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6話
 しかしアグマは冷静だった。次々にクラトが繰り出す攻撃を防ぎかわす。アグマは人を凍りつかすような恐ろしい形相をしている。今までも何十、何百という強敵を鬼籍に入らしてきたことだろう。
 彼の宿敵になりえる豪傑や剛の者は皆無だった。それほどまでにアグマは歴戦の勇士達より実力が軽く抜きん出ていた。
 そんな強豪に狙われトールは不運だ。彼は動揺を取り繕おうと躍起になっていた。トールは自分がこの場に居てはクラト先生の足手まといになってしまうのではないかと危惧していたのだ。
 しかし彼の足は石のように重く、しかも痙攣し動けない。スミレとカルトはトールを地面に引きずりながらクラトとアグマから距離をとった。激戦に巻き込まれたら一たまりもないだろう。

「なぜトールを狙う。目的はなんだ?」

 クラトの詰問にアグマは憤怒の表情を顔に浮かべると

「ルナス姫の敵討ちだ。俺の最愛の人だった……。全て赤虎が悪い!」

 アグマは憤慨しキッとトールを睨みつける。そのトールを正視する目には怒りと悔しみが含まれていた。アグマとトールの視線が交わる。
 トールは慌てて目を逸らした。彼の背筋を悪寒が走った。アグマは上段蹴りを相対する者にしかけた。それをクラトはしゃがんでかわす。二人は激闘を繰り広げる。


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