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男なら一国一城の主を目指さなきゃね 作者:三度笠

第一部 幼少期~少年時代

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第三十一話 恋

 更に1年が過ぎようとしている。
 今日は7436年2月14日で俺の誕生日だ。 
 俺は8歳になった。
 レベルも上がり、能力的には異常なMPを除けば一般的な10代前半に近い能力値を得ている。

【アレイン・グリード/5/3/7429 】
【男性/14/2/7428・普人族・グリード士爵家次男】
【状態:良好】
【年齢:8歳】
【レベル:5】
【HP:54(54) MP:6581(6581) 】
【筋力:9】
【俊敏:10】
【器用:8】
【耐久:8】
【固有技能:鑑定(MAX)】
【固有技能:天稟の才(Lv.6)】
【特殊技能:地魔法(Lv.7)】
【特殊技能:水魔法(Lv.6)】
【特殊技能:火魔法(Lv.6)】
【特殊技能:風魔法(Lv.7)】
【特殊技能:無魔法(Lv.8)】
【経験:20941(28000)】

 ちょっとだけ解説するとレベル5というのは平均的な30歳前後の農夫のレベルだ。また、筋力などの能力値は13歳前後のレベル2くらいの子供の能力値に近い。剣の稽古をしていない一般的な農民のレベルの上がり方は7~8歳くらいから本格的に農作業を始め、十代前半で2に上がり、成人するあたり、15歳くらいで3になる。大体このくらいでMPが3~4くらいになり、魔法の修行を始める。聞くところによると小魔法キャントリップスを1日3回くらい使えるあたりが目安らしい。そして20歳前後で4、30歳くらいで5、40代半ばくらいで6、という感じだ。農作業の経験値の効率がすごく悪いことが解る一例だ。観察していると農作業を1日やって入る経験値は1~5くらいだ。開墾などの重労働の場合に入りやすい感じだ。

 対して剣の修行は素振りだけだとどんなに頑張っても1日で入るのは1~2に過ぎないが、試合のような、模擬戦のような、組み手のような……とにかく実戦形式になると多いときには1日で20くらいも入ることもあるようだ。貴族は7歳くらいから剣の稽古を始め、10歳くらいから稽古は実戦形式になっていく。成人する頃にはレベルも5くらいになっている感じだ。当家の従士の家族や、兄姉を見ているとそんな感じだ。その後はレベルアップに必要な経験値も増加するのでまちまちだが、大体30歳くらいにはレベル8から9くらいになっている。そして40歳前後に従士を引退して息子か娘に(グリード家に仕える正従士で女性はいないが)従士の職を引き継ぐ。従士長のベックウィズだけは才能があるのか元気があるのか知らないが47歳でいまだ現役、レベルも13に近い12と頭1つくらい飛び抜けているが。勿論、若い頃に冒険者をやって魔物退治の実戦が多かったであろう両親は当然別格だ。

 当然俺は素振りしかやらせてもらえないので普段の経験値効率は悪いが、天稟の才と月に1~2回程度やっている夜の狩りでレベルだけはなんとか一人前と言えなくもない。

 4月には14歳になったファーンが騎士団に入団する。本来なら成人する来年からの入団になるらしいのだが、貴族なので1年繰り上げての入団が可能なのだ。と、言う事だが、本当のところはゴム製品の供給元であるグリード家にいい顔をしたいのと、ヘガードへの恩を売ることも計算しているのではないだろうか。穿ち過ぎかな? この時代なら規則を無視して貴族だからと早めに入団させることも有りなのかも知れない。日本では絶対になかったことだからどうも捻くれた見方をしてしまうのかも知れない。

 また、ミュンのことだが、相変わらずゴム作りに精を出し、夜にはたまに狩りについて来てくれる。本当の年齢は26なのでいい加減にしないと結婚が厳しくなるだろう。養父のトーバスもとっくに60を超え、従士ではあるが名前だけだし、どう思っているのだろう。聞いてみるかな?

「なぁ、ミュン。ちょっと不愉快な話かもしれないけど、聞いてもいいか?」

「はい、なんでしょう?」

 その晩、いつもの魔物狩りに行く道すがら、ミュンに切り出してみた。

「ミュンは、結婚はしないのか? ミュンは剣も使えるし強いからそのままトーバスの従士を引き継ぐことも出来るだろうけど、今から従士の訓練に参加するのも不自然だし、トーバスの家、どうするんだ?」

 流石に嫁き遅れるぞ、とは言いづらい。ここはさりげなく、さりげな~く切り出そう。ちっともさりげなくないけど。

「……そうですね。でも、婿を迎えると言っても……」

 あ、やっぱり嫁き遅れ、気にしてたのね……。

「でも、本当ならもう子供がいてもおかしくないだろう? トーバスの家、断絶しちゃうぞ?」

 わかってるならいいや。ズバリ言うしかない。

「私はその、器量も良くありませんし……」

 いやいや、そっちに行くなよ。話がおかしくなるって。

「誰か好きな相手はいないのか?」

「はい、特には……」

 そう言いながらもちょっと目つきが怪しい。うーん、これはいるなぁ。
 カマかけてみるか。

「ふーん、デスダンとかどうなんだ? 歳も一緒だし、よく話してるじゃないか。それとも、ボッシュか?」

 デスダンは26歳、従士のティンバー家の次男でちょっと粗暴なところもあるが、気のいい男だ。26まで結婚出来なかったのは兄のショーンの嫁になったテミスのことが好きでショーンが結婚した時に家を出て冒険者をやっていたからだ。最近になって怪我をして冒険者を引退して村に戻ってきたのだ。ボッシュは同じく従士のドンネオル家の次男で24歳、偽装しているミュンとは同い年になるから、問題はない。ボッシュは大人しいタイプで従士を継いだ長男のラッセグをよく補佐している。大人し過ぎて奥手なのが結婚できなかった原因だと言われている。

「え? ボッシュはそんなんじゃ……」

 デスダン無視かよ。でも大当たりっぽいな。ちょっと表情が変わった感じだ。

「そうか、そうだよな。ボッシュは大人しいし、従士って柄じゃないよな」

「ボッシュは誰にでも優しいから……。それに、剣だって使えますよ」

 ほうほう。

「だって、もう従士のパトロールにも行ってないだろ、大した事ないだろ」

 パトロールは10日置きくらいにヘガードや従士たちが領内の森を見て回り、ゴブリンなどの魔物から村を防衛するために間引きのように魔物狩りをする行為を言う。ファーンもいつからか同行させろと言っているらしいが、成人していないことと、騎士にもなっていないのでヘガードは成人した従士達やその兄弟しか連れて行っていない。俺が生まれた頃にラッセグが19で結婚しドンネオル家が安泰になったので弟のボッシュは従士の訓練を止めて農地での農作業をしていたのだ。

「そんなことはありませんよ、ボッシュはちゃんと戦えます!」

 なんだよ、答え出てんじゃんか。

「なら問題ないじゃないか。ボッシュとダングルに言えよ。それとも俺から言った方がいいか?」

 にやにやしながら言う。俺、さいてー。

「え? でも、その……ボッシュは胸の大きな子が好きだって……昔はアンの胸ばかり見てたし……」

 ボッシュ、むっつりかよ。アンは兎人族の農奴で胸がでかい。カップはいくつか知らないが、とにかくでかい。

「男はみんなそうなの。それにアンは兎人族じゃないか。だいたい、それ、いつ聞いた話だよ? 今なら違う答えが返ってくると思うぞ」

 うん、全く根拠ないけど。ちなみに異種族間の婚姻は可能ではあるが子供が生まれにくいのであまり行われない。バークッドにも普人族の男と猫人族の女の夫婦はいるが子供は生まれていない。全く可能性が無いわけではないらしいのだがかなりの低確率でしか妊娠に至らないらしいのであまり推奨はされていない。

「……そうでしょうか?」

 不安そうに言うミュン。美人ではないだろうが人並みの器量は持っているのでこんな表情をするとちょっとかわいく見えるな。

「俺からボッシュにそれとなく気持ちを聞いてやってもいいんだぞ?」

 なんだか保護者な気持ちになってきた。日本でも昭和の中ごろまで親が結婚を決めることはよくあったし、なんとなく、なんとな~く、そんな気持ちになっていたようだ。

「アル様はまるで大人のようにいろいろと気がつきますね……」

 じとっとした目でそんなことを言って来た。ふん、ミュンには今更何を遠慮することがある?

「どうすればいいのかゲロ吐くほど考えればそうそう間違ったことは言わないよ。歳は関係ない」

「まったく……ファーン様のようなことを言わないでください」

 すぐばれるな。

「ファーン様は本当に思慮深くお考えの上にいろいろ鋭いことを仰られますが、アル様は自然に出てきているような感じがします。本当に子供ですか?」

「生まれた時から知ってるだろうが、で、どうするんだよ?」

 ミュンは夜空を見上げると静かに言った。

「ボッシュとお養父様には私から申し上げます。駄目でもそのほうがいいです」

「……そうか……頑張れよ」

 そう言うしかないだろ。

 その晩は魔物を狩りに行く雰囲気じゃ無くなったのでミュンをからかいながら帰った。



・・・・・・・・・



 ところで、鍛冶の方だがこちらはかなり軌道に乗って来た。ゴム製品による豊富な資金力で鉄鉱石を買い、農具や鍋釜も村で生産できるようになった。基本的には鋳物に近いが金属製品が村で製造できるのは大きい。需要の問題で日用品の製造が優先されているが俺が魔法で生成・選別した鉄を使っての鍛造も細々と続けている。尤も、殆ど全てアルノルト頼りだが。完全ではないのだろうが、俺の64式銃剣もどきも鋳造品よりはかなり性能も高いのでヘガードもアルノルトも地金を叩くことでの鍛錬の大切さを理解したようだ。

 最近は鉄以上に丈夫な合金をつくろうとしてステンレスの製造に挑戦している。鉄に対してニッケル10%弱、クロム15%強くらいの割合だったはずだ。将来的にライフリングが切れる銃身を作成したいのでまず適当でもニッケル・クロム鋼のステンレスを製造し、それを改良していけばいいだろう。合金は基本的には魔法で温度を上げて混ぜればいいのであまり苦労しないで作れる。火魔法を収束させて温度を上げ、無魔法でそれを加速(という表現も適当ではないが)してやれば合金を作るために必要な温度をひねり出すのはそう難しいことではない。MPを大量に使うだけだ。

 こうしてみると、無魔法でいろいろなものから分子・元素・原子レベルで選別できることは非常に有用であることがわかる。今は金属を中心にやっているが、金属だけでなくその他のいろいろな物質から含まれている元素を取り出せることもわかった。それなりにMP消費はするものの酸やその他の重要になると思われる元素も分離できることがわかった。

 あれ? じゃあ元素を混ぜて分子を作ることもできるのかな?

 
さて、アルくんはいろいろ試しています。成功もありますが当然失敗も多いです。失敗は成功の母ですね。
+注意+
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