今度こそ 魔法使いの島(マレフィカ・グリモ)上陸! 魔法の師匠を虜にしてみた
「『我八百万を抱合す。民草は奔走し、魑魅魍魎は放浪し、百獣は咆哮する。彷徨の果てに修羅来る』」
「こんなものでどう?」
目の前にいる人(私のお師匠らしい)は私より背の高い若い人間の女性だった。お姉ちゃんとは雰囲気が違うけどいい女性だなぁ。などと考えていたら、黙り込んでいた師匠がいきなり呪文を唱え始めてびっくりした。
「おししょーさん難しいです」私はバカっぽく言ってみた。胸を強調しながら。
「あなたそんなバカキャラじゃないでしょ。もう」と言いながらお師匠は私の胸を気にしていた。わかりやすいんだなこれが。
今何をしているかというと、私の呪文を考えている。呪文は各人に見合った言葉を魔法の師匠からもらい、それを徐々に改良していくのが習わしらしい。
「はい復唱」
「『我八百万を抱合す。民草は奔走し、魑魅魍魎は放浪し、百獣は咆哮する。彷徨の果てに修羅来る』」
「『我八百万を抱合す。民草は奔走し、魑魅魍魎は放浪し、百獣は咆哮する。彷徨の果てに修羅来る』」
「そう」と師匠は続ける。「そのあとに、命令文を続けるの。何でもいいからやってみなさい」
私は詠唱を開始する。適当に続きを考えた。
「『我八百万を抱合す。民草は奔走し、魑魅魍魎は放浪し、百獣は咆哮する。彷徨の果てに修羅来る』」
「『我が身に宿りし淫魔よ、虜にせよ。鳥かごの虜』」
「ちょっと待っt」お師匠さんの叫びは途中で途絶え、とろ〜んとした顔になる。
「うふふふふ」お師匠さんはゆっくりと私に近づいてくる。
「アルテミシアちゃん」非常に甘ったるい声だ。
「さっきから気になっていたのだけどあなた可愛いわね」そんなことは言われなくても知っている。
「少し触っても良いかしら? 師匠命令よ」
どこを触るのかはっきりしないのでなんとも言えないが、多分よからぬところだろう。断っておく。
「ダメですよおししょーさん」
「うーんダメかな?」おししょーさんは胸をはだけ出した。目は真っすぐに私を見据え、甘え顔だ。胸の谷間を強調してくるのが少し気になる。
「しょうがないですね。耳をはむはむするだけなら良いですよ」
………
人狼の耳がとてつもなく気持ちいいことを今日初めて知った。今度お姉ちゃんにもしてもらおうっと。