えんじぇるず聖夜・15
チャプター・18 ジプシー
監視カメラにはどう映っているのか。再会出来た恋人同士の抱擁でも見せるべきか。……まあ、連中にそこまでサービスする事もないか。
今、目の前にいる彼女は、写真で確認済みの少女だった。そして俺を見つめる彼女の目で、やつれてはいるが、その清純さがまだ失われていない事がわかる。間に合った。話を聞いてから急いだ甲斐がある。
まだ状況を把握していない顔の彼女に、監視カメラからは口元が見えない角度を保ちつつ、小さな声でささやき続ける。
「見た目が中学生だと身体検査もないな。こっちは一応警戒しながら捕まってやったのに」
こちらの小声につられたか衰弱のせいか、彼女は小さな声で言った。
「あなた、本当に誰? 何を言っているの?」
ここで騒がれたり、説得や説明の時間を長くは取りたくない。まあ、少し違うけれども理解しやすいようにと、俺は簡潔に言った。
「警察の者です。足立真美さん、貴女を救出・保護しに来ました」
放心した顔で警察とつぶやく彼女に、続けてささやく。
「忍び込んで貴女を捜しても良かったのですが、敵の陣地内で長く時間をかけたくなかったものですから。わざと貴女の恋人と触れ込み捕まれば、真っ直ぐ貴女の所へ案内してもらえると思いましたので、申し訳ありません」
状況がわかってきたのか俺の袖を引っ張り、彼女は小声で、だが生気の戻った声で言った。
「助かるの?」
俺は着ていたジーンズジャンバーを脱ぎ、彼女の頭から被せつつ、ついでにこちらはサービスでウインクしながら答えた。
「今から脱出します。この後の警察でのいろいろな証言、よろしく」
俺は彼女が力強く頷くのを確認した。この様子なら、行けるか。
「この上着、重いけれども防弾チョッキ仕込んでいるから、頭から被っていてもらえるかな。で、両手で耳を塞いで壁際に下がっていて」
彼女は素直に言われた通り、壁際に寄って耳を両手で覆った。
ここから脱出までは時間をかけられない。俺は監視カメラを気にせず、逆に見せつけるようにシャツの下からすばやくリボルバーを抜くと、ドアの鍵を二発、蝶番もそれぞれ撃ち抜いた。部屋の中を轟音が響き渡る。直後に俺は彼女の手を引き、ドアを蹴り倒して走り出した。 |