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男なら一国一城の主を目指さなきゃね 作者:三度笠

第二部 幕間

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閑話 新事業

 7448年1月の終わり頃。

 王都にあるソーセージ工場で一組の夫婦と一人の奴隷が頭を捻っていた。

「うーん、これもダメだな……」

 サージが口に含んだスープを吐き出して言う。
 もう何度目か、数えきれないほどの失敗を繰り返している。
 豚と鶏の骨を砕き、大鍋にたっぷりの水とともに入れて強火で半日から丸一日煮込む。
 その時にカチカチになるまで天日干しをして身を薄く削った青魚の削り身と海藻を干したもの、干椎茸(ロスルッジ)、玉ねぎや根菜なども一緒に入れて出汁入りのスープを作っているのだ。
 そのスープに塩と胡椒、ニンニクや生姜などの香草から作った“かえし”で味を調えて出来上がりの筈であった。

「充分に旨いと思うがなぁ」

 サージと一緒にスープの味見をしたラリーは「これで充分に旨い」とでも言うような表情を浮かべている。

「うん、ラリーの言う通り、充分に美味しいと思う」

 キャシーも味見をして不思議そうに言う。
 夫には一体何が不満なのかさっぱり解らないという顔だ。

「やっぱ『かえし』がなぁ……『醤油』が欲しいな」

 そうぼやくサージの言葉を聞いたラリーはまたかというような顔をする。
 転生者たちの居た世界にはショーユだのミソだのという魔法のような調味料があるらしい事は誰もが口を揃えて言っていた。
 ラリーにしてみれば「そんなものがあれば料理人は誰も苦労しない」と思って胡散臭く思っている。
 又は単に昔を懐かしんでいるだけのことだろうと考えていた。

 この家畜の骨から取った出汁入りスープにサージが苦心して調整した“かえし”なるタレを適量混ぜるだけで驚くほど旨味の強いスープになるのだ。
 尤も、丸一日煮込む為にそれなりの大きなコンロと大鍋が必要になるうえ、手間も掛かる。
 これで旨くなければ嘘だろうという程の手間暇が掛かっているのである。

 そんな折、一組の男女が工場に現れた。
 クローとマリーである。
 少し贅沢な服や下着などの日用品を求めて王都に来たついでに、少しゆっくりと落ち着いてお茶でも飲もうと思って来訪したのであった。

「お、これは……いい匂いじゃないか! 何やってんだ?」
「トンコツスープ……? くっさ」

 工場には豚の骨と鶏ガラを煮込んだ独特の匂いが充満していた。
 苦手な人にはとてもつらい匂いだ。

「お。クロー、マリー、丁度良いところに……ちょっと味見してくれよ。こいつら、これで充分旨いって言うんだぜ?」

 さっき作った“かえし”入りのスープを小皿に取り分けてサージが差し出してきた。

「豆茶飲みに寄っただけなのによ……まぁいいか。でも、俺の舌はマリーに鍛えられてっからな。少しうるせぇぞ?」
「ん~。私、トンコツスープって苦手なのよね……でも、味見くらいなら……」

 そう言って小皿を受け取った二人は味見をする。

「ん。旨いは旨いけどなんか足りねぇな……」
「……うん。これじゃダメね」

 味見した二人は即座に返答した。
 それを聞いたサージも頷く。

「だよな。何が足りないかな?」

 クローとマリーの返答を聞いていたラリーとキャシーは驚いて顔を見合わせて小声で会話をする。

「これでダメって……魔法の味付けが出来たらもっと旨くなるってことか?」
「そうとしか思えないけど……これ以上のスープなんか作ってどうするのかしら?」

 こそこそと会話をする二人を他所にクローが言う。

「タレに『醤油』を少し混ぜるといいんだろうけどな」
「うん、あと、出汁ね。何使ってるの? ……これじゃちゃんとした出汁は取れないよ。魚は干しただけじゃダメ。臭みが出るしね。『煮干し』でも作ったら?」

 マリーが言うには一度水で煮てから干すと臭みの少ない味の良い出汁が取れるそうだ。
 サージも煮干しは知っていたが思い出せなかった。

「なるほど。『煮干し』か。作り方は……ああ、それなら簡単に作れるな。でも、流石に『醤油』はな……」

 それを聞いたクローとマリーはいいことが思い浮かんだというような顔をする。

「ちゃんとした『醤油』はないけど『煎り酒』みたいなものは作ったわよ。使う梅干しの量を少し減らしてやれば相対的に『なまり節』の量も増えるから……」
「ああ、あれか。煮た魚をぶら下げてデンズルの街から運んだなぁ……」

 サージは聞き慣れない言葉を耳にして少し妙な顔をしている。

「『醤油』は当然知ってるけど、『煎り酒』ってなんだ?」

「ん~、大昔の『醤油』の代用品。って言っても死んだ時でも買えたけどね。本当は梅干しと『かつお節』に『日本酒』で作るんだけど、『日本酒』がないから焼酎に調味料混ぜて似たようなのを作ったことがあるの」
「そうそう。それに『かつお節』ってそう簡単にゃ出来ないから『なまり節』だけどな。でもマリーが言うにはそっくりだって……」

「梅干しは?」

「あんなもん簡単に作れるわよ。宿に戻れば前に作ったの残ってるから『煎り酒』作ってあげよっか? 梅干し少なめで」

「頼む!」

 サージの食いつきは激しかった。
 そのお陰でクローとマリーは午後のショッピングをキャンセルせざるを得なくなってしまった。



・・・・・・・・・


 数日後。

「むぅ……刺し身を食うには醤油よりいいかも……!」

 マリーに作って貰った煎り酒で白身魚の刺し身を一口食べたサージは歓喜に打ち震える。

「それが普通のやつ。で、こっちが梅干し少な目でちょっと味を調整した方ね」

 別の小皿に出された薄赤い煎り酒に刺し身を付けて口に運ぶサージ。

「あ……。うん。確かに醤油とは違う。でも俺、こっちの方が好きかも」

「そう? 作り方自体は簡単だし、これもあげるわ」

 小さな壺に入った二種類の煎り酒を貰ったサージは大喜びだった。
 煎り酒は確かに醤油に似ている部分もあるが、梅干しを使うだけあって酸っぱみもあるからどちらかと言うとポン酢に近いような調味料だ。
 スープに入れ過ぎてしまうと味が大きく変わり、トンコツや鶏ガラの出汁を損なってしまう可能性もある。
 しかし、アルコールに反応してまろやかになった梅干しや濃い出汁を加えているので醤油より旨味もあるので、サージは使い方次第だろうと思った。

「ところでこの『煎り酒』だけどさ。初めて聞いたけど飯の時に出せば皆喜ぶと思うよ。特にアルさんは刺し身が好きだから」

「うん。私達もこれ完成させたのって去年ジンダル半島を出るちょっと前なのよね」
「その後、領地の調査やらをしてさ。バルドゥックに着いたらすぐに冒険者として毎日ぶっ倒れそうになるほど扱かれてたからな。すっかり忘れてたんだ。でもサージのお陰で思い出せたから今晩にでもお披露目してみるよ」

 少し恥ずかしそうに言うクローとマリー。

「うん、それがいい。かぼすみたいな奴の汁や塩も悪くないけどな。これに比べたらな……ひょっとして転生者以外も刺し身を食うようになるかもな」

 ニコリと笑って壺を抱きかかえるサージ。

「うーん……」
「それはどうかな……」

 クローとマリーは微妙な表情を浮かべている。

「ん? だって、どう考えてもこの『煎り酒』使ったほうが刺し身にはいいだろ?」

「勿論私達も最初はそう思ったわ。だから、両親や弟にも食べさせてあげたことがあるの」
「うん……」

「食べりゃ判るだろ。旨いって」

 サージは不思議そうに言う。

「オースの人たちはそもそも生魚をあまり食べないのね。多少は生臭さが軽減されたことは認めてくれたけど……」
「それでも食感や嫌悪感が先に立つみたいでな……」

 生魚は沿岸で漁業を生業とする奴隷くらいしか口にしない。
 どちらかというと魚を生で食べる行為は野蛮であると思われることが多いのである。
 これはサージも納得の理由であった。
 殺戮者スローターズでも刺し身を食べるのは転生者に限られており、露骨に嫌がるメンバーも居る。

「煮付けにしたら美味しいって喜んで貰えたけどね」
「ああ、『煎り酒』は魚を煮るのに使ってもよく合うし、いいんだよ」

「ああ、確かに! 煮付けに使っても美味そうだな」

 サージは“かえし”が完成した暁にはアルに言って高級レストラン、ドルレオンで披露しようと思った。クローとマリーにはそれまで口止めしておけば充分だろう。



・・・・・・・・・



 翌々月。
 遂に“かえし”を完成させたサージは今生地を捏ねている。
 勿論、グルテン量の異なる強力粉や薄力粉などというものは存在しない。
 当然、中力粉などというものもない。
 ある意味で全てがグルテン量の少ない薄力粉であるとも言える。
 農業が発達しておらず、麦の発育もそんなに良くないからだ。

 だが、今作っているものは薄力粉で十分である。
 強力粉だとグルテンが強すぎてもちもちしすぎるからだ。

 かんすい代わりの重曹を混ぜ、生地に比べて僅かな量の卵の黄身を追加。
 よく捏ね、しばらく寝かせる。
 それを回転ナイフを外した挽き肉機にセットして出口のプレートを専用に作ったものに交換する。
 プレートには直径一㎜程の細かい穴が無数に開いている。

 ハンドルを回すと最初は硬い。
 だが、一度穴からにょろにょろと細長い生地が押し出され始めるとだんだんと軽くなってくる。
 細長く押し出された生地の長さを三十㎝程に切りそろえ、一人分ずつの量にまとめれば完成である。
 揉んで縮れは作らない。

「うん。これならOKだろう」

 早速少しだけ生地を茹で、一本だけ口に入れて呟いた。

「あとは……」

 鍋の様子を見る。
 中身を少し口にしてこちらも納得だと頷いた。

 その日の晩、新作の発表だと言ってアルに頼んで貸し切りにさせたドルレオンの厨房にサージとラリーが立っていた。

 まずはアルの好きなペイラムの刺し身だ。
 以前はアル自身がお造りにしていたが今では仕込まれたラリーの仕事になっている。
 ラリー自身、刺し身については好みではないが、ご主人様には逆らえないのである。

「終わったか?」

 最後に縁側を一口サイズに切っているラリーを見たサージが声を掛けた。

「ああ、もうこれで……終わり」

 大皿に広げられた薄造りの刺し身の真ん中にバラの花が咲いているように形作った縁側を並べながらラリーが答える。

「よし、じゃあこれな」

 小さな壺に入った煎り酒をラリーに渡すとサージは自分が面倒を見ている鍋の一つ、スープを温めている鍋に一瞥をくれるともう一つの鍋を覗き込んだ。
 こちらには昼ごろにフライパンで表面を焼き、丈夫な木綿の糸で円筒形に縛った豚のバラ肉が入っている。

 火を止めずにコトコト煮込み続けていて欲しいと料理長に頼んだサージもラリーの後を追って食堂へ向かう。



・・・・・・・・・



「ん、揃ったな。でも、刺し身だけか? それだと……」

 生魚を嫌うメンバーの心配をするアル。
 ゼノムも露骨に嫌な顔をしている。

「まぁまぁ、刺し身が新作って訳じゃ無いですよ。今回はこれ」

 そう言ってラリーが持っている壺を指差すサージ。

「実はこの中の調味料が主役です。作ったのはマリーとクローです」

 予めサージから話を聞いていたクローは隣りに座るマリーを促して立ち上がると頭を掻く。

「いやぁ、言うの忘れててさ。まぁこれを付けて刺し身を食ってみてくれ。塩やかぼすなんかとは一味違うはずだ」
「アル、忘れててごめんね」

 ラリーが一人一人の小皿にそっと壺の中身を小さなお玉で掬う。
 赤みがかって僅かにとろりとした綺麗な色が白い皿に映える。

「んんっ? 『醤油』か!?」

 小皿を見た転生者たちが興奮しだす。

「お? これが魔法の調味料、ショーユ?」

 転生者以外の者も聞いていた名前が出たためにざわめいた。

「残念ですが『醤油』とは違う。でも、昔は醤油の代用品だったものだってさ」

 僅かに胸を反らせてクローが解説した。

「『煎り酒』って言うの。まぁ、醤油だと思って食べてみて」

 マリーの説明を聞いた転生者達は我先にと刺し身に箸を伸ばす。
 転生者以外のメンバーも思い思いに手やフォーク、中には箸を伸ばす者もいた。

「じゃあ頂こうか……」

 しっとりとした鮃の刺し身に僅かに乗った煎り酒の赤。
 鼻を近づけるとほんの僅か、ツンと鼻を突くような独特の刺激臭もする。

「この香り……」
「梅?」
「あ……あ……うん……これ……」
「確かに『醤油』じゃない。でも近いな……懐かしい味」
「梅干し味だね」

 転生者達が刺し身を口に含むとふわっと上品な梅の風味が感じられた。
 だが、決して刺し身の味を邪魔するものではなく、むしろ懐かしさを感じる。
 ああ、刺し身はこうじゃなきゃ。
 そんな風に思ってしまうほど良く合った調味料だった。

 転生者以外でも口に合うと言って美味そうに食べるロッコやヒス。
 しかし、やはり抵抗感を残しているゼノムやケビンなど様々であった。

 それを確認したサージはまた厨房に戻る。
 今度は予めウロコを落とし、捌いてエラと内臓を抜いて下処理を終わらせておいたミーヴァルとケイスァーゴの煮付けを作るのだ。

 二十分後、完成した煮付けを持って再びサージが食堂に戻った頃にはあれだけ用意しておいた刺し身は一切れ残らずなくなっていた。

 一人一匹分用意した煮付けは大好評だった。
 マリーが教えてくれた、麦焼酎にロムス葉を何枚か沈めておくだけで日本酒のような香りになる調味料もその一助を担っている。
 煎り酒とロムス葉漬けの麦焼酎。それに砂糖を加えて煮付けているのである。
 表面が飴のような薄茶色に染まって、てらてらと輝く煮魚からは得も言われぬ良い香りが立ち昇っており……。

「うん! これは煮魚だよ!」

 ラルファが興奮している。

「これは……なかなか美味いな……ミュリゾーの二十年物の焼酎にも良く合う……」

 相変わらずプレミア焼酎を舐めるように飲むゼノムも、ほっこりとしてよく煮汁の染みこんだ身をフォークでつつきながら顔を綻ばせている。

「味も染みてるねぇ」

 パツンと張った皮に箸を入れると、ぷつっと音を立るように箸の穴が広がる。
 そして、その下からはほくほくの身が顔を覗かせ、ふわふわと湯気が立ち昇る。
 それを食べながらミヅチも目を丸くしている。

「これ、味もはっきりしてていいな」

 貴族らしく上品にフォークとナイフを使いながらもビンスは自分の前の魚しか目に入っていない。

「え? 砂糖使ってるの? 甘くて贅沢ねぇ……」

 転生者達を真似て箸を使い始めたジンジャーがうっとりとした表情を浮かべる。

「この煮魚は旨いな……止まらないよ」

 アチチ、と指をしゃぶりながらキムがカマの肉をほじっている。
 サージはキャシーの為に目玉をほじくって渡してやっていた。

 そして皆の目の前の魚が骨だけになり、酒を飲んでいた者にも少々酔いが回り始めた頃。

「そろそろいい頃合いだな……」

 サージはラリーに声を掛けて再び厨房に向かった。

 大鍋にぐらぐらとお湯を沸かし、その鍋の周囲に王都の職人に籐で作らせた深底の網のような妙な形をした調理具を幾つも引っ掛けている。
 その網に細長くした小麦粉製の生地、博多麺を泳がせるのだ。

「いち……に……さん……」

 一つ一つ網カゴを揺すって麺がくっつかないように菜箸でかき回しながらゆっくりと数を数えるサージ。
 その横ではサージが麺を茹でるお湯を沸かし始めた頃からラリーが忙しく立ち働いている。
 丼のような深皿に小さなお玉一杯の特製の“かえし”を入れて並べる。
 そこには白濁して独特の香りのするスープを大きめのお玉に一杯。
 もう一つの鍋から引き上げた豚バラ肉の塊、チャーシューを薄く切っておく。

 ライル王国から取り寄せた乾燥キクラゲ(ケンルッジ)を水で戻したものを細長くザクザクと切る。
 半熟に作った茹で卵の殻を剥き一晩“かえし”に漬け込んでいた壺の蓋を開ける。
 そして、みじん切りにして水にさらしておいた玉ねぎを用意する。

「十九……二十!」

 バッと複数の籐カゴを同時に鍋から引き上げたサージが全身を使って渾身の湯切りを行った。
 すでに並べられている四つの丼に次々と麺を落とし、箸で整える。

 その直後、一掴みのキクラゲ、スプーン一杯の玉ねぎみじん切り、半熟味付け玉子を一つ、丁寧に切ったチャーシューを二枚。
 ラリーはさっと盛り付けるとトレイに載せてスープが溢れない程度、可能な限り急いで食堂へ向かう。

「なんだそれ? どうも臭っせえと思ってたけどそれか?」

 白濁したスープに浮かぶ具や麺を見たサンノが尋ねるがラリーはニヤッとして、まずアルの眼前に丼を置く。

「ま、まさかとは思っていたが……『ラーメン』かよ!」

 ミヅチの前に置く。

「うふふっ。これトンコツよね。カタ麺にして貰う?」
「いや、まずは普通麺だろ」

 アルはとっくに啜っていた。

 トリスの前に置く。

「うーん、いい香りだ! ……ズロロッ。旨ぇっ!」

 ベルの前に置く。

「もう、最初はスープからって言ってたじゃない。あら? 流石に『レンゲ』は無いか……んっ、美味しい!」

「ちょ、ちょっと! 一口頂戴よ!」

 ベルの丼を見て箸を持ってにじり寄るラルファ。

「四人だけズルい! ちょっとラリー、どうなってるの?」

 ラリーに不満をぶつけるグィネ。

「当然俺達の分もあるんだよなっ!? な?」

 普段の姿からは想像出来ないほど行儀悪くも席から伸びるようにしてラーメンを見て叫ぶロリック。

「皆の分もちゃんとあるから心配しなさんな」
「そのうち出てくるわよ」

 予め話を聞いており試作品も食べて余裕のクローとマリー。

 転生者以外の人たちは臭そうで妙に細長い食べ物を喜んで食う四人を気味悪そうに見つめていた。

 だが、順々に運ばれてきた料理を口にすると……。

「何て濃いスープだ!」
「これ! 臭いけど美味しい」
「何だこの茹で卵、味がついてる!」
「これもショーユの魔力なのか!?」
「この豚肉も凄く美味いな」

 一言口にすると普段食器を使わない者も見よう見まねで箸やフォークを使って食べるのに夢中になっていた。

「「替え玉!」」

 アルとトリスの声が上品なはずのドルレオンに響いた。

 こうしてグリード商会の商会長は新事業に対して投資する決心をした。
 勿論、損益分岐については念入りに計算し、一杯九百Zとかなり値の張る価格が設定されたが「確かに高いが一度でも食えばいずれもう一度食いたくなることは請け合う」という転生者以外の声もその後押しとなったのは言うまでもない。

 
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