈左手〉に目配せをする。
 聞き耳を立てている者がいないか。結界が正常に機能しているのか、確認させにいかせた。

「いいわよ」
 お許しが出たので、僕は鴎の氏族の本拠地に入ってから脱出するまでを語った。

 時系列に沿って話すよりも、重要な部分から少しずつ全体に広げて行くほうが分かりやすいようで、アンさんが脱出したことと、鴎の氏族長からみのこと。クーデターのことが、話のメインになった。

「面白い事になっているわね」

 それが女王陛下の感想だった。
 かなり大事だと思うのだが、女王陛下はそういう時ほど面白がる。

「その後は兎の氏族が住む都市まで送りまして、氏族長とも話しました」

 そこからは指令とは関係ないのだが、かなり重要な内容が混じっている。
 報告しないわけにはいかない。

 とくに、鴎の氏族長が宛てた手紙で、今後竜国の取る対応が変わってくる可能性が出てきた。

 他にも伝えたい情報がある。
 技国の機械式の結界についてだ。

 これに関しては、竜国でもあまり情報がなかったらしく、女王陛下は感心していた。
 そもそも氏族長が住む本殿まで忍びこむことは普通ないのだとか。

 機械式の防護装置などは門外不出であることが多く、どんな仕掛けかは分かっても、それを無効化したりスルーするのは難しいらしい。

 同室にいた〈左手〉のふたりも驚いていた。
「なかなか有益な情報ね。他にもあるかしら」

「あとは駆動歩兵の性能についてでしょうか。思ったよりも装甲が堅い印象を受けました。武器の方が先に駄目になり、数を揃えられると竜ですら後れを取ることになりそうです」

「いまのは竜国の戦術長のところへ話しておくわ。妾の国にある駆動歩兵とはずいぶん違いそうね」

「戦闘用と作業用の差があるのだと思います。それと、技術競技会に向けて、日々研究開発が進められているのではないでしょうか」

「そんなところかしらね。一度、各氏族の保有する駆動歩兵の数を計算しておいた方がいいかしら」

 将来のためにと、女王陛下は呟いた。

 僕としては、あまり技国とは事を構えたくない。
 竜はタフではあるけれども、換えが効かない。

 長期戦になれば不利だ。

 もしくは僕のように直接装甲の中を攻撃する方法を考えた方がいいかもしれない。
「いや、次はその対策を採られているかも」

 今回、駆動歩兵を倒すのに使った『闇刀』で、外装に一切傷を付けずに中の兵だけを攻撃した。

 よほどの馬鹿ではないかぎり、対策を練ようとするだろう。
 僕の『闇刀』は、影さえ繋がっていれば効果を発揮するのだが、鴎の氏族長と会った時に、影の中から出てくる姿を見られている。

 そこから連想されることも十分考えられる。
 外と中を完全密閉することは難しいだろうが、それを踏まえても対策してくる可能性がある。
 別の切り札を考えておくべきだろう。

 女王陛下に一通りの報告を済ませたので、僕は退散することにした。
 またなにかあれば呼び出すらしい。

 もちろんその時はすぐに伺いますと答えて、僕は闇に溶けた。


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