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モンスターのご主人様 作者:ショコラ・ミント/日暮 眠都

3章.ありのままの彼女を愛して

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09. 白い蜘蛛と、前へ進む少女

前話のあらすじ:
幹彦の未来に暗雲が立ち込める。
果たして彼は、この過酷な運命を生き残ることができるのか……!
   9


「参考までに、これまでの感触とか教えてもらえませんか?」
「そうだの。とりあえず、主殿も使っている剣を試してみたのだが、刃筋を立てようと意識しながら戦うのは難しいな。できなくはないが、むしろ弱体化しかねん」
「剣は無理と」
「斧も試したが、感触はいまひとつかの。いまは槍を試しておる。これも望み薄だがの。いっそのこと、そこらの木でもへしおって、ぶん回したほうが良いような気がしてきた」
「一応、言っておきますけど、この森を出たらどこにでも木が生えてるわけではありませんからね?」
「持ち歩けばよかろ」
「……ああ、もう。どこから突っ込んだらいいものやら」

 こんな会話から、妾の武器選びは再開された。
 加藤殿はまずケイと一緒に車に乗り込んだ。

「けっこうありますね。へえ。どれもなんとなく、漫画とかで見たことがある気がします」
「そうなんですか? でも、真菜さんの世界での武器でもないものは多いと思いますよ。たとえば、ほら。真菜さんの世界で、古来より世の闇に生きているというNINJAの使っている手裏剣なんかは、残念ですけどありませんし」
「……それ、誰から聞きました? あ、いえ。答えなくてもいいです。わかりましたから」
「えっと?」
「まあ、きっとケイちゃんを楽しませようと、面白おかしく話したんでしょうけど。……でも、そうか。いっそのこと、それもひとつの手かもしれませんね」
「なんの話ですか?」
「いえ。なんでもありません。いまはとりあえず、ここにあるものを探ってみましょうか」

 ――もともと、ローズ殿の鍛錬を見守っていたはずの加藤殿がここにやって来たのは、こちらの作業が難航しているだろうと予測してのことだったらしい。

 相変わらずの慧眼と言うべきだろう。
 とはいえ、そうして帰ってきた折に、他の転移者たちに遭遇することまでは、さすがに予想できなかったようだが。

「タイミングが良いのやら悪いのやら、だの」
「良かったんだと思いますよ」

 傍らにとめてある車のなかから、加藤殿が返した。

「相手がああしてガーベラさんたちのことを下に見ている以上、一応、同じ立場にいるわたしがつっぱねるほうが、まだしも角が立たずに済みますからね」

 加藤殿の声とともに、がちゃがちゃと硬いものがこすれる音が聞こえた。

 車のなかにあるものを手当たり次第に出しているケイとは別に、加藤殿は武器の物色をしているところだった。ちなみに、シランは既に主殿たちのところに戻っている。

「それに、仮にわだかまりができるにせよ、その矛先は真島先輩ではなくて、わたしになりますから」
「それは良いことなのかの?」
「良いことですよ。戦う力のないわたしでは、先輩のためにできることがあまりありません。この程度のことはしないと、なんのために傍にいるのかわかりませんもの」

 妾は車のほうを振り返るが、生憎、ここからだと彼女の姿は見えなかった。
 代わりに、武器を抱えたケイが車から出てくる姿があった。

 妾は、手にしていた槍とも斧とも付かない武器を地面に置いた。
 それを含んだいくつかの武器を回収したケイは、代わりに次の武器を置いていく。

「せめて転移者としての力に目覚めれば、話は違うんですけれど」
「チート能力か。似たようなことを、リリィ殿も言っていたな」
「ええ。先日、その件についてリリィさんに相談されまして。自分には、チート能力を扱えないものなのかって」
「実際、無理そうなのかの?」
「……どうなんでしょうね。いろいろと考えてはいるんですけど」

 思案げな声が返ってきた。

「リリィさんは、あくまで水島先輩に擬態しているだけ。転移者そのものではありません。だから、能力に目覚めることがないんだって、リリィさん本人は考えているみたいです。自分は偽物だから、本物にできることができない……彼女がそう思うのも、無理ありませんが」
「無理はない?」
「このあたり、リリィさんのコンプレックスですからね。いずれ真島先輩の傍にいられなくなるんじゃないかって不安は、どうやら克服したみたいですけど。劣等感までは、そうそうなくなるものではないのでしょう」
「むぅ。劣等感か」

 いまひとつ妾には、加藤殿の言っていることはぴんとこなかった。
 妾にしてみれば、リリィ殿は眷族たちの姉として、みなに気を配っている印象が強かったからだ。

 自分自身の問題に悩んでいるところは想像ができない。

 だが、ひょっとしたらそれは、不断の努力によってそう在るだけのことなのかもしれない。

「リリィさんの考えにも一定の説得力はあります。確かにリリィさんの擬態は、能力の劣化を避けられません。それに、水島先輩はチート能力を発現する前に亡くなりましたから、再現しようにも、そもそも固有の能力自体がありません」
「確かにそれもそうか」
「ただ……」

 がちゃがちゃと続いていた物音が途切れた。

「リリィさんの擬態に付随する劣化は、『できない』のではなく『できるけど不完全』となるのが普通です。それに、チート持ちになれる素質自体は、転移者である水島先輩にもあったはずなんです」
「ええと……加藤殿が言いたいのは、『チート能力を発現させる素質そのものを、リリィ殿は擬態できるはずだ』ということかの? それが本当であれば、リリィ殿が能力を発現できぬ理由は、なにか他にあるということになるが」
「そうした可能性もあるんじゃないか、くらいには考えています。ほら。リリィさんでなくても、転移者であるわたしだって、能力に目覚めてはいないでしょう?」
「そう言われてみれば……さっきの少年たちも、状況は同じだの。全員が同じ理由を抱えているかどうかはわからぬが、さりとて、リリィ殿が能力を発現せぬ理由を擬態のせいと決めつけてしまうのは、いささか早計か」
「そういうことですね。諦めるのは、十分に検討してからでも遅くない……」

 思索が深まっていくにつれて、徐々に加藤殿の言葉は独り言めいたものに変わっていった。

「わたしたち転移者の力は、己の望みを反映しています。だから、そもそも心の底から湧き上がる望みがなかったり、望みがあるにせよその想いが弱ければ、能力は発現しないんだと思います」

 妾は主殿のことを思い浮かべた。

 彼にも、能力がない時期があったという。

 リリィ殿以外、当時のことを知る者はいないが、話を聞いた限り、彼女と出会ったばかりの主殿は、相当に酷い状態であったようだ。

 だからこそ、主殿は能力に目覚めた。
 逆にいえば、そうでもなければ『モンスターを率いる能力』などに目覚めることはなかったはずなのだ。

 そうして考えてみると、妾は複雑な気持ちになる。
 彼の不幸せは、ある意味で、妾たちの幸せに繋がっているからだ。

 とはいえ、そんなふうに考えることを主殿は望まないだろう。
 だから妾は思考をとめる。過去の不幸は不幸。現在の幸福は幸福。結果として、主殿がいて、妾がいる。それだけでいいのだ。主殿もそう考えていることは、知っている。

「能力の覚醒に至るほどの望みを持たない。多分、大多数の転移者はこのケースでしょう。けれど、それが全員に当て嵌まるかといえば、これも、そうとは限らないと思います」

 ひとり加藤殿は、思考の沼に沈み込んでいく。

 声色は真摯で、彼女が真剣に考えを巡らせていることが伝わってくる。
 この件だけではない。彼女は様々なことに気を回している。

 そうさせるだけのものが、彼女のなかにはあるのだ。

「考えてもみれば、チート能力自体、まだきちんと理解できているとは言い難い部分があります。どうしてわたしたち転移者は、こんなものを持っているんでしょうか。いいえ、それも少し的を外しているような気がしていて――」
「なあ、加藤殿よ」
「――あ、はい。ガーベラさん。なんですか?」

 妾が呼び掛けると、はっと我に返った様子で声が返ってきた。

 どうしたものかな、と妾は迷った。
 ちょっとした疑問が胸のなかにあった。けれど、それを口にしてもいいものかどうかわからなかったのだ。

 まあいいかと結論したのは、相手が加藤殿だからだった。

 自分よりも数段頭の良い相手に、あれこれと考えを巡らせるのも馬鹿馬鹿しい。素直に、思ったままを尋ねることにした。


「お主、どうして主殿のことを押し倒さんのだ?」


 がらがらがっしゃんと音がした。

 派手な音だ。どうやら加藤殿が、漁っていた武器を引っ繰り返したらしい。「だ、大丈夫ですか、真菜さんっ!」というケイの慌てた声が聞こえた。

 妾も心配に思ったが、すぐに「……大丈夫です」という呻くような加藤殿の応答があった。

 ふむ、と妾は鼻を鳴らした。

「武具の取り扱いには気を付けよ、加藤殿。怪我をするぞ?」
「あなたがそれを言いますか!」

 加藤殿が車から顔を出した。首元までが赤くなっている。

「ガーベラさん? いまの発言は、一体どういう……」
「うむ? なにか変なことを言ったかの」

 はてなと妾は首を傾げた。

「妾は主殿を押し倒したい。加藤殿も気持ちは同じなのではないかの?」
「赤裸々過ぎます!」
「お主はうろたえ過ぎだの。前々から思っていたのだが、主殿に関わることに限って、お主、脆過ぎはせんかの?」
「うぐ……」

 加藤殿はたじろいで言葉に詰まった。
 そのうしろからは、赤くなった頬を両手で挟んだケイが顔を出していた。「お、大人の会話です……」と言って、彼女はそそくさとひっこんでいく。

 改めて、加藤殿とふたり顔を突き合わせた。
 妾が平静を保っており、加藤殿が動揺しているシチュエーションというのもなかなか珍しい。

 妙な感慨を抱きつつ、妾は首を傾げた。

「しかし、現実問題、押し倒されでもせん限り、主殿が加藤殿のことをそうした対象として見ることはないように思うがの」
「……とぼけたようでいて、意外と鋭いことを言いますね、ガーベラさん」
「この際、鋭さは関係ないな。主殿とはパスで繋がっておるから、ちゃんと見ていればわかる。そして、彼を見詰める熱情にかけては、妾は他の姉妹に譲るつもりはない」

 そうして見た限り、主殿は加藤殿を番う相手として見ていない。
 無論、主殿とて鈍いところはあっても木石ではない。薄々、なにかおかしいと勘付いているようではある。

 しかし、どうも答えに辿り着く様子はない。

 なぜか?

 そこで思い出されるのは、男性と接触することで気分を悪くした先程の加藤殿の姿だった。

「当然といえば、当然よな。男と言葉を交わしただけであんなふうに弱る人間が、まさか自分を押し倒したいと思っているとは、主殿でなくとも想像はできぬだろう」
「すみません、ガーベラさん。自分なりの言葉で話すのをやめていただけませんか」
「極論すれば、『そういうこと』であろ。少なくとも、妾は主殿以外を押し倒したいとは思わん。なればこそ、更に主殿は答えから遠ざかる。誠実であればこそ、男の獣性を欠片でも見せるような選択肢は、頭のなかから消え去ろうからな。異性として見ること自体が、禁忌ともなろう」

 ふうと妾は溜め息をついた。

「こんなこと、妾が言わずともお主なら重々わかっておることであろうに」

 白いアラクネたる自身を打ちのめしたこの少女のことが、妾はいまでも少し怖い。
 そんな彼女だから、妾がわかっていることくらいは把握していようと考えもする。

「だから、訊いておるのだ。お主はそれでいいのか? 妾と気持ちは同じであろ」

 真っ直ぐに妾は尋ねる。
 加藤殿は、観念したように溜め息をついた。

「……同じ気持ち、ですか。言っておきますけれど、別にガーベラさんみたく押し倒したいってわけではないですからね」

 ほろ苦い笑みが、口元に浮かんでいた。

「しかし、まさかガーベラさんが、わたしの気持ちに気付いていたとは思いませんでした」
「言ったであろ。主殿を見詰めてきたことにかけては、妾は他の姉妹に負けるつもりはないと。しかし、お主もなかなかのものではあった」

 同じものを見詰めているのだ。気付かないほうがどうかしている。
 気付いてしまえば、疑問に思わないほうが不自然だった。

「その胸に抱えたものを、主殿に伝えんのはなぜだ? 一度は、この妾の前に立ってみせたお主のことだ。まさか臆したわけではあるまい」
「そのまさかですよ、ガーベラさん」
「……なんと」

 苦笑を浮かべたままの加藤殿の言葉に、妾は眉を顰めた。
 それが自然な反応だった。妾のなかの彼女のイメージは、怖いものなどなにもない『怪物』であったからだ。

 しかし、目の前の彼女は、そうではないのだという。

 妾が見誤っていたのだろうか。
 いや、それは違う。妾が出会った頃の彼女は、確かに恐ろしい怪物だった。

 怪物であった加藤殿のことを、元の少女に戻した者がいるのだ。

 そう確信した妾に、加藤殿が微笑んだ。

「わたしはね、なにもかも諦めてたんです。なにもかも失って、なにも持っていなくって、だからこそ、なんでもできた。なにも怖くなかった。それこそ、敵だった頃のガーベラさんだって。そんなわたしだから先輩の役にも立てた。……なのに、ローズさんが言うんです。諦めちゃいけないって」

 加藤殿は吐息をついた。
 困ったような、それでいて嬉しそうな感情が、その口元に滲んでいた。

「そうしたら、なにをするにも怖くなりました」
「その割には、以前と変わらずいろいろと動いておるように思えるが」
「ふふ。そうですね。矛盾してますよね」

 妾の指摘に頷いて、加藤殿はそっと目を閉じた。

「だけど、仕方がないじゃないですか。ローズさんのお陰で、『助かった』って、『ありがとう』って、先輩に言ってもらえたんですもの。喜んでもらえたら、嬉しいじゃないですか。信頼してもらえたら、幸せじゃないですか。もっと頑張ろうって、思ってしまったんです」

 薄らと笑みを浮かべた加藤殿は、そこにあるものの感触を確かめるかのように、己の胸元に手をやった。

「ひとの心は、本当にままならないものですね。全部諦めていたくせに、一度諦めないと決めたら欲が出る。だから……」
「なるほどの」

 それが、臆病な少女を動かす原動力というわけだ。

 妾は納得の吐息を漏らした。

 ……だったら、それこそさっさと気持ちを伝えればいいのにと、妾などは思ってしまうのだが、きっとそれは不可能事なのだろう。

 怖いからだ。
 前に進むことで、折角手に入れたものを失ってしまうのが怖いから、一歩踏み出すことにも躊躇して、勇気を振り絞るための時間が必要となってしまう。

 それでも、いまの彼女が歩みをとめることはない。
 かつて彼女が手を引いてやった人形の少女が、いまは彼女を導いて、ゆっくりとでも前に進んでいく。

 妾からすればもどかしいくらいのスピードで、それでも前へ。

 だとしたら、やはり妾は、加藤殿のことが怖い。

 心も体もこんなにも弱くて、なのに強い。
 妾には到底、理解できない在り方だ。

 ふっと笑みが出たのは、それを好ましいと思えばこそだった。

「よくわかった。お主はあれだの」

 彼女のような存在をなんというのか。思い出して、妾はひとつ頷いた。

「主殿のことに関してのみ、へたれなのだな」

 ぴくんと眉を揺らした加藤殿が、じっとりとした目で妾を見た。

「……よく知ってましたね、そんな表現」
「幹彦殿から聞いた」
「あのひとは……」

 脱力した加藤殿が、恨めしげな表情を向けてくる。

「いいんですけどね。そんなわたしだからこそ、先輩の助けになるところもあるはずですから。……ということで、こんなのはどうですか?」
「うむ?」
「さっき、引っ繰り返したときに出てきました。こういうのなら、ガーベラさんにも扱えるんじゃないでしょうか」

 車を降りた加藤殿が両手で重そうに持ってきた武具を、妾はひょいと受け取った。

「なにかの、これは?」

 剣でもないし、槍でもない。

 腕の長さと同じくらいの棒の先に、大きな金属塊がついている。
 金属塊には頑丈そうな突起物が取り付けられていて、ある意味、剣よりも物騒な雰囲気を醸し出していた。

「これはメイスですね」

 ととっと駆け寄ってきたケイが、解説をしてくれた。

「先についてる柄頭で、相手を殴りつける武器です。東域三国のひとつ、ヴィスクムでは、刃が通らない硬いモンスターが多く出没するのでよく使われています」
「ローズさんは刃の付いた武器しかこれまで作ってきませんでしたからね。ガーベラさんも、打撃武器という発想はなかったでしょう? どうですか? そのへんに生えてる木をへし折って、即席の棍棒にするよりいいと思うんですけど」
「確かに。少なくとも刃筋を気にする必要はないな」

 加藤殿の問いに頷きつつ、妾の心は手にした武器に半ば奪われていた。

 これならば、あるいは……。
 妾は加藤殿たちから少し距離を取ると、メイスを振りかぶった。

「シャアァア!」

 握る手に力を込めて、一切の手加減なく振り抜いた。
 殴打された空気が、烈風となって周囲に弾ける。

 伝わってくる手応え。
 思わず、にんまりと笑みが漏れた。

 これはいい。手に馴染む。
 なにより構造が単純だ。それでありながら、単なる棒とは違って工夫があるのが面白い。

 柄頭の重さを利用することで、自然と遠心力が武器になるようになっているのだ。振り回すだけでも、ある程度の威力が期待できる。無論、武術として極めるのは、また話が別なのだろうが。

「難を言えば、あまりにも軽過ぎることくらいかの」

 人間用なら、これでいいのかもしれないが。妾にはちょっと物足りない。

「これなら、もっと重いほうがよいな。長さもほしい。ローズ殿には、そのあたりを相談させてもらうかの」

 愉快な気持ちが胸で弾ける。
 自然、笑みが漏れた。

「くくっ。なにやら楽しみになってきたな」
「あの、ガーベラさん?」
「……なんだ、加藤殿。せっかく、ひとが良い気持ちでおるときに」

 妾が不満顔を向けると、そこには眉を寄せた加藤殿がいた。
 指を差して、彼女は言った。

「そのメイス、柄のとこ曲がっちゃってません?」
「……あ」

 間の抜けた声が、口から漏れた。

 ついうっかり調子に乗って本気を出してしまったために、ぐにゃりと曲がったメイスを見下ろして、あわわわとうろたえる妾だった。

   ***

 この後、慌てて直そうとして力を加えたせいで余計に歪んだり、主殿に報告して一緒に謝ったりと散々な目に遭った。

 結局、武器も決まらなかったあたり、目も当てられない。

 とはいえ、なんとなく方針だけは掴めたようにも思う。
 あとは、ローズ殿と相談だろうか。加藤殿も思いついたことがあったらしく、なにやら動いているようだ。

 武器ひとつ扱うにしても、なかなか大変なものだ。妾は溜め息をついた。


 後日、「とにかく頑丈で重いものを」と頼んだところ、ローズ殿に頭を抱えられたのは、また別の話である。
◆本日、書籍2巻が発売ということで、折角なので一日早く更新です。
ちょっと長くなりましたが、ガーベラ視点閑話はこれで終わりとなります。
次回からいろいろ動いていくと思います。

◆次回更新は一週間後あたりになります。
みなさま、良いお年をお迎え下さい。
+注意+
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