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『そなたは薬や術を使わずに治療をすると聞いたのだが、一体どのような事をするのだ?』
『はい、王様。私は患者の顔色や普段の行動から どんな病気かを判断し、食事や生活習慣・環境などを変えて治療を施しております』
年齢の割にとても落ちつき しっかりとした医者の説明に、王様はさっきまでの考えを少し改めることにしました。
『……ほう。では私が今どんな状態か診察してもらえまいか?』
医者は頷き王様の近くに寄る許可を得ると、手や身体を触診し 顔色や表情を観察しました。その眼差しはとても鋭く、勇猛な武将と知られている王様でも少したじろぐ位のものでした。
しばらくすると青年は診察結果を淀みなく話しました。それはいつも王様が悩まされている事──例えば、頭痛や不眠など──を言い当てるものでした。
王様は これ程までに当たるとは思っておらず、とても驚き 感心しました。そして姫君をさっそく診てもらおう、と広間まで呼び出します。
姫君が現れると、医者とその助手は少し身動ぎしました。姫君はかなり痩せ細っていたのです。けれどその素晴らしい美貌のせいか、見苦しくはありません。姫君は皆が見守る中、ふらふらと危なっかしく席につきました。
医者は先ほど王様にしたように姫君にも診察をしました。姫君は嫌がる様子もなく、医者のする事を受け入れています。王様よりも長く診察した後、医者は静かに後ろに下がりました。
診察が終わったと見て、王様は勢い込んで尋ねました。
『それで……姫はどんな状態なのだ?』
医者は難しい顔をして押し黙っていましたが、王様の質問に答えないわけにもいかず口を開きました。
『残念ながら今は、何とも判断しかねます。けれど、知識と技術を活かして 姫君の治療に全力を尽くさせていただきます』
王様は不安になりながらも了承しました。もう他に手はなく、駄目で元々だと諦め気分になっていたからかもしれません。王様は常のごとく、五年の期日だけを言い渡すと広間を後にしました。
医者はまず侍女に姫君の食事や普段の生活・行動などを尋ねまわりました。表情のこともありますが、姫君があまりにも痩せていたのが気になったのです。
すると驚く事に、食事は穀物や肉を殆ど摂らず 果物だけで、生活も大半が自分の部屋で過ごし 外にはめったに出ないということでした。どうりで、あんなに痩せていて 肌が青白い訳です。このままでは倒れてしまうと思った医者は、まず食事を何とかしようと考えました。
最初は消化のよい粥や汁物から少しずつ。それが食べれるようになったら、その後は姫君の身体に合わせて量を増やしたり固形物にしたりしていきました。姫君は不思議と抵抗する訳でもなく、医者の言う通りに食事を行いました。
その甲斐あって一年後には、姫君の体は 丸い曲線を描いた女性らしい体型になっていました。
それでも同じ年代の女性より痩せていたのですが、健康を損なう程ではないので 医者はそれ以上を強要しませんでした。 |