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29話
 それからはモンスターには出くわさなかった。辺りを静寂が包んでいる。すると声が奥からした。人影もある。一人のようだ。

「あはは! 俺は大金持ちだぜ! スバリスの屋敷は金めの物ばかり! 最高だ! 人間を強く育てる変人ノルテ万歳! クハハハッ!」

「おい、スバリスとやらは強いのか?」

 カルトが質問した。トール達の姿を見た黒い長袖のシャツに黒い皮のズボンを履いた男は仰天した。

「なんだなんだ、おい。も、もしかしておまえ達の狙いは俺か?」

 カルトは繰り返した。

「アッシュだな? 質問だ。スバリスは強いのか?」

 カルトの真面目な顔付きに黒い衣装の茶髪の男性、泥棒王アッシュは答えた。

「ああ、ああ。強いともさ。だが俺には消失の呪文がある。俺の姿は誰も捕らえられない。ムフフー! 美少女発見! 触りてー!」

 泥棒の頂点にいるアッシュは好色な目を容姿端麗なスミレに向けた。

「人体消失!」

 アッシュは言葉を発すると姿が雲散霧消した。気配も全くない。アッシュが居た洞穴の広い空間には金貨の山がいくつもあり金色の鎧や宝剣も散乱している。
 全部どこからか掠め取ってきたのだろう。これだけ財宝があれば人生遊んで暮らせる。


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