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カルーゼルの妖精

作者:Irene

ここは裏野ドリームランド、昔はにぎわっていたこの遊園地も今は廃墟となっている。
だがこの場所について様々なうわさが飛び交っている。
これらはそんな噂の一つ、【回るメリーゴーランド】にまつわる話…



Case1:
    白馬の王子様

「ったく、めんどくせえ」

何が悲しくてこんな廃れた元遊園地で肝試しなんかしなきゃなんねえんだ。
っち、いくらサークルの奴らに誘われたからって来るんじゃなかった!
でもなあ、一応ほかの奴らには優しい俺を見せてるからなあ…
しゃーねえ、適当に回って帰るか、誰もいねーし。

「おにーさん!」
「うわ?!」
「ふふ、びっくりした?」

ガキ…?こんな時間に?こんな廃れたところで?

「お兄さんもメリーゴーランドに乗りに来たの?それならこっちだよ!ワタシが連れてってあげるー!!」
「あ、おい!」

そう言って俺の腕を引っ張り奥へと連れていくガキ。
下手に邪険に扱ってどこかから漏れるのもまずいし…ここはこいつの気が済むまで付き合うか。
どうせそのうち親が来るか飽きるかするだろ。

「こっちだよー!」
「わかったわかった」

…そういや、メリーゴーランドのうわさもあったな。
たしか夜勝手に動いてるんだっけか?
どうせ操作確認かなんかだろ、ばかばかしい。
ああ、明るくなってきたな。
そろそろつくのか…あれ?なんでさっきガキは俺を見つけることができたんだ?
俺あの時ちょうど明かりを消してたよな…?
消す前も周りには誰もいなかったぞ…?
いったい…

「お兄さん?どうしたの?乗ろう?」
「あ、ああ」

まあ、いいか。気のせいだろ。

「お兄さん一緒にのろう?」
「いいよ?どれに乗ろうか?」

へえ、このメリーゴーランドは三種類の乗り物があるのか。
普通は馬と馬車かだった気がするけど、ここのは馬と馬車とユニコーンか。
とりあえず馬車はやめてくれよ?
んな、こっぱずかしいハート形やらカボチャっぽいのやらは断固拒否だ。
ユニコーンも却下。高いうえに持つとこがポールってのか?天井とくっつけてるあれ。
しかねえじゃねえか、万が一ガキが落ちたらめんどいことになる。
ってことは馬が一番無難か、ポール以外に子供用かは知らねえが顔のとこにハンドル見たいのついてるしな。

「あれ!白いお馬さんに乗ろう!王子様みたいに優しいお兄ちゃんにぴったりだ!!」
「かしこまりました、姫。ではお手をどうぞ?」
「うむ!苦しゅうない!」

とまあ、ちょっとふざけつつ一緒に馬に乗った。
座ったとたんにメリーゴーランドがタイミング良く動き始めた。
ガキは何が楽しいのか笑ってた。
…いや、わらいすぎじゃねえか?
さっきから呼吸もしてないんじゃないかってくらいに笑ってる。

「お、おい…」
「ねえ、お兄さん」

しゃべりかけたら急に笑うのをやめて静かに俺のほうを向いた。

「知ってる?白馬の王子様って女の子たちのあこがれだったんだよ?」

【子供のものと思えない力】で俺の腕をつかみながらガキは言う。

「だって危ない時とかに颯爽と現れて助けてくれるんだもん」

陶器の馬の鬣をなでながらガキは続ける。

「でもね?偽物は成敗されるんだよ?見分け方は簡単、白馬に乗れるかどうか」

ーお兄さんはどうかなあ?ー

「え?うわあ?!」

ガキがしゃべり終わった瞬間、今まで乗ってた馬が急に暴れた、
まるで生きているかのように。
当然俺は振り落とされた、うまく受け身も取れず隣の馬車にぶつかっちまった。

「痛え…」

そう、つぶやいた後に複数の影が周りに現れた。
顔を上げると剣を振り上げた影を乗せたいくつもの馬。
そしてそれらは一斉に振り下ろされた…__

「偽物のオウジサマは退治されましたとさ!
残念お兄さんはハズレだね。まあ、最初だしあんまり期待はしてなかったかなあ?
次に期待だね!!」

どんどん細切れになっていく男性を尻目に少女は近くにいるゲストのもとへ行くのだった…

Case2:
    ユニコーンの乙女

「あら、懐かしいわね…」

久しぶりに実家に行った帰りに通った廃墟。
それは幼い時によく家族で来ていた遊園地…
数年前からいろいろなうわさが出て廃園になったんだったわね。
…あら?明かり?
なんか気になるわね、ちょっと行ってみましょ!


おかしいわね、確かこっちのほうだったはずなんだけど…

「おねーえさん!」
「キャ?!」
「ごめんごめん!びっくりした?」

女…の子?

「お姉さんこんなとこで何してるの?あ!わかった!!お姉さんもメリーゴーランドに乗りに来たんでしょー!大人はこっそり乗りに来るのが好きなのかなあ?さっきもお兄さんが乗りに来たんだよー!」
「え?え?」
「しょーがないなーもーワタシイイコだからおねえさんに順番譲ってあげるーほら、こっちだよー」

早口で捲くし立てたと思ったらその女の子は私の手を取って、奥のほうへと連れていく。
そうやって歩いていると聞こえる音楽、
それはメリーゴーランドの定番のあの音楽。
愉快なあの感じが好きだったのよねえ…
ワルツっぽいのもいいけど、やっぱり子供心にはあの感じが【楽しい!!】ってかんじがするのよねえ…

「お姉さん?どうしたの?着いたよー?」
「え?あら、いつの間に…」

いつの間にかついたメリーゴーランド、
でも、ここずっと閉園してたんじゃあ…?
なんで動いて…

「ほらほらお姉さん、早く乗りなよー子供に戻ったみたいにさ!恥ずかしがらなくても今はワタシしかいないよー!」
「ま、いいか。うん、じゃあ、久しぶりに乗っちゃおっかなー?でもいいの?私だけが乗っちゃって?あなたも一緒に乗りましょう?」
「うーん、ワタシは外でお姉さんに手を振るね!それも楽しいもの!」
「それもそうね、じゃあ、お先に!」

そう、やり取りをして私はちょっとした階段を上がって柵の中に入った。

…そういえばさっき何か考えていたような…?

「お姉さん?」
「ん?なんでもないわ。さて、どれに乗ろうかしら?」

まあ、大したことじゃないわねきっと。

さて、どれに乗ろうかしら…
ふふ、久しぶりだからワクワクするわね!
馬車はちょっと無難すぎるわね、朝の遊園地ならこっちに乗るのだけれど…
白馬は…うん、なんかいやだわ、どれを見てもちょっと汚れてるし。
やっぱり乙女のあこがれのユニコーンでしょ!!

「おねえさーん、動き始めるよー?」
「わかったー」

今日タイトスカートじゃなくてよかったー
朝ワンピース着た私グッジョブ!

「おねえさーん」
「はーい…あら?どこに行ったのかしら?」

さっきまで入り口の柵の外にいた女の子が見当たらない。
違うところに移動したのかしら?
でもそうだったらもう一周してるし、見てたはずよ?
まさか、誘拐された?!

「ねえ、お姉さん知ってる?」
「?!」

いつの間にかその子は私のま隣にいた。
そしてうつむいたまま話し始めた。

「ねえ、お姉さん、知ってた?ユニコーンってね?奇麗だけど結構獰猛なんだって。」

【私と同じ目線に浮いた】女の子が私にささやく。

「足もとっても速いんだって、角は長くてすっごく尖っててなんでも突き通すんだよ!」

陶器のユニコーンに触れながら彼女は続ける。

「そしてね、ユニコーンは純粋な乙女が大好きなの。少しでも心が醜かったら暴れまわるの。」

ーこおんなふうにね?ー

「え?きゃああ?!」

彼女がしゃべり終わった瞬間、無機質に一定の上下運動しかしてなかったユニコーンが暴れ始めた。
まるで、いいえ、私を振り落とそうとしているのがわかる。
耐え切れず私は落ちてしまった。

「痛…!」

勢いがあったからか私は柵にたたきつけられた。
めまいと吐き気を抑えてさっきのユニコーンを見たら…
私の目の前に無数の蹄が迫っていた…__

「あーあ、このお姉さんはハズレだったかあ…
ほかのユニコーンも一緒になって蹴り始めちゃった。
次に期待するかあ… 三度目の正直っていうし!」

原型がなくなるほど蹴られてる女性を見ながら少女は次のゲストを迎えに行くのだった…


Case:3王女の馬車

「ふうん、これがお父さんが今度買うって言ってた遊園地ねえ?しょぼいわね、閉園になったのも頷けるわ」

しかもこんな遠いところにあるのも問題ね。
まったくお昼につくはずがもう夜中ってどういうことよ!
いくらなれない道だって言ってもここまで迷うだなんて…
お父さんがこの土地買い取ったら新しい道も作らなきゃかもね。

「ん?何あれ、明かり?え?ちょっと待ちなさいよ?!閉園になってるのに明かりとかついてるわけ?!
冗談でしょう?!ああ、もういったいどこよ!!見つけて報告しなきゃ…!!」
「何をー?」
「どこの明かりがついてるかをよ!!管理してるやつも見つけなきゃだし…」
「どこの明かりがついてるか知ってるよー?」
「あら、そうなの?じゃあ案内お願いしても…いい…かし…ら?」
「お願い聞いてくれるならいいともー!」
「あ、あなた誰?!」
「それはどうでもいいから!で、おねえさん、お願い聞いてくれる?そしたらどこの明かりがついてるか教えてあげるー」

なんっでこんな時間に子供がここにいるの?!
え?ちょっと警備ずさんすぎないかしらここ?!
事故とか起きたらどうすんのよおおお?!
そんないわくつきのとこ買っても百害あって一利なしよ?!

「おねーさん!!聞いてくれるのくれないの?!」
「え?あ、ああ。場所だったかしら?そしたら教えてくれるのね?」
「うん!」
「お願いくらい聞いてあげるわ。だから案内してちょうだい。」
「わーい!こっちだよー!!」

そう言ってその子は私をひっぱり少しくすんだメリーゴーランドに連れてきた。
もとは白馬だったであろう馬は年月からか赤黒く汚れており、
ペガサスは泥だろうか…?足の部分が汚れていた。

「ここだよー」
「連れてきてくれてありがとう。誤作動か何かかしら…?後で誰かここに派遣して調べてもらわなきゃ。」
「教えたからお願い聞いてね、お姉ちゃん!」
「え?あ、ああ。そうだったわね。で、お願いって何かしら?」
「あのねー一緒にメリーゴーランドに乗りたいのー」
「それくらいならいいわ。」
「やったー馬車に乗ろ!」
「いいわよ」

…よかった比較的…というよりかなり奇麗な馬車のほうでよかったわ。

「おーじょさまお手をどーぞ!」
「あら、ありがとうございますわ騎士様」

そうやってふざけながら私たちは馬車に乗り込んだ。
椅子に座ったとたん動き出したメリーゴーランド。
この乗り心地も結構好きだったわね…

「あら、どうしたの?酔っちゃった?」
しばらくしてから少女はうつむいてしまった。
酔ったのかと思い彼女の方へと向くと…

「ねえ、お姉さん、知ってた?」
「ど、どうしたの?」

【少しづつ馬車の床に沈みながら】少女は私の方を向いた。

「昔は馬車で遠出するときは宿屋じゃなくて知り合いの貴族のところでお泊りしてたんだって。」

首まで沈んだ彼女が言う。

「半分だけとか屋根が完全にない馬車もあったんだけど、そういうのに乗ってる人は冬場は体調を崩してたらしいよ」

完全に見えなくなった彼女の声が木霊(こだま)する

「そして昔の馬車って壊れやすかったんだって。車輪も砕けたりしてたんだって」

ーこの馬車みたいにね?ー

「え?っひ?!」

彼女の言葉が終わった瞬間、それまで穏やかに動いていた馬車が揺れた。
そして何かがひび割れる音が聞こえた。
慌てて外に出ようとしたら馬車を支えてる土台が壊れ、私は吹き飛ばされたわ。
次の瞬間感じたのは強い痛み。どうやら中央の太い柱にぶつかったようだったわ。

「カハッ…!!」

痛みにうめきながら顔を上げた私が見たのは…
なぜか私の方に飛んでくる無数の馬車だった…__

「うーん…二度あることは三度あるの方だったかあ…
あーあ、次々と馬車が落ちて行ってるや。
しょうがない、次に期待するかな?
だって時間はいくらでもあるもの!」

馬車の下から流れ出る赤黒い液体を見ながら少女は消えた。

そして残ったのはいつの間にか先ほどまでの【汚れ】がすべてなくなった、
明かりのついていないメリーゴーランドだけだった…___

なろうのホラー企画に挑戦させていただきました!
ほどほどに怖くかけたか不安です(ドキドキ)

感想お待ちしております!(ぺこり)

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