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男なら一国一城の主を目指さなきゃね 作者:三度笠

第二部 冒険者時代 -少年期~青年期-

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第二百五十三話 大深部

7447年11月23日

 流石にかったるくなってきた。
 何が? って、クローとマリーの促成栽培だよ。
 それでも僅か三ヶ月程度にしてようやっと一四レベルが見えてきたから驚異的な速度で経験を積ませていることは確かだ。

 このペースを維持出来るのであれば年末には一五レベル、と言うのもあながち夢ではなかろう。

 ランニングも毎日七層でオーガを倒した直後、安全を確認して片道二百mくらいのコースを五十往復、二十㎞は走っている。一応警戒のために鎧だけは着させていることもあって最初は三時間くらい掛かってた。
 今は二時間半近くにまで縮まっている。
 ああ、勿論、走ることについての強制はしていない。
 二人は自主的に走っている。

 死にそうな表情を浮かべて走る彼らの横で俺も一緒に走っているが、かなり遅いペースに付き合うのもしんどい。

 ランニングの後で三十分近くも休憩しないと碌に動けないのもどうかと思うね。
 まだまだ基礎体力が足りないな。

 ……当初のバストラルよりはマシか。
 バストラルには鎧着せてなかったし。

 休みの日なんかにみんなで走っている時でも鎧を着ているのは俺だけなんだけどさ。

 ランニングは置いておいて、この三ヶ月位の間の殺戮者スローターズの皆について話そう。
 驚くなよ? なんとそれぞれのパーティーが別々に魔法の品(マジック・アイテム)を得ていた!

 根絶者エクスターミネーターズは三層をうろついていたホブゴブリンの一団のリーダーらしき個体から末端価格で一千万Zを超えるような、超高級どころではない、最高級とも言えるような腕時計の魔道具を入手していた。それと五層の祭壇からこんなものを手に入れていた。

 喜び勇んで俺に鑑定の魔術を求めて来たラルファをリーダーとしたロリックたち八人。
 呪いの品(カースド・アイテム)の可能性もあるから装備はせずにステータスで名前だけ確認してそのまま持ってきた。

 勿論俺も興奮しつつ鑑定したさ。

光の剣(ライト・セイバー)
【バシュト鋼】
【状態:良好】
【生成日:18/10/7447】
【価値:1】
【耐久値:4096】
【性能:89-159】
【効果:強力な光の魔術を宿した剣。きちんと柄を握って鞘から引き抜くと、刀身全体から白色の光が発する。この光の強さは大きな篝火十個よりも明るい】

 バシュト鋼ってのは何やら知らなかった。サブウインドウを見てみると、一般的な鋳鉄よりはかなりマシだがステンレスには及ばない程度の鋼らしい。そこそこ珍しい物のようだ。まぁ、地球で使われていた中世の剣程度は期待出来るみたいだ。

 ところで……光の魔術? 光の魔力だと光の魔法じゃなくて?
 ひょっとして効果時間のないライトの魔術が掛かった程度なのだろうか?
 光を発する以外に魔法的な効果があるという説明もない。
 でも、魔剣は魔剣だ。

「魔力も感じるし、光の魔術が込められているようだから確かに魔法の剣だろう。どうする?」

 どうする? と言うのは勿論売るか、誰かが使うのかの確認だ。
 売るなら俺の戦闘奴隷の二人を除き、俺を加えた七人での頭割りが報酬だ。

「取っといた方がいいんじゃない?」

 と言うラルファに同調するルッツ。

「いや、魔法の武器(マジカル・ウェポン)としては大した事なさそうだし売っちゃった方が良くね?」

 と言うサンノに同調するロリックと彼の戦闘奴隷のデンダーとカリム。
 仮に俺がラルファに賛成したとしても多数決で売ることになる。
 っつか、こんなの取っといても仕方ないし、見た目が派手だから良い値が付く可能性もある。

「売るなら仲介するけど?」

 結局腕時計と一緒にサンダーク商会行きとなった。

 そして、虐殺者ブッチャーズが手に入れた逸品は六層の祭壇からだ。

毒の短剣(ポイズン・ダガー)
【ミスリル鋼】
【状態:良好】
【生成日:2/11/7447】
【価値:1】
【耐久値:25000】
【性能:28-52】
【効果:装備者が攻撃を成功させる(刀身の三分の二以上が相手の体内に突き込まれた場合)と強力な毒が分泌される。但し、毒が効果を発揮する為には攻撃された対象のレベルと装備者のレベルが関係する。装備者と同じレベルであれば毒は五十%の確率で効果を発揮する。対象のレベルが装備者のレベルを一上回る毎に毒が効果を発揮する可能性は二%減少し、一下回る毎に毒が効果を発揮する可能性は二%上昇する。対象が毒を受けた場合、強い倦怠感、悪寒、発熱に襲われ、その効果によって十時間毎にHPがその最大値と共に一ずつ減少する。そして、有効な治療が行われないまま、元の最大HPの半分以下になった時点で対象は意識が混濁し行動不能となる。
 治療には毒の効果を打ち消す魔術か、毒を抜く魔術を対象に掛ける必要がある】

 名前が名前なので結構ビビりながら鑑定を頼まれた。

「呪いは掛かってない……ふうん、半々くらいの確率で刺した相手に毒を喰らわせるみたいだな。でも、その為にはこの辺まで突き刺さないとダメらしい。掠り傷じゃダメなんだな。あと、毒は少しづつダメージを与えていくようなものらしい。食らっても結構長い間生きてるっぽいな。普通の人でも一ヶ月近くは生きてるだろうけど、そのくらいで倒れて何も出来なくなるから治療しないと毒よりも先に餓死するだろうな。治療は毒中和ニュートラライズ・ポイズン解毒リムーブ・ポイズンの魔術で大丈夫そうだ」

 この時リーダーを務めていたのはズールーだ。

 だが、ロッコが「捕虜とか取った時の拷問に使えそうだな」と呟いたのを受け、他のメンバーは全員一致で売りたくないと言った。
 それを聞いた俺は、拷問ねぇ……と思って声も出なかった。
 皆そこそこ金に余裕もあるようだから、納得するならそれでもいい。
 言い出しっぺなんだし、ロッコ、あんたが持っといてくれと言ってロッコに押し付けた。
 ロッコは嬉しそうだった。

 冗談でも刃を舐めるなよ?

 多分大丈夫だろうけど。

 で、救済者セイバーズだ。
 彼らは九月中には十層の転移水晶の間を、十月中には十一層の転移水晶の間の基地化を終了させていた。十一層の基地化の際には初めてクローとマリーの二人を根絶者エクスターミネーターズに組み入れてトリスに指揮を執らせ、俺も久々に救済者セイバーズに戻っていた。

 丁度その時期にジンジャーが迷宮に入る前の晩に生理になってしまったので、虐殺者ブッチャーズに二人分の空きが出来たことも大きい。虐殺者ブッチャーズにはバストラルとエンゲラをリーダーとして派遣した。

 十一層のワイヴァーンは相変わらず復活しておらず、霧が渦巻いているままだった。
 ライトニングボルトの檻も出来ず、七色の柱が立ち上ることもなく、モンスターの一匹も見掛けることなく転移水晶の間に到着していた。

 で、十二層についても覗くだけ覗いていた。

 十二層については後で話すとして、その間に一千万クラスの魔道具を三つ、三千万クラスの魔道具を一つ、億を超える魔道具を一つ得ていた。また、魔法の武具(マジカル・アーム)も一つ入手していた。

急所狙いの剣ソード・オブ・エイミング
【ミスリル鋼】
【状態:良好】
【生成日:3/11/7447】
【価値:1】
【耐久値:65000】
【性能:90-160(+10)】
【効果:至って普通の長剣に見えるが非常にバランスよく作られており、狙い通りの場所に命中させやすくなっている。狙った場所に正確に命中させ易くなる事で、通常よりも高威力のダメージを与える可能性が高い】

 これも価値ある逸品だと言える。
 だが、鍔の造りのせいでまたしても俺の木銃に格納することは出来そうになかった。

 ミヅチは既に魔剣を使っているうえ、きっとこれより強力だろう。
 ゼノムとラルファの二人も魔法の斧を使っている。
 それに、ゼノムはともかくラルファは剣を使うのが下手だ。
 ベルも長剣ロングソードではなく、歩兵用の剣(ショートソード)を使っているし、それも魔法の剣だ。
 トリスが使っている炎の剣(フレイム・タン)もこれより強力だろう。
 ズールーは両手剣バスタードソードを普段片手で使っているから下位互換可能なので大丈夫そうな気もするが、十㎝単位でリーチが変わると大変だろうし、いざという時の両手攻撃が出来ないのはなぁ……。
 エンゲラは段平ブロードソードだからそのまま置き換え可能か……。
 むしろナックルガードが無くなる分、右手の籠手をマシなものに変更可能……結構重さが変わるか。
 グィネとバストラルは槍が主武器(メイン・アーム)であり、剣なんか碌に握った事もない。
 カームも小刀を使っているし、キムも槍だ。

 救済者セイバーズでの使用は微妙なところだな。

 とすると虐殺者ブッチャーズ根絶者エクスターミネーターズでの使用か。

 誰がいいだろうか?
 長剣を使っているのはロッコ、ビンス、ロリック、サンノ。それに俺の戦闘奴隷のヘンリーとメックか。
 実力から考えるとロッコが頭二つ三つ飛び出している。
 と、言うより、迷宮内で前衛に立つ冒険者としてはゼノムに近い実力だ。
 対モンスターであれば、銃剣を使わず、長剣だけの使用に限定してどっしり構えた俺と互角ってところだし。

 前衛に立つメンバーの中では攻撃の為に剣を振るえるくらい余裕があるのはロッコだ。
 勿論、他のメンバーも攻撃する事もあるが、前衛はあくまで防御が主体で剣も防御的な使い方をすることが多い。
 対して実力が高い分、ロッコは余裕を作り出すのが上手で結構な割合で攻撃する。

 こりゃどう考えてもロッコだな。

 俺に長剣を預けられたロッコは、思ってもいなかったのか震える手つきで受け取っていた。

魔法の剣(マジカル・ソード)だぞ!? 本当に俺が使っていいのか!?」

 俺は「それで皆を守ってやってくれ」と言っておいた。戦闘奴隷を含む殆どのメンバーが同様な事を言ってロッコの肩を叩いていた。だが、ズールーとエンゲラが不満そうな顔をしていた。

 言いたいことがありそうだったので後で話を聞くと、

「今回の魔剣こそご主人様がお使いになられるべきだと思います」
「あんな頭の足りない精人族エルフなんぞに使わせるなんて……トロール・キン五匹は強力な相手でしたのに」

 とか言ってた。
 いや、俺も使いたかったよ?
 でも、俺、銃剣使わないとパワーダウンじゃん。
 仕方ないじゃんよ。

「しかし……!」
「それでも……!」

 しつこかった。
 お前らがそう言って俺を立てようと、そして心配してくれるのは有り難いけどさぁ。
 前にも言ったことあるじゃんか。
 あんな魔剣なんか使わなきゃいけないほど、お前らから見て俺は弱いのか?

「ですが、魔剣です!」
「そうです! 奥様も仰っておられたではないですか! 魔剣でないと攻撃の効かない魔物も居ると!」

 もしそんな相手が出てきたら魔法使うからいいよ……。
 これじゃいつまで経っても埒が明かないと思ったので、

「何だよ? 俺が決めたことに文句あんのか?」

 と言ってようやっと黙らせた。
 ……二人ともポイントマイナス一な。
 何のポイントか知らねぇけど。

 ……しかし、こんなに何度も何度も奴隷に意見を許すなんて俺もまだまだ甘いよな?



・・・・・・・・・



7447年11月29日

 今回もクローとマリーの二人を根絶者エクスターミネーターズに任せて五層で泥臭い戦いをさせている。根絶者エクスターミネーターズのリーダーはベルだ。虐殺者ブッチャーズにはキムが行っている。で、俺は救済者セイバーズに戻っている。既に十一層の基地化は済んでいるので、今回ギベルティは工場の方へやっている。

 先月、十一層の基地化の際に十二層を覗いているが、調査をしてみたかったからね。

 まぁ、見た感じは……その、なんだ。十一層もかくやと言う程の……。
 うん。壁がないのは一緒だ。
 それから、昼間のように明るく、見通しは七層のように良い。
 上空には雲も見えるし、遥か中央部には爪楊枝よりも細く見える柱が立っている。
 あと、必ず外壁の際に転移する事も一緒のようだ。

 だが、もっと大きな問題もある。
 恐らく、十二層と十三層はくっついている。
 いや、くっついているというのは表現が悪かったな……繋がっている、と言うべきか?
 地面は、まるで円筒形の迷宮の内壁中間に広げられた巨大な網脂のよう……。
 空中に幅十~百mほどの遊歩道や桟橋のようなものが残されている(?)だけで大部分が巨大な孔だった。

 孔は歪な円状の不定形をしており、その大きさもまちまちだ。
 また、その直径は小さいものでも差し渡しは優に二百mはあり、大きいものだと㎞単位だと思われる。

 遊歩道の方は乾いたような地面で、場所によって多少の山や谷のように高低差はあるが、勾配の急な坂などは殆ど無いように見える。
 歩道の各所には今までの階層にもあったように大きい物は直径五m程度の岩が残されている場所もある。
 因みに、植物らしき物はぺんぺん草の一本すら生えていない。

 で、当然その孔からは下の層である十三層の底を見る事が出来る。
 下の階層を見下ろすとすぐに判るが、恐ろしいことにこの地面の厚さは薄いところだと十m程度しか無い。外壁にくっついている幅百m程のきわはオーバーハングのようになっているようだから、地面を踏みしめている感じもするのでまだ安心していられる。けれども、複数の孔の隙間などで遊歩道よりは少し大き目の、まるで桟橋で繋がっている浮き島のような辺りが問題だ。浮島の裏っかわは寸詰まりの鍾乳石の石筍のように、他の場所より地面が厚く垂れ下がっている。

 幅が狭く、厚みもない孔と孔の中間地点のような遊歩道が、もしも何らかの要因で崩れ落ちたら、島も重みで落っこちそうな印象を受ける。

 で、極めつけは、孔から見下ろすと下の階層に突き刺さっている(?)人工的な構造物が見える。直径は数百m、高さはその何倍もあるようだ。
 恐らくはあれが収集端末兼変性装置とやらなのだろう。
 やはり宇宙船ではないらしく、ロケットの下部にあるようなエンジンノズルみたいなものは無い。
 下にあるのかも知れないけど。
 また、遠くて判り難いが表面は金属のようで、何やら凸凹と構造物が突き出しているような場所もある。

 それから、十三層の地面は中央が盛り上がった山になっているようだ。
 収集端末兼変性装置が突き刺さっているのはその山の結構上の方だ。
 突き刺さった衝撃によるものか、その周囲は大きく崩れ、山に大穴を穿っているようにも見える。
 円形をした迷宮の中心には山の中心を貫くように柱が生えている。
 山の表面も含めて地面の大部分は深い森に覆われているようで、一面に緑の絨毯を敷き詰めたようにも思える。

 下の層は山があるからか、この十二層のように孔は開いていないようだが、この層との高低差は……山の天辺ですらも高過ぎて判んねぇよ。
 十㎞?
 それじゃエベレストより高い。
 でも、迷宮の直径が十㎞だとしたらそのくらいはありそう?
 山の麓が十㎞くらいかね?
 と、すると山の高さは二㎞くらいかな?

 でもそうすると、雲は眼下に無ければ……地上じゃないし、迷宮内で一体何を気にしてんだろうね、俺は。

 まぁ、十二層はこんな感じ。
 視界も良好だし、十一層から転移した際の合流についても試してみた。

 近ければ見える。
 外壁際を歩く分には何事も起こらないようなので、合流自体は十一層よりも楽に出来るだろう。
 中心を目指すにしても、桟橋は細いところで十mくらいはありそうだから足が竦んで動けなくなる、なんて事もあるまい。

 ……これは、虐殺者ブッチャーズ根絶者エクスターミネーターズも連れて来るべきか?
 モンスターが居ないように見えるが、十一層のようにワイヴァーンみたいなのが居ないとも限らない。
 居ると仮定して多数で当たった方が利口かな?

「十一層や下に見える十三層? ならそうでしょうね。でもここはどうかと思うな」

 ミヅチが気になることを言った。

「何で?」

「なんとなく、なんとなくよ? 根拠はないんだけど……」

「勿体つけるなよ」

「ドラゴンが居そう」

 ほほう、ドラゴンね。
 それはそれで心筋採れそうだから大歓迎だろ!
 それに、なんつったっけ、そうだ、“竜殺し(ドラゴンスレイヤー)”と名乗れるんだろ?
 これ以上ない箔付けじゃないか。

 ……って、捕らぬ狸の皮算用は置いておいて、ドラゴンとかそれはどうなのよ?
 十一層の柱みたいに上空には見張所のような張り出し、と言うか、瘤も無い。
 下の方にも見える範囲では同様の張り出しは見つからない。
 今立っている場所から見て柱の反対側にあるのかも知れないけど、散々転移を繰り返して結局見つかっていない。
 ドラゴンが居そうな場所、無いぞ?

 俺達の会話を耳にした救済者セイバーズの皆は、いつの間にか俺とミヅチを囲んでいた。

「普通、ドラゴンはワイヴァーンと同じように空を飛べるわ」

 それは聞いたことがある。

「あと、ブレスを吐く」

 それも聞いたな。でも、フロストリザードだとかレッサーヨーウィーみたいに有効範囲はいいとこ二十~三十m程度じゃねぇの?
 それ以上の距離が開いたら拡散して加速度的に弱まるだろ?

「うん、そうかも知れない。でも、ドラゴンの大きさが判らない以上、なんとも言えないと思う。ワイヴァーンの大きさを考えるとその何倍かはあってもおかしくないような……」

 ってことは、二倍で全長三十mくらいか。今までのブレスを吐いてきた敵の大きさを考えると全長の五倍程度は有効範囲だと言える。
 ってことは百五十……?

 確かに合流は考えものか。
 固まっているところにブレスを吐き掛けられたら取り返しの付かない大被害を受けそうだ。

「この層は空を飛ぶ相手から隠れられそうな場所も少なそうだし……」

 確かに。

「ミヅチが言う事は理解できるな」

 じっと話を聞いていたゼノムが組んでいた腕を解きながら言う。

「だが、それはこの網みたいな場所で戦うのなら、だろう? 下に見える次の階層で戦った場合は木が邪魔になると思うから合流して人数を揃えた方が良いと思うが……」

 確かにゼノムの言う通り。
 この層でなく、下に見える層で戦うのであれば……。

 ふと気が付いた。

 転生者であったヴァンパイアロードは一番最初、どうやってあの装置まで行ったんだ?
 偶然に四層の転移のプレートを見付けたのか?
 まさか!? 天文学的な確率だろ?

 恐らくだが、バルドゥックの迷宮の位置に装置がある事自体は前もって知っていた可能性が高い。
 何しろ自分たちが乗っていた宇宙船から自分たちの手で打ち込んだらしいからな。
 だいたいの位置くらい覚えていても不思議じゃない。
 その近辺まで来た時にクレーターがあり、同時に地下迷宮があることを聞いて思い至ったのではなかろうか。

 バルドゥックの迷宮に入った時には既にヴァンパイアロードになっていた可能性もある。
 直接の戦闘力も高かった。それに、あの魔法の腕と大量のMPがあれば地上から潜ってもここまで来ることは可能だったのではないだろうか?
 だとしても階層守護者はどうしたのか……?

 アンデッドだけに迷宮に外部からの侵入者だと見做されなかった……?
 それなら階層守護者との戦闘は発生しない可能性もある。

 ……としか思えない。

 
 剣の腕ですが、ロッコが強いだけです。盾も使ってるし。
 アルもかなり強いですが、ステータスに乗っかっているところもあります。

 能力値はレベルアップ時に上限が増加するだけでなく、同時に能力値の熟練度にもボーナスが加算されます。レベルアップ時の熟練度ボーナスは前のレベルでの行動によって決定された基本値(普通は10くらい)に対して、出生時の運によって決定される係数値(下限1、上限50ですが、中央値は5~6くらいです。転生者は大体7~8くらいと比較的高い傾向にあります)が乗算されます。

 そこから導かれた数値がレベルアップ時の熟練度ボーナスとなります。なお、この数値1000が“実際の使いこなしている能力値”の1に該当します。勿論、レベルアップに頼らず、訓練を重ねることで僅かずつではありますが上昇させることは可能です。

 ですので、純粋な剣技だと第一騎士団の団長や隊長クラスは疎か、ゼノムにも後れを取るでしょう。但し、これはテクニックに関することであり、現時点の能力値熟練も含めた肉体的な白兵戦の総合力ではアルは世の中でも上澄み最上位の方です。

 剣を振る速度や振り下ろした剣を引き戻す速度、修行した型に囚われないボディバランスなどは剣の腕とは関係がありません(全く無い訳ではありませんが)。これらは能力値をどれだけ使いこなしているかという範疇になります。

 また、武器の使用(今回の場合は刀剣類、特に長剣ということになります)は、その武器の熟練度合いが基本になります。武器の熟練度合いとは、その武器を使用して稽古をした経験です。

 因みにアルの係数値は7で、ファーンは47です。基本値が10だと仮定すると、アルはレベルアップ時に能力値の熟練値が70(能力値が0.07増えるのと同義)増加しますが、ファーンは470増えます(能力値が0.47増えるのと同義)。
+注意+
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