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男なら一国一城の主を目指さなきゃね 作者:三度笠

第二部 冒険者時代 -少年期~青年期-

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第百四十一話 義姉

7445年8月4日

 昼頃に六層の転移の水晶棒の部屋に到着した俺達七人はシャワーだけ軽く浴びると休憩もそこそこに七層へと足を踏み入れた。七層の転移の水晶棒の部屋もきちんと前線基地化する必要があるので二軍と三軍、いや、虐殺者ブッチャーズもうすぐ(スーナー)が上層階で基礎からやり直している間に二往復をして細々とした荷物も含めて出来るだけ運んでおくつもりだった。

 ズールーとエンゲラの二人が前衛に立ち、それをグィネとバストラルが槍で援護する。ミヅチが弓と魔法でダメージを積み重ね、後ろから皆の動きに指示を与える。俺とギベルティは荷物を背負って少し離れてその様子を見ていた。オーガが三匹までなら殆ど危なげなく見ていられる。こいつらも一年近くもオーガと戦い続けている。もう相当慣れて来ているな。ギベルティも一度七層を通り抜けたからだろうか、棍棒を持つ凶悪そうなオーガを見ても特に恐れる様子は見せなかった。

 殺戮者スローターズに入った頃はへっぴり腰でビビっていることも多かったバストラルも無理をせず落ち着いてオーガの動きに対応をしているし、グィネも前衛に立つズールーとエンゲラ二人の動きやそれに対するオーガの動きを良く見て上手にオーガを牽制し、ミヅチが攻撃し易い場所へと誘っている。

 この人数でオーガ三匹をきちんと捌けるのであれば七層ならまず問題はないだろう。やはり、この前は奇襲を受けて前衛がエンゲラ一人を残していきなり倒されたために大混乱に陥ってしまったのが原因か……。

 そう言えば今回も小休止の際などに必ず二人の歩哨を立てようとしていた。モンスターの復活は迷宮のどこにどんな形で起きるか判らないことが多過ぎる。本隊と本隊に背を向けている歩哨の間に急に復活されたらあんまり意味は無いし、戦力分断の危機にも繋がるのでやめさせた。車座になってお互い正面の奴の背後を見ていれば済むだけのことだし。

 前回は一方向にのみ気を向け過ぎて背後をおざなりにしていたことが原因だ。一人でも後ろを見ていたら奇襲など受けることもなかったろう。あと数十秒で俺が来る、俺が一人なのか一人じゃないのかは不明だったので「生命感知ディテクト・ライフ」の魔術で認知出来そうな範囲に入ったら即座に確認するつもりだったとミヅチが言っていた。

 俺も魔術を活用しているから大きなことは言えないが、魔術に頼り過ぎな感が否めない。はっきり言って俺が一人か一人じゃないかなんてあんまり大きな問題じゃない。一人なら俺の方から近づき次第何か声を掛けるなりするだろうし、一人ではないのであればそれはそれで近づいてくれば解るからだ。

 そもそもそれを想定して岩や灌木の後ろに全員で身を潜めていた筈だしね。

 夕方近く、七層の転移の水晶棒の部屋に到着した。地面に穴を掘って桶を埋め、足湯を作り、ゴム引き布を広げて盛り土の上に広げシャワーの台を作る。部屋の側に生えている適当な細い木を伐採してシャワーの櫓を作ると地上へと帰還した。宿でしっかり休み、翌日からも資材運びだ。



・・・・・・・・・



7445年8月5日

 また荷物運びだ。今度はシャワー室の壁になるゴム引き布や食器類を持って行かなきゃ。コンロは既に運んであるので竈などの心配はない。夕方に三層の転移の水晶棒の小部屋に到着すると三軍のもうすぐ(スーナー)がキャンプを張っていた。トリスとラルファに率いられたジンジャー、ヒス、ファルエルガーズ以下合計九名だ。丁度隣が空いているので俺達もそこを今夜のキャンプと定めた。

「どうした? いつからここに居る?」

 なんで三層に居るんだよ? ベル達はしっかり宿に居たぞ。

「ああ、アルさん。我々は一昨日の夕方からここにキャンプを張っています」

 俺の問いかけにトリスが答えた。
 俺達が五層に着いた頃にもうすぐ(スーナー)は三層か……。とは言え、以前の日光サン・レイでは考えられない程の速度だ。

「怪我人は?」

「一人が足の骨折、後は三人が切り傷と手足の刺し傷くらいね」

 ラルファが答えた。
 骨折も「重傷治癒キュアーシリアス」が使えるトリスが居れば動ける程度にはすぐに治せただろうし、ラルファとファルエルガーズも治癒魔術は使えるから大事にはならなかったようだな。

「そうか、戦闘の様子はどうだ?」

「ああ、そっちは心配はあんまりないですね。流石は元日光(サン・レイ)です。モンスターへの警戒はしっかりしていますし、ビビる奴も居ません」
「でもやっぱり聞いていた通りだね。話を聞いてみると迷宮の中にいても一日中一回も戦わなかったこともあったらしいよ」

 この返答は想像していた通りなので驚きは無かった。

「あと、接収した地図に鉱石を得た場所の記載もあります。どうします? 狙いますか?」

「三層や四層程度の鉱石は放っておいても良いだろう。それより出来るだけ戦闘をさせて経験を積ませろ。一層なら落とし穴くらいしか罠は無いし、明日からは一層に戻れ。無理して迷宮内でキャンプを続ける必要もあるまい。きっちり陣形を整えた上で「オーディブルグラマー」とかでモンスターを呼び寄せればいい。入場税くらいノールを何匹かやれば稼げる程度だろ」

「わかりました」

「ゴブリンやノール相手に陣形の再編や普段お前が考えていることを試せばいい。部屋に行くのもいいが、確実に楽勝だという確信を持ってからにしろ。それからなら俺はもう何も言わん」

「一層や二層ならあたしとトリスが居れば部屋の主も楽し……」

 睨みつけたら黙った。まだ解ってねぇのかよ……。

『よく聞けラルファ。いいか、二度は言わねぇぞ。お前たちがそこそこ戦えることなんざもう知ってんだし、それはどうでもいいんだよ。俺が何のためにこいつらをお前たちに預けたのか、よく考えろ。それと、何でまだお前一人には任せられないと言ったのかもな』

 ラルファの耳を引っ張って小声で囁く。ラルファは痛みに顔を顰めつつも案外素直に頷いた。
 それを確認した後に殺戮者スローターズのキャンプに戻った。すぐ隣なんだけどさ。

「ラルがまた何か言ったんですか?」

 ミヅチが出した水で顔を洗っていたらしいグィネが髭を梳かしながら言って来た。

「ん……まぁな。大したことじゃないよ。それより飯食おうぜ飯」

 スープをかき混ぜているギベルティを見ながら答えた。



・・・・・・・・・



7445年8月7日

 七層の転移の水晶棒の小部屋の基地化を進めた俺達は暗くなり始めた頃に地上に戻る。早速魔石屋に行って迷宮で得た魔石を換金し、メンバーに報酬を支払った。奴隷三人にはいつものムローワで晩飯にすると言って彼らの宿であるシューニーへと先に向かわせている。ボイル亭に戻る頃には空はかなり暗くなり、バルドゥックの飯屋に明かりが灯り始めるようになっていた。

 宿に戻り、シャワーを浴びると飯に行こうと思ったが、トリス、ベル、ゼノム、ラルファの四人の姿が見えなかった。まだ迷宮に居るのか、それとも俺達の帰りが遅かったので先に食事に行っているのか。

 仕方ないのでミヅチとグィネ、それにバストラルとキャシーを伴ってムローワへと向かう事にしたが、途中にあるペギーズにトリスを始めとしたもうすぐ(スーナー)の面々を見つけた。

 声を掛けようとしたグィネを制し、ゆっくりと首を振るとムローワへと向かった。ちっとは解って来たようだな。この分なら今頃ゼノムとベルの二人も虐殺者ブッチャーズと一緒にどこかで飯を食ってるだろう。

 少し機嫌の良くなった俺は笑みでも浮かべていたのだろうか。不思議そうな顔で俺を見るグィネに「いいから気にすんな。行くぞ」と声をかけてムローワへと歩を進めた。

 食事を済ませたあとボイル亭に戻り、出向していた四人から簡単に報告を受けた。ミヅチは俺のベッドで薄切りにしたきゅうりを顔に貼り付けていた。気持ち悪いからやめろと言っても「十代の若いうちから手入れしとかないと十年後二十年後に苦労するの!」と言われてから放っておいている。

 虐殺者ブッチャーズの方はこの六日間、ひたすら一層でモンスターと戦闘を続けていたらしい。軽傷者は非常に多かったものの一人も重傷者は出なかったそうだ。戦力を考えれば当然だが、ベルの指示で先頭に立っていたゼノムの実力によるところも大きいのではないだろうか。

 戦果は六日間の合計で三百万Z(金貨三枚)を超える魔石を得たとの事だった。一日あたり五十万Z(銀貨五十枚)超の稼ぎだ。一人頭の分け前はベルとゼノムに俺の分も加えて三十万Z強。但し、経費として入場税が五十四万Zに食料品費用六万Zが掛り、俺は三十万Z弱の赤字だ。ゴブリンの魔石も全部回収したらしいが、まぁこんなもんだろ。ベルは悔しそうに俯いて「すみません」と小声で言ったっきり黙っていた。

 年上だからか、経費を立て替えていたゼノムが、そんなベルに優しい目を向けたあとで恐縮して「アルに損をさせて申し訳ない」と何度も頭を下げてきた。しかし、「それでもその分、ベルは貴重な経験を得た。必ず活かせるだろう」と俺だけに聞こえる程度の小声で言ってくれた。

 なお、虐殺者ブッチャーズの面々は日光サン・レイ時代の稼ぎより多かったにも関わらずあまり満足そうな顔ではなかったらしい。恐らく、俺と七層に行った時にオーガの魔石を二十六個も入手し、結局俺を入れて一軍の残りの七人でそれを分けた時の実入りの感覚でも残っているんだろう。一人頭三百万Zをちょっと超えたんだし、仕方ない。

 対してもうすぐ(スーナー)の方は骨折などの重傷者も出た上、二百万Zにギリギリ届かないくらい。一人頭二十万Z弱の分け前だが、経費は迷宮の入場税が三回分で済んでいるので半額の二十七万Z、食料品費用六万Zで合計三十三万Z。こちらでも十三万Z強の赤字だった。ま、虐殺者より実力も低いだろうし、実質の戦闘回数も少ないだろうからこんなもんだろう。

 ラルファが「最初の日でこうなるんじゃないかと思って三層や四層の鉱石を狙った方が良いと思ってトリスに言ったんだ……」と言った。

 俺は生意気なことを抜かす小娘にデコピンをかましてやると「そんなことお前が心配しなくてもいい。こうなることくらい最初から計算ずくだ。お前はそれだけの金を食っていることを自覚してさえいりゃいいんだ」と言って額に手を当てるラルファを笑ってやった。

 それらの様子を見ていたトリスはベルと同様に無念そうな表情のまま詫びを口にしただけだった。解ってりゃいいよ。こんな程度、オーガの魔石一個にも及ばないからな。

 殺戮者スローターズの方は七層を二回通り抜けただけだが、二回ともオーガメイジの部屋を通ったのでオーガの魔石三十九個に二百五十万Z分くらいの雑多な魔石の稼ぎで三千五百二十万Z程の稼ぎだ。一人七十万Z程度のボーナスとなる。俺がデコピンをしたからか、四人はちゃんと受け取ってくれた。

「次のリーダーは明後日の訓練の時に決めるわ。お疲れさんだったな」

 と言って四人を解散させた。



・・・・・・・・・



7445年8月8日

 ランニングを終えたあと、奴隷三人とミヅチと朝飯を食ってから宿に戻った。すると宿にロズラルが来ていた。なんでも今朝早くから王都から馬車を飛ばしていたらしい。あっぶね。もうちょっと前だったらボイル亭じゃなくてカイルーグの宿にいたわ。

「ああ、アル様! ミルー様がご帰還なされました! 昨日の夜に王都に到着し、帰り道に店の方に寄って頂いたのです」

 おお、姉ちゃん戻ってきたんか!

「で? 他の、村の皆は!? 無事だったのか!?」

「ええ、ミルー様が仰るにはバークッドの皆は無事に帰還されたそうです」

 そうか、ホッとした。

「戦自体は五月の終わりに沈静化し、六月の終わりには遠征してきた部隊は守備隊を残して順次引き揚げを開始したようです。ミルー様の第一騎士団は先代様とお屋形様よりも先に引き揚げを開始したようなのでまだ村には到着していないだろうと仰っていました」

 む、親父が先代様、兄貴がお屋形様ってことか? ずっとファーン様と言ってたから違和感が……皆を率いて戦争に行ったことで、一人前の領主としても認められたと言うことだろうか? それとも単に俺の気のせいか? どっちでもいいや。

「姉ちゃんには会えるのかな?」

「何を仰っしゃられているのです。私はその為に来たのですよ。ミルー様が仰るには今日明日はお休みだそうですよ」

 ロズラルはにっこりと微笑んで荷台を指さした。乗れと言うのだろう。んじゃ遠慮無く……あ、そうだ。

「ちょっと待ってくれ。行くけどさ。折角だが帰りもあるし自分の馬で行くよ。でも他に王都に行きたがる奴も居るかも知れない。そんなに時間は掛かんないからちょっとだけ待っててくれ」

 そう言って宿に入ると皆に声を掛けた。王都に行くのは俺とミヅチの他はゼノムとバストラル、キャシーの三人だった。

 グリード商会でゼノムたちと別れた俺達はそのまま第一騎士団の本部へと面会に行った。姉ちゃんはすぐに出てきた。

「アル、元気だった? また少し背が伸びたようね。ロズラルもわざわざアルを呼びに行ってくれたの? お疲れ様。……貴女がチズマグロルさん?」

 姉ちゃんは鎧下の格好のまま出てくると矢継ぎ早に言って、俺の隣で二頭の馬の手綱を握るミヅチを見た。

「は、はい。初めまして、ミヅェーリット・チズマグロルと申します。私のことはミヅチとお呼び下さい」

 ミヅチはカチコチになっている。アホか。姉ちゃんなんかに気に入られても良い事なんか何一つないぞ。

「ふぅーん、アルと一緒に冒険者やってるんだって? ちょっと裏に来なさい」

「おい、姉ちゃん! 何する気だよ!?」

 裏に呼び出すとか、往年の不良かよ。気が気じゃねぇわ。

「別に、ちょっとどんなもんか見てあげようってだけよ」

 ふざけんな糞女!

「そんなことより戦の話を聞かせてくれよ。誰も戦死はしなかったっとは聞いてるけどさ」

「もう、あんたとは今話してないわよ。……ねぇ、ミヅっち、私に貴女の腕を見せて」

 誰がミヅっちか! 勝手にアダ名付けんじゃねぇ! ミヅチだって、ほら、萎縮してるじゃんか。ロズラルもびっくりしてるぞ。

「……貴女自身はどうなの? 私と上手くやって行きたいなら裏に来なさい。木剣は幾らでもあるから。もし嫌なら断ってもいいわ」

 ミルーは少し顎を上げてミヅチを睥睨するように見た。

「……胸をお借りします、“お義姉さん”」

 ミヅチは馬の手綱を俺の手の中に押し込むと俺の横に立ち、毅然として言った。お前もわざわざ刺激するような事言うなよ。

「貸すほど胸なんかでかくねぇけどうひゃっ」

 ツッコミを入れたらすかさず姉ちゃんの裏拳が飛んできた。紙一重で躱した。

「ロズラル! アルを押さえてなさい! こいつをそこから一歩も動かさないで!」

 ミルーはそうロズラルに命じると「ガーハシュ! トーヴェ! 模擬戦の準備をして頂戴! 第二修練場を空けて来て!」と第一騎士団の本部に向けて怒鳴った。ミルーが命じたからにはガーハシュって人とトーヴェって人は従士なんだろうか。

「おい、ふざけんな! ミヅチもつまんねぇことに付き合う必要はねぇ!」

 そう言ったが既に二人共俺の話なんか聞いちゃいない。ロズラルは俺の腕を掴み「ミルー様のご命令です。アル様、ここを動かないように」とか言ってる。勿論振りほどけないことはないが「大丈夫、殺されやしないでしょ」とミヅチは平然として言い、歩き始めたのを見て黙って掴まれていた。

 ……まぁ、確かに殺しはすまい。ミヅチも剣の腕は確かなものを持っているし、幾ら第一騎士団で毎日修行に明け暮れている姉ちゃんが相手とはいえ、勝ってもおかしくはない。

「アル様、ここは放って置いても良いでしょう。ミルー様はおもちゃを取り上げられた気がしてヤキモチを焼いているだけですよ」

 俺の腕を掴んだまま、ロズラルがそう言った。解ってるよ、そんなことは。だからこそそんなくだらない理由で糞女に俺の女が因縁付けられるの黙って見てなきゃなんねぇのかよ。

「くっそ。ミヅチ、どうせやるならコテンパンにのしてやれ! あとな、姉ちゃんは風魔法が使えねぇぞ!」



・・・・・・・・・



 結果としてミヅチは姉ちゃんに勝てなかった。三回やって一回負け、二回はなんとか引き分けに持ち込んだそうだ。なぜかは知らんが双方ともインターバルで治癒魔術を使った以外、魔法を使うこともしなかったらしい。糞、木剣じゃなくてあの剣使ってたら勝ってたかも知れんのに。その場合、姉ちゃんが大怪我をするだろうけど。俺なら手足を切り落とされても治せる、ってそういう問題じゃねぇか。

 すこし項垂れて帰ってきたミヅチは「はぁ……強いですね。投げナイフと手裏剣も全部躱されるか撃ち落とされちゃいましたし、剣で撃ち合ってもするすると躱されて反撃を喰らっちゃいました」と言っていた。ミヅチもこのところかなりレベルも上がっていると言うのに、糞女が、奴も戦場でぼーっと過ごしてた訳じゃねぇってことか。そう言や、いつの間にかレベルも十になっていた。確か去年出兵する前に会った時は九だったはずだ。冒険者でも無いのに物凄い勢いで経験値を得ている。

 訓練で技を磨き、実戦で経験を積んだのだろうか。それとも、第一騎士団の訓練によってかなり多くの経験を得ているのか。その両方か。まぁいいや。

「気は済んだのかよ?」

 鎧下にミヅチに撃ち込まれた木剣の汚れを付けたまま戻ってきたミルーを睨み付けながら憎々しげに言うと、ミルーはにやっとした笑みを受かべながら俺ではなくミヅチに話しかける。

「結構やるようね。でもまだまだよ。私に勝てないようじゃ「おい! ミヅチはただの冒険者だぞ! 第一騎士団の正騎士相手にそう簡単に勝てるか!」

「……貴方は黙ってて。グリード卿、今日は勝てませんでしたが、この次は必ず……」

「私の事はミルーでいいわ。でもねミヅっち、まだ“お義姉さん”とは呼んじゃダメ」

 ……アホか。こいつら。

 俺はここに何しに来たんだっけ? ああ、そうだ、村の皆のことや、ウェブドス騎士団の一員として参戦してた筈のクローとマリーのことを聞きたかったんだ。

 
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