挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
男なら一国一城の主を目指さなきゃね 作者:三度笠

第二部 冒険者時代 -少年期~青年期-

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

365/509

第二百四十九話 換金 1

7447年7月19日

 地上に戻った俺たちはそのままの足で宿に戻った。
 ゼノムとギベルティはともかく、ラルファとグィネという一部の例外を除いて何となく足取りも重い。
 あ、転生者八人のうちで二人と言ったら二十五%だよ。四分の一とか、一部どころか結構な勢力じゃねぇか。

 とにかく今回の迷宮行で思いもよらない事を知ってしまったのが一番の原因だ。
 勿論、雰囲気が暗いというのではなく、単に改めて知った知識が多過ぎたことが原因で頭が混乱しているのに近い。
 殺戮者スローターズの他のメンバーが迷宮から戻るのは明日の予定だから、それまでに整理しておきたい。
 明るい話題だって沢山あるんだし。

 全員揃っての晩飯の時にはまた全員で整理しなおした。

 そもそも、大昔に宇宙人がやって来ているなんて今の俺達には何の関係もない。
 地球やオースから何らかの文化的なデータを収集しているからと言って、だから何だというのだ。
 惑星の環境を改造していたとしても、結局その御蔭で住めているのは事実なんだろうし、本来は感謝すべき事でもある。何となく悔しいけど。

「大体よぉ、オース、いや、ルーグ3だっけか? 星系の中心星ってのも疑わしいだろ?」

 俺の疑問提起に頷く奴もいれば不思議そうな顔をする奴もいる。

「なんで?」

 不思議そうな顔の代表格、ラルファが返事をする。

「なんでって、お前、恒星って本来むちゃくちゃ重いんだぞ? 太陽は地球の二百倍以上の直径だし、重さなんかン十万倍の筈だ。恒星が光ってないのもあるけど、普通は『パルサー』だしな。だとすると重力なんか……」

 トリスが講釈を垂れ始めた。
 要するに、仮にルーグ3(オース)を地球と同程度の大きさ、質量と考えると不自然極まりない。
 星系の主星たる恒星(恒星の恒は恒常的にそこにあって移動しないという意味だ。光を発する星だけじゃない)としては質量が小さすぎる。
 この星系の太陽も太陽系の太陽と同じくらいの大きさなんだろうという推測も混じっている。
 何しろ光る星ってのはすっごくでかくて重いからね。
 これには多方面から横槍が入った。

 つまり太陽系の太陽と地球と同じくらいの距離であることと、オースの太陽の年齢(?)も同じくらいであると仮定しなきゃいけないからだ。
 距離が近ければ太陽はもっと小さくたっていいし、オースの質量が重くたって成り立たない。
 尤も、あまり重すぎると重力も増大するので地球と同様の炭素系生物が育たない。

 酒が回り始めてそういった事をくどくどと話し始めている。

「っつーかさ。なんでいちいち地球を引き合いに出すの? 何て言ったっけ? ああ、そうそう、天文学アストロジーでも解明されていない事の方が多いんでしょ? オースだって解明されていない星ってだけじゃん? 星の大きさとか重さとか知ったところで意味無いと思うんだけど」

 ラルファが学問の存在意義自体を問うようなことを言う。

 勿論、結構なツッコミが入るが、あっけらかんとして「じゃあ魔法とかモンスターとか説明してよ。魔法は超能力で説明がつくかもしれないからモンスターでいいや。アンデッドとか存在する方が意味解んないよ」と言って黙らせた。

 そう言われると確かになぁ、という気持ちになる。

 アンデッドはともかくとして、ミノタウロスとか本当に意味が解らない。一体どう進化したら牛頭人身なんかになるのか。ワイヴァーンだってあの図体で空を飛べるとか物理法則に反している。世の中には身長五mを超える巨人ジャイアントなんてのも居るそうだし、フロストリザードは霜を吐く。トレントなんか樹木が動きまわるという、どう考えても悪夢に近い怪現象だ。あいつ、解体したって内臓らしきものなんかこれっぽっちも見つかっていないし、体組織だって死亡後はどう見ても樹木以外にあり得ない。

 確かにモンスターの方が余程身近な上に不思議だわ。

「考えても意味ないってことになったでしょ? もうやめましょうよ。第一、宇宙船じゃなかったし、仮にそうであったとしても私たちに修理できるとはとても思えないわ」

 ベルがそう言って締めた。
 トリスとラルファはまだ議論し足りないようだったが、ベルが言うことは俺やバストラルが散々言って来た内容であり、ミヅチやロリックも話題に参加しないことから段々と話題の中心は別の方へと向かった。

 今回、例の収集端末兼変性装置の主制御室コントロールルーム(?)から得られた魔法の品(マジック・アイテム)だ。
 一気に多数のお宝を得られたことを思い出して全員の顔が緩んでいる。
 でもさ、勘違いして欲しくないんだけど、【火の玉の短杖ファイアーボール・ワンド】とか【電撃の短杖(ライトニング・ワンド)】ってチャージ切れてんだぜ。
 チャージ方法だって不明だし、詐欺にでも使うんじゃなけりゃ二束三文だろ、これ。

 そう言ったらチャージが切れてない物もあるし、チャージが関係ない物だってあるじゃないかと反論された。
 うん。
 確かにそうだ。
 楽しんでるとこ、つまらない話で水を差して悪かった。

 今、オークションに掛けているアミュレットだって相当な値が付くことが予想されているから、話題は自然と何処の地で旗揚げするかと言う事になる。
 しかし、これについては調査中であり、その調査ももう暫くで一次調査とでも言うべき内容が齎されることを思い出してまたあーでもない、こーでもないとわいわいと盛り上がっていった。



・・・・・・・・・



7447年7月20日

 昼過ぎ、虐殺者ブッチャーズ根絶者エクスターミネーターズが迷宮から戻る前に実家からの隊商が到着した。予定より一日早い。隊商を率いてきたのはまたも従士長のショーンだ。

 隊商の到着とほぼ前後して王都の治癒師、トゥケリンからの使いも到着した。
 ダート平原北側に並ぶ四つの領地の調査が終わったのだろう。

 迷宮から仲間が戻る前だったので、トゥケリンの方には明日王城へ納品のついでに報告を聞きに行くと返事をして使者を帰し、ショーンたちには一晩バルドゥックでの休憩を勧めた。

 十一層でワイヴァーンを仕留めた話をするとショーンを始めとする従士たちは大層驚いて我が事のように喜んでくれた。

「しかし、飛竜(ワイヴァーン)を仕留めるとは、流石はアル様です」
「我々も頭を見てみたかったです」
「ええっ、そんなにでかいのか!」
「ほうほう、王都でもそんなに話題に!? 英雄じゃないですか!」

 ワイヴァーンを仕留めたことでまたもえらい持て囃されようだ。
 でも、正直言って気分は良いよね。

 ところで、クローとマリーはまだかいね?
 新婚旅行的な何かも兼ねてると思うし、多少ゆっくりでもいいけど、せめて年内には来て欲しいものだ。
 流石にそこまでは掛かんねぇか。



・・・・・・・・・



7447年7月21日

 鎧の納品の後、ミヅチと二人でトゥケリンの治療院へと出向く。
 勿論、手土産にソーセージの詰め合わせを持って行く。
 今回はいつもの五種ではなく、まだ販売前の新作、砕いたナッツ入りとレバー混ぜ、牛肉100%の物を中心に持って行った。
 俺たちが到着したら、丁重に奥の部屋へ通された。

 奥の部屋ではトゥケリンの他に体格がよく、鋭い目つきをした美丈夫がソファに座っていた。
 背の高い闇精人族ダークエルフだ。
 漆黒に近い濃い紫色の肌。
 雪のように白い髪を短く刈り上げているが、襟足の方は長く伸ばし幾筋かの細い三つ編みにしているのが非常に似合っている。
 着ている服は簡素な麻布だが、デザインはゆったりとしており洗濯された清潔なもの。
 袖から覗く腕にはミヅチと同様にかなりの古傷が見られ、傷一つない綺麗な顔とは対照的だ。
 腰にはかなり高級そうな長剣ロングソードを佩いている。

 その男を目にしたミヅチは飛び上がるように驚いて頭を下げる。

「せ、せ、戦士長! ご無沙汰しております!」

 戦士長? ってことはこの人、お偉いさんなんか。

「初めまして。アレイン・グリードと申します」

 部屋に入った俺が挨拶すると美丈夫もソファから立ち上がって挨拶し、右手の甲を差し出してきた。
 俺も右手を差し出して「ステータスオープン」と言いながら【鑑定】する。

【エドマリン・ザーゲルフォル/12/3/7422 】
【男性/9/10/7409・闇精人族・ライル王国平民(ライラック)
【状態:良好】
【年齢:38歳】
【レベル:17】
【HP:128(128) MP:290(290) 】
【筋力:19】  
【俊敏:26】
【器用:24】
【耐久:19】
【特殊技能:赤外線視力インフラビジョン
【特殊技能:傾斜感知インクリネーションセンシング
【特殊技能:地魔法(Lv.6)】
【特殊技能:水魔法(Lv.6)】
【特殊技能:火魔法(Lv.6)】
【特殊技能:風魔法(Lv.6)】
【特殊技能:無魔法(Lv.7)】
【経験:769256(810000)】

 うほっ、こりゃ相当なもんだ。
 第一騎士団の隊長クラスとタメが張れるわ!
 MPだってミヅチやトゥケリン並に非常に高く、兄貴に迫る。
 兄貴のレベルが上ったらこんな感じになるんかね?

 話を聞くと、このザーゲルフォルという戦士長自ら数人の部下を率いてダート平原の調査に赴いてくれていたらしい。

 それを聞いたミヅチはまたもやコメツキバッタのように頭を下げている。

「チズマグロル一位戦士よ。そこまで畏まる必要はない。我らは仕事を引き受け、依頼通りそれを遂行したまでだ」

 静かな笑みを浮かべて落ち着いた声音で言う。
 しかし、大した内容じゃないセリフだけどこんなハンサムな人が言うと格好いいね。
 日本人の血が混じったトリスと比較すると顔の造作などはエルフらしい繊細で美しいという印象を受けるが、やはり全体的にバランスよく整っており年齢とも相まって渋格好いい感じ。

「トゥケリンさん。これ、つまらない物ですが当商会の新作です。宜しければお召し上がりになって下さい」

「ほほう! 新作ですか!?」

 俺が包みを差し出すとトゥケリンが相好を崩す。
 彼はソーセージが大好物だからね。

「ええ、今回のも美味しいと思います。まだ発売前の商品ですが是非お試し下さい」

 トゥケリンは包みを受け取ると、早速中を確かめたそうにしている。
 そんなのあとでゆっくり食ってくれよ。

 そんなトゥケリンを少し苦々しい表情で見やる戦士長。
 彼とはそれなりに親しくなってるからね。
 そんなに気に病まないでやって欲しい。

 戦士長は冊子を差し出してくる。

「さて、グリードさん。こちらがご依頼の報告書です。お確かめ下さい」

 紙の中では安価な羊皮紙が数十枚も纏められたそれなりの厚みのある冊子だ。
 見た目よりは軽いが確かな手応えを感じさせる厚さである。

「拝見させていただきます」

 パラパラと斜め読みをしてみる。

 ほう? あそこではこんな……。
 へぇ、あの領地、タバコ作ってないんか……。
 む。税率七割……だと?
 あん? ケンタウロスによる被害って……あのケンタウロスかね?

 ふむ……書かれている言葉には以前のミヅチのように、ちょっとおかしい言葉遣いが散見されるが結構よく調べてある感じだ。ちゃんと見ないとなんとも言えないけど、パラ見だとそれなりにまとまっている印象を受ける。

 幾つか「ここまで調べておいて何でここが抜けてんだよ?」という部分もあるが報告内容は充分に役に立つと思う。情報量とその質には問題なさそうだ。

 ページをめくり始めて数分後。

「充分な調査だと思います。ありがとうございました」

 礼を言って頭を下げた。
 作付面積あたりの収穫量とか丸々抜けている(後でミヅチに聞いたら畑作について詳しくないために作物の種類を調べるだけで満足している可能性が高いそうだ。だが、畑の面積を調べるのには流石に時間が足りな過ぎると思う)し、恐らくだけど駐屯している王国騎士団と郷士騎士団、地元の従士との区別もついていない土地の情報もあった。だが、こちらはクローとマリーが見ているだろうし補完は可能だと思う。

「いえ、頭をお上げ下さい。グリードさんの商会には我が国も大変お世話になっておりますし、今後も良い関係で行きたいものです」

 ああ、そう言えば、外貨を獲得するのに結構苦労しているってミヅチが言ってた。
 今後も調査なんかで安定的に稼ぐ為にも俺はいい客だと思われているのかね?
 だからこそ戦士長自ら出張った……?
 とは言っても調査なんてそう度々……いや、定期的な調査は必要だよな。

「いえいえ、私としても大変助かりました。これらは貴重な情報ですよ」

 にこりと人好きのする笑みで微笑んでから言葉を継ぐ。

「あとですね、これは来年以降……場合によってはもっと後になるかも知れませんが、今回のような調査とは別にお願いしたいことがあります」

「ほう? なんですかな?」

 ザーゲルフォルとトゥケリンの二人は身を乗り出してくる。
 二人は表情を崩すまいと能面を装っているが、成功しているのはトゥケリンだけで、ザーゲルフォルの方は「やった!」という嬉しさが滲んでいる。

「お願いしたいことは取り敢えず二つです。まず、貴国では犯罪者など法律を破った者への罰則の中に奴隷として国外に販売する事があると聞きます。可能であれば過去の販売先の情報をお教え下さい。また、今後は私が引き受けても結構です。こちらについては今すぐでも大丈夫です。もう一つは……」

 二人の表情を観察しながら喋る。
 ザーゲルフォルにもトゥケリンにも嫌なことを聞いたという印象はない。
 別段変わった様子は見られない。

 尤も、犯罪者を奴隷として外国に販売するなんてのは諸外国のどこよりも治安が良く、犯罪率の低いライル王国では滅多に無い事だとはミヅチから聞いている。十年に一度あるかどうからしい。
 しかし、性格に多少の難があろうとダークエルフの成人であればかなり高い確率で魔法が使える。その上、三桁ものMPがある事を考慮すればみすみす見逃す手はない。
 どうしても俺の手に負えないようであれば後腐れ無いように殺す。

 その場合、かなりの無駄金を使う羽目になってしまう(ダークエルフは基本的に戦闘奴隷として売られるので結構な値になるらしいのだ)が、俺以外の外国の転生者に目を付けられて下手に協力されるより余程マシだ。魔法の技能を含む戦闘能力ではなく、ライル王国の効率的な戦士の養成法が広がらないことの方が主目的に近い。

 まぁこれについては領地を手に入れる時にミヅチを一度帰国させ、奴隷として売り飛ばすことを禁止するように言わせるつもりではあるから保険のようなものだ。
 ミヅチが言うにはリルスを騙って言えばまず問題なく禁止可能だろうとのことだからね。

「安定的な傭兵契約を締結したいと思っています。貴国の戦士は非常に優秀だそうですからね。冒険者としてもそう言った方々が一緒に居た方が何かと安心だと思いまして……」

 二人の表情が少し動いた。

「契約は年単位で行いたいと考えております。可能であれば……そうですね、半年以内を目安に価格のお見積りをお願いしたいと存じます」

 暗殺者として厳しい養成課程を潜り抜けてきているミヅチ同様の一位戦士階級? だっけ? はまず無理だろう。二位と三位であれば人件費はかなり落ち、年収二百万を超えるような給料を貰っているのはそれほど多くないらしい。騎士を召し抱えるよりよほど安くつくだろう。

 その後は年齢や指揮官クラスの諸条件等について簡単に要望を出し、トゥケリンの治療院を後にした。

 因みに、トゥケリンとザーゲルフォルの二人からは後日に手土産のソーセージについて丁寧な連名の礼状を受け取った。
 ザーゲルフォルは初めてバルドゥッキーを食べた時のように感動したそうだ。
 商品化の暁には是非購入したいとの事だった。
 まぁ、それなりの高給取りらしいから問題なく買えるだろう。



・・・・・・・・・



7447年8月5日

 ミヅチと二人、王都のサンダーク商会を訪ねる。
 昨日が例のアミュレットの入札締め切り日だ。

 二人、とは言ったものの、ズールーとエンゲラ、ヘンリーとメックの戦闘奴隷四人も警護のために同行している。
 彼らは商会の入り口で待たせる。

 当然だが手ぶらではない。
 それなりの荷物も持って来ていた。

「よくいらっしゃいました」

 商会長が丁寧に応対してくれた。

「さて、例の入札ですが……」

 ミヅチと二人、グビリと唾を飲み込んでしまう。

「七十億飛んで五千万Zにて落札されました」

 おおおおおおっ!!

 思わず顔を見合わせる俺とミヅチ。

「お確かめ下さい」

 販売証明の写しを見せてもらう。
 俺も懐からグリード商会の販売証明を取り出し、震えそうな手で七〇億五〇〇〇万Zの八十五%である五九億九二五〇万Zという価格を記入する。あまりに高額のため、興奮のあまり指が震えてミミズがのたくったような字になってしまう。なお、拇印については予め捺印済みだ。

 事務的な遣り取りの後、いよいよ現金を貰えるのかと思いながら作成したばかりの販売証明を差し出そうとしたら笑われて止められた。
 流石に開札が終わったばかりなので品物の代金はまだ支払われていないそうだ。
 冷静に考えると当たり前の事だった。

 あれだけの金額を即金で持っている奴はなかなか居ないだろうし、居たとしても遠隔地に在住しているのであれば運ぶ必要もある。仮に近隣だとしても金額が決定したのは昨日だ。昨日の今日、しかも午前中に支払いが終わってるなんて、そんな訳ないよな……。良くて今頃神社にでも金を下ろしに行っている頃だろう。

 販売証明は金と引き換えに渡すものだからして先に渡すのも変な話だし、そこまで気が回らなかったことについて恥ずかしい思い(警護のために戦闘奴隷まで引き連れていたのだ)をしつつ、別の話題を切り出す。

「ところで会長。本日は更に別の品も用意して参りました。またオークションは可能ですか?」

 赤くなりながらそう言うと、商会長は僅かに驚いた後に嬉しそうに笑いながら大丈夫だと請け合った。今回の入札に漏れた人だって居るのだからして儲けるチャンスは見逃せないのだろう。

 俺が取り出したのは【身隠しの指輪インヴィジビリティ・リング】が二つ。チャージが四十七回残っている物とチャージの切れている物だ。

 会長は興味深そうにステータスを見て、魔力感知ディテクト・マジックの魔術を使っている。

「これは二つとも同じ名前が付けられています。ですが、一つは魔力が感じられるものの、もう一つからは何の魔力も感じません」

 チャージがある事については喋らなかった。

「ふぅむ……」

 指輪を確認していた会長は思い切ったのか指輪に指を通している。
 装備できるような魔法の品(マジック・アイテム)は装備すると使い方が認識出来る物が多いからね。

「なるほど……確かにこちらの指輪でも使用法が判りますな……」

 チャージの切れた【身隠しの指輪インヴィジビリティ・リング】でも身に付けると使用法、この場合は使用するために意識する方法が頭に浮かぶ。勿論使おうと念を込めても何も起きないんだけど。

「当然両方共試してみました。一つは使うとかなりの間体が透明になって他人の目に映らなくなります。もう一つは何も起きません。変ですよねぇ?」

 と言ってみた。“使用可能回数チャージ”という概念を知っているか試したようなものだけど、俺がその概念について“知識がない”というアピールでもある。

「むうぅ……これは一体……?」

 不思議そうな会長を見て残念な気持ちと少しだけ暗い愉快な気持ちとが湧き上がる。
 勿論残念なのは“リチャージは無理そう”であることで、暗い愉快な気持ちは“国宝だという火の玉の短杖ファイアーボール・ワンドにもチャージ回数というものが存在している可能性が高い”と思うからだ。

「実は、まだあります」

 次に取り出したのは【豪傑の腰巻きロインクロス・オブ・ダーリング】だ。
 これがどう評価されるか……?

 
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ