GAME03.shall we play basketball?-2-
一方、相模の向かう1の7の教室では目が覚めきっていない、ぼんやりとした表情を浮かべるはるがようやく鞄から今日の昼食を取り出したところだった。午前中の授業をほとんど寝て過ごしたはる。おかげさまで入学式前日にわざわざ買ってきたノートには何も書きこまれていない。時折みみずの張ったような線がちらほら見えるだけだ。
はるはあんぱんの袋を開け、一口。相変らず目はとろーんとしていて、食べているそばからまた寝てしまいそうな気さえする。
「あの…越後くん、ちょっといいかな」
「ん」
声を掛けてきたのは同じクラスの女子生徒。明るい茶髪の髪を2つに結っている、大人しそうな女の子だ。確かこの人は…
「五十嵐」
五十嵐音。確かクラス委員をしている女子だ。大人しそうな外見とは裏腹に、結構根は真面目で責任感が強い。それでも危なっかしいイメージは拭い取れそうもないが。
「で、何?」
「あ、うん…社会のプリントを集めたいんだけど、越後くん書いた?」
「……書いてない」
当たり前だ。授業中何もせずに熟睡していたのだから。机の中には入っていたが、何を書いていいのかまったくもって分からない。
「そっか。これ放課後までに出せばいいって先生言ってたから」
「そ。教えてくれてどーも」
そうは言われたものの、おそらくはるはやらないだろうが。
それは、五十嵐が教室を出て行ってからすぐのことだ。
すさまじい足音が聞こえてきたのは。
「越後はる!!」
振り向けば、そこには入学式当日に会った、あの2年の男子生徒の姿が。
確か名前は相模と呼ばれていたっけ、とぼんやりと思い出した。
クラスじゅうがはると、そして相模の方へ視線を集中させる。どうやら傍観者でいることは無理なようだと諦め、相模の前までやってきた。
「何か用?」
「俺は納得いかねえ!なんであれだけの実力があってバスケ部に来ないんだよ!」
「まさかそんなこと言うために来たんスか」
大真面目に「あたりめーだ!」と答える相模の返事を聞くなり、はる及び外野の羽前と岩代もため息をつく。
「入るも入らないも俺の自由っしょ?あんたに関係ないじゃん」
「俺が納得できねーんだよ!」
「そんなの知らないよ」
はるは付き合ってられないといった表情を浮かべ、相模に背中を向けて、席へ戻ろうとした。
あのことを言われなければ。
「お前鹿島ウィングズのキャプテンだったんだろ!?だったらどうしてバスケ辞めたんだよ!どうしてここに来たんだよ!」
はるは背中越しで、相模の言葉を聞いた。
昔の残像を思い出しながら。
―Haru,you haven't right to play basketball with team mate…
「さあ、ね」
いきなり静かになったかと思うと後ろから、バシッという音が聞こえた。振り返るとそこには『決糖条』と書かれた紙が。おそらく『決闘状』と書きたかったのだろうが。
「なに、これ」
「越後はる、お前に一対一の勝負を挑む!俺が勝ったらバスケ部に入れ!」
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