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男なら一国一城の主を目指さなきゃね 作者:三度笠

第一部 幕間

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幕間 第八話 小島正志(事故当時16)の場合

「え? あれってそうじゃねーの?」

 おっと、つい独り言が出ちまった。今プレイしているゲームの攻略本に知らなかった情報が載っていたのでつい口に出てしまった。まぁ隣にいるのは浩一郎だけだから独り言なんかどうでもいい。それよりも今は攻略本に載っている隠しアイテムの取得法の方が大問題だ。今俺がハマッているRPGの隠しアイテムについての情報が載っているのでこれは見落とせない。

 ゲーム中でその存在を示唆されていたアイテムなのだが、普通に遊んでるだけだとまず手に入らない。面倒なクエストを特定の順番でクリアしなければ入手は出来ないと予測していたのだが、攻略本によるとそれだけでないらしい。ふむふむ、なるほどね。浩一郎は隣でスマホで小難しい本を読み始めたようだ。本当、こいつはいつも格好をつけて斜に構える癖さえなければ良い奴なんだがな。

 攻略本の内容を咀嚼しはじめて暫くした頃、俺の乗ったバスは電車に突っ込まれ、当然の様に俺は死んだ。



・・・・・・・・・



 死んだのだが、転生した。よく読んでいたジャンルの創作小説の題材に選ばれたのかも知れない。
 小躍りそうなくらい嬉しかったが、まだ赤ん坊だ。自重自重。だいたい、転生についてお決まりの説明もなかったから、異世界への転生なのか、地球の別の場所への転生なのか、時代はいつなのか、そういった事すら判らなかったのだ。
 まだ小さな赤ん坊でもあるし、ここはゆっくりと確かめてもいいだろう。のんびり行こうぜ。

 そんなある日、俺の命名の儀式で吃驚する事があった。そう、言わずと知れたステータスオープンだよ。
 こいつは便利で、触って呪文を唱えさえすれば、対象が何であれ何でもその情報を見ることが出来る。
 そして、次に魔法だ。この世界では10人に一人くらいの確率で魔法が使えるようになるという。
 だが、15歳、つまり成人する頃から修行を始め、すぐに使えるタイプかそうでないかは解るらしい。成人するまでに魔法の修行をしてしまうと、魔力量の関係でいろいろと体に害があるとのことだ。

 魔力量の関係でいろいろと体に害がある? 転生系主人公の俺様には問題ないね。
 きっとチートで俺の魔力量はこの世界の常人を遥かに凌駕しているに違いねぇ。
 俺はロンベルト王国のウェブドス侯爵領のバフク村という場所に農奴の子供として転生した。
 農奴とか、すげーハンデだよな。だが、成り上がりにはぴったりだ。
 両親や兄弟には魔法の才能がある人はいなかった。たまーに農奴でも魔法が使えるやつもいるらしいが、魔力量は遺伝が大きいらしいので平民以上や貴族階級でもない限り、そうそう使えるものでもないらしい。
 そうか、そもそも俺は魔法使いってガラじゃない。剣で敵をバッサバッサと切り捨て、押し寄せる魔物の軍勢を薙ぎ払ってゆく肉体系勇者だったのか。うん、そっちのがわかり易いよな。

 そうなると、何が何でも生きなきゃな。貧しいのか餓死するほどではないが非常に質素な食事だし、赤ん坊のうちに死ぬのも多いらしい。
 多分満足な栄養状態ではないから病気などに対する抵抗力も低いのだろう。ここは、親が目を離した隙に盗み食いでも何でもしないといけない。
 だが、言葉を覚え始めてから急速に語彙を増やし、口調はどうあれ大人と同じように小難しいことまで喋り始めた俺に親は相当期待したのだろう。俺はろくに病気もせず育つことができた。



・・・・・・・・・



 数年が経ち、俺は更に幾つかのことを学んでいた。まず、もうわかってはいるがここは地球ではなく異世界だった。万歳三唱! そして、異世界といえば、そう、魔法や魔物、冒険者だ。ここオースには全部あった。やったぁ! 次はそう、わかるだろ? 亜人だよ。エルフドワーフ猫兎、なんでもござれだ。いろいろな亜人が入り乱れて生活している。ひゃっほう! そして、最後、固有技能だよ! 俺の固有技能は有名なあれだ。【固有技能:誘惑】これで勝つる! 俺TUEEEEEEに加えてハーレムまで作れそうだ! 目指せチートハーレム! うけけけけ。

 え? 俺TUEEEEEEになってないだろって? こまけぇこたあいいんだよ。異世界転生した主人公様が弱いわけねぇだろ? 勇者クロフト・バラディーク。正に俺様にピッタリないい名前です。とうちゃん、かあちゃん、素敵な名前をありがとう! 10歳くらいになったら魔王を倒す旅に出るんだ。そして、行く先々で可愛い奴隷を手に入れて綺麗なお姫様と行きずりの恋に落ちる。最後に世界を苦しめている元凶であるところの魔王だか魔神だかを俺と俺のハーレムがぶっ潰す!

 ええ、こんな事を考えて悦に入っていた時期が俺にもありました。俺は強いと思って吹っかけた、同年代くらいの子供と喧嘩してはいつもボコボコにやられ、折角の固有技能の使用方法もわからず、それでもメゲずに頑張っていたが、喧嘩には年下以外には一度も勝てず、誘惑しようと流し目を送った目つきがキモいと言われ女の子達には全く相手にされず、しまいにはこの黒い髪や黒い目までキモいと言われてしまう始末だった。

 まぁ、いいさ。初期の苦労や誤解、いわれなき差別は転生系主人公のお約束と言ってもいい。こんなのよくあるあ……ねーよ、畜生。やっぱり異世界でも当たり前に俺は普通なようだ。まぁいずれ誘惑の固有技能の使い方も解るようになるだろうし、こんな5歳くらいの幼児期から目立つ必要なんてないのだ。よし、ならNAISEIだ。NAISEIチートで皆からそんKを集めてやる。何しろ文明レベルが遅れている異世界ファンタジー転生の王道といってもいいしな。そして女の子から「キャーステキ、抱いて」と言わせてやるのだ。

 だが、だ~れも俺の戯言なんか聞いてくれなかった。そりゃそうか。なんたって5歳だしな。だいたい農業なんかしたことないしわかんねぇよ。種蒔いて水やって肥料とかやればいいんじゃねぇの? 肥料だってこっちじゃ人糞を発酵させて水で薄めてそれを使っているようだが、植物の成長のための肥料は、そうそう、あれだ。窒素リン酸カリ。中学の理科だか社会だかで習ったぜ。窒素は畑を耕すことで土に混ぜるんだろ。これは既にやってるからいい。リン酸……置いとこう。カリ、カリカリ。猫の餌か? いやいやカリと言ったら、そうそうカルシウム、かな? 骨でも砕いて畑の土に混ぜればいいのかな?

 そう言って偉そうにやってみたがほかの畑となんら変わらない収穫量だった。あれ? どこで間違ったんだろう? 仕方ない。じゃあここは家畜だ。何故か牛や馬を農耕に使っていなかった。本当、バカジャネーノ、この未開の土人どもは。でっかいフォークのお化けみたいなのを逆さにして家畜に引かせるのだ。それで万事OK。農耕が楽になって「流石クロフト、お見それしました。今まで馬鹿にしてゴメンネ。抱いて」と言われるに違いない。むほほ。

 早速馬か牛を買ってもらおう。村の領主が馬に乗っているのを見たことはあるし、定期的にやってくる隊商の荷車を引いているのは牛だ。ステータスオープンで見たから間違いねぇ。親に馬をねだったら「そんな金が一体どこにある? 下らない事を考えている暇があるなら雑草でも毟ってろ、穀潰しが!」と言われて放り出されてしまった。なんだよ、先行投資の大切さを理解しない石頭め。

 では、鍛冶だ。日本刀を作って俺TUEEEEEE路線だな。日本刀ってあれだろ? 鉄をかんかん叩いて鍛えればいいんだろ? 確かちょっとずつ硬さの違う鉄をいろいろサンドイッチのように叩いて貼り付けてあるんだよな。楽勝楽勝。数年かかるが何とか満足の行く剣を打てた。そしてあるとき、平和なバフク村を襲撃するオークの集団。

 三軒隣のムカつくダージェスや、いつも俺を小馬鹿にするファーレがオークに惨たらしくやられ、レイチェルやクーリエに乱暴を働こうとするオーク。その時、颯爽と登場とする俺。オークを頭から股間までバターの様に切り裂き、あっという間にオークの群れは全滅だ。「クロフト、危ないところをありがとう。今まで辛くあたってゴメンネ。でもそれは好きの裏返しなの、わかるでしょ。抱いて」村に鍛冶屋はありませんでした。はい、終了。



・・・・・・・・・



 異世界オースだろうと現実は現実だ。厳しかった。
 何度も挑んだNAISEIはことごとく失敗し、魔法を覚えようと修行法を村の治癒師のじじいをだまくらかして何とか聞き出したものの、修行には糞時間がかかるらしく、畑仕事に支障無いような連続した修行時間を取ることすら難しかった。ああ、そもそも俺に魔法の才能は無いのかも知れなかったんだ。貴族じゃなくて農奴だしな。

 そんな糞つまらない毎日を送っていた8歳の頃、俺はついに出会ったんだ。そう、神にだ。いやいや、決して頭がおかしくなったわけじゃないぞ。俺はいつだって冷静な男だ。決して取り乱したりはしないのが俺の売りだしな。

 俺としてはついにこの時が来たかってなもんだ。どうせ、あれだろ? 今までよく我慢しましたね。だからそんな貴方に必殺のチートあげますとかそう言う奴だろ。

 ちょっと違ったが大筋では違わない。どうやら浩一郎も転生してるようだな。生きているといいけどな。質問タイムが一分間と余りにも短かったので固有技能の使い方を質問しただけで終わってしまった。相手の体の一部に触れ、相手と目と目をしっかり合わせる。そして誘惑を使うことを意識しながら相手に聞こえるように相手の名前を含めて愛を囁く。それだけで相手は俺に誘惑されるらしい。但し効果は同種族の異性に限られるそうだ。

 なんだよ、じゃあ精人族エルフのレイチェルや兎人族バニーマンのクーリエには効果はないのか。普人族だとあんま好みなタイプはこの村にはいないんだよな。ラスルでいいか。

 翌朝、起床とともに目覚めた俺ははやる心を抑えてなんとか昼まで我慢した。昼には大抵の人が農作業の手を休め、弁当のような食事をしたりするからだ。昼になると弁当の黒パンを一気に詰め込み、ラスルの家の畑まで出かけ、ラスルの姿を探した。

 ラスルは畑から少し離れた川べりで俺と同じような薄い黒パンをかじっていた。早速試してみよう。ラスルの肩に手を置き、こちらを向いたところで「ラースリン、好きだ」と言ってみる。最初に俺を見て「何だよ、またこいつか。どうせまた下らない冗談でも言うのだろう」というような目つきをしていたラスルだが、俺が愛を囁いたとたん、目つきはとろんとし「あんた、ちょっと見ないうちに結構変わったわね」とか言ってきた。本物だ、こりゃ。その後、俺は前世も含めて生まれて初めて女の子といちゃいちゃした。楽しくお喋りをしている間にあっという間に時間が経つ。

 ああ、前世でモテまくっていたリア充共はこんなに楽しいことを経験していたのか。まぁいいや。俺もこれでリア充の仲間入りだし、こうして俺のハーレムを作っていけばいいのだ。そして世界を救うのだ。かっけー、俺。

 そうして翌日の夕方、農具を担いで家路につくラスルを見た俺は昨日の続きをしたくなった。いやいや、まだ俺は8歳だし、ラスルはひとつ上の9歳だ。いくらなんでも早すぎる。勘違いするなって。ちょっと話をしていちゃつきたかっただけだよ。だが、ラスルは親しげに声をかける俺を見ると今までのように「またホラ吹きクローか」というような目つきで「何?」と無感情に言われた。

 ええー? 昨日はあんなにいちゃついたじゃんかよ。もう俺にメロメロの骨抜き状態だったのに、そりゃないぜセニョリータ。親しげに声をかける俺に一文節くらいの短い言葉のみで返事を返すラスルだったが「昨日は何かの気の迷い、もう帰るしウザい」と言われてしまった。なんで?

 その後いろいろ試してみたらどうも一日しか誘惑の効果は持続しないらしい。そしてあまり誘惑の固有技能を使うと眠くなったり、腹が減ったのを我慢出来ないようなことになることもあった。誘惑は一日一回まで。そうしないとダメだな。

 一週間(オースでの一週間は6日で、月曜から土曜までだ。一ヶ月は5週間で一年は12ヶ月、60週間だ)も経つと村中に「たらしのクロー」のあだ名が広まってしまった。ホラ吹きクローよりは幾分マシかも知れないが、どっちもどっちだろ。そして俺に近寄る女の子はいなくなった。こりゃいよいよいつか旅立たねばなるまい。



・・・・・・・・・



 俺が12歳になった頃、いつものように隊商が村に来た。この隊商は一ヶ月ほど前にも村に来て、バフク村を通り過ぎてからいくつかの村を廻り、侯爵領の首都キールに戻るところのはずだ。この隊商の護衛3人のリーダーが女だった。いい加減村を離れたかった俺はかねてからの計画を実行に移す。この護衛の女はたまに見る顔で、人格も悪くない。俺の好みの顔つきではないが、信用できる性格をしていると思っていた。だが、正確な名前を知らなかったのだ。今まで散々試した誘惑の固有技能はレベルアップし、既にレベルは3になっている。レベルとともに誘惑の効果時間は伸びており、今は9日間も誘惑の効果は持続する。隊商のメンバーからはジェーンと呼ばれているのは知っていた。

 俺はジェーンに話しかけ、本名を聞き出すと早速誘惑の固有技能を使い、ジェーンを俺の虜にした。続けて甘い言葉とともに村を出てジェーンのような冒険者になりたいと話し始めた。

 もう30歳近いであろうジェーンが12歳の子供にメロメロになっているのは不自然だが彼女の目には俺しか映っていないのだ。ジェーンは俺をジェーンの小姓のような形で雇うと言う。場合によっては身請けしてもいいとさえ言ってくれた。俺もそれは願ったり叶ったりだ。早速ジェーンを連れて俺の所有者である村の従士のところまで一緒に行った。

 従士に金貨を数枚払ったようであっさりと身請けは終わった。すぐに家族に別れを告げ、隊商と共に出発した。村では俺が女たらしの才能を発揮してジェーンをたらしこんだと思われているようだったが、もうこんなしけた村とはオサラバなのだ。気にしないもんね。

 誘惑の効果が切れる前に、また誘惑を使い、俺はすっかりジェーンの情夫のようなポジションになった。これがヒモってやつか。悪くないな。30歳近いとは言え冒険者で鍛えられている体はぜい肉など全くない。俺も精神的には既に30歳近いから話だってそこそこ合うし、甲斐甲斐しく俺の世話をするジェーンには悪感情など抱き様もなかった。俺の初めてを捧げた相手でもあるしね。大人のテクニックってすごいわぁ。

 こうして何とか金魚のフンのようにジェーンにくっついて村を出ることが出来、ジェーンに身請けされたことで同様に冒険者になることも出来た。冒険者は全員自称だそうだ。冒険者ギルドってやつで会員証を貰ったり、依頼をこなしてランクを上げたりするのかと思っていたがそんなことはなかったぜ。

 冒険者は文字通り冒険者であって、それ以上でも以下でもない。普通は貴族の次男坊以下や、平民の次男坊以下、または自由民が冒険者への道を選ぶことが多いらしい。奴隷出身の冒険者もいないことは無いらしいが、貴族や平民と違って戦闘訓練なんかしていないから戦力になりにくいのと、こっちが本当の理由なんだろうが、奴隷は行動の自由が殆どないことが原因らしい。俺のようなケースは極めて稀な存在だという事だ。

 幾つかの村を廻り何日もかけてキールに着いた。これで今回の仕事は終わりらしい。護衛の依頼料としてジェーンは金朱を2つとリーダーとしての割増料金である銀貨を15枚受け取ると、神社に向かうと言う。移動中に話していたことだが、命名の儀式で俺をジェーンの奴隷から自由民にしてくれるらしい。元の俺の所有者である従士の販売証明とともに、神社でそれなりの手続きと賽銭に相当するのだろうか、幾ばくかの喜捨をすることで命名の儀式をすることが出来るのだ。

 因みに、奴隷から自由民になることは本来は非常に難しい。金貨数枚する自分の値段の百倍を所有者に払って自分を買い戻す方法があるが、これは余りにも非現実的だ。一番の方法は今回のように通常の取引で所有者の変更をして、その所有者が奴隷身分から解放してくれるのが一般的だ。他には、滅多にないことだが役に立ちそうな奴隷を領主である貴族が従士に取り立てるような時にも今回のようなことは行われる。

 また、これは余談だが奴隷同士が結婚する際にその所有者が異なる場合、どちらかに売買されるのが一般的だ。金がないときなどは同格くらいの奴隷と交換での取引となる。子供が生まれた場合、その子供は当然奴隷階級であり、所有者は親の所有者となる。出来るだけ奴隷は子供を産んだ方が財産が増えることになるのである程度の多産は奨励される。

 まぁ、それは置いておいて、このために俺はジェーンにくっついていたのだ。まぁ成人するくらいまでの間は当分くっついて歩き、戦闘技術なども鍛えてもらう必要もあるけどね。命名の儀式はあっという間に終わった。早速自分のステータスを確認してみる。

【クロフト・バラディーク/11/6/7440 クロフト・バラディーク/13/4/7429】
【男性/14/2/7428】
【普人族・ロンベルト王国ウェブドス侯爵領登録自由民】
【固有技能:誘惑Lv.3】
【特殊技能:小魔法】

 いよっし! これでいい。奴隷階級から無事に脱出することが出来た。これから頑張ればジェーンのような本当の冒険者にだってなれるだろう。



・・・・・・・・・



 1年が過ぎ、俺は13歳になっていた。ジェーンはある魔物退治の依頼で命を落としていた。後ろ盾を無くした俺はお決まりのコースで街のゴロツキの集団に属していた。冒険者とは名乗っているものの、正規の依頼を受けるには実力が足りないばかりか、いくつも依頼を失敗している実績があったり、護衛等の際に役に立たないと言われたりして正規の依頼を受けられなくなった冒険者の成れの果てだ。

 え? 世界を救う勇者になるんだろうって? バカ言っちゃいけないよ。俺はたまに誘惑で女を抱ければそれでいいんだ。わざわざ金を払って商売女を抱く必要がないだけで充分だろう? ハーレム? なにそれ美味しいの? ハーレムを維持できるだけの稼ぎなんかあるわけないし、ジェーンの時みたいに適当な女のヒモをやれればそれでいいよ。

 それよりグループのボスであるべグルの兄貴にくっついていりゃかなり面白おかしく暮らせるんだ。しょっぱい犯罪でもそれなりに稼げるしな。おお、そうだ、オースにはケシの花はないのかな? あれがあれば大儲け間違い無しのはずだ。ちょっと貯金して見て探しに行くのも良いかも知れないな。花を見かけたら片っ端からステータスオープンしてみりゃそのうち見つかるだろ? ケシがなくても大麻ならすぐ見つかりそうだ。あれってシダ類なんだろ? シダなら俺にもわかるだろう。

 こうやって転落人生を歩んでいた俺だが、あるとき、たまたま入った食堂で、久々に上玉を見つけた。黒髪黒目の女だ。俺のゴーストが「転生者ジャマイカ?」と囁いた。
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