10年前_______
「ねぇ···約束してよ。」
「···なにを?」
「だから!···次逢うときも、わたしのこと、好きだって···」
「····うん。約束する。」
「うん。···じゃあね。」
それは、あの暑い夏の、小さな約束。
あれから、10年がたった。
僕ももう、高校2年生だ。
あの夏の日を思い出すと、とても恥ずかしい。
とゆうか、あの子はあのとき旅行でここに来てたんだ。あんな約束したって逢えるわけないじゃないか。
もう少し考えろよ、幼い日の僕。
ましてや好きとか・・・あの子が今でもあの約束を守ってたらどうするんだよ、僕。
・・・いや、流石にそれはないか。あの子もきっと今頃は、僕と同じぐらいの歳だろうから、幸せな毎日を送っていることでしょう。はははは。
昔のことはもういいや。僕は今を生きることで精一杯なのだよ。
なので、歩くことに精をだす。そうしていると、前方に、見知った女子生徒を見つけた。
名前は、白河伊織。
声をかけることにする。前に声をかけずに通り過ぎたら後でぽかぽかたたかれたのがトラウマなんです。
・・・嘘だよ。あれは全然痛くなかったし、むしろ、かわいかった。うん。
「おはよう。」そう言って、肩に手をおいてみる。
一瞬身体が揺れて、すぐにこちらを向いてきた。
「あ・・・お、おはよう!」
薄く微笑みながら、ほんのり頬を染めてあいさつを言うのも、いつもと変わらない。
「ね、ねえ・・今日、転校生が来るんだって。」
「へえ・・こんな時期にか・・。めずらしいな。」
「だよねえ。でも、楽しみだな。」
別にそんなに楽しみじゃないけど、一応肯定しておく。興味があるのは確かだし。
教室に着く頃にはもう、10年前のことなんて、頭の奥の奥にあった。
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