11:新カード
翌日。やはり起きると時計は4:30を指していた。なんか高血圧のおじいちゃんみたいな早寝早起き生活だ。朝起きるとさっそく今日の分のドローをする。やはりレアはなかったが被りはなかった。しかしNo98の次元収納がなかったのは痛い。できれば便利な奴は何枚も持っておきたい。そして今回は攻撃カードはないがなかなか便利そうなのが引けた。
No067UC:大器晩成 次回ドロー時にレアカードの取得率があがる。1日1回のみ使用可能。10回まで効果を貯めることができる。
No068UC:幻影之盾 1度だけ攻撃を無効化する。一定以上のダメージを負う攻撃、敵意を持つ攻撃にのみ反応する。重ねがけ可能。効果は攻撃を受けるまで永続する。
No075UC:相違転身 対象と自分の位置を入れ替える。使用時に対象が見えていなければならない。
No092C:異体同心 対象の心を読むことができる。
No116C:燃犀之明 対象の嘘を見抜くことができる。
No130C:因果応報 対象に自分のダメージと同じダメージを与える。自分のダメージは消えない。
68の攻撃無効化は素晴らしい性能だ。攻撃にも防御にも使えるし何枚あっても困らない優れものだ。1000枚くらい欲しい。そんだけありゃもう無敵じゃね? これで生涯で一度は行ってみたかった夢のセリフNo1のあの台詞が言えてしまう!
「それは残像だ!」
やっべ、俺超厨二病!! 夢が広がリング!!
後は92と116はなんか性能被ってる気がするな。92がありゃ116はいらない気もするがなにか使い道があるんだろうか。あれか、嘘を考えるなんていう高度なことがあるのか。でも心読める時点で今嘘を考えてるってのもわかるんじゃね? まぁ92がないときの劣化代用品と考えておこう。
75はチェスでいうキャスリングか?チェスよく知らないけど。これは対象が見えていないといけない時点であんまり用途が思い浮かばないな。攻撃を食らう直前に使うとかか? そんな悠長な暇があったら他の手段を使う気がするが…まぁこれも追い追い考えていこう。
130は効果次第じゃかなり使える気がする。考えられるパターンは2つ。まず1つは
①現在のダメージをコピーするだけ。
だった場合だ。この場合致命傷に近いダメージを喰らいつつ自分は生き残り尚且つ相手にダメージを移したあとに自分だけ回復なんてことをしないとあまり意味がない。その場合回復遅れたら死ぬし。まぁ致命傷までいかなくてもある程度ダメージを食らったら使えばいいか。
そして2つめのパターンが
②効果発動中は随時ダメージをコピーし続ける。
これだ。つまり相手からすると自分の攻撃は自分も食らうが相手の攻撃は自分しか食らわないというまさに卑怯としかいいようがない状態だ。これだった場合相手からすればかなり厄介だろう。なにしろ致命傷与えるような攻撃したら自分も同じの食らうんだから。はっきりいって俺だったらもう攻撃できない。これは一度おっちゃん相手にでも検証が必要だな。でも使うのもったいないジレンマ。
そして最後の67。これはやばい。コレクター心を巧みに誘導する性能だ。例えば1枚使用でレア率が2倍に増えるとする。3枚で3倍、10枚で10倍になるとするとこれは使わざるを得ない。しかしそんな高確率に跳ね上がるかどうかがわからないしなによりその仮定の倍率だったとしても元のレア率が元々1%しかなかった場合が問題だ。1%が10%になったところで10分の9は外れてしまう。その間ドローできないとするとかなりの痛手になる。万が一10枚使ってレアが1枚もでなかったら絶対に貯めずにドローしておけばよかったと後悔するだろう。なんというえげつなさ。次はレアがでるかもしれないという心理を付いた見事な攻撃だ。これは悩む。
う〜んとかあーとか悩んでいると扉を叩く音がした。
「なにしてんだ?朝飯の時間だぞ」
どうやら結構長いこと悩んでいたらしい。そのまま朝食をとりながら今後の予定について話す。
「とりあえず今日の昼はギルドにいくがその後はどうする? もうしばらく依頼受けていくか?」
「いや、とりあえず洗礼とハンター登録っていう目的は果たしたから荷物もあるしいったんおっちゃん家に戻ろう」
「わかった。それじゃ昼にギルドにいったついでに村にいく依頼があるか確認しとこう。ランドがまだ出発してなかったら乗せてって貰えばいい」
「おっちゃんはいつも王都にきたときは帰りどうしてんの?」
「ランドが村にいくときに依頼料無しで護衛のハンターに混ぜて乗せてってもらうか歩きだな」
「へー歩いて帰るときもあるのか」
「いつもすぐ村に行く依頼があるとは限らないからな」
その後、俺達はギルドに行く前にランドさんのお店に向かった。ランドさんのお店は店頭販売ではなく卸売業のようでいろんなお店に荷を卸しているんだそうだ。マルクート村で仕入れたものを卸し、王都で仕入れたものをマルクートで行商として売るといスタイルらしい。マルクートは薬と茸とラールアが特産品らしく王都でかなりの人気なんだとか。ラールアというのは……芋虫っぽい虫らしい。滋養と強壮によく栄養価が非常に高い貴重な高級食材なんだとか。とりあえず出されたら泣こう。
お店に行くとランドさんがせわしなく動いていた。どうやらまだ積荷が住んでいないらしく今日いっぱいはかかるらしい。明日の朝出発するので乗せてもらえることになった。おっちゃんも俺も村への移動が目的なので依頼料なしの護衛ということにした。
そして昼。ギルドに入るとツインテールさんがすぐにギルド長の元へ案内してくれた。
「おお、よく来たな。金額が金額なんで受付で渡すわけにもいかないんでな。こっちにきてもらった」
「お手数をおかけします」
「これがアルクダの代金、しめて白金貨5枚じゃ」
「ありがとうございます」
「おまえちょっとは驚けよ……白金貨だぞ? 普通そうそうお目にかかれるもんじゃねえぞ」
「そうなの?」
「そうじゃのう……この建物、ギルドの本部なんじゃがこれを立てた費用が白金貨2枚じゃ」
「……え?」
「普通の2階建ての一軒家なら金貨30枚もあれば余裕で立つぞ」
「……どうしよう……ギルドが2つ建てられる…」
「そんな金額だしの、万が一持ってることを知られると襲われる可能性が高い。気をつけることじゃ」
「肝に銘じておきます」
「それからちょっと厄介なことになりそうでの」
「なにかあったんですか?」
「アルクダの魔石なんじゃが、王宮が買い取ったんじゃよ」
「はぁ」
「それで魔石の出どころを聞かれてな、まぁ機密ということで名前は伏せておいたがそれで王宮が諦めるとはおもえんのじゃ」
「王宮は優秀なハンターを囲いたがるからな。俺も飛龍討伐したときにうっとおしいほど誘われた」
「なんでいかなかったの?」
「俺があんなかたっくるしい所で働けるわけがないだろ」
「なるほどね。宮廷での他人のやっかみと足の引っ張り合いとか考えただけでも頭が痛くなりそうだ」
「ということで王宮がお前たちを探しているんでな。目立ちたくないなら気をつけることじゃ」
「ご忠告感謝します」
「後はお主のランクのことなんじゃが、アルクダの単独討伐なんぞ金ランクでも難しい。本来なら金にあげるべきなんじゃろうが……」
「そんなことしたら隠してる意味が全然なくなっちゃいますから今のままでいいです」
「そうか、お主がそういうならそうしておこう。お主ならいつでも上げることができるだろうしな」
「色々とお手数をおかけします」
「なに、久々の有望な新人じゃ。これくらいどうということもないわい」
ギルド長にお礼を言いつつ俺達はギルドを後にした。
「とりあえず3枚は今まで立て替えてもらった分と後は色々と手助けしてくれた感謝の気持ちとしておっちゃんにわたしとくよ」
「いくらなんでも多すぎだろ」
「おっちゃんに受けた借りは金銭なんかじゃ返せるもんじゃないよ。いつかちゃんと借りは返すからせめて今は金だけでも受け取っといてくれ」
「……そうか……なら一応預かっとく。預かるだけだからな。必要になったらいってくれ」
「城でも建てようとしないかぎり必要になるとは思えないよ」
ちなみに俺は受け取る際に白金貨1枚分を金貨と銀貨に両替してもらっていた。街中でこんなでかい金額なんて普段使えないだろうと思ったからだ。
昼もとっくにすぎていることだし俺達は昼食をとるために以前ステーキを食べた店にまた訪れた。今度はガルニャという鳥肉の料理を頼んだが普通に鶏っぽくて美味しかった。この鳥は普通に家畜として飼育しているらしい。どうみても鶏だな。まぁ空を飛べるらしいので屋外で放し飼いとか無理らしいが。
その後明日の買出しを済ませたあと時間があまったので武器屋にいってみた。やはり手札は多いほうがいいためだ。ナイフだけではリーチが短すぎるので普段は槍のような長めの得物をつかってみたかった。使えるかどうかは別だ。
それに槍使いと思わせておいて実はナイフ使い! と思わせておいて実は魔法が切り札という何段階にも相手を欺く手段があれば切り札のカードを使う際にも有効な気がする。知らないけどきっとそう。
現在は正真正銘の切り札と呼べるべきレアカードが一枚あるがこれは非常に使い方が難しい。下手したら使う前に自分が死んでしまう可能性がある。だからなるべくこれは使わないようにして早急に他の切り札を確保しなければ……
もっといろいろと深く考えることが必要なようだ。この世界で生き残るために……
次はレアがくるかもしれない…それは孔明の罠だ!