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アルゴ! ホワイトクリスマス 作者:桐生 慎
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竜司達は新宿アルタ前のアルゴセンターに赴き入会手続きを行います。
近未来の世界を味わって下さい。
『龍樹』は余程、儲かっているのだろう。新宿アルタ前の一等地の広大な敷地を買い占めて、巨大なアルゴセンターを建てた。二十階建てのその建造物は、一階が吹き抜けになっていて、大きなモニターがいくつもぶら下がっている。モニターにはアルゴの観光名所がリアルタイムで映し出されている。一カ所人だかりが出来ているモニターがあり、僕と年格好が似ている少年が映し出されている。アルゴのトピックスを写すモニターで、何でもステータスアップのアルゴのレコードを更新したらしい。
 アルゴは地球を模して作られた広大なバーチャルリアリティの世界だ。地球上では見られない奇景も多い。
 柱の側にはパンフレットが多数置かれており、アルゴのツアープランが多種多様に載っている。
 奥にはカウンターがあり、ツアーの申し込みや、儀体の申請、アルゴへの加入手続きの窓口があり、窓口の上にはアルゴの通過であるアルゴドルと現実のUSAドルとの為替ルートが示されている。金融窓口では現実の貨幣とアルゴドルとの交換や入出金が出来る様になっている。課金アイテムを売っている窓口もある。
「スゲーな……」
 馬鹿みたいな感想しか出て来ない。
「体験したら、もっと凄いぞ。えーっと、入会の窓口は……あった! あそこ空いてるぜ! 行こうぜ!」
 窓口に並ぶお姉さん達は美人ばかりだった。そのことを興奮して伝えると、丸井はにべもなく、「アルゴには美男。美女しかいないぜ」と答えた。

「いらっしゃいませ。ご新規の方ですね? 担当の新谷美枝と申します。暫しの間、お付き合いお願いいたします。それでは、こちらの用紙にご住所とお名前、生年月日をご記入頂けますか? その間、IDカードをお預かりさせて頂けますか?」
 僕はあらゆる個人情報の入ったIDカードを取り出して渡す。先進国の住人なら誰でも持っているもので、DNA情報まで入った代物でキャッシュカードにもなる。健康保険証にもなる。
「恐れ入ります。お客様。こちらの端末からパスワード入力をお願いします」
 アルファベットと数字のキーが並んだ横から見れない様にカバーの付いた電卓の様な端末でパスワードを入力する。
「ありがとうございます。しばし、お待ち下さい」
 新谷お姉さんはカウンターの奥に消えた。
 その間に必要事項を記入する。同意書にサインした後は、儀体の希望項目の記入になる。
 儀体の種類は人間種の白人にした。性別は『男性』『女性』『両性具有』とある。僕は横に座った丸井に尋ねた。
「なぁ? これって男が女の儀体も選べるのか?」
「選べるよ。SEXの時は、男には無い器官の感覚を味わうから気持ち悪いらしいが……。性同一性障害の人でもないと選ばないよ」
「じゃ、誰が両性具有なんて選ぶんだ?」
「そりゃ、バイの人だろう?」
「ネカマに騙される可能性はないのか?」
「少ないな。店にはネカマはいないから安心しろ」
 丸井は呵々大笑する。僕は白人種の人間で、金髪碧眼の二十歳前半で設定した。名前はスター・ドラゴンとした。何のことは無い僕のペンネームだ。職業は画家を選んだ。そこまで書き終えた所で、新谷お姉さんが戻って来た。
「赤城竜司様、お待たせしました。こちらのIDカードをお返しします。ありがとうございました。今日、お誕生日なのですね。十八歳のお誕生日おめでとうございます。アルゴセンターではお誕生日にご入会頂いたお客様に20ドル相当のマジックアイテムをプレゼントしております。こちらがアイテムの一覧ですので、ゆっくりお選び下さい。ボディーのランクはどうなさいますか?」
「―――へっ?」
 僕は間抜けな声を上げた。儀体にランクがあるとは知らなかったのだ。
 説明によると、儀体にはGからBまでのランクが設定されていると言う。アルファベットが上に行くほど値段は破格に上がる。Gランクのボディーには何の付加価値も無い代わり、単に観光を味わうには十分であるそうだ。それより上のランクにはランクに応じた筋力や武芸の技がインプットされており、武芸の経験が無くてもランクに応じた技が振るえる。アルゴでは冒険者が夜盗やごろつきに姿を変えることがままあるらしい。新谷お姉さんはDランクかCランクのボディーを勧めて来た。僕程度、ネットマネーがあれば、十分買える値段だし、まず、ごろつき程度には負けないと言う。Bランクは冒険者を希望した大金持ちが注文する特殊な儀体だと言う。
「お前のランクは?」丸井に尋ねると「Dだよ。腕試ししたことはないけど、カツアゲされるのは真っ平ゴメンだからな」と答えた。僕は丸井に習い、Dランクの儀体に決めた。マジックアイテムは次回のダイブで決めることにした。
「それでは、儀体の細部デザインとシンクロの調整に移ります。赤城様はお二階にご足労願います。丸井様はこちらでお待ちになりますか?」
「いや、先にダイブして向こうで待ってるっス。竜ちゃんのID教えて貰って良いスか? じゃ、竜ちゃん。ダイブポイントの教会の門で一時間後に会おう」
「では、丸井様は九階のダイブスポット、A-77でダイブして下さい。行きましょう赤城様」
 新谷お姉さんはお尻を振り振り、先へ立ち、エスカレーターへと向かう。丸井に手を振られながら、僕は新谷お姉さんのお尻を追いかけ、二階へと向かった。
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