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モンスターのご主人様 作者:ショコラ・ミント/日暮 眠都

7章.

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3. 来訪者

前話のあらすじ

こんなことがある……かも。


机の上に置いてある、真菜の覚え書き。
通りすがりの主人公。

「ん。なんだ、おれの名前……『そういうところも、わたしは――』」
「わぁああああちょっと待ってください先輩――ッ!?」
   3


「孝弘様」

 リリィとロビビアのふたりと一緒に兵士たちの訓練に参加したあと、王宮に借り受けている区画に戻ってきたところで、おれは声をかけられた。

 一緒にいたロビビアが、先に反応する。

「エラ! 戻ってたのか、おかえり!」
「ええ、ただいま」

 末の妹の呼び掛けに、エラさんは柔らかな笑顔で応える。
 その身は旅装に包まれていた。

 一週間ほど前から、彼女と姉妹のうちの何人かは王宮を離れて、壊滅した竜淵の里に向かっていた。
 亡くなった家族の弔いをするためだった。

 姉妹たちのなかでエラさんだけは、帰還の報告をするために、すぐこちらに顔を見せたらしい。

 彼女の隣には、護衛の騎士を連れたフィリップさんの姿があった。
 こちらも旅装だった。

「一週間ぶりです、孝弘様。なにか不都合などございませんでしたか」
「はい。大丈夫です。フィリップさんも、無事な姿が見られて安心しました」

 現状、竜淵の里のドラゴンたちはおれの仲間としてアケルに受け入れられており、いくつかの便宜を図ってもらっている。

 その一環として、フィリップさんは竜淵の里に戻るエラさんたちに同行していた。

 随伴した騎士は、索敵能力を持つエルフの精霊使いだ。
 加えて、フィリップさん自身はアケルの第二王子という人間社会での立場を持っており、これなら大抵のトラブルは避けられるだろうという判断だった。

 フィリップさん本人は、第二王子の自分は身軽なのだと笑っていたが、ここまでしてくれるのは厚意の部分が大きいのだろう。

 一ヶ月と少し前、マクローリン辺境伯領軍に捕まっていたフィリップさんは、おれの霧の魔法とドラゴンたちの応援によって生じた混乱に乗じて、逃げ出した。

 この際にはかなり危ない目にもあっており、混乱に巻き込まれた彼は、一度は意識を失いさえしたそうだ。

 さいわい大事なく目を覚ますことができた彼は、拘束が外れていることに気付くと、混乱する辺境伯領軍からひそかに逃げ出した。

 そうした経緯があるため、逃げるきっかけを作ったドラゴンたちに、彼は感謝の念を抱いているようだった。

 おれとしても、アケル王家とドラゴンたちの関係が良好なのは喜ばしい。
 まだ状況が予断を許さない以上、味方の結束を固めることは重要だった。

「孝弘様、お話をしたいことがあるのですが、時間はおありですか」

 挨拶を交わし合ったあとで、エラさんは話を切り出してきた。

「かまいません。なにかあったんですか」

 尋ねると、エラさんの顔が曇った。
 フィリップさんの表情も冴えない。

 どうやらあまりよい話ではなさそうだった。

「ご主人様。なかで落ち着いて話をしたら?」

 リリィが促したのを切っ掛けに、おれたちは場所を変えることにした。

 みんなで建物の扉をくぐる。
 アケル王家から借り受けている区画は、フィリップさんが手を回してくれたものだ。

 入ってすぐの談話室では、エルフの幼い子供たちが遊んでいた。

 そのなかに、大きな白い蜘蛛の姿が混じっている。

「おお、主殿。みんな、帰ってきたのだな」

 ガーベラがぶんぶん手を振った。

 王宮内は場所によっては人の往来が激しいため、いかにもモンスターといった姿をしたガーベラたちの行動は多少制限されている。
 とはいえ、このあたりの区画については人の出入りのほうを制限してもらっているので、不自由はせずに済んでいた。

「ガーベラ。それに加藤さんも。来てもらえるか」
「わかりました、先輩」

 ガーベラと一緒に子供たちの相手をしていた加藤さんにも声をかけて、部屋へと向かう。

 気を利かせたリリィがローズたちも呼んでくる。

 いないのはあやめくらいのもので、彼女は同じく不参加のベルタと一緒にいるということだった。
 王宮に滞在中、ふたりはお気に入りらしい日向ぼっこポジションによくいる。

 もっとも、あやめは話し合いに参加したところで理解できないし、ベルタは部外者だ。
 いなくても問題はない。

 城に仕える侍女が飲み物を用意して下がると、エラさんは口を開いた。

「まずはご報告を。里には無事に辿り着きまして、ほぼすべての兄弟の亡骸を見付けることができました」

 テーブルの向こうから、こちらに視線を向けてくる。

「予定通りに、弔いはその場ですませました」

 里に向かったエラさんをはじめとした数人だけで弔いは行われた。
 ドラゴンの亡骸は巨大で移送が難しく、また、時間も経っていて腐敗も進んでいるものと予想されたため、そうするほかなかったのだ。

 状況が落ち着き次第、おれはロビビアをつれて墓参りに行くつもりだった。

「そうですか。何事もなかったのでしたら安心しました」

 当初から懸念されていたのは、転移者との遭遇だった。
 そうしたトラブルはなかったようなので、おれは胸を撫で下ろした。

 だが、エラさんは表情を曇らせた。

「いえ。それが、ひとつ問題がありました」
「と言うと?」
「……長の亡骸が見付からなかったのです」

 思わぬ事実を聞かされて、おれは困惑した。

「というと、マルヴィナの?」

 竜淵の里の長である甲殻竜マルヴィナは、体長五十メートルを超える最大のドラゴンで、里に住むすべてのドラゴンの母だった。

 彼女は里を襲撃した転移者相手に壮絶な戦いを繰り広げたすえ、亡くなったと聞いている。

 その亡骸が見付からないというのは、どういうことなのか。

「それはつまり……転移者たちが持って行ったということですか。凱旋の際に手柄を示すためというのなら、理解できなくもありませんが」
「いえ。それはないかと思われます」

 思い付いたところを口にすると、フィリップさんはこれを否定した。

 エラさんの隣に座る彼に、おれは説明を求めて視線を向ける。

「理由を訊いてもかまいませんか」
「我々は竜淵の里に向かうにあたり、里の襲撃についての情報を集めました。結果、昏き森の主の討伐に乗り出したのは、ロング伯爵領のとある町から依頼を受けた勇者様方であることがわかっています」
「ああ。最初は『霧の結界』のせいで攻略できずにいたところに、折り悪く『竜人』の神宮司智也が合流したことで『霧の結界』が破られたという話でしたか」

 このあたりは、すでにエラさんたちが里に出発する前に聞いていた話だった。

 フィリップさんが首肯を返す。

「その後、勇者様方は戦死者を出しながらもドラゴンを討伐し、町に戻られたのだそうです。我々は里にはもう勇者様はいないものと判断し、エラ殿と一緒に出発しました」
「仲間を失いながら勇敢に戦った転移者たちの『英雄譚』は、ロング伯爵領内外で大々的に喧伝されていて、情報収集は割とスムーズにできたって話でしたね。……ああ、そういうことか」

 相槌を打っている間に、おれも気付いた。

「凱旋のためにマルヴィナの亡骸を持ち帰ったのであれば、町でその話がされているはずということですね」
「その通りです。しかし、収集された情報のなかに、そのような話はありませんでした。それに、甲殻竜マルヴィナは非常に大きなドラゴンであったと伺っております。勇者様方であっても持ち帰るのは容易なことではなかったでしょう」
「確かにそうですね」

 付け加えれば、竜淵の里を襲撃した転移者たちには、そのような余裕はなかったはずだ。

 それなりの人数で徒党を組んでいたあたり慎重ではあったようだが、彼らは東の小貴族領で『偽勇者』とされた転移者たちと本質的には変わらない。
 強大な力で敵を薙ぎ倒し、挫折を知らずに歩んできた。

 仲間の死は堪えたはずだ。

 山のようなドラゴンの巨体を凱旋のためにどうやって持って帰ろうか……なんて話になるとは考えづらい。

 だが、だとすれば、どうしてマルヴィナの亡骸はなくなっていたのか。

「孝弘殿」

 そこで、シランが声をあげた。

「どうした。なにか気付いたことでも?」
「はい。ひょっとすると、マルヴィナ殿は……」

 その目が気遣わしげに、エラさんやロビビアに向けられる。

 やや言いづらそうにするシランに対して、エラさんが頷いた。

「ええ。恐らくですが、わたしの考えもあなたのものと同じです」
「どういうことですか?」

 おれが尋ねると、彼女は憂鬱な溜め息をひとつついてから、覚悟を決めた様子で口を開いた。

「長はアンデッド・モンスターになった可能性があります」
「……っ!」

 がたんと椅子が音を立てた。
 ロビビアが体を強張らせたのだ。

 母親がアンデッドになったと聞かされたのだ。
 衝撃は大きいだろう。

 そちらを気にしつつ、おれは口を開いた。

「そんなことが……いや。十分にありえるのか」

 放置された死者の亡骸が、魔力によってモンスターになるのがアンデッドだ。

 樹海のような魔力の濃い土地では特にアンデッドの発生は多い。
 また、人やモンスターの死により魔力が大気中に放散されると、さらにその傾向は強くなる。

 場所は昏き森、死んだのが転移者とドラゴンともなれば、十分に条件は満たしているだろう。

「戦場となった場所を調べましたところ、アンデッド・モンスターの瘴気とも呼べる魔力が残っておりました。アンデッドになってしまったのは、ほぼ間違いないと考えております」
「そうでしたか」

 その場を訪れたエラさんが言うのだから、信憑性は高いと見るべきだろう。

 おれはふと思い当たることがあって、尋ねる。

「なくなっていたのは、マルヴィナの亡骸だけですか?」

 さっきエラさんは『ほぼすべての兄弟の亡骸を見付けた』と言っていた。
 逆に言えば、全員ではないとも取れる。

「お察しの通りです。兄弟では、あとひとり。レックスの亡骸も見付かっておりません」
「レックスも……」

 脳裏に魁偉な大男の顔が思い浮かんだ。

 レックスは里の守護者を自認していたロビビアの兄だ。

 里での滞在中は、ロビビアの――レックスは頑なにパトリシアと呼び続けていたが――ことについて、ずいぶんと突っかかられたものだった。

 けれど、おれのなかで、あの不器用な男の印象は決して悪いものではない。

 レックスは里を守るために必死だった。
 実際、彼は里を守るために勇敢に戦い、死んだのだという。

「アンデッド・モンスターとなったふたりが人々を襲う可能性があります」

 エラさんの声は十分に抑制が効いていたが、語尾にはかすかな震えがあった。

 愛すべき家族が無残な屍を晒して徘徊しているというのだ。
 その心中は察するにあまりある。

 幼いロビビアに至っては、蒼白な顔をしていた。

「ロビビア」

 見ていられずに呼び寄せてやると、彼女は素直に椅子を降りて抱き着いてきた。

 体温が低い。
 血の気がひいていた。

「孝弘。ごめん、おれ……」
「いいよ。しばらくこうしていろ」

 立て続けにいろいろなことがあって、本来なら意地っ張りなロビビアは相当に参っている。
 泣き出さないだけ気丈だろう。

 胸に額を押し付けたまま、ロビビアがくぐもった声で問い掛けてきた。

「……なあ、孝弘。シランみたいにはいかないのか」

 シランの体はアンデッド・モンスターのものだ。

 以前、おれはグールに堕ちた彼女の意識を拾い上げたことがあった。
 とはいえ、いまとは状況が違う。

「あのときでも、タイミングはぎりぎりだったからな」

 チリア砦でのことを思い出しながら答える。

「魂は砕けてしまう寸前だった。残念だが、あまりに時間が経ち過ぎている」

 おれの能力には限界がある。

 シランのときは、奇跡的に条件が揃っていた。
 奇跡はそうそう起こるものではなかった。

「お前の望みは叶えられない。悪い」
「……ううん」

 頭を押し付けるようにして、ロビビアは首を振った。

「おれ、無理言った。ごめん」

 それきり口を噤む。

 部屋に落ちた沈黙を破ったのは、フィリップさんだった。

「申し訳ありませんが、孝弘様。わたしは立場上、国民の安全を考慮しなければなりません」

 静かな義務感を帯びた声で彼は言った。

「もしもアンデッド・モンスターと化した甲殻竜マルヴィナが町に攻撃を仕掛けたなら……」
「わかっています」

 おれは頷いた。

「マルヴィナもそんなことは望んでいないでしょう」
「ご理解いただけてさいわいです」

 フィリップさんが言うと、その横でエラさんが口を開いた。

「我々、竜淵の里のドラゴンも責任を果たすつもりです。なにより……長を眠らせてあげなければいけませんので」
「そうですね。そのときは、おれたちも手伝います」
「ありがとうございます。ですが、孝弘殿は他にやることがおありでしょう。ロビビアもそちらのお手伝いをさせてください」

 エラさんは頭を下げた。

 恐らくだが、彼女はロビビアのことを考えてそう言ったのだろう。
 幼い彼女に、関係をこじらせたまま亡くなった母親の亡骸と戦わせるのは、いかにも荷が勝ちすぎている。

 そのあたりは察せられたから、おれは頷きを返した。

 エラさんが続けた。

「それと、『霧の結界』を維持していた魔法道具『世界の礎石』ですが、見付けられませんでした。壊されたのか、持ち去られたのかはわかりませんが、『霧の結界』が消えてしまったのはこのせいでしょう」

 これでドラゴンたちが保有する残りの『世界の礎石』は、サディアスが持つひとつだけになった。
 サルビアがいても、すぐに『霧の結界』を張り直せないということだ。

 一応、竜淵の里襲撃の件を伝える目的もあって、以前に教えてもらった連絡ルートでサディアスにコンタクトを取ってはいるのだが、まだ返信はない。
 もともと、すぐに相手に便りが届くような手段ではないし、サディアスの現在位置によっては余計に時間もかかるので仕方なかった。

 もっとも、この状況でもう一度『霧の結界』を張り直して引きこもるのもリスクが大きいので、どちらにしても、ドラゴンたちはアケルに身を寄せるのが一番安全だろう。

「報告は以上になります」

 話を終えると、エラさんはひと仕事終えた様子で吐息をついた。

 入れ替わりに、フィリップさんが水を向けてくる。

「孝弘様はいかがでしたでしょうか。わたしたちがいない間に、なにかありましたか」
「そうですね。話し合わなければいけないことがひとつあります」

 今度はこちらの番だった。

 おれはお茶で喉を潤してから口を開いた。

「ひょっとしたら、ここに来るまでの間に耳に挟んでいるかもしれませんが……聖堂教会から連絡が来ました」
「聖堂教会から?」

 フィリップさんが表情を引き締めた。

「いえ。わたしたちはここまで真っ直ぐ帰りましたので、聞く機会がありませんでした。話というのは、どのようなものでしょうか」
「おれたちを帝都に招待したいというものです。辺境伯との停戦についての話し合いの席を設けたいと言ってきました」

 ローズを奪還したあと、マクロ―リン辺境伯領軍は壊滅している。
 おれたちのもとにその情報が入ってきたのは、開拓村のエルフたちと一緒にアケルの軍に保護された直後のことだった。

 辺境伯領軍への対応を協議している最中だったので、話を聞いたときには耳を疑った。

 わずかな生き残りからアケルの軍が話を聞き出したところ、トリップ・ドリルの群れに襲われたらしい。

 とはいえ、辺境伯がそれで討伐を諦めたかといえば、そんなことはなかった。

 実際、辺境伯は探索隊から抗議を受けたあとも『偽勇者』討伐の主張を撤回してはいない。
 あれだけの数の兵士を失ったいま、さすがに辺境伯が動かせる余剰戦力はそう多いものではないだろうが、それでも油断はできない。

 辺境伯に賛同する貴族たちも相当数いるのだ。
 彼らが兵士を集めるようなことにもなれば、第二次討伐軍が組織されるようなことにもなりかねない。

 さらに問題なのは、彼らが勢力を伸ばしてアケルへの制裁措置に踏み切るケースだ。
 そんなことになれば、小国のアケルは苦しい生活を強いられることになる。

 他の同盟国、特に北域五国の国々はアケルに味方する動きが見られるので、どうにかやりくりはできるにしても、それはそれで泥沼だ。
 このあたりの地域が――あるいは、世界中が敵と味方に分かれて、冷戦状態に陥る羽目になるかもしれない。

 聖堂教会からの申し出には、そんな状況を解決できる可能性があった。

 フィリップさんもそれはすぐに理解する。

「それは……悪くないお話のように思えますが」
「はい。おれもそう思います。いつまでも辺境伯と敵対しているわけにもいきませんから」

 同意して、付け加えた。

「ただ、聖堂教会が信用できるのであればの話ですが」

 フィリップさんは一瞬、息を詰めた。

 そうした反応は予想できたものだった。

「……聖堂教会が信じられるのかどうか、ですか。そんなこと考えたこともありませんでした」
「この世界の住人なら、大半がそうでしょう」
「ですが、孝弘様はそうではないのですね」

 おれが理解を示すと、フィリップさんは息をついた。

「ご自身の大切なものを守るために、目の前のものが信じられるかどうか常に判断されてきた。我々もそうする必要があるのでしょうね。いまや世界はそういうものになってしまった。なにをもって信じるのか、我々もしっかりと考えなければなりません」

 語る口調には、確かな決意が込められていた。

 見た目はあまり似ていない兄妹だが、こうしたところは、かつてチリア砦で肩を並べて戦った同盟騎士団団長さんのことを思い出させた。

 こうした人物を味方にできたことは、この世界で得られた幸運のひとつなのだろう。

 そこで、部屋の扉がノックされた。

 会話は一時中断される。

「失礼いたします」

 やってきたのは、この区画の警備をしてくれている兵士だった。

「お話し中に申し訳ございません。ご来客がいらっしゃいましたので、お連れしました」
「来客? 孝弘様、ご予定がおありでしたか」

 フィリップさんが尋ねてくる。

 おれは眉を顰めた。

「いえ。ないはずですが……」

 今後のことも考えて、アケル国内の要人とは会う機会を設けてきたので、来客自体はそう珍しいものではない。

 けれど、今日、その予定はなかった。

「先輩」

 加藤さんが声をかけてくる。
 リリィは警戒して腰を浮かせていた。

 そこで、廊下から声がした。

「ああ。もう大丈夫です。あとはわたしが話しますから」

 涼やかな少女の声だ。

 その響きに聞き覚えがあった。

「……まさか」

 長い髪をなびかせて、細身の少女が部屋に入ってくる。

 その顔を見て、おれは目を丸めた。

「飯野?」
「……久しぶりね」

 驚くおれに、ぎこちなく『韋駄天』飯野優奈は言葉を返したのだった。
◆飯野登場です。

読者目線だと彼女の旅路を追ってきましたが、
主人公にとっては久々の再会になります。来訪の理由は果たして。


◆『モンスターのご主人様 ⑩』は8月30日の発売です。
約2週間後ですね。

通販等の予約も始まっていますのでぜひ。

カバーとキャラデザを活動報告にて公開していますので、興味のおありの方はご覧ください!
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