第31話「さらば,死後の世界」
体育館
「何体倒せば終わるんだよ?」
「さすがにワイも疲れたで。」
音無達がギルドへ入ってけっこうな時間がたつが一向に戻ってこない。
一方,影は倒しても倒しても地面から湧き出てくる。
「ヤベェ,弾切れだ。」
「ホンマかいな!?」
影に追い詰められていく俺達。
そして影が飛びかかってきた時,
「えっ!?」
空中で影が灰の様に消えていく。
「どうなってんのや!?」
「・・・多分,音無達が何かしたんだと思う。」
「そうか・・・。」
「他の仲間が無事かどうか確認しに行こう。」
「そやな。」
俺達は仲間達の安否を確認しに向かった。
「みんな無事か?」
椎名はいつのまにか野田達と合流していた。
「なんとかな。」
「急に影が消えちゃったからビックリしたよ。」
「音無達は?」
「まだギルドにいると思う。俺は途中で音無達とは別れたしな。」
「そうなのか。」
俺の答えに少し不安そうになる戦線メンバー。
「心配することは無いだろう。あいつらならゆりを連れ帰ってきてくれるよ。それに立華も付いているし。」
「それもそうだな。俺達は校長室に戻ってあいつらの帰りを待とう。」
その意見に反対するものは誰もいなかった。
校長室
なかなか帰ってこない音無達を待ち続けてる俺達。
「大丈夫なのかな?」
不安になっている大山。
「少しは落ち着きを持て。」
野田が言う。
「野田にしては落ち着いてるなんて珍しいじゃねぇか。一番心配してそうなのによぉ。」
「いや,そうでもないみたいだぞ。」
藤巻の言葉に対し,俺が返答する。
野田は貧乏ゆすりをして,いまかいまかとゆりの帰りを待っている。
「やっぱお前が一番してるんじゃないか。」
「いやあいつもだ。」
俺は鶴野を指して言う。
鶴野は体をくねらせながら待っていた。
そんな2人を見て椎名は,
「浅はかなり・・・。」
と呟いた。
そんなこんなで時間は進み,校長室のドアが勢い良く開かれた。
そして,中に音無,日向,立華,直井の4人が入ってくる。
「ゆりっぺは!?」
「ゆりなら保健室で寝てるよ。」
「良かった~。」
戦線メンバーが安堵の声を上げる。
「みんなに一つやって欲しいことがあるんだ。」
音無のその提案に皆が賛成した。
体育館
「この辺でいいか?」
「あぁ。」
「こんな感じかな?」
「普通に上手いぞ。」
俺達は音無の提案に乗って,卒業式の準備をしている。
そして俺は一通り仕事を追え,なにやらシャーペンで紙に何かを書き込んでいる立華に声を掛けた。
「何やってんだ?」
「校歌を書いてるの。卒業式には必要と思って・・・。」
だがなかなか思い浮かばないのか,紙にはほとんど書かれていない。
「でも歌詞を考えるのは難しくて・・・。」
「立華が思ったまんまの事を書いたらどうだ。何なら好きなこととか。」
「それ,いいかも。」
立華が紙に歌詞を書いていく。
「できた・・・。」
そう言って,俺にできたての歌詞を見せてくる。
なになに・・・
お空の死んだ世界から
お送りしますお気楽なんだ
死ぬまでに食っとけ
麻婆豆腐
あぁ 麻婆豆腐
麻婆豆腐
斬新な校歌だな。それにしても麻婆豆腐多くないか?
「麻婆豆腐好きなのか?」
「うん。」
「まぁ良いんじゃないか。気持ちが詰まってるし。」
すると立華は嬉しそうな表情を浮かべた。
「おーい,終わったぞ。」
日向たちの声が聞こえてくる。
そして俺達は再び校長室に戻った。
「俺達はそろそろ逝くわ。」
校長室に着くと,藤巻を先頭に言った。
「もう何も心残りはねぇよ。」
そう言い,次々と消える戦線メンバー達。部屋には彼らの持ち物である,長ドスやハルバード,犬の人形などがそこらじゅうに置かれてある。
「次はワイやな。」
鶴野が言う。
「ワイはこの世界でいろんな物を見れた。終いにはアオバ,お前に最高のもんを見せてもらった。ワイはそれで満足や。」
そう言って,俺の方を向き拳を差し出す。
「これからもずっと親友でいようやないか。」
「あぁ。」
俺は鶴野の拳に自分の拳を当てた。
「じゃあな。」
そして鶴野は消えた。
残ったのは俺と音無,立華,日向,直井の5人のみ。
「アオバ,お前はどうする?」
「俺は逝くよ。もうこの世界に未練は無いし,遊佐に会いたいしな。」
「そうか。」
「それとよ,生まれ変わってもし出会えることがあったら声掛けてくれよな。俺は遊佐のことで頭が一杯だろうからよ,多分気づけないからよ。」
「バカップルが。」
日向がからかってくる。
「日向にはユイがいるもんな。」
「う,うるさいぞ。」
「それじゃぁ,逝くから。ありがとよ。」
そして拳を前に出す。
「こっちこそありがとうよ。楽しかった。」
「じゃあな。」
「神が見送ってやる。感謝するんだな。」
「一緒に歌詞考えてくれてありがとう。」
俺の拳に,音無,日向,直井,立華の拳があたる。
「じゃあな。」
そして大きな満足感が全身を駆け抜け,ゆっくりと俺は消えていった。
ザァーザァーと雨が降っている。土砂降りだ。
その光景を学校の昇降口から見つめている少女がいた。
金色のポニーテールをしている少女だった。
その少女は傘を持っていないのかそこから動けないでいた。
「ほら,行くぞ。」
その少女に後ろから声を掛ける少年がいた。
少年は少女を自分の傘の下に入るようにする。
「一緒に帰るって約束しただろ。」
その言葉に少女は,それはそれは物凄く幸せそうな笑顔で,
「ありがとう。」
そう言った。
いかがでしたか?
感動していただけたら私は満足です。
ヤバイ・・・消えるかも?
それではここで御礼を。
今まで読んでいただいた読者の皆様,いつもありがとうございます。
最初から最後まで読んでいただいた方は最後までお付き合いくださって,感謝で一杯です。
次は新しい話を書きたいと思います。
その時はまたよろしくお願いします。
それでは新しい作品を書いた時にまたお会いしましょう。
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