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異世界マイペーサー 作者:闇緒 恣恣

形白  ~ Relief in carnation

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十三話 偽称心象  ~ わかってませんでした

 この世界においての、『種族』と言われる四つの人種に分かれた人種をさらに選り分けて行った者の中の一つ。
 それが俺の、獣人であり狼人ワーウルフであり黒狼種という種族でもある。
 俺は、犬だと思われている。あの『ワンちゃん』とかいう変なあだ名もそこから来ている筈だ。
 犬、つまりは犬人ワードッグ。同じイヌ科だから間違えても仕方が無い。
 第一獣化すらしていないんだから、耳と尻尾だけで判断できる猛者がいなくても仕方が無い。


「ザグさん、どういう事?」

 だいぶ普通に喋れるようになってきた今日この頃。
 時期で言うなら、俺が異世界転生を果たして三か月くらい。学校…じゃない、学院に入学するまでの時間で換算するならあと九の月ほどだろうか。
 俺はザグさんと二人きりの時に気になる事を言われた。
 それは、これだ。

「ケイ、自分が解らないって前言っていたよな?」
「う、うん」

 そこ、中二発言乙、とか思うなよ?
 だって、少し不思議に思うじゃないか。
 転生だって言っていたのに、こんな中途半端に成長した肉体に転生してしまったこと。
 それだけならまだしも、あんな訳の解らない……というか、絶対何かありそうな不思議な空間に転生してしまったこと。
 一度だけだけど、頭の中に湧き出るように現れた“ワタシ”って言う奴の事。
 そして、魔力も扱える、魔術も問題無く扱える。なのに、干渉系だけピクリとも扱えない。
 ついでに言葉も言語も話せなかった転生初期の事。
 かなり不安定な要素があり過ぎて、俺が何なのか……そう言う感情が爆発してしまった。
 泣きながら、自分が解らないって言うのは、かなり危ない人なのかもしれないけど、パニックになればそんな事になっても仕方が無いような気がする。
 俺はこうして二人向き合っている。今は、ザグさん授業の時間だ。

「俺は、ちょっと変わった干渉系を操れんだ。これを見てくれ」
「変わった……?」

 俺はかつてザグさんに詠唱文を書かれて渡されたような紙を懐から出して、目の前に広げた。
 そうして、紙に書かれていたのは。

【黒狼種/狼人/獣人】

 という、奇妙な文字だった。
 獣人も解る、狼人も俺の種族だし解る、黒狼種って言うのも間違いなく俺を指しているし解る。
 これが一体どういう事なんだろうか?
 俺は、首を傾げた。

「やっぱり、解ってない所の話じゃ無かったか…。ケイ、これは王宮に使える際に身分、種族、その他ステータスでしか確認できないような事を本人の意思を無視して閲覧する魔術だ」
「じゃ、じゃっスキル…も?」
「それは視えんな。原因は解っていないし、この魔術は例の“魔法”って技術をそのまま流用しているから、何がどうなっているのかはさっぱり解らない。同じ流用してるのはこの魔術と後はステータスだな」

 魔術の原形らしい魔法。それを解明して魔術として展開していたらしい、今この現在。
 ザグさんによるとどうしても魔術として変換できなかったらしい魔法とやらが、『明晰アナリシス』と『三状ステータス』の二つだそう。
 他にも解明できずに魔術として公正に明確に受け継がせられない魔法もあるそうだけど、検証が失敗すると危険すぎるのでそれらの魔法は手が出せずにいるらしい。
 ていうか、ステータスの三状ってのは何だろうか。三つの状態って意味なんだと思うけど……。

「三状ってのは、『名前』、『種族』、『能力』という最も基本的なものをタバナクルから引用して見れるようにしたものだ。自分のその三つの状態を見れるって事で、三状…ステータスって言う名前が付いている。ステータスってのは身分って意味らしいがあながち間違っても無いだろ」
「……へぇ」

 ザグさんが矢継ぎ早に話しているのを頑張って覚えようとしていた。
 俺、記憶力ないんだよな……。詠唱なんか覚えられる気がしない……。
 こっちに来てからいろんな情報が入ってきてるけど、完全に覚えられているのは三分の一くらいしかない気がする。
 俺が腕を組んでうーんと唸っていると、ザグさんが話を進めた。

「話が逸れたな。んで、この一番左側に来てるのはケイの種族だ、『黒狼種』。これは希少種とも呼ばれる独特の毛並みの狼人の事を指すんだが、これがちょっと……いや、かなり厄介だ」
「ど、どういう事?」

 なんだか、かなりお金臭い話題になって行きそうだ。
 例えば、金に物を言わせる貴族さんだとか、常にここを監視している王関係の人とかが。
 後者は、何でこんな辺境をポータルなんて不安定なものを使ってまで監視するのかが解らないけど、出来る限り関わりたく無い事だ。
 俺は組んだ腕を元に戻さずに難し顔のままでいると、そのままザグさんは続けた。

「この種は、神話に分類される書物にしか今まで記載された例が無い」
「…………………はい?」
「要は、お前の存在は神が降臨してきたような扱いになってしまう。……どういう意味かは、解るよな?」

 神、神様、ゴッド。
 頭の中に、俺の黒い衣と対照的な白い布を纏い、背中には純白の翼を備え、頭の上には光輪が浮かんでいるような存在が出現した。
 ……俺が、神様?

「まぁ、完全に獣人の出生について手を焼いているって事も無いからいまだ出現例無しってのかは分からんが、相当珍しいのは確実だ。同じく稀な『白狼種』、『銀狼種』には遠く及ばないくらい珍しいと思っていても問題無い位だ」
「銀狼……、何かカッコ良さそう」
「……き、緊張感無いなお前」

 だってさ、ただ真黒なだけの狼より、全身銀の毛皮を纏った狼の方がかっこ良さそうじゃん! アレだよ、金色の毛を持つ狐並みにカッコいいと思うんだよ!
 狐は黒い毛でもカッコ良さそうだけど、狼の毛なんて基本暗めの色だと思う。それが真っ黒の毛になった所であんまりカッコ良さそうじゃ無いじゃん。
 黒が好きだって言うのは否定しないけど、黒ってかっこいいと思うのは否定しないけど、それとこれとはまた違うと思う。
 アレだよ、青色が好きだからって青色の毛を持つ犬がカッコいいって思うかって話と同じだと思うんだよ。
 取り敢えず、『銀狼』という名前を聞いて尻尾を揺さぶってしまった俺は、暫くしてやっと落ち着いてきた。

「取り敢えず、お前はちょっと珍しいでは済ませられん位の種族なんだ。里離れした纏族クラッディア以上だ。無駄に自分の種族の事をあまり話そうとするな?」
「クラ……?」
「良いか、今はリベにも駄目だ。あいつは子が作れなくて、ケイという子が出来て舞い上がってんだ。それが、とても珍しい種族の子だって解ったら……」
「絶対、自慢して回りそう……」

 あの怖くて耳聡いリベさんだけど、結構喋るのも好きだ。話題が最近俺の事が多いってのもご近所さんから聞いている。
 俺は目を伏せ気味に、安易に予想できたリベさんの行動に対して溜め息をつきつつ、乾いた笑い声を出していた。



 俺は取り敢えず周りに思われている通り、犬人ワードッグで通す事になった。
 ……ワンワンッ。
 獣化時に吼える練習でもしておこうかな。


     ★


 能力スキル
 あのステータスに表示された、マーク付きの項目の事。
 スキルっていう事の方が多いらしいけど、それはステータスって言う魔法にあやかって同じように聖典言語ロゴスで『能力・技能』を表す言葉を使っているだけで、簡単に言うなら『特殊能力』って言う所のもの。

「私のには、黒い菱形……コレと、白い菱形……の順に書かれたたわ。言語によっても違うのかしら?」
「……ぅ? 星形、あるんだけど」
「「星形っ?!」」

――――――――――――――
【ケイ=オリエンス】
【獣人:狼人:黒狼種】
【★ 矛盾】
【◆ 獣化】
【◇ 引斥操作】
――――――――――――――

 俺は魔力が形作る光の板みたいなステータスを眺めてそう呟いたら、何故かザグさんとリベさんが目を白黒させて顔をこっちに寄せてきた。……リベさんは元々黒だったか。
 そんな事を思いつつも、何でそんなに驚いているのか気になった。

「あ、ケイか……」

 何かザグさんは冷や汗を拭いながらどこか納得したような表情になっていた。
 けど、眼が真っ黒なリベさんは未だ目を見開いて、夜空に浮かぶ月みたいに輝いている金色の虹彩をこっちにジッと向けていた。
 シャイな俺は美人にそんな真っ直ぐ見つめられると、眼を逸らしたくなってしまう。俺は、前世と同じように目を泳がしていた。
 し、しかし、眼を泳がせた方が拙かった。
 リベさんの服は、以前俺が来ていた服みたいにゆったりとしていた。ゴムで止めるようなところは巻いて縫い合わせてある布の内に仕込んである紐を結んでずれるのを防ぐと言う機能も付いているけど、それだけだ。
 そして、何でそれが拙いかと言うと……、胸元が大きく開いているのだ。
 こっちに身を乗り出している所為で、ほぼ胴体と垂直に伸びていらっしゃる胸。それが元々ゆったりとした服を下方に引っ張る力となっていやがったのです。
 別に下に引っ張られるだけなら、裾が持ち上がってコッチの光景にはあまり関係が無い。
 けど、そのお蔭で伸びきった服が限界に達してそこに押し上げられるように、ムニムニと谷間を再び形成しているお胸様が目の前にあるのですよっ!

「ううぁっ?!」

 俺は後ろに転倒。
 頭は痛かったけど、色々と危ない光景はそっと離れて行った。

「で、…なんで驚いたの?」
「……ねぇザグ、この子ってホントに大丈夫かしら?」
「仕方が無いだろ、幽閉されてたも同然なんだから」

 俺が拾われた経緯をまだハッキリと言って無いザグさんはあながち間違いでも無い妥当な所を言っていた。
 一度ザグさんの方を振り返って、プルンと揺れたお胸様は再び落ち着きを取り戻したようだ。

「星形って、何なのさ…?」

 俺は後頭部を抑え、ほんの少しのクッション材料となった尻尾を撫でつつ、ザグさんらに聞いた。
 若干目頭に涙が浮かんでしまったのは、あまりにも今更なのでもう放置する事にした。
 ……決定。俺のこの身体は泣きやすくなっています。

「星形ってのは、別称……って訳でも無いか。ユニークマークって言われててだな、その人唯一の特殊能力を指してるんだ」
「……つまり、ケイは『特有者ユニーカー』って事ね」

 ゆ、ゆにーく?
 俺はキョトンとした。
 ユニークと言えば、アレ……だよな?
 あのユニークだとか、唯一だとか、独特だとか、独創的だとか、何かそう言う系の意味を沢山持ってる……。
 俺はそこまで考えて、行動に移った。

「にゃあああああッ!」

 歓喜の叫びをあげ、飛び上がった。
 もしかしたら推進力になるかも知れないほど振り回される尻尾。
 よほど嬉しいのか、耳の後ろがピクピクと痙攣して、耳がピコピコと動いてしまう。
 俺は何度か飛び上がっていた。
 もしかして、優遇ってコレの事ですか?!
 俺の魔力を見る目じゃ無かったんですねっ!?

「……猫?」
「猫みたいな声だったわね……」

 目の前で苦笑いしているザグリベさんの事は置いといて、取り敢えず俺は飛び上がっていた

定期試験が近いので、少しの間更新は週一となります。
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