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エト・エウトクタ
作:隆伊



邂逅2


 エレボスとミキの戦いは続いていた。
 場所はディスカウントショップのパーキング。ここに死者の姿はない。
 アニナは、日本語はわからないが、大体言い争いの内容は想像ついた。
 戦い続けるエレボスとミキをよそに四人はそれぞれの情報を教えあった。アイコが主になってその推論を展開した。日本語で話しているからアニナには祐二が通訳してくれている。
「わかっていることはこれでほぼ全部ね。この推論で間違いないと思う」締めくくってアイコが言った。
 会談が決裂した様子でホンダが座に加わる。ミキは腹を立て離れたところでジュースを飲んでいる。その場に加わりはじめてホンダは川野に気づき「あれ?」と言った。
 川野はにやりと笑い、
「よう」と答えた。何故? というホンダの視線に、
「戻ってきた」自分でも呆れているよ、という表情。
「とにかく、これでパーティが揃った。RPGならそんなトコね」とアイコ。
「戦士が二人」と言ってホンダとアニナを見た。
「ビショップがひとり」と野原祐二を見て言った。
「わたしは魔女かしら。そして」泥棒と言いかけて止めて、
「シーフ」と川野を見た。離れたところにいるミキに目をやり、
「彼女は……」と言いよどんだ。
「マスコットガールかしら」
「頼みがある」ホンダが川野に言った。
「車の運転はできるか?」
「あ? まぁ、できるけど」
「もう一度海峡を渡ってミキを東京へ連れ帰って欲しい」
「え?」
 全員がホンダの顔を見た。
「俺たちは残る。四人なら車一台でいい。ワゴンでミキを連れ帰って欲しい」
「あぁ、まぁ……」川野は返事を渋った。この地が天国でないことは知っている。しかし彼ら抜きで、自分ひとりで、少女を護りながら東京まで行けるかというと、それは別問題だ。襲撃されたらどうすれば良い。それに橋の上は死人だらけだ。今逃げてきたばかりだ。
「海峡に死者の群れがまだいたら、俺が全部片付ける」
 アニナはやり取りを見守った。通訳は祐二がしている。短い時間だが、アニナは川野のキャラクターが少しわかっていた。多分、頼まれるといやとはいえない性格。
「まぁ、いいけど……」川野は答えた。
 ホンダは安堵した表情を見せた。
「とにかく。もう一回、海峡に行ってみてからだな……。通れるようなら東京に行ってやるよ」煙草をふかしながら川野が言った。しかし、
「彼女を連れてきたのは俺だ。俺に責任がある」祐二が口を挟んだ。
「俺たちと一緒にいるほうが安全じゃないのか?」川野の射撃の腕は認めている。それ以外の才能も。しかし災禍の圏外にたどり着くまでに、奴らに襲われたら、たった一人でどう立ち向かう? 俺たちはこれから福岡ドームへ向かう。一緒にいて、戦える自分達が護ってやったほうがいいのではないか。
「いや……」ホンダは目をそらした。ここにいれば必ず死ぬ。目がそう語っていた。












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