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異世界落語 作者:朱雀新吾

魔剣オクラホマスタンピード【死神】

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魔剣オクラホマスタンピード【死神】――解説――

「死神」でした。
 変わり種落語としては知名度の高いネタです。

 前回に引き続いての直訳落語でした。
 と言いますか、最近はめっきり直訳が多いですね。
 原典と劇中落語の差なんて、医者が僧侶になったぐらいのものだと思います。
 皆様は「コイツ、楽しやがって」とお思いになるやもしれませんが、直訳の方が結構原典に気を使うものでして、逆に「エターナル」や「抜けドラゴン」みたいなアレンジの方が何も気にせず、好き勝手に遊べて筆が進んだりします。

 さて、この「死神」というネタはサゲのバリエーションが幾つもありますので大変悩みましたが、結果的に本編サゲも含めて三つを使いました。
 劇中落語での「消えた……」のオーソドックスなサゲと、本編でラッカが自分で火を消す場面、蝋燭をバースデーケーキの様に見立てる本編サゲ、ですね。
 個人的には蝋燭を継ぐのに成功→洞窟を出たら死神から「もう明るい所に出たぞ。火が勿体無い」と言われる→男が「おお、そうだな」と言って自分で蝋燭を吹き消すという志の輔師匠のサゲが一番好きです。
 これ、確実に男は死んでいるのに客席からは笑いが起きるという、不謹慎だけどそれを感じさせない、いや、それもひっくるめて笑いに代える「落語の凄さ」が詰まっているサゲだと思います。
 ただ、委員長タイプの人はこういう事にも文句を言うのでしょうね。「ちょっと!何で皆笑ってるの!最後あの人死んでるんだよ?信じられない!」と。
 そもそも、その様な倫理や善悪を超越した場所に落語は存在する訳なのですが、今の御時世、どこでクレームが入るか分かりません。そういった敏感な反応が、テレビで演れないネタが増えてきている現状に繋がっているのかもしれないと、勝手に想像したりしました。なんて、評論家みたいな事を言ってしまいました。

 このネタは幕末から明治にかけて活躍された三遊亭圓朝様が作られた新作落語です。大元はグリム童話の死神にまつわる話から取られたのではないか等と言われております。
 比較的新しい落語を「新作落語」や「創作落語」と呼ぶのですが、今では「古典落語」と呼ばれているネタの数々も、元を辿れば三百年前の当時には全て新作だった訳です。それが時を経て、受け継がれて、古典になった。その月日を思うだけで感慨深いものがあります。

 私も学生の頃は自分で創作落語を作っていました。
 以前の解説で述べました様に、練習嫌いで落語を全くやらずにダラダラと行き詰まっていた時に、先輩方に勧められて作り始めました。元々、他大学の落研部員、談平君と漫才コンビを組んでいましたので、漫才の台本の延長といった感覚でした。
「作った」と偉そうに言いましても、当時読んでいた好きな作家さんの小説を落語の台本に起こして演っていただけなのですけどね。
 短編小説からアイディアを頂き、落語風に仕立てる。
 落語を異世界仕立てにしている今の原点といった所でしょうか。
 その時の経験が確実に現在の執筆に生きているのは確かです。

 作ったネタを実際に演じてみますと、やはり普段落語に親しんでいない、若い世代の方には段違いに受けましたね。技術的な話をしますと、間もニンの演じ分けも趣もそっちのけで、散々だったのですが、受けました。ネタが良かったと言うよりかは、元々の題材(原作小説)が素晴らしかったのだと思います。
 一番受けましたのは三回生の夏に舞台にかけました「伝説の○○女」(○○は自主規制です)という創作落語です。
 重松清さんの短編小説が原作なのですが、内容は、まあ年頃の少年がエッチなお姉さんに出会う為に色々と奮闘するという、笑いあり涙ありの大スペクタクルです。
「おっぱ〇バレー」的な清涼感溢れる爽やかな作品だと理解して頂ければ幸いです。
 高座で何回卑猥な単語を言えるかをテーマに、マクラ20分本編15分、計35分を熱演しましたその雄姿は、今も母校の落研の8ミリテープに残っていると思います。

 大学を卒業してからも一度、談平君の結婚記念寄席(奥さんは談平君と同じ大学の落研部員でして、夫婦でライブハウスを貸し切って「結婚披露宴」ならぬ「結婚記念寄席」等をやらかしおったのです)で新作を作りましたが、その時は当時一番はまっていた美少女ゲームから設定を頂きました。
 その時も、まあ受けました。
 これは自慢ではなく、題材が素晴らしいから当然だという話です。
 つまり「異世界落語」も、素晴らしい伝統芸能である落語を題材にしている時点で、面白くて当たり前なのです。そういう話です。
 ただ、それに目をつけた飢えたハイエナの様な嗅覚に関してぐらいは、ほんの少し誇っても良いのかな、なんて最近は思ったりしています。

 次回は、三代目楽々亭一福が演じます十八番、ダマヤ噺でお楽しみ下さい。
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