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ワールドオーダー  作者: 河和時久
旅立ち編
21/70

21:推測

 翌朝、いつもの日課のドローを行う。


No032UC:範囲拡大 次に使用するカードの対象範囲を拡大する。効果のないカードもある。


No037UC:潜在情報 対象から記憶を情報として引き出す。物体からも可能。


No173C:天涯孤独 対象は周りから認識されなくなる。地面以外に触れることができなくなり、魔法もスキルも使用できない。術者のみ認識できる。


No203C:人物検索 対象の現在位置を検索する。対象の名前が分かっていなければならない。同名が複数いる場合は全て検索される。


No214C:呼吸困難 対象は息を吐くことはできるが、吸うことができなくなる。窒息死寸前に解除される。

No247C:謎便利店 謎のコンビニへ行くことができる。店内はセルフ。店を出る際に商品代金分の魔力を消費する。店内滞在時間は最大1時間。時間が過ぎると強制退出される。


 運良くまた新規カードばかりだ。っていうか結構引いてるのに、未だに新規が出続けるとかコンプ出来る気がしない。

ていうかすごいのきた! コンビニとか超行きてえんだけど!! でも頭の謎が超怖い!!

だがこれは行ってみるしかない。


「247セット」


 すると一瞬で俺はどこにでもあるようなコンビニの中にいた。入口から入った瞬間のようで背後では自動ドアが反応して開いている。どうやらこのカードは使用と同時に店内に転移されるようだ。

 店の中を見渡すと如何にもコンビニといった商品が並んでいる。店の造りも普通のコンビニそのままだ。ただ、よく見ると商品のどれもパッケージがなに一つ書かれていない。ポテチっぽい袋が多数並んでいるが全て銀色の袋でどれがなんなのかさっぱりわからない。それともすべて同じものなのだろうか?


 カゴはないようなので、ポテチっぽい袋を適当に横一列全てカバンに入れた。後は髭剃りとかシャツとか缶詰とかを適当に見繕ってカバンに放り込む。コンビニはなんでもあるな! しかし弁当とかスイーツとかまでパッケージなしで置いてあるんだが、賞味期限すら書かれてなくて怖い。弁当はまた今度にして中身の分からないオニギリ、プリンぽいケース、そして中身がなんだかわからないペットボトルを数本カバンに突っ込んだ。


 そしてレジの横には定番のおでんと肉まんらしきものがある。最近のコンビニは夏でも肉まんとか売ってるとこあるんだよね。まぁ他にも店舗によって唐揚げのポテトだのを売ってるとこもあるが。俺は肉まんらしきものをじっと見定めるといくつかちゃんと種類毎に入っていることがわかった。

 まず形が違うので肉まんとあんまんの違いはわかる。色が違うのでカレーマンとピザまんがあるのもわかる。問題は多種多様にある肉まんが果たして本当に肉まんなのかどうかだ。肉まんらしき形だけで棚に3段程あるが、おそらく一番上の段が通常の肉まんだろう。とすると2,3段目は果たしてなんなのか。3段目にある形は丸くて大きめの、いわゆる高級な肉まんぽいやつをとってその場で食べてみた。会計もしないで食べ出すとかどこぞの狂った国みたいだが、レジに人とか居ないのでしょうがない。一口食べてみると口の中に濃厚な……抹茶とミルクといちごの味が広がった。

 肉まんを予想して口にしたために脳が処理しきれなかった。口に含んだ瞬間に一体何を食しているのか全く理解ができなかった。一瞬後、やっと脳の処理が追いついた。


「何まんだよ!」


 思わず一人で突っ込んだ。肉まんの衣に妙にフルーティーな味わいが絶妙にマッチ……するわけもなくただ絶望的に味が合わないとんでもない地雷だった。もったいないので渋々全部食べたが怖くて3段目のものには手が出せなくなった。こんなゲテモノを食べたのは名古屋に住んでた時に行くだけで登山とか言われたあの喫茶店以来だ。


 口直しにおでんを食べてみたがこちらはどうやらそのまま普通のおでんのようだった。ちくわをこんなに美味しく感じたのは生まれて初めてかもしれない。ちなみに雑誌類は何も置いてなかった。置いてあったら俺は異世界にいながらコンビニに入り浸る生活になってしまっただろう。


 その後はカップラーメンをいくつかをカバンに入れておいた。地球のコンビニでも携帯支払いだったので全く金銭なんか気にしたことがないため買い方は地球にいた頃となんら変わりない。金額とか気にせず適当に欲しいものを欲しいだけ買うという、子供のような大人買いだ。とりあえずこんなものかと店を出ると、来る前までいた宿屋の一室にいた。支払いはどうなのかと思ったが、特に疲れることもなく何かが減ったようにも感じなかった。おそらくスキルが影響しているんだろう。問題はあの店に補充がされるのかどうかだ。


 その後、下に降りて朝食を取り、もう一度部屋に戻り2度寝する。こんな朝っぱらから街へいってもやることがないからだ。ボンヤリとシェルム達のことを考える。自分に全く関係ない存在だが、助けられるものならなんとかしてやりたい。人の悩みをすぐ自分自身に置き換えて勝手に一人で凹んでしまうのは俺の悪い癖だ。この世界ではやっていけないくらいの甘い考えであり偽善でもある。でもたとえ偽物でも相手が多少でも救われるなら、それは偽善呼ばわりして何もしないやつよりマシだと俺は思う。


 しかし、スキルを持っていないというのは俺にはどうしようもない。その継承スキルとやらを持ってる親から盗んでカードを渡せば使えるんだろうか? そんなことをしても次代に受け継げないんじゃ意味がないか。女が受け継いだ場合は婿養子でも取るのか? 余所に嫁にいったその子供に現れたらどうするんだ? 謎は尽きないな……そんなことを考えながら俺は夢へと誘われていった。


 昼頃に起きて、街をブラブラと歩く。昼食代わりに昨日と同じく、屋台で焼き鳥を5本購入し、ギルドへ向かう。一応ギルドで進捗の確認をするためだ。


 ギルドへ向かっていると何やら視線を感じる。振り返るとそこには10歳に満たないであろう少年がこっちをじっと見ていた。


「どうした坊主。なんか用か?」


 少年は何も答えない。視線はじっと焼き鳥を見ている。欲しいのか。俺は周りを見渡す。渡すと同時に同じような子供がわんさかきたりしたら困るからだ。他に子供がいないことを確認した後


「食うか?」


 1本少年に渡した。少年はにっこり笑って


「ありがとうおじちゃん!」


 といって走り去っていった。ここで食べればいいのに。しばらく色々な店を見ながらブラブラと歩いているとまた視線を感じた。恐る恐る振り返るとまたさっきの少年がいた。


「なんだまだ欲しいのか? 食べ過ぎるとお腹壊すぞ?」


 するとキュルルルというお腹の音が少年から聞こえてきた。さっきのは食べてないのか? カマを掛けてみるか。


「さっきのは誰にやったんだ?」


 すると少年はビクっと反応して、恐る恐る言った。


「妹」


 はぁーとため息をつき俺は残りの焼き鳥3本を少年に渡した。


「仲良く分けろよ」


 少年は一瞬、何が起こったか分からずキョトンとしていたが、貰えると分かると嬉しそうにお礼を言って走り去っていった。また買いに行くのも面倒なので俺はそのままギルドへ向かった。


 ギルドに付くと受付のお姉さんにギルド長への面会を頼む。このお姉さんもなかなかの美人だ。金髪で横で髪を編み込んでいる。なんていう髪型かは知らない。しかし受付嬢は美人しかいないな。きっと採用試験に容姿の項目が有るに違いない。そんなことを考えていると


「こちらへどうぞ」


 とギルド長の部屋へと通された。


「失礼します」


「昨日はご苦労じゃったの、今日はなんじゃ?」


「昨日の件についての進捗を聞かせてもらおうと。何事もなければ王都へ帰りますので」


「そうか。ではまず山の件じゃがギルド職員の探索スキル持ちに調査に行ってもらった所、特に新たな魔物の姿は見あたらなかったそうじゃ」


「そうですか。ずいぶんと早いですね」


「そやつは探索に特化しておるからな。その分戦闘能力は皆無じゃが」


「最初からその人に調査に行かせたらよかったんじゃないですか?」


「別件の依頼に出ておっての。帰ってきたのが昨日なんじゃ。お主が調査にいったのと丁度入れ違いじゃな」


「それなら仕方ないですね」


「とりあえず安全は確認されたので明日から山の解禁を行うことにした」


1日で安全と言い切れる確認て、どんだけ範囲広いスキルなんだろう。欲しいな……


「次にオーガの件じゃが、こっちのほうは何者かがオーガを倒したとの情報だけを公開した。誰とも言っておらんがワシの元にきた情報だとクラン[栄光の道]がオーガを倒したとの話が噂として上がってきておる。どこのオーガとまでは聞いておらんな」


 計画通りミスリードを誘えているということか。まぁ一々どこのオーガを倒したなんて面倒くさくて言わないだろうし、聞いてるほうは最初から山の魔物という前提で話をしているからわざわざ山のなんて聞かないだろう。一人二人反応した所で大多数の人にとってはどこのオーガが倒されたかよりも山が解禁されることのほうが重要なはずだから大して気にもとめないだろう。


「最後に見張りの件じゃがこれがちと問題でな。現在行方不明じゃ」


「行方不明?」


「魔物に襲われたのなら何かしらの形跡があるはずじゃが、争った形跡もなく血痕等もない。遺品すらないので食われたとも考えにくい。しかし行方不明の職員の前に見張りをしていた者の話では、確かに交代に訪れてきたといっておる」


「となるとすぐに思いつく可能性は2つ。1つはその人が自分でどこかに行った。もう1つは誰かに誘拐された。誘拐の場合は、争った形跡が全くないとすると顔見知りか複数犯、魔法を使っての犯行の可能性が高いですね。まぁ誘拐された後、殺された。もしくはこれから殺される可能性も有りますが」


「誘拐か……」


「最近その人に変わったことはなかったかを調査したほうがいいですね」


「わかった。そちらも調査してみよう」


 一応こちらの仕事は終わったのでもう帰ってもいいんだが、見張りの人がちょっと気になる。とはいってもどうしようもないから、後はまかせて王都へ帰るか。王都までの護衛依頼があるか確認して、なかったらカメロさんに話を聞いてみよう。ちなみにカメロさんというのはランドさんの知り合いの商人で、この街まで俺が護衛として付いてきた商人だ。


 護衛依頼を探すと明日からの鉱石取りでの護衛依頼があったが、王都へもマルクートへも行く依頼はなかった。しかたないのでカメロさんを探すことにした。しかしカメロさんがどこにいるのか分からないので、街をブラブラと探しながら歩くことにした。

 しかし魔物が殆どいないっていってるのに護衛が必要ってことは盗賊でもでるんだろうか。それとも殆どといってるから魔物がでない訳じゃないってことで保険なのかな。


 そんなことを考えながらブラブラと歩いているとなにやら建物の影で話をしている2人が目に入った。普段なら特に気にすることでもないのだが、その男女の女の方が先ほどのギルドの受付嬢だったため意識を取られたのだ。よく顔は覚えていないが会ったばかりなのでさすがに雰囲気というか気配を覚えている。髪型も同じ人は他には見なかったし間違いないだろう。俺は顔は全く覚えられないが、気配や声、雰囲気等で覚えるので実際に会いさえすれば判別はつく。ただ名前と顔が覚えられないだけなのだ。


 さりげなくその男女のやりとりを横目で見ていると、受付嬢は手を口に当て絶句しているようだった。何か衝撃的なことを告げられたかのようだ。男が笑いながら立ち去ると、受付嬢は焦燥した様子でその場にうずくまった。


「どうかしましたか?」

 

 思わず俺は声を掛けた。


「あ、貴方はたしかハンターの……」


「キッドといいます。それよりどうかしましたか? 私で良ければ相談に乗りますよ」


「い、いえ、大丈夫です。ちょっと気分が悪くなっただけですので……」


 現場を目撃した俺から見れば明らかに嘘なんだが、恐らくあの男に何かしらの口止めでもされているんだろう。それとも俺が単なる不審者にしかみえないのかな。


「そうですか。まぁ何かあったらお力になれると思いますので、気軽にお声を掛けてください」


「ありがとうございます」


 そういって、受付嬢はその場を立ち去った。さて、どうしようかな。とりあえずカメロさんを探しながらあの受付嬢と話をしていた男も探してみるか。服が緑だったから正確な顔はわからんがすぐわかるはずだ。緑っぽい服はこの街であいつしか見てないしな。


 そしてそのまま街をぶらついたが結局カメロさんは見つからなかった。人に聞かなかったせいもあるが聞いたら負けかなと思っている。時間はあるからのんびりと探すのがこういう時の醍醐味だ。まるでRPGをプレイしているようで楽しい。同じことしか言わない人とか居たら怖いが。「私が町長です」とか言われたらトラウマが蘇りそうだ。


 宿へ戻るか。そう思い、歩いていると酒場があった。ちょうど誰かが店から出た所でその扉の隙間から、先ほど受付嬢と話をしていた男が酒を飲んでるのが一瞬見えた。顔は覚えてないが服装と体格ですぐわかった。俺は顔のパーツはなかなか判別できないが人間という個体としての判別はむしろ優れているほうだ。俺は一瞬店の扉を開け


「92セット」


No092C:異体同心 対象の心を読むことができる。


 距離が離れているが、俺は緑服の男に対してカードを使った。誰かを探しに来たというのを装って店の中を見渡した後、すぐに店を出た。ちなみにカードは指貫グローブの手の甲部分に入っているので見えない。他には靴下の中とかポケットの中とか全て見えない位置に入っている。ちなみに店に入らなかったのは俺が全く酒を飲めないからだ。元々俺は一人で店で時間をつぶすということができない。

 食事をする場所というのは食事をするところであって他のことをわざわざそこでする意味がわからないのだ。ファストフード店とかイートインのあるところに行ってもすぐ食べてすぐ出てしまう。あくまで食べるところは食べることしかしない。むしろ自分にはできないといったほうが正しい。食べ終わったのにその場に居続けることができないのだ。なので長時間お店に居座るなんて真似は自分にはできないため、カードを使用してすぐに出た。


 酒場と隣の店の隙間の路地に入り俺は聞こえてくる声を聞いた。


(……だからな。あの女も明日にはやつの物にされちまうのか。全くあの野郎もいい趣味してるぜ。しかしいい女だよなぁ、やつの前に味見しちまうか。いや、だめだ、ばれたらあいつみたいな目に遭うどころか殺されちまう……仕方ないあの女は諦めるとするか。しかし馬鹿な女だ。どうせあいつはすぐ死んじまうってのに……)


 店内の男の思考が流れてくる。途中からしか聞こえなかったがこいつは誰かの手先ということか。あいつとは誰だ? しばらく待ったがそこから先は全く関係ない思考ばかりが聞こえてきてたが、そのうち声が聞こえて来なくなった。カードの効果が切れたのか、それとも酔いつぶれたのか。


「あんたそんなとこで何してんの?」


 振り返るとそこには、なんか最近毎日会ってるシェルムとソフィアがいた。


「丁度いいところにきた。ちょっとシェルムに頼みたいことがあるんだ」


「な、何よ急に」


「この酒場で緑っぽい服来た男がいるんだけど、店を出たら後を付けてくれないか?」


 そう言って銀貨を渡す。


「あんた何たくらんでるの?」


「ちょっと悪人を懲らしめようとね」


「まぁ何するか知らないけど、それくらいならお安いご用よ。あんたには借りもあるしね」


 なんかあったっけ。全く覚えてない。


「ソフィアはここで俺とイチャイチャしてくれ」


「は……え!?」


「あんたいい加減にしないとぶっ殺すわよ」


「ジョウダンデス。じゃあ俺はこの先のツルハシのマークの看板が掛かってる宿にいるから。何か分かったら連絡してくれ」


「わかったわ」


「私は尾行には向かないので先に戻りますね」


 そう言ってる最中に男が店を出てきた。酔っているのか少しおぼつかない足取りで男は通を歩いていった。シェルムは男の尾行を開始した。あれだけ酔ってるなら素人の俺でもいけたかも知れないな。でも油断は禁物だ。俺なんてスキルがなきゃただのサラリーマンだしな。今じゃ給料貰ってないからただのマンか。悲しい……そうして宿で落ち込んで待っていると1時間程してシェルムが戻ってきた。


「なんか町はずれのでっかい屋敷に入っていったわ」


 恐らく伯爵様とやらの所へいったのだろう。


「誰の屋敷か分かる?」


「さぁ?、この街は詳しくないし」


「町はずれのお屋敷ならイリスィオス伯爵様のお屋敷だよ」


 シェルムと話をしていると女将が会話に入ってきた。


 イリスィオス伯爵はこの辺りを納めている貴族らしく、非常に好色でいい噂を聞かないらしい。典型的な糞貴族のテンプレのようだ。この世界で継承スキルを受け継いだ貴族の男は、そのスキルを存続させるために多数の女性と関係を持つのが一般的なんだそうだ。


 ここの糞貴族はどうやら数十人も妾がいるらしい。継承スキルを持った男児を産んだ者を妻とするんだそうだがまだ生まれていないため好き放題しているんだとか。継承スキルを持たない子供だった場合、その子供毎、母親は捨てられるんだと。よし、殺そう。大元にあるのが血ではなくスキルなんで血縁がどうとか全く関係ないってことか。そんな糞ばかりなら貴族なんて滅ぼした方がいいかもな。


 しかしこれで何となく想像がついた。その糞貴族はあの受付嬢に目を付けたが、ギルド職員だから強引な手段は執れずに搦め手を使っているということなんだろう。しかし貴族ならそれくらい、どうとでもなる気がするんだが、それほどギルドの力は強いんだろうか。


「シェルムは明日から採掘か?」


「えぇ、明日から解禁みたいだからすぐ向かうわ。でもなんかこの街に来てから不思議なのよねぇ」


「何が?」


「何故かみんな私達がオーガを倒したことを知ってるのよ。噂が広がるにしても早すぎるわ。しかも山に行けるようになったのは、私達のおかげとか意味がわからないこといってくる人もいたし……」


「気にしなくていいんじゃない? 倒したことは事実だし」


「うーん、なんか引っかかるのよねぇ……」


「今日はありがとなシェルム。おやすみ」


 そう言って俺は足早にその場を立ち去った。


「あっこら、ちょっと待ちなさいよ!」


 いつも通り無視して俺は2階の部屋へと戻った。




 ベッドに横になり考えをまとめる。案件は


1:消えた見張り


2:脅された受付嬢


 こんな感じか。なんか受注してるクエスト一覧みたいだ。


 見張りが消えたのは消えた見張りの前の見張りと交代してから俺が現れるまでの間。朝に交代したらしいから、俺が到着する昼までの間に居なくなったことになる。たしかに馬車の跡はあったがもしかしてあれか? でも行き帰りには誰も見かけなかったことを見ると、別ルートでの移動も考えられる。しかし見かけなかったとなると一番可能性が高いのはこの街以外の場所に連れ去られた可能性だ。それが一番辻褄があうんだが、この街以外にどこか盗賊の拠点のような場所でもあるんだろうか。


 そして一番の問題は誘拐の場合はその目的だ。何かの目撃者か、はたまた何か重要な情報を持っていたか。金目の物を持っていたとかなら生かしておく理由がないしな。うん、現段階では情報が少なすぎて全くわからない。ギルド長の情報に期待しよう。


 受付嬢についてはあの緑の服の男は連絡係でその背後には伯爵がいる。そして伯爵の目的は受付嬢を手に入れることか。こっちはそのまんまだな。何かしらで脅迫してるような感じだったな。ん? ……まてよ……脅迫? 何を使ってだ? 借金とかなら金額次第で借りるなりできるはずだし、その場合、連絡係なんて使わずに普通に本人が正攻法で手に入れることができるはずだ……となると考えつくのは……人質か。親兄弟もしくは……恋人。


 あれ? 恋人? つい最近消えたギルド職員の見張り。緑の男がいっていたあいつ。あれ? これつながってね? 消えた職員が受付嬢の関係者ならかなり濃厚なんだが。その辺はギルドで聞いてみるか。この時間に空いてるのかなギルド。


 しかし、まてよ……ハンターの職員を誘拐するより受付嬢を直接誘拐したほうが楽じゃないか? なんで一々回りくどい真似してハンターさらってるんだ? 目立つからか? ハンターなら仕事中に行方不明とか事故で済みそうだからとかそんな理由か? さすがに受付嬢が消えるってのはインパクトが強すぎるからな。


 緑のやつは明日にはって言ってたから、受付嬢は今日はまだ大丈夫だろう。明日にはってどうして明日なんだ?今晩じゃダメなのか? それに「ただあいつはどうせすぐ死んじまう」って言葉が気になる。これは急ぐ必要があるな。仕方ない、乗りかかった船だ。最後まで面倒見るか。まぁ乗りかかったっていうか無理矢理飛び乗ったんだけどな! そして俺はすぐにギルドへと向かった。



説明しよう! 便利店とは中国語でコンビニのことなのだ!

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