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167)・168)
167) 旧仮名遣い。


 古本屋巡りなどして居ると、旧仮名遣いの本に、よく出喰わす。

 吉川英治「三国志」なら、この方が雰囲気が有るくらいだ。

 その昔、その名も「活字拾い」という仕事が在った。

 印刷の際には、判子を拾って、活字を組んで居た訳だ。

 まだ「コピー機」と名乗る、文明の利器が無かった頃の話しである。

 印刷屋、校正係、新聞記者、小説家。

 こんな経路が、作家にへと成り遂せる”近道”でもあった。


 活字拾いなら、見習いの小僧さんがやる。

 重労働である。

 しかも、旧仮名遣いだと見落とすコトが多い。

 今は昔、子供も早くから働き手であったので、ー

 さほど教育が行き届いては居なかったのだ。

(井戸の水汲みや子守りなど。)


 何より印刷の手間である。

 旧仮名遣いに則って居たのでは、時間が掛かって仕方が無い。

 新聞などは日夜、印刷に一刻を争って居たものだから、

「旧仮名遣いの廃止。」

を、かねてより要望して居た。

 昭和三十年代に至って、

「日本語の国際化。」

とな不思議な標語の下に、ついに旧仮名遣いは廃止と決まった。


 古典を学ばずとも、あらかた文章が読み書きできるので、ー

 その策とは一見、便利と見えたけれど、ー

 気がつくと、古典に触れる機会が、ほとんど失くなってしまった。


 旧仮名遣いで書かれた文章を引用する際には、ー

 読み手に素養が欠けて居るせいもあって、ー

 書き手側は、かなり苦心する羽目に陥ってしまったのである。


 今の世なら「輪転機」なる物を用いるので、ー

 新聞の印刷なら”秒速”である。

 活字拾いなる仕事も跡形も無く滅んでしまった。

 けれども、旧仮名遣いへと今更、戻しそうな気配は無い。


 語源説きとかを考えて居ると、ー

 古文を引用すべき機会に行き当たるコトも多いので、

(・・そろそろ旧仮名遣いを復活して呉れないかなァ)

と、よくおもう。


2010年 11月 04日 (Thu)


 * * * * *
 こんにちは。
 和文タイプライターを思い出しました。昔は図書館で見かけたりしていましたが、もうワープロに駆逐されたことでしょうね。
 旧かな遣いといえば、「い」と「ゐ」どころか「お」と「を」を区別して発音できない若者が増えたと先生が嘆いていたっけ……。

 それでは。


 投稿者:卯田手石


 * * * * *
 sam.spade(現・卯田手石)さんコメントを寄せて下さり、ありがとうございます。
 あ、タイプライターなら、うちの押し入れにも一台、眠って居ます(骨董品?)。
 タイピストといえばOLの代名詞でしたね(遠い目)。
 そう、旧仮名遣いが用なしとなってみると、使わない仮名が増えて来た感じがします。
 英語の「W」と「を」や「ゐ」は一緒なんだから、本当はキッチリ発声してやるべきなんだろうけど…
 日本人って、もともとア行の単母音が好きなのかも?
(耳伝てに分かれば、それで良しとする気楽な発想?)
 せめて、公けの場だけでも、発声に気を配ってほしいものです(正確を期すという意味でー)。


 投稿者:午雲


 * * * * *
 とりあえずPCやケータイでは変換できる旧字体がまだあるのでいいですよね。
 古典はやっぱり旧字体だからこそ味があるものです。

 今日も興味深いお話ありがとうございました!


 投稿者:聖騎士


 * * * * *
 聖騎士さんコメント頂き、ありがとうございます。
 短歌や俳句を引用するとき、特に、旧仮名遣いが懐かしく思えます。
(確かに、もしか「ゐ」が入ってなかったら書けませんね?あれ…)(苦笑)。
 厳密を期すとなると、明治期の作家たちさえ苦労したようですが(焦)。


 投稿者:午雲


 * * * * *
 日本は文化の保存と育成がどうも苦手なような気がします。
 あと、西洋への憧れが強いとも思います。

 京都のような町並みが現代風に成長していたら、ヨーロッパの町並みに負けない魅力溢れる町だったろうに。

 文字もそうです。
 現代日本語は柔軟性があり、様々な組み合わせ、造語がたやすいかわりに本来の美しさはほとんど継承されず。
 もったいないですね。


 投稿者:そうじ たかひろ


 * * * * *
 そうじさんコメント下さり、ありがとうございます。
 西欧風の文章を目指す余り、日本風なものを軽んじて来たのは、確かだと思います。

 和風回帰がようやく意識されだしたようですが、ここまで西欧風に染まってしまうと、なかなか難しい感じがします。

 せっかく古典作品が沢山残ってるのだから、生かしたい処ろですね!


 投稿者:午雲


 * * * * *
 旧仮名遣いできる人、尊敬してしまいます。

 亡くなった伯父の文章は旧仮名遣いで「良いなあ」と思ったものです。


 投稿者:神村律子


 * * * * *
 神村さんコメント下さり、ありがとうございます。
 その昔は文庫本なども旧仮名遣いで印刷されて居たはずですから、
 やはり接する機会が多かったんでしょうね!
 和歌と俳句だけでも旧仮名遣い、復活してほしいものです(様になるし‥)。


 投稿者:午雲


 * * * * *


168) 音便。


 三河の国の領主、松平氏。

 彼の宮城谷昌光の文章によると、ー

 その地に「知恩院」と名乗る御寺が在ったとか。

 当時、仏教には、なお宗教的な権威が有り、ー

 総本山とも成れば、庶民の崇敬を集めたものだった。

 宮城谷氏の調査によると、ー

 彼の「知恩院」も、何かの宗派の総本山と化した時期が在ったらしい。

 それにて松平氏、小豪なりと謂えども、敢えて天下に志しを持ったとか云う。


 松平氏の結束の強さ・・・

 その源とは、菩提寺を同じくするという、ー

 氏子ならぬ檀家としての、

「宗教的情熱。」

に在りしものとか見える。


 それは、さておき、ー

 この「知恩院」という名前、仮名で記せば、

「ちおんいん」

と為る。

「ちおん」=[tion]

 この声に注目すると、

「ちおん」=声「ちよ・ん」

と為るはずである。

「ちよ」といえば「千代」・・・

 彼の家康の幼名が「竹・千代」であった。


 さかのぼって、おもうに、

「千代ぬ(寺)院」=「千代ん院」

「ちよん院」=「知恩・院」

 こう隠し名して居るのではなかろうか。


「知恩院」を総本山として居る宗派・・・

 その信者たる目印として、命名する際に、

「ちよ」=「千代」

という”通り名”を入れる。

「たけ」とは「長」か「秀」か。

 同意・接続とみれば、

「竹」=「たけ」=「長」

かも知れぬ。


「いお」=「いよ」

と音便する法があるけれど、

「ちよ」=「ちお」

と、音便をほどいてみせる法も、また有ったと見受く。


 幼名「たけ・千代」・・・

 後の家康の名とは、ー

 奇しくも、名乗りにたがわぬ、不朽の名とは成った。

(・・命名も、おろそかにはできないな。)

と、また思う。

 

 
 2010年 11月 07日 (Sun)


 * * * * *
 歴史的建造物の名前や由来に隠された真実って、探せばけっこうたくさんありそうですね。
 ロマンを感じます。

 今日も興味深いお話、ありがとうございました。
 勉強になりました。


 投稿者:聖騎士


 * * * * *
 聖騎士さんコメントありがとうございます。
 知恩院の住職が都へ出て、総本山の主に納まったのだったかな。
 歴史に埋もれたエピソード、探せば、まだまだ有りそうです。
 名前などは人名にしろ何にしろ格好のヒントになってくれると思います。


 投稿者:午雲


 * * * * *
 宗教ほど下らなく、それでいて人類史上最高の歴史的傑作作品という二面性を持ったジャンルは他にないですねw。
 私は無神論者ではありますが、作品としてなら宗教は認めます。
 でもそれで人の人生にちょっかい出すのは野暮であり、余計ではありますがw。

 ところで…。
 しつこいようだけど例の兄弟話、連載して下さいよ!ww。


 投稿者:妃宮 咲梗


 * * * * *
 妃宮さんコメントありがとうございます!
 人の生き死にが激しい社会では、宗教が栄えるようです。
 生き抜く為めの心の拠り所と謂うべきか。
 年老いて宗教心に目覚めるコトが多いのも、故あるコトかとも想われます。

 あの自己中・兄貴は好きなキャラですが、連載はムリそう(女の娘にモテないからw)
 脇役ならイイかも知れませんが(汗)。


 投稿者:午雲


 * * * * *
 田の付く地名は元は水田。

 地名には埋もれた歴史が隠されているのですね。
 名前に何かしらの意味を隠す時はやはり表には出せない何かがある時が多いのでしょうか。

 興味は尽きません。


 投稿者:そうじ たかひろ


 * * * * *
 そうじさんコメントありがとうございます。
 字名と諱み名…
 本名は隠して容易に他人には教え無いのが、古代の礼でしたからね。
 地名も名前、やはり隠し名を好んで用いた風です。
 列島なら名字が何処から来たのか、それが興味深いですね!
 ちなみに天皇家は代々「空姓」です。
 最高位の名字が「空」というのは、般若心経の思想かな(‥深い)?


 投稿者:午雲


 * * * * *


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