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男なら一国一城の主を目指さなきゃね 作者:三度笠

第二部 冒険者時代 -少年期~青年期-

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第六十八話 再び妖精郷へ2

7444年4月30日

 あの後も何組か冒険者たちが一層の転移の水晶棒の小部屋に入ってきて小休止をしたり、二層へと転移を繰り返していたりしたようだ。二時間以上はうとうと出来ただけでも助かる。

 目覚ましの小魔法キャントリップを使っていたので目を覚ますとそろそろ真夜中だ。
 時計の魔道具で真夜中を過ぎて日付が変わったのを確認し、座っていた壁際から立ち上がるとゆっくりと水晶棒に近づいていった。
 水晶棒を握り締め、転移の呪文を唱える。

「リゴルク」

 二層に転移した。転移の水晶棒の台座の紋様を確認し、壁を探る。
 八十四番か。ダメだ……。
 俺が狙っているのは前回カールのところに転移してきたときに書いた「参伍陸」という番号だけだ。これ以外は今回の目的地ではないので意味はない。すぐに戻るべきだ。

「リンテレン」

 また一層の転移の水晶の部屋に戻った。
 部屋のどこに現れるかの法則は昔からいろいろ言われているようだが、誰も納得できる回答を出せていない。部屋の空いている場所に適当に戻ってくると言われている。三〇m四方という、それなりに広い空間なので立錐の余地なく埋まっているなどという事態はまずありえない。
 仮にそういう状況にして試したところで、傍の通路に戻されるのではないかと言われている。

 また部屋の中心に向かい、水晶棒を握ると呪文を唱える。

「ホミカ」

 二層に転移した。
 二十六番だ。ダメか。
 まぁそう簡単には行くまいから時間がかかることについては覚悟してきた。
 最悪今日一日、まる二十四時間かかっても試すつもりだ。

「フォクボ」



・・・・・・・・・



7444年5月1日

 何回転移を繰り返したのだろうか。
 少なくとも二十回はやったろう。
 転移の度に二層で番号を探すからそれなりに時間もかかっている。二時間近くは経ったろう。

 台座の紋様が明らかに通路の傍の壁を指していないとか、行き止まりが傍に見えるとか条件に合致しない場所なんかは手間がかからなくていい。

「クムリカ」

 ここは、いい感じだ。台座を確認し、壁を調べる。

 ……ダメか。

「カノベーゼ」

 一層にまた戻ってきた。部屋の中心に向かって歩き出す。

「おい、あんた。さっきからせわしないな。そんなに神経質にならなくても二層も一層と大して変わらねぇよ」

 ひと組だけ残っていた休憩中の冒険者の一団からそう俺を揶揄する声がした。
 目深にかぶったフードの奥からちらりと見ると何回目かの転移の時に部屋に入ってきた奴らだった。
 年齢は俺と同年代かやや上、と言った連中だ。
 確か俺の少し後にバルドゥックに来た亜人だけで構成されているパーティで、リーダーの男はカンビットの大物貴族の次男だか三男だかだ。
 今はようやっと二層に行けるようになったばかりのはずだ。
 俺も人のことは言えないが、一年半くらいの新参か。結構優秀な方だ。

「おい、ジョニー、放っておけよ。一人で潜ってるんだ。出来るだけコースを選びたがるのは人情ってもんだろう」

「ああ、それに、人様のことなんかどうでもいいじゃない」

「タンベル」

 二層へと転移した。……ここも違う。こんなに湿気は強くなかったと思う。念のため台座の紋様も見てみたがやはり伸びた通路の奥を指している。

「マトゾ」

 再び一層へと戻った。

「おい、てめぇ! 人が話しているのによ、なんだよそりゃ!?」

 さっき俺に声を掛けてきたジョニーという虎人族タイガーマンが立ち上がった。面倒くせぇな。

「俺に言ってるのか?」

 ジョニーに向き直って言う。

「当たり前だろうが! ここにゃあ俺たちとお前しかいねぇだろうが!」

「そうか、別にあんたらに迷惑はかけていない。放っておいてくれ」

 と言ってまた水晶棒に向かって歩きだした。時間が勿体無いんだよ。

「おいコラ、ふざけんな! 面ぁ見せろ! そんなもん被りやがって!」

 俺に向かって走り出した。

「ジョニー! 戻れ! もう止せ!」

 ジョニーのパーティーの誰かが言ったが、ジョニーはその声では止まらず俺に向かってきた。
 仕方ないので奴が俺の傍に来た辺りで振り向いて言った。

「放っておいてくれと言ったよな」

 タイミングよく俺が振り向いたのでジョニーは少し気圧されたようだが、

「ああ!? さっきから黙って見てりゃ一層と二層を行ったり来たり行ったり来たり、うぜぇんだよ! 落ち着いて休めねぇだろが!」

 と凄んできた。

「あんたのお仲間は落ち着いて休んでいるようだが?」

 と言って、壁際で休憩中のジョニーのパーティーを剣で指した。彼らは「本当にバカはしょうがねぇな。手がつけられねぇ」というような半ば呆れたような顔で俺たちを見ていた。

「……ぐ。あいつらは関係ねぇ。俺がイライラすんだよ。行くのか行かねぇのか、はっきりしろぃ!」

 粗末な革帽子の切り口から丸い虎耳を立ててぴくぴくと動かしながら言ってくる。

「ああ、そりゃ悪かったな。だが、こっちにも目的があるんでね。しばらくは続けさせて貰うと思うよ。我慢してくれないか?」

 俺の声はさほど大きくはないが、がらんどうに近い部屋で他に誰も喋っていなければそれなりに聞こえるようで、ジョニーのパーティーから声が上がった。

「ジョニー! いい加減にしろ! 俺の言うことが聞けないのか!?」

 声を上げたのはジョニーより年上だと思われるタイガーマンの男だ。

「あんたも、邪魔して悪かったな。行ってくれ」

 その男は続けてそう言った。きっとこいつがリーダーなんだろう。俺はその男に対して軽く会釈程度に頭を下げるとまた水晶棒へと歩き、水晶棒を握った。

「兄貴ぃ、だってよう……」
「セホトグ」

 二層へと転移した。
 転移すると同時に身構えた。
 転移の水晶棒から5mくらいのところにノールの一団がたむろしていたのだ。
 剣を振るいつつ魔法も使って十二匹のノールを全滅させるのに一分もかからなかった。
 ノールの汚い毛皮で剣についた血と脂を拭い、最後に軽く水を出して洗うと手拭いで丁寧に剣を拭いて鞘に収め台座の紋様を確認する。

 ……ここも違うか。

「ワケルモッシュ」

 ジョニーはもうパーティーの所に戻り腰を下ろしていた。ちらと一瞥だけしてまた部屋の中央を目指して歩き出す。

「ちっ」

 わざとらしい舌打ちが響いたが、直接俺に絡んでくるのでなければどうでもいい。



・・・・・・・・・



 更に何回か転移を繰り返すが狙ったところには行けなかった。まだ焦るような時間でもない。気長に行くしかない。

 俺が転移を繰り返しているうちにジョニーのパーティーも休憩を終えたようだ。
 いつの間にか装備品を身に付け、荷物を背負っていた。

 その様子に気がついたので、頃合を見計らって水晶棒まで行かずに立って待っていた。
 勿論出発の準備を終えた彼らが転移するのをだ。これでうるさそうなのがいなくなる。

 俺が待っている事に気がついたのだろう、ジョニーを止めたリーダーが俺に片手を挙げた。
 先に行かせてもらうぞ、という礼なんだろう。

 俺も軽く頭を下げ、転移していく彼らを見送った。
 再び転移の水晶に呪文が浮かび上がるのを待って俺も今日何十回目かの二層へと転移した。

 ……またダメか。壁に書いてある「216」という番号を発見して溜息をついた。

 一層へと戻り、再び二層へと転移を繰り返した。

 その後三回目に二層へ転移した時だ。
 転移と同時にまた身構える羽目になった。
 何十回か前の転移の時俺が殺したノールから魔石や装備を剥ぎ取って大喜びしている一団の脇に転移したのだ。
 ジョニーたちだ。

 ノールの魔石は確かに美味しいが、俺にとっては一〇万Z強の端金で今更目の色を変えるほどではない。それに、今日は時間の方が余程貴重だし。彼らの邪魔をするつもりもさらさらない。確かに俺が仕留めたノールだと思うが、彼らには単に棚からぼた餅だったろう。

 一層への呪文が再度浮かび上がるまでの数十秒、ここで待つしかない。

 当然いきなり転移してきた俺に気がついた彼らは警戒心を露にするが、俺が特に何もする様子がなく、ただ見ているだけだったのですぐに俺が戻ろうとしていることに気がついたのだろう。
 各々作業に戻ろうとした。

「なんだ? 何か文句でもあんのかよ?」

 ジョニーがノールの胸を裂きながら俺に言って来た。
 なんだってこいつはいちいち突っかかってくんのかね?

「別に……」

 そう言って水晶棒をちらりと見る。そろそろかなぁ。

「おい、お前、いつまでもスカしてんじゃねぇ! 殺っちまうぞ、コラ!」

「ジョニー! いい加減にしな! ローキスさんにも言われたろうが!」

 獅人族ライオスの姐ちゃんが嗜めるが、

「キャンディ、テメェは黙っとけや。おい、なんとか言え、びびってんのか?」

 と、ジョニーはまたも俺に絡んできた。
 ああ、本当にお前なんかに付き合ってる時間が勿体無いんだ。
 半ば興味本位でジョニーを鑑定した。
 家名を確認して親の顔が見てやりたい、と思ったからだ。
 そんな事出来るはずもないが、つい、だよ。

【ジョニー・リッデン】レベル6。
 俺より二つ年上だったのか。
 ほう、リッデン準男爵の四男か。
 聞いたことねぇな。
 こいつもカンビット出身なんだろうか?

 リーダーは【ミットリーグ・ローキス】レベル9。二三歳。
 ローキス侯爵家の次男か。

 そういえばカンビット王国もコーラクト王国同様に元冒険者が建国したんだったっけ。
 次男とは言え、侯爵の息子も冒険者をやるのかよ。
 または国の文化で冒険者をやらないと次男以下は出世出来ないとかだろうか。
 だとしたら嫌な感じだよな。俺がそこに生まれていたのなら好都合だけどさ。

「あ? ぼうっとよそ見してんじゃねぇ……あ、お?……あ……あれ?……え?」

 俺の顔をフードの下から覗き込むようにして見たジョニーは俺の正体に気がついたようだ。
 いかつかった表情が変わり、顔色もちょっと悪くなったと見える。
 ちらっと水晶棒を見やると一層への帰還の呪文が浮かび出ていた。

「もう行ってもいいか?」

 顔を見られたようだし、仕方ない。
 目深にかぶったぶかぶかのフードの奥から、俺の顔を下から覗き込んでいたジョニーをまっすぐに見下ろして静かに言った。

「あ、はい……どうぞ……」

 くるぶしくらいまであるコートを着たまま水晶棒を握り帰還の呪文を唱える。

「デフゴス」

 一層に戻った。
 ま、休憩中の彼らの前を何度もウロウロしてたのは俺の方だ。
 目障りだくらいには思われても仕方ない。

 それに彼らはまだ転移の水晶棒の小部屋が安全地帯だなんて知らないレベルなんだろう。碌に寝ていないはずだし、気が立つのも無理はない。あの程度でいちいち怒る気もないし、それどころではないしな。だけど、妙な行動をしているのが殺戮者スローターズのリーダーだと気付かれたのは宜しくない。

 二層になにか秘密でも嗅ぎ当てたのかと思われる可能性がある。事実なんだけどさ。



・・・・・・・・・



 更に何十回も転移を繰り返した。

 そろそろかなり腹が減ってきた。
 一休みして飯でも食うか。

 壁際に座って昨日買ったサンドイッチをぱくつきながらお茶を飲んだ。
 俺も碌に寝ていないから流石にちょっと眠気を覚えるが、なぁに、この年代は丈夫なんだ。まる二日くらい寝なくても何とかなるさ。昨日の夜二時間くらいは少しうとうと出来たんだし、いけるいける。

 冷たい水で顔を洗い眠気を払うとまた転移の水晶棒を掴み、転移した。

 ……………………。

 ………………。

 …………。

 ……。

 もう確実に百回以上は転移を繰り返したはずだ。
 ざっと計算すると一回の転移で台座の紋様を確認し、壁に書いてある番号を探し当てるのに二~五分程度。紋様を確認するまでもなく目的地ではないと判明したりするから、一度の往復にかかる時間は平均三分くらいだろう。
 一時間に二十回は転移していることになる。
 今の時刻はおよそ午前十時くらいだろうか。
 延で二百回くらい転移したんだろう。
 目的は「356」だから確率論から言えば午後十八時くらいには行けるはずだ。

「カズローク」

 二層へ転移した。
 紋様を調べ、指し示す方向の壁を……「参伍陸」……うむ。無事に来る事が出来たようだ。

 次は落とし穴の底のスイッチだったよな?
 前回はどっちから行ったんだっけ?

 思い出すと思ったが、どっちを向いても微妙に曲がったこれといって特徴のない洞穴だ。
 でも、この位置は輪っかの先のはずだ。
 どっちを進んでもY字路に出て、さらにその先には蛇の噴水スネークジェネレーターがある部屋がある。

 とにかく落とし穴の底のチェックだよな。

 いつもの通り風魔法をダイレクトに使って土を跳ね飛ばし、落とし穴に向かう。
 発見した落とし穴の前で首を捻りながら底を見る。
 高さは三mほど、奥行は五m、幅は洞穴いっぱい。
 前回は地魔法で土を出して埋めてしまったがスイッチを押せたのは偶然の産物だったはずだ。
 この落とし穴の底のどこかにスイッチらしきものがあるかどうか目を皿のようにして確かめる。

 ……あった。

 落とし穴の隅っこにそれらしきものを発見した。縦横一㎝くらいの正方形の石だ。
 石はほかにもゴロゴロしているが、あんな綺麗な正方形は不自然だろう。
 鑑定しても他の石と同じ鑑定結果だが、石自体を迷宮内にある石と同じものを使っているのであれば頷けないこともない。

 他の石より小さいから一見すると押せなさそうだが、フローティングディスクに秘密があると見て間違いないだろう。裏面はあの部分だけ出っ張っているのかも知れない。
 そう言えばカールは押す順番があるようなことを言っていた。
 他にもスイッチがあるのかもな。
 再度目を皿のようにして落とし穴の底を観察したが見つけられなかった。

 と、言うことは、あと二つある落とし穴にも別のスイッチがあるのだろう。
 転移先からY字路までリング状の両側に一つづつ、Y字路の先にも一つあるはずだ。
 少なくとも反対側の落とし穴を見てみる方が先だ。
 何しろ前回はY字路の左上から来たんだから。
 こっちだと右上の方だろう。

 戻って反対側の落とし穴も観察してみると、同じような正方形の石を見つけた。
 恐らくはあれが最初のスイッチではないだろうか。
 ……こっちの落とし穴を埋め、反対側を埋め、Y字路の先の落とし穴を埋める。
 それで正解か?
 それって、最初は五割の確率で正解だし、次もある意味五割だ。そんな高確率で扉が現れるのだろうか?
 落とし穴の脇に手をついて再度良く観察した。
 わかんねぇ……正方形のスイッチ以外、特にへんなものは落とし穴の底には見つからなかった。

 うーん、どうしたもんだろう?

 最初に来た時はY字路の右上から合流したはずだ。つまり、確実に不正解だったんだろう。それでも特に変わったことは起きなかったと思う。
 死ぬようなことはないはずだろう。
 じゃあ、土で埋めてフローティングディスクを沈めるか、そう思った時、思いついた。

 あれ? あの底のスイッチを押すためにはフローティングディスクを沈めるのは多分正解だろう。確かラルファが足でつついていたこともあった。でも、これって、そもそも落とし穴じゃないんじゃないか? 一定以上の重量を載せることでディスクが沈むのはいい。だけど、今まで土を出して沈めていたけど、沈み方はゆっくりだった。落とし穴って、その上に乗ったら蓋が一気に壊れるとか開くとかして落下によってダメージを与えるように作られているはずだ。威力を増すために底に竹槍を埋めるとか、似たように剣山みたいな底のやつも三層か四層あたりからあったような気もする。五層や六層なんてほぼ確実に剣山だった。

 落下によるダメージを期待するならこのフローティングディスクは意味が無い。
 全くないこともないだろうが、俺が飛び乗ってもズドンと沈むようなことはないだろう。
 真ん中に土の橋が出来るほど大量の土を出してもゆっくりと沈んでいったのだ。
 その量はレベル5の地魔法なら三回くらい、レベル6で一回くらいの土の量だ。
 ただディスクを沈めるだけならレベル4くらいの地魔法でも充分かも知れないけど。

 うん、とりあえず真ん中あたりにレベル4くらいの量を置いてみようか。
 地魔法と無魔法を使い、ど真ん中に一立方mくらいの土を置いてみた。
 ゆっくりとディスクは沈み込んでいく。
 二十秒程をかけて一番底まで沈んだようだ。
 何か変わった所がないか観察すると、発見した。

 なんてことはない。

 落とし穴(?)の手前の壁の下の方から小さなレバーが頭を覗かせていた。
 飛び出ている部分は三㎝くらいだろうか。

 よく観察するために、土の上を狙って飛び降りてみると、反対側の壁にも同様のレバーが出ていた。

 ああ、わかった。このレバーを下に倒すのかな?
 しかも手前側からだろう。

 なぜなら、以前来た時は今回のようにいきなりど真ん中に土を出したのではなく、手前側にどんと出し、ディスクが沈んだあと、その土の上を渡りながら向こう側まで橋のように伸ばしたんだ。

 思い切って手前のレバーを下に倒す。続いて向こう側のレバーも下に倒した。土を出して穴から這い出し、Y字路まで行く。
 前回反対側は埋めなかったはずだ。
 確か洞穴がリング状になっているのを確かめただけで先に進んだと思う。今回もそうすべきだろう。
 Y字路を先に進み、穴を発見した。同様にディスクを沈め、レバーを探す。

 ……あった。

 今度は手前側に1m程の幅を置いて二本、反対側に一本だ。
 問題は手前側の二本をどういう順番で倒すかだろう。
 うーん、前回はどういうふうに土を出したっけ?
 手前側の二本を先に倒すことは確かだろう……あの時は右手に銃剣を持って左手で魔法を使っていたはずだ。気持ち左側の方が先に埋まるような気もする。
 とすると俺から見ると右側だろうか?
 ここまできて間違うと、なんとなく一層からやり直しのような……下手すると四ヶ月待ちか。

 こりゃ失敗できないが、考えてもどうにもなるまい。
 何のヒントもないんだし、思い切って右側から倒すしかないだろ。
 右側を倒し、左側を倒した。そして反対側も倒し、また土を出して這い上がった。

 この先には蛇の噴水スネークジェネレーターが四つもある普通の冒険者ではまず越えられないような部屋がある。前回同様、適度に蛇が出てきたあと「アシッドクラウド」の魔術を使い、「アンチマジックフィールド」を使って退却する。適当な時間を見計らって進み、酸で爛れながらもうぞうぞと蠢きながら残っている蛇を「フレイムスロウワー」で焼き殺して前進した。

 扉は……よかった。あったよ。

 手袋を外して扉に触れ、妖精郷へと足を踏み入れた。

 
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