18:再会
翌朝、いつもの時間に起きて日課のドローを行う。しかしその前に
「67セット」
No067UC:大器晩成 次回ドロー時にレアカードの取得率があがる。1日1回のみ使用可能。10回まで連続使用。
1度これを試してみることにする。
「ドロー!」
すると1枚光り輝くカードがあった。
No025R:四獣召喚 強力な守護者を召喚する。守護者はランダムで選択される。デリートするか守護者が死亡しない限り効果は永続する。
No035UC:呪術回復 呪いを解除する。
No80UC:分子振動 対象を電子レンジ。
No087C:落穴作成 起動後、カードの置いてある場所に落とし穴を作る。カードを手放してから5秒後に作成される。
No192C:光輝之手 対象の手が光る。
No198C:拍手喝采 ファンファーレがなる。
まさかの1発引きだと……!? このカード実はすごくね? いや、まだ1回だから偶然かも知れない。何度もやって検証しないと100回の内の1回が最初にきただけかも知れない。しかし俺のリアルLUKさんマジぱないっす。なんか見えないスキルに幸運アップとかついてんじゃないの俺。
しかしこの25のカードの意味が分からない。なんか守護霊みたいなのを呼べるってことか?大きさにも寄るけどあんまりでかいと連れ歩けない気がするんだが……遠くに離れて待機とかできるのかなぁ。これは使ってみないことには、情報が少なすぎて分からないな。
35は解呪か、やはりこの世界にも呪いとかあるのか。見えない攻撃みたいなのは、さすがに回避できなそうだから注意が必要だな。
80は……電子レンジってなんだよ! 解凍なのか加熱なのかどっちだよ! 名前が分子振動なんだから水分子を振動させるとか書けばいいじゃん! なんで電子レンジなの!? ていうかカードにこんな突っ込み入れることになるとは思っても見なかったよ! ふう、なんか酷く疲れた気がするが、まぁこいつは恐らく電磁波当てて加熱するんだろうな。
87はまさかのトラップカード! これでついにトラップカード発動! とかできるのか。胸が熱くなるな!
192と198は……うん、意味が全く分からない。これをどうしろと!? 何か特殊な効果があるんだろうか? 手が光るってあーた……いくらなんでも、それだけってことはないよね? ない……よね……
まぁよく分からんカードも出たが、レアが出たので問題なしだ。67を2枚使ったらSRとかでるんじゃないか!? とワクテカするが67がなかなか出ないとうジレンマ。ちなみに王都への移動中にでた新規カードは
No063UC:幽魂回帰 魂を現世に呼び寄せ死者と会話できる。呼び出すには呼び出す対象の思いの籠もった遺品が必要。
No078UC:物体複製 対象を複製する。カード、生物以外の物体のみ対象にできる。起動時に対象に手を触れていなければならない。
No112C:沈思黙考 対象をしゃべれなくする。
No140C:模倣技術 対象が直前に使用したスキルを使用することができる。リテイクのワードで発動。
No154C:快楽之虜 対象は体が敏感になる。
No159C:七転八倒 対象が地面にいる場合は必ず転ぶ。7回転ぶまで起きあがれない。
No185C:不快狂音 不快な音を発生させる。
No199C:空間隔離 対象を中心とした半径5mの球形の空間を隔離する。外から中へ、中から外への干渉はできない。
こんな感じだ。後は被りだった。まぁ被りといっても何枚あってもいいやつばっかりだったが。
カードをしまい、朝食を取りに下へ降りる。ちなみにこの宿は2階建てで、俺の部屋は2階の突き当たりだ。
「おはようございます」
「あぁ、おはよう。朝食できてるよ」
女将さんに挨拶をし、朝食を頂く。今日は焼いた魚のすり身のようなものとサラダっぽいものだった。しかしいっしょにでてきたのがご飯ではなくパンだった。白いご飯がほしい。
野菜は嫌いだが出された以上、全て食べなければ負けだと思っているので全て平らげた。マヨネーズとかドレッシングなしの葉っぱものは本当に葉っぱを食べてるようできつかった。しかし俺は今までどんなにまずい店にいっても、お店で注文したものはご飯粒1粒さえ残したことはない。ラーメンだってスープも全部飲む。天ぷらのエビの尻尾だけは俺には無理だったが。
朝食が終わり、ギルドへ向かう前に防具屋へ向かった。一張羅の革鎧がボロボロになってしまったため直すのと、以前注文した指貫グローブができているかの確認だ。
防具屋へいくといつもの親父がいた。
「おはようございます」
「ああ、お前か。手袋できてるぞ」
そういって防具屋の親父は指の部分の空いた黒い手袋を持ってきた。皮なのに鞣してあるのか、かなり柔らかい。手首の部分には結んで止めるようなひもが付いている。早速手にはめてみた。そして指を銃の形にして先端を吹く。
「へへっ燃えたろ?」
「何いってんだおまえ?」
指貫グローブをはめた以上、これは言わざるを得ない。いや、無意識に言ってしまうのが指貫グローブの魔力。恐ろしい。
「パーフェクトだウォル、じゃなくておじさん! すばらしい!」
「気に入ったようで何よりだ」
おじさんから2セットのグローブを受け取ると1セットはそのまま手にはめて、もう1セットは鞄にしまい込んだ。
「後、鎧がボロボロになったんで修理お願いします」
「ひでえなこれは。一体何と戦ったんだ?」
「主に木にぶつかったり、木にぶつかったり」
「お前はいつも木と戦ってるのか……」
まぁ動きやすいけど、この鎧じゃ全然ダメージは、軽減できてない気はする。まぁ軽くて動きやすいので、回避が主体の俺にはぴったりなんだが。
「こりゃ修理に4日は掛かるぞ。修理費も新しいのを買うのと大差ないがどうする?」
「それじゃ修理してもらって同じ物をもう1つ買います。それお気に入りなんですよ」
「そうか。大事に使ってくれるんなら、俺も作った甲斐があるってもんだ。わかった新品同様に直しとい
てやるよ」
そうして、同じタイプの鎧を買い俺は店を出た。何事にも予備は大事だ。俺は地球にいた頃も、お気に入りのストラップなんかは、予備がないと付けなかったぐらいだ。2つ同じタイプのものが、手元にない限り使わなかった。だから1つの場合は使わないで保存してた。どうでもいいやつなんかは1つでも付けてたが。もう1つあるという安心感がないと、もったいなくて使えないという貧乏性?なのかなこれは。
まぁ今回の鎧については、単純に旅先で壊れた場合の予備なんだが。
そして今度は武器屋へ向かった。忘れていたが、フェイクのトンファーを頼んでいたからだ。
「おはようございます」
「いらっしゃい。ってああ、貴方やっと来てくれましたか。受け取りに来ないからどうしたものかと」
「ちょっと急な依頼で、出てたんですよ」
嘘です。完全に頼んだこと忘れてました。
「あぁそれなら仕方ないですね。お持ちしますので少々お待ち下さい」
そういってお兄さんは奥へと引っ込んでいった。持ってきたのは非常に綺麗な、若干緑がかった銀色のまごう事なきトンファーだった。
「魔鉱石を使って作ったので加工が大変でしたが、鉄よりも軽くて丈夫になっています」
「魔鉱石ってなに?」
「魔鉱石というのは魔力を多く含んだ石で非常に丈夫な金属です」
俺は手に持ってクルクルと回してみた。軽いと言っても5kg以上はありそうだが……うん、いい感じだ。
「なんか試すものない? 試し切りって訳じゃないけど試し殴りしてみたい」
「こちらにあります」
そういって店の裏へと連れて行かれた。するとそこにはギルドにもあった、鎧を着た人形があった。人形に近づき、俺は徐にトンファーで殴ってみた。人形の上半身が吹き飛んだ。横を見ると数十メートル先の壁に人形の上半身がめり込んでいた。壁にめり込んだ人形を確認すると鎧に横一文字に凹んだ後があった。トンファーのほうは無傷だった。鉄の鎧相手に全く無傷というのは、店側の言うとおり、かなり頑丈なのだろう。
後ろで見ていた店員は、一体何が起こったのかと愕然としていた。
「ここで起きたことは秘密にしておいて下さいね。じゃないとあの人形、未来の貴方の姿かもしれませんよ」
にっこり微笑んでそういうと店員は勢いよく何度も頷いた。トンファーは2本で金貨1枚というぶっ飛んだ値段だった。ぼったくりにも程があるだろうと思いつつ普通に払った。魔鉱石の相場や加工賃の相場が分からないためだ。まぁ俺は気に入ったものに対して金は惜しまないので問題ない。
それにあれを見た後で、俺にぼったくりの値段を言うとも思いにくい。バレた後の事を考えたらどうなるか分かるだろうし。
サービスということでトンファーを入れる入れ物を貰った。ベルトに付ける、なんか西部劇のガンマンが付けるような銃ホルダーのようなものを左右に付け、それにトンファーを入れるという形だ。なんか走ったら落ちそうだが。色々と準備が整ったので、そのままギルドへと向かった。
ギルドに行くといつものツインテールさんがいた。
「あっキッドさん、おはようございます。今日はお一人ですか?」
「ええ、しばらく一人で依頼をこなそうかと思いまして」
「そうですか。頑張って下さいね」
「死なない程度に頑張りますよ」
そういって俺は依頼の掲示板を見る。聞いたところ依頼を受けるのに上限というものは無いそうだ。しかし下限はあり、銀の人が銅のランクは受けることができないが、銅の人は銀でも金でも受けることができるそうだ。ただし失敗時は報奨金と同じ金額の賠償額を払うことになり、失敗が多いとギルド退会処分ということもあるらしい。
詳しくいうと自分と同ランクの失敗なら3回でギルドカードの使用が1ヶ月停止、3回目以降は1回につき1ヶ月停止、5回で退会という罰則だが、上位ランクの場合、失敗3回で即退会なんだとか。しかし、素行不良以外での退会処分はツインテールさんが、ギルドに入ってからは一人もいないらしい。過去に居たかどうかまでは分からない。みんなやはり賠償金が怖くてそもそも上位は受けないんだろう。
掲示板を見ると、目に付いた依頼があった。西の森の調査というものだ。なんでも森の中から外へと続く、謎の道ができているんだそうだ。
……
おおっと、キッド君ここで華麗にスルー!! 俺は見なかったことにして他の依頼を探した。
そして3日後
「来ちゃった!」
「来ちゃったじゃねえよ! まだ一週間しかたってねえだろが!」
俺はマルクート村にいた。
「あんだけ大げさに別れといてお前……」
「おっちゃんが驚くかなぁって思って」
「それだけのために来たのかよ!?」
一週間ぶりのおっちゃんの突っ込みを受けつつ俺は依頼のことを話した。そもそもここに来たのはわざわざおっちゃんに会いに来た訳じゃない。まぁ驚く顔が見たかったってのもあるが、実際はこの村より北にあるセーヴェルという街からの依頼のためだ。その街の東に山があり、そこに魔物が住み着いたとのこと。その調査のために向かっているのだ!
「のだって……お前なら調査うんぬんの前に何が相手でも倒しちまいそうなんだが」
「危険なやつなら、死んでたことにして倒しちゃうよ。そうじゃなかったらほっとく」
あくまで依頼は調査だからだ。ちなみにセーヴェルにもギルドがあり、そこでも調査が行われているが、その調査に向かった調査員が帰ってきてないそうだ。そのため急遽王都にまで依頼が回ってきた形になる。っていうかギルド長、直々に頼まれたんだが。銅1の新人に指名依頼とかなにそれこわい。一応、紹介状のようなものは持たされたが、向こうのギルド支部がそれで納得するんだろうか。
「それでランドさんの知り合いの商人の人が、丁度そこに向かうっていうんで紹介してもらって護衛として同行させて貰っているのさ!」
「なんでそんな勝ち誇った顔してんだよ」
荷物の積み卸しがあるとのことで、今日はここで泊まることになった。俺は普通におっちゃんの家に上がり込んで泊まっていった。すぐ戻ってきたのに奥さんとミリーは暖かく迎えてくれた。全然気まずくなんてないよ!
「普通はセーヴェル行くなら、王都から北周りでいくんだけどな」
「へー」
夕食後、俺はおっちゃん達と普通にだべっていた。
「まだ一週間だけど、こっちは変わりない?」
「ああ、ゴブリンどころかウルフも見かけない。平和そのものだ」
「そりゃ良かった」
俺にとってここは故郷のようなものだから、やはり気になる。
「ここは老後を過ごすのに良さそうだよなぁ」
「まだ全然そんな歳じゃねえだろ」
「結婚したらここで生活するのもいいかもしれないな」
「相手いるのか?」
「ミリ「表でろゴラァ!」」
「落ち着きなさい」
スパンっと奥さんに頭を叩かれておっちゃんは正気に戻った。おっちゃんはミリーのことになると冗談が通じなくてマジ切れする。
「冗談だよおっちゃん。ミリーちゃんは俺にとって妹みたいなもんだから、そんな対象じゃないよ」
「そうか、ならいいが手出したら……わかってるよな」
「出さねえよ。でもミリーちゃんがもし彼氏でも連れてきたら教えてくれ。俺より強い男じゃないと俺は認めん」
「じゃあ都市墜としより強いやつじゃないとな」
あっはっはっと2人で笑い合った。親馬鹿全開の2人であった。奥さんは呆れた顔をしていた。ちなみにミリーはとっくに寝ている。
その後、部屋に戻り、移動中にでた新規カードを整理していた。でたのは
No064UC:忠誠之証 対象に対して忠誠を強制する。対象者は術者に対して反感、殺意等を抱いた場合に感情の大きさによって体に激痛がはしる。一定値を超えると『死の呪い』が掛かる。 ※死の呪い:24時間以内に必ず死亡する。死亡時刻はランダム。
No132C:床下上昇 起動後、カードの置いてある場所に見えない魔法陣を作成する。それに触れたものを上空に吹き飛ばす。カードを手放してから5秒後に魔法陣は作成される。
No153C:不治吃逆 対象はしゃっくりが止まらなくなる。
No171C:同性好意 対象は同性に好かれる。
No182C:練金爆弾 対象の座標に小型の爆弾を作る。作成後の爆弾は移動可能。爆発までの時間はランダム。
No201C:万能解錠 どんな鍵も開けることができる。
No202C:悪魔之宴 虫を大量に召喚して指定範囲内の対象を襲わせる。虫は対象以外は襲わない。
No206C:封具之間 対象を中心とした半径2m以内にある魔道具の効果を打ち消す。
No208C:道具奪取 対象の持つアイテムを盗む。盗むアイテムはランダム。装備している武器防具を盗むことはできない。魔法の空間移動で直接引き寄せるため物理的に防ぐことはできない。起動時に対象が見えていなければならない。
No209C:高速飛翔 高速で空を飛ぶことが可能。
No211C:後悔噬臍 対象を『黄泉への誘い』状態にする。 ※黄泉への誘い:3日以内に7割の確率で死亡する。死亡時刻はランダム。
なんかえげつないのがいくつか……死亡時刻ランダムって1秒後に死ぬか3日後に死ぬかわからんてことか。7割ってのも微妙だからそれで211はコモンなのかな。
202の悪魔、虫、大量ときて連想できるのは俺には1つしかいないんだが……まぁあまり考えないようにしよう。結局そのままいろいろと考えながら俺は眠りについた。
翌朝、いつも通りカードを引いてから朝食をご馳走になった。そして再び家族に別れを告げた後、セーヴェルへと旅だった。
ちなみに引いたカードは
No049UC:天網恢恢 範囲内の対象を拘束する。
No144C:徒歩十歩 対象はその場からゆっくり1歩づつ歩く。10歩歩くまでは真っ直ぐ歩く以外の行動が取れない。転んだ場合に自力で起きあがることはできない。正しく10歩分歩かない限りこの状態は解除されない。
No222C:天国地獄 対象は5:5の確率で絶頂、もしくは激痛を味わう。
No225C:怨恨消骨 対象は自身を恨んでいる者と同じ数の骨を失う。失う骨はランダム。
No230C:裸身活殺 範囲内の対象は体に身につけている物全てが消えるかわりに高い攻撃力を得る。
No233C:腐敗促進 対象を徐々に腐らせる。
こんな感じだった。
依頼人にはランドさんからの紹介もあって信頼されているようだが、他の護衛のハンターからは度々嫌がらせにも似た態度を取られた。
これも新人の経験だからと初日は俺にずっと夜の見張りをさせた。1日目は素直に従った。2日目も同じことをいってきたので、道端に落ちている拳大の石を握りつぶして
「知ってます?人の頭って柔らかいんですよ」
っていったら何も言わなくなった。というか近寄って来なくなった。3日後、特に何も襲われるようなこともなく、そのまま無事セーヴェルについた。行きはいいんだよいつも、行きは……
帰りを不安に思いつつも俺はセーヴェルのギルドへと向かった。ギルドはさすがに本部よりは小さいがそれでも結構大きな建物だった。
中に入り受付のお姉さんに紹介状を渡すと奥の部屋へ通された。
「おぬしがソフォスのいっておった期待の新人か」
ソフォスが誰だか知らないが、恐らくギルドの本部長のことなんだろう。
「わしはセーヴェル支部長のパルスじゃ。話はソフォスから聞いておる。なに、秘密は厳守するから安心せい」
すでに秘密あんたに漏れ取るがな!と突っ込みたかったが我慢した。どこを安心すればいいんだろう。
「キッドです。銅1の新人です」
とりあえず我慢して挨拶だけしておいた。
「さっそくじゃが今回の依頼について話そう」
話を聞くと、ここから半日程、東に行った所にある山岳地帯に魔物が現れたとのこと。報告者はハンターで、鉱石を掘りに山にいったところ、闇夜に紛れて襲われた。その姿は確認できなかったが、なんとか命からがら逃げ延びることができたそうだ。
それを聞いて銅ランクのハンター4人を調査に送り込んだが、出発から1週間以上たった今も帰ってきてないそうだ。現在、この街には銀以上のハンターがいないため、本部に急遽依頼を出したというわけだ。
それで送られてくるのが銅1とかなんの冗談だと。他の銀でも金でもよこせよ!
「恐らく調査隊の生存は絶望的じゃろう。しかし、それでも放っておく訳にはいかん」
その山は鉱石が多く取れるらしく、この街の特産にもなっているため早急に対処をしないといけないらしい。
「あやつが目を掛ける等、滅多にないことじゃからな。おぬしには期待しておるぞ」
どうやら期待されているらしい。勘弁して欲しいがギルド長には熊売却の借りがあるので無下にはできない。
「期待はしないでほしいですが、まぁ頑張りますよ」
そして俺はギルドを後にした。明日の朝早く出発するとしてまずは宿を取らないとな。そう思い街をブラブラしていると。
「ああー!」
聞き覚えのある声が聞こえた。
「な、なんであんたがここにいんのよ! まさか追ってきたの!?」
「それはこっちの台詞ですよ」
なぜか[栄光の道]のメンバーがいた。
「俺達は王都の武器屋から魔鉱石の採取依頼があってな」
まさかあの武器屋の兄さん、俺で味を占めて2匹目のドジョウを狙ってるんじゃ……こんな武器に金貨とか払うの俺ぐらいだと思うんだがなぁ。
「それであんたは何しに来たのよ」
「それは秘密です」
「なんでよ! 教えてくれてもいいじゃない! っていうかいい加減その言葉遣いやめなさいよ! なんかいらいらすんのよね」
「そうか。まぁお前らならいいか。それよりお前ら今、結構金持ちなんじゃないのか?なんでこんな依頼受けてんの?」
オーガの魔石はそれなりの金になるはずだ。
「魔石はギルド主催のオークションに出したから、来月までお金入らないのよ」
どうやらオークションがこの世界にもあるらしい。
「そうか、まぁがんばれ」
話を逸らして俺は宿を探しにいった。
「うん。……あっ!? こらぁ!待ちなさいよ!」
後ろからなんか聞こえるが無視した。明日のための食料なんかの買い出しをした後、とりあえず目に付いた宿に入りそこに一泊することにした。
翌日、いつも通り朝早くに起きてカードを引く。
No039UC:火炎放射 指定した範囲を炎の海にする。
No044UC:絶対零度 対象を凍らせる。
No083C:浄化作用 対象を浄化する。解毒作用等はない。
No113C:範囲探索 半径5Kの生物反応を探る。
No133C:虎鋏作成 起動後、カードの置いてある場所に見えない虎ばさみを作成する。上を通過すると閉じる。カードを手放してから5秒後に魔法陣は作成される。
No167C:腹下急降 対象は強烈な下痢になる。
運良く全部新規カードのようだ。しかし火の海とかなんか怖い単語が見える。うん、気にしないでおこう。
そのまま食堂に向かうと5時前なのに普通に朝食は取れた。ハンターは朝早いことが多いらしく、朝食もその時間に合わせてとれるようだ。
朝食後、朝一で俺は山に向けて出発した。