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男なら一国一城の主を目指さなきゃね 作者:三度笠

第二部 冒険者時代 -少年期~青年期-

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第二百六十四話 儀式

7448年1月2日

「ねぇ、またグィネ連れてくの? あたしはぁ~?」

 予想通りラルファが駄々をこねている。

「ねぇラルファ。あなたがいないと大変なの。わかるでしょ?」

 ベルが宥めるがあまり効果は見られない。

「ラルファ、ドラゴンと戦った時の失態を忘れたのか? 人のことは言えんが実力レベルが低くて醜態を晒したんだろうが……。お前は俺と一緒に毎日迷宮に潜るべきだ」

 ゼノムが一喝し、ラルファははっとしたような顔をして引き下がった。

 あの時の事については全員が記憶に新しく、また、戦力不足が祟ってエンゲラの死の原因となったと認識されている。
 ゼノムの言葉によって全員表情を固くして俯いてしまう。
 だが、何か重い決意のようなものを感じさせる目つきをしている奴も何人かいる。

「……トリス。焦って無理はさせるな。迷宮内で絶対に安全な場所なんかないが、それでも……くれぐれも安全には気を遣ってくれ」

 少し思い詰めたような表情をしたトリスに何度目かの念を押す。
 正直な話、多くのメンバーが二十レベルを超えている救済者セイバーズについては、本当に焦ってこれ以上の経験を積む必要なんか無いと思っている。

 むしろ迷宮なんかに潜らずにひたすら訓練に明け暮れて欲しいとまで思うんだよね。
 収入に関わるからそんな事言いやしないけどさ。

 一般的に言って二桁のレベルがあれば軍隊でもかなりの実力者と評され、年齢は三十代以上であることが殆どだ。ましてや俺達のように二十歳そこそこで二十こんなレベルの奴なんか見たこと無い。

 戦争に行って手柄を上げた騎士なんかだってここまで高レベルの奴なんか居ない。

 第一騎士団で団長をしていたローガン男爵だってそのレベルは十七だった。聞いた話だと彼は最初に騎士の叙任を受けたばかりの若い頃、ザーム公爵騎士団に所属していたのだが、当時ザーム公爵の騎士団はその三割程がダート平原に駐屯していた。その駐屯部隊に所属していた彼は戦闘という戦闘に参加して手柄を上げまくっていたそうな。まぁ、第一騎士団に入るような人はそんなのが殆どだからあそこだけは例外中の例外と言えるだろう。

 逆に言うと皆は二十歳そこそこでそういった人たち以上の経験値を得ているのだ。
 第一、もうそろそろこのバルドゥックの迷宮とはおさらばするのだ。

 え? 解り難い? ならちょっと脱線するけどいいかな?
 ……例えば、二十レベルになるには百万以上の経験値が必要になる。

 それだけの経験値を稼ぐためには、相手となる兵隊が十代後半でレベルが五~六程度だと換算しても三千人以上も殺す必要がある。
 勿論これは普人族のあまり経験を積んでいない奴を相手にすると仮定した場合であり、魔法の特殊技能や亜人特有の特殊技能の持っている奴、経験を積んだ高レベルの奴なんかを相手にする場合はもっと減るけど。

 一例を上げると俺がバークッドにいた頃に初めて殺した冒険者クラスが相手であれば、同じ経験値を得るために必要な数は数百人というくらいには減る。
 当然ながら相手のレベルがもっと高かったり、魔法を始めとする特殊技能を持っている亜人なんかが中心だと人数はもっと少なくて済むけど、そんな都合のいい話はそうそうないと思う。
 あのドラゴンみたいな高レベル且つ特殊な技能を持っている生き物がごろごろしてりゃ話は別だけど。

 尤も、経験値は訓練など別の手段でも得る事が可能なので、これらはあくまでも人を殺す事のみで経験値を得ると仮定した場合だ。
 それでも人に限らず、魔力(MP)を持った生き物を殺すというのは最高に効率の良いメソッドではあるんだけどね。

 ……これで判る通り、二十レベルというのは超人みたいなもんだ。
 そう簡単に手が届くものじゃない。

 姉ちゃんくらいの魔力(MP)を持っていて、その気になれば出来るだろうけど。
 それだって一回や二回の戦闘じゃ無理だろう。
 もっと多くの大規模な会戦が必要になる。
 幾ら魔力(MP)が多くても姉ちゃんみたいに六レベル程度の技能レベルだとまだまだ効率は悪いし。

 魔法の特殊技能はレベルが上がるに従って技能の経験値を得られる効率は低くなっていく。
 ここが肉体レベル上昇のための経験値とは異なるところだね。

 例えば、攻撃魔術を使って斃す事によって通常の経験値とは別に、百ポイントの技能経験値を得られるオークが居るとする。

 対象となる元素魔法のレベルがゼロであれば攻撃魔術でダメージを与える事によって百ポイントの技能経験値を獲得出来るが、レベルが上昇していくにつれて同じ相手に同じ手段で同じダメージを与えても得られる技能経験値は低くなっていく。
 最高レベルの一歩手前である八レベルともなるとゼロレベル時の二十%しか技能経験値が入らない。

 あ、念の為に補足しておくと、攻撃魔術を使うためには無魔法のレベルが一は必要だ。でもその場合は殆どダメージを与えられないので、普通は無魔法のレベルは三以上が必要になると考えられている。これは俺や姉ちゃんみたいに、有り余る魔力(MP)を持っていない限り事実に近いから今の例はあくまでも“理論的には”という枕詞が付くことは忘れないで欲しい。

 それはそうと、そろそろ話を戻そう。

 ライル王国に行くのは俺とミヅチ、グィネの三人だ。
 あとは戦闘奴隷を連れて行こうかと思っていたが馬が足りなかったので諦めた。
 今回は急ぎの旅でもあるし、以前の里帰りのように二人乗りをしてまで人数を増やす必要を感じなかった。

 因みに殺戮者スローターズの面々はそれぞれ自分用の馬を注文している。
 馬は、欲しいと思って買える金があってもタイミングが合わないと時間が掛かる買い物の筆頭だ。
 何しろあんまり数が多くないからねぇ。

 元々王都で商家を営んでおり、過去に馬を所有していたために伝手のあるグィネは納品も早かった。
 何より地理を覚える必要もあるから外す訳には行かないよね。

「そうそう、そうやって……ほれ」

 馬の足を支えてそよ風の蹄鉄ブリーズ・ホースシューの装着を手伝ってやる。
 今回の旅のもう一つの目的は、このそよ風の蹄鉄ブリーズ・ホースシューの能力の確認である。
 実際に河川や沼地を渡れるものであるのか、本当に半日も疲労しないのか、そういった事についても確認しておきたかったんだ。
 本来は往復で一月半以上が見込まれる距離だが、そよ風の蹄鉄ブリーズ・ホースシューの能力が鑑定の通りであれば期間はかなり短縮出来る筈だ。

 実際にどの程度短縮が可能であるのかを実感し、理解するためにも必要な旅だろう。

「じゃあ行ってくる。月末までには戻れると思う。頼んだぞ」

 見送りに出て来たゼノム、トリス、ベル、ラルファ、バストラル、キャシーとしばしの別れを交わしてバルドゥッキーを満載した俺たちはバルドゥックの街を後にした。

 あ、ミラ師匠たちだけどさ。
 結局住み心地のいい妖精郷を捨てることは出来ないって。
 ン百年も暮らしていて、あんまり不便も感じてなきゃ引っ越しなんかしないよなぁ……。
 亜神であるリルスに用意して貰った土地だという事も理由の一つみたいだ。

 でもまぁそれ以前に、大して付き合いのある訳でもない俺が誘ったってそうそう良い返事を貰える訳もないよね。
 ま、元々あんまり期待出来るような話でもなかったから仕方がないけどさ。
 勿論、そうは言っても完全に諦めた訳じゃないよ。



・・・・・・・・・



7448年1月8日

 いやぁ、やべーわ、このそよ風の蹄鉄ブリーズ・ホースシュー
 本当に荷物満載で休みなく半日駆けさせても馬は疲れないのな。
 川だって流れが早くて水面が酷く荒れていなければ問題なく渡れる。
 道から外れた湿地帯でもスイスイ進む。
 馬が疲労しないので、その気になれば休憩すら碌にいらない。

 お陰で、バルドゥックを出てたった七日、一週間とちょっとでライル王国に到着してしまった。
 それでも色々と試して時間を無駄にした事もあったし、人目に付くのを避けるためにわざわざ遠回りした事さえもあったので、素直に移動に専念していればもっと早いと思う。
 何しろグィネによると一日の移動距離は平均で百㎞以上。
 多い時は百五十㎞近くも移動した日さえあったのだ。
 帰りは帰りで別の道を選ぶつもりだから同じ位の日数は必要になるだろうけどね。

 因みに、騎手や水飲みの休憩を取らないで馬を走らせれば一日で二百㎞近くは移動可能だろう。
 時速十五㎞ほどのだく足で十二時間は移動可能だからだ。
 もう少し日の長い季節になれば多少の疲労をさせるつもりで更に数時間は移動出来ると思う。
 勿論もっと速い、限界に近い速度でもいいけど、そんな速さだと長時間乗ってるこちらが持たない。
 時速十五㎞だって半日も乗ってりゃくたくたになる。

 後先の事は考えず、緊急の伝令のような使い方であれば一日で四百㎞だって夢じゃない。
 最小限の荷物と人一人乗せて全力疾走すれば時速四十㎞は出せるからね。
 そんな速度なんて、優秀な馬でも普通は持って数分だけど、このそよ風の蹄鉄ブリーズ・ホースシューを履かせていればずっと競馬の馬に乗ってるようなものだし。

 グィネによるとバルドゥックからエルレヘイというライル王国の首都の入り口までは直線距離で六百㎞強だそうだ。
 以前ミヅチは千㎞はあると言っていたが、あちらこちらの街や村に寄り道する道の総延長距離による感覚のズレってところだろう。

 とにかく期待していた以上の性能には大満足だ。
 昼食をキンルゥ山の麓の村で摂った時、ミヅチが「蹄鉄を戻しておこう」と提案してきた。
 山道を登っても全く疲れを見せない馬は不自然だということがその理由だった。

 確かにそれも尤もな話なので素直にそよ風の蹄鉄ブリーズ・ホースシューを外し、普通の蹄鉄に付け替えた。
 蹄鉄の打ち直しはあまり慣れていない事もあって作業は難航するかと思われた。
 だが、言い出しっぺだけあってミヅチは蹄鉄の打ち直しにはかなり慣れていたので三頭の蹄鉄を打ち直すのに一時間ほどで済んでしまった。

 そして山道を登り始めて二時間ほど。
 まだ充分に日も高い。

「もう少しペースを上げとこっか」

 ミヅチが声を掛けてきた。
 まだまだ先は長いようだ。

 ミヅチに従って少しだけペースを上げる。
 すると、【部隊編成パーティゼーション】の命令が脳内に響いてきた。

“起きろ”

 ……ああ、見張りか。
 この暗号についてはここに至るまでにミヅチと話し合って取り決めていた。

「早ければキンルゥ山の麓から入り口までの半分を過ぎた辺りから、見張りが付くと思う。もし気が付いても気にしないで。可能なら気付かない振りをしてた方が見張りを緊張させないから良いかも」

 しかし、見張りなんか居るのか?
 俺には全く解らない。
 だけど、ミヅチが居ると言うのなら居るんだろうな。
 おい、グィネ、あんまりキョロキョロするなよ。

 それから二時間程。
 夕暮れ間近になってやっと入り口に辿り着いた。
 普通の蹄鉄に履き替えた馬も流石に疲れが溜まり始めている。

「話してくるからちょっと待ってて」

 ミヅチは馬から降りて手綱を引きながら門番らしい闇精人族ダークエルフの男に向かって歩いて行った。
 俺とグィネも馬から降りてその後姿を見ていた。

 門番らしき男と何やら話していたミヅチは一度俺達のところまで戻ってくる。

「やっぱり勝手には入れられないって。ごめん。もう少し待ってて」

 元々聞いていた話なので俺たちは素直に頷いておとなしく待つことにする。
 エルレヘイの入り口は小さな砦のような建物だ。
 その柵の外側でグィネと二人、馬にブラシを当ててやっていた。

「地下都市ってどんな感じなんでしょうね?」

 俺に聞くなよ……。
 俺だって一度も見たことないんだし。

「俺も話に聞いただけだからな。よく知らん。暗いらしいけど迷宮よりはマシだそうだ」

「今朝ミヅチさんが言ったまんまですね」

 仕方ないだろ……。

 下らない話を続けること数十分。
 やっと戻って来たミヅチによるとやはり中には入れて貰うことが出来ないそうだ。
 だが、この砦の一室に宿泊することは許可が下りた。
 たまにやって来る商人なんかが使うこともあるらしいので、客室が幾つかあるとは聞いていた。
 許可を得たことを見張りのリーダーらしい人に伝えたミヅチはちらっとだけ俺に視線を送ると再び地下都市へと戻って行った。

 部屋に閉じ籠もっているのもなんだか印象が悪い気がしたので、グィネと二人で沈みゆく夕日を眺めて過ごすことにした。
 真冬の上に、標高千m程。
 砦の門のあたりで寒さに震えながら熱いスープを飲んで真っ赤な太陽を見る。
 太陽はあっという間に沈み、手持ち無沙汰になる。

 仕方がないので砦に引っ込んだ。
 グィネと俺は別々の部屋に分かれているので話も出来ない。
 砦の中は決められた場所以外通るなと言われていたし、廊下や食堂で駄弁るのも気が引けたからだ。
 勿論、どちらかの部屋に行って話すことについても戦士長か元老と話をするまでは控えておいた。

 そうしているうちに二時間程が経ち、やっとミヅチが戻って来た。
 お兄さんを連れて来てくれたのだ。

 今まで旅の目的について尤もらしい事を言って誤魔化してきたが、正直に白状すると今回の一番の目的はミヅチのお兄さんに挨拶をすることだ。

 お兄さんは話に聞いていた通り、相当病弱で体も弱っていた。
 お兄さんと一緒にミヅチに紹介された叔父夫婦と従兄弟によって戸板で運ばれて来たのには少々驚いた。
 話には聞いていたがここまで悪くなっていたのか……。
 ここ一年程で自力で歩くこともままならないようになってしまったらしい。

 どうせ後でミヅチに訊かれるだろうから【鑑定】してみると【状態:全身性自己免疫疾患】という、厄介そうな名前だった。
 リウマチは日本でもかなり高額な医療費を必要とする難病だったな……。

 だが、意識ははっきりしており静かな声でなら喋ることも出来る。

 横たわったままで失礼する、と辛そうに言うお兄さんに対して俺は丁寧に挨拶をする。
 ミヅチには俺の挨拶と話が済むまで薬を渡さないで欲しいと言ってある。
 勿論、一刻を争うような事態にでもなっていたら別だけど、その心配はいらなかったようだ。

「夜分に申し訳ありません。でもお会い出来て嬉しいです」

「気にするなかれ、グリードさん。毎日ミヅェーリットが貴兄の世話になっているらしいからありがとう存じまする」

 弱々しいが、それでもしっかりと聞き取れる声で喋る。
 デュロウ語(デュロウリッシュ)ラグダリオス語(コモン・ランゲージ)には共通点も多いから意味は判る。
 後で聞いたらデュロウ語(デュロウリッシュ)じゃなくてライル王国で習うラグダリオス語(コモン・ランゲージ)だったんだけどね。

 さて……。
 あー……緊張するわ。

「お体に障るでしょうから単刀直入に申し上げます。チズマグロルさん、妹さんを、ミヅェーリットさんを下さい。必ず幸せにします。本日はチズマグロルさんのご許可を得に参りました」

 お兄さんは少しの間意味を掴みかねていた様子だったが、すぐに驚いた顔をした。
 意外だったのだろう。

「ミヅチ”!’%$#’)”?」

 ミヅチに何やら話し掛けている。
 ミヅチも真剣な顔で何やら答えていた。
 側に控えていた叔父夫婦なんかも参加している。

 ……生前、美紀のご両親に初めて挨拶に行った時もこんな気持ちだった。
 二度目でも慣れねぇな。

 本音を言うとこんな風に緊張する挨拶なんかわざわざしたくはない。
 勿論オースでも結婚の許可を相手の家族に得るということは重要であるとされる。
 特に貴族の継嗣が絡む場合なんかはそうだ。
 同じ街や村に住む平民や自由民なんかでもそうだ。

 だが、そうしたくても出来ない人も大勢いるのだ。
 買い取られた奴隷なんか結婚どころかどこに居るかすら判らないことも多いしね。
 貴族や平民の次子以降なんか家を出たらそれっきり。
 死ぬまで、いや、死んでも会えないなんて珍しくもない。

 居場所を知っていたとしても物理的な距離が離れているなんてのは挨拶が出来ない理由の最右翼だし、ましてミヅチは危険な戦士階級に属している。
 エルレヘイを出る時にはこれが今生の別れになる、なんて冗談ではなく本気で思われている。

 だからミヅチは事後報告だって問題はないと言っていた。
 特に成人している同士であれば結婚については事後報告なんて珍しくもないし。

 でも、俺は必要な事だと思っている。
 どうしても不可能であれば仕方ないが、例えそよ風の蹄鉄ブリーズ・ホースシューが無かったとしても挨拶に来ることは不可能ではないのだ。
 ならばすべきだと思うだけだ。
 それに、家族の結婚相手を知っておきたいというのは人情だろう。
 これはオースだろうが地球だろうが共通の思いだと思う。

 って、話長いな……。
 ひょっとして、反対でもされているのだろうか?

「グリードさん。妹を可愛がって願います」

 ……。
 あ。

「ありがとうございます! お義兄さん!」

 後で聞いたら最初は反対されたらしい。
 どうもミヅチはエルレヘイでの評判が高まっており、結婚の申し込みがかなりあるらしかった。
 女王陛下の特命を帯び、立場は元老と同格。そして金の心配も殆ど無くなったためにかなりいい家の男からも結婚の申し込みがあったんだってさ。
 兄としては妹の結婚相手はどこの馬の骨とも知れない外国人の、まして他種族なんかより同族の方が良かろう。
 反対されたのも解る。

 でも、最終的に許可を貰えたのだから結果オーライと言うべきだろう。



・・・・・・・・・



7448年1月11日

 結局エルレヘイに立ち入る許可を得る事は出来なかったが、ファントーヅとザグロッチという二人の元老と会談を持つことが出来た。また、改めてザーゲルフォル戦士長とも言葉を交わす機会を得る事が出来た。

 必要なことを話し無事に交渉を進めることが叶ったのは、トゥケリンから俺について色良い報告が行われていたことも寄与していたと思う。
 勿論、トゥケリンを通じてバルドゥッキーの納入とダート平原の調査など、ライル王国にとってプラスの動きをしているから、というのもあるとは思うけど。

 また、贈り物のバルドゥッキーは大歓迎を受けた。
 いつものプレーンだけじゃなく色々な味付けのものをアソートしているからそちらも驚きを持って迎えられたようだ。
 ミヅチの従兄弟たちもニコニコと笑いながらバルドゥッキーのお礼を言いに来てくれた。

 なお、お義兄さんの薬が完成し、服用を始めたために早逝の心配も無くなったことも特筆すべきであろう。

 ミヅチと関わりのあった数十人に見送られて、この日の朝早くにエルレヘイを後にした。



・・・・・・・・・



「いいなぁ、ミヅチさん……。私、お父さんもお母さんももう居ないから……」

 帰り道、グィネがぽそりと言っていた。

「私の結婚相手は一度お父さんにダメ出しされるのが理想だったんです。それでも何度もお願いに来てやっと許して貰えるんです。なんかそんな事を夢見てたんですよね……」

 とか言ってんの。
 そんなの、男の方にしてみりゃ最悪じゃねぇかよ。

 
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