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セーブ&ロードのできる宿屋さん ~カンスト転生者が宿屋で新人育成を始めたようです~ 作者:稲荷竜

六章 ヨミの回想録作成

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83話

 前書き。


 忘れないうちに、昔の話を書き留めてしまおうと思います。
 最初に宣言しておくと、これは失敗の話です。
 大変な苦労と、つらい決断の末に、なにも守れなかったお話です。

 私はこの話を誰かに語って聞かせることは、ないと思います。
 でも、本当は誰かに話したくてたまらないのだとも、思います。

 ちょうど、新製品の紙を渡されて、その使用感を語るよう、アレクに求められています。
 だから、あの人の作った紙に、あの人のことを書いてみようかと思いました。

 あの人とは、アレクサンダーです。
 私の夫のような、兄のような人。

 思えば、宿で修業をするお客さんからは、化け物のように扱われることが多い彼です。
 実際、今の彼は色々と化け物なのでしょう。

 だからふと、どうしようもないことを思ってしまいます。
『もし、彼が最初から化け物だったら』。
 あるいは、違った未来もあったかもしれない、と。

 私たちは宿屋経営をせずに、犯罪者をやっていたかもしれない。
 私の父と、二人の母は、まだそばにいたかもしれない。

 これから過去の話を記そうと思ったのは、そういうどうしようもない『もしも』に自分の中で決着をつけるため、という側面もあると思います。

 前置きが長くなりすぎても駄目だと思うので、本題に入りたいのですけれど、話を始めるというのは意外に難しく、どう書き出したらいいか困ります。
 だから私でもよく知った始まり方を、真似させてもらおうと思います。



 昔々あるところに。
『輝く灰色の狐団』という、クランがありました。
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