えんじぇるず聖夜(3/21)PDFで表示縦書き表示RDF


えんじぇるず聖夜
作:国沢裕



えんじぇるず聖夜・3


チャプター・3 ジプシー

「彼女は転入生の宝龍紫織ほうりゅうしおりさん」
 夢乃が紹介してくれた。
「ホームルームや一時間目の授業が始まる前に、もう案内を出来るならしておいてって担任に言われたのよ。で、こちらは、あなたを職員室まで迎えに行くのをすっかり忘れた、このクラスの委員長の江沼聡君」
「……また過ぎたことを」
 俺達の会話を聞いている間、転入生は俺の顔を見つめていた。最初、驚いたような顔をしていた。だが最後の方では、ギラつく程の威力はなかったが、挑むような眼光に変わっている。
続けて話している夢乃の言葉を聞きながら、すばやく俺は頭の中でもう一度、この顔・ほうりゅう・十五〜六歳・・・・・・などのキーワードをチェックした。しかし、やはり俺の中で思い当たる人物はいない。

 夢乃の話がちょうど区切りのよいところになったので言った。
「夢乃、今から校内で案内できるところはするんだろ?」
「そうね、時間もまだまだあるし。そうそう、あなたの席は私の隣でいいかしら? 机を教室まで運んできているのよ」
「ええ、お願いします」
そう言って宝龍の視線が外れ、運ばれてきていた机の方へ向かった。そのタイミングを見て、俺はうつむきながら夢乃の首筋に口元を寄せて囁いた。
「調べろ」
 一瞬夢乃は目だけで俺を見て、小さくうなずく。そして宝龍の後を追って机の方に歩いて行った。
 彼女達の後姿を目で追いそうになったが、頭を軽く振って視線をそらす。多分彼女を見る俺の目は、先程の彼女がした挑むような眼差しになってしまうはずだからだ。







ネット小説ランキング>SF部門>「えんじぇるず聖夜」に投票 ネット小説の人気投票です。投票していただけると励みになります。(月1回)





ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう