第18話「赤点大作戦!」
~校長室~
「・・・ついにこの時期がやってきたか・・・。」
ゆりが窓から外を眺めながら言う。
「何だ?何が始まるんだ?」
音無が尋ねる。
「天使の猛攻が始まる。」
天使の猛攻?より活発的になるのか?どうして?
「・・・テストが近いから。」
はっ!?
「何故。」
音無も疑問に思ったのか尋ねる。
「考えればわかるでしょう?授業を受けさせることも大事ですが,テストを受けさせていい点を取らせることそれも大事です・・・天使にとっては。」
高松が説明する。
「けどこのテスト期間,逆に天使を陥れる大きなチャンスとなりえるかもしれない。」
ゆりは何か企んでやがる。あまり良い予感はしないが。
「何か思い付いたようだな,ゆりっぺ?聞かせてもらうぜ?」
藤巻が聞く。
「天使の邪魔を徹底的に行い,赤点をとらせまくる。そして,校内順位最下位に突き落とす。」
その目的は生徒会長としての名誉の失墜。そうすることで教師や一般生徒の見る目が変わるという。
「「どんな?」変化なんだ?」
俺と松下五段が尋ねる。
「さぁ?そこまでは読めないわ。」
いいや,ゆりは何か知っている。そもそも天使がNPCならばこんなことをしてもたいして効果がない。だとしたら考えられることは絞られてくる。天使が俺たちのようにここにやってきた死んだ人間であると言うことだ。
まぁ全ては作戦が成功したら分かるだろう。
そしてこの作戦に参加するのは,音無,竹山,高松,日向,大山,そして俺。
選んだ理由は見た目が普通だかららしい。
テスト当日。
テストの席はその日の朝,くじ引きで決定された。
俺は天使の席の3つ後ろの席。大山の右隣の席でもある。
竹山が天使の前の席を引き当てることに成功している。
今回の作戦は竹山が2枚解答用紙をもち,天使の解答用紙を摩り替えるというものだった。そのため俺ら囮は派手な行動で天使を引き付けなければならない。
そしてテストが始まり・・・
(勉強してなかったのに意外と簡単だな。これなら余裕だ。)
そう思いながら問題を解いていき,チャイムが鳴る。
「なんじゃありゃ!?グラウンドから超巨大なタケノコがにょきにょきと!!」
日向が行動を起こすが,生徒は全く興味を示さない。
(やらかしたな。)
そう思ったとき,ゆりが何かのスイッチを押した。その途端日向はいすごと浮上し,天井に後頭部がぶつかる。
二時限目。
「先生,実は私・・・着痩せするタイプなんです。」
高松が上半身裸になり,鍛え上げられた肉体を見せ付けるが,たいして注目を浴びない。
またしても日向のように天井に後頭部を叩き付けられた。
三時限目。
(くそ,ついに俺の番かよ・・・。)
そしてチャイムが鳴り,
(さぁいけぇ!!)
このときのため俺の机の中に時限タイマーを仕込ませて置いた。
それもガルデモの曲が鳴るタイマーだ。これならみんなが注目するはずだが,
(あれ?鳴らない。)
タイマーを見てみると,セットし忘れていた。
「ちくしょぉ!!やられてたまるか。」
俺は災いの元である椅子を投げ捨てる。すると空中で椅子についていた推進エンジンが動き出し,スピードを上げて余裕をかましていた日向に激突,そのまま開いていた窓から外に飛んでいってしまった。
この後の4時間目は大山が天使に告白し,振られたり,その後は,俺たちは飛びまくったのだった。
テスト期間も終わり,
「流れ始めたわ。天使の全教科0点の噂。それも教師を馬鹿にするような解答ばかりだったと。」
そりゃそうだ。俺たちが将来なりたいものとか,宇宙人に侵略された設定でとかって書いたのだから。
「でも教師は,そんなの天使自身じゃなく,誰かの仕業だってわかるだろ?」
音無が尋ねるが,ゆりは,
「何度言わせるの?そんなことは教師には分からない,現実と同じ。生徒会長が不真面目な答案を提出してきた。なら,使自身を呼び出して叱るに決まってるでしょ?」
そんな可能性を切り捨てる。
「立華は弁解したんだろうか?」
音無が言う。立華というのは天使のことである。本名は立華奏というらしい。
「さぁね?しかも全教科だしね。全教科の教師にどうやって弁解するのよって話よ。」
「教師からしてみれば,ま,一人きりの反乱ってところだろ。」
ゆりと日向が言う。
さすがにこのままって言うのはいけないだろう。そう思い,戦線メンバーがいなくなった後,ゆりの元へ行き,
「あの娘は本当に天使か?」
「分からないわ。」
「ゆりも薄々気づいてるんだろ?あの子は俺たちと同じ人間だって事を。」
俺の言葉に黙り込むゆり。やはりそうなのか。
「悪い。話はこれだけだ。」
俺はそういって校長室を後にした。
~屋上~
「・・・アオバさん元気ないですね。どうしたんですか?」
遊佐が声を掛けてくる。
「なぁ,もしさ・・・天使が仲間になる可能性があるなら仲間にしたいか?」
俺は空を見上げながら言った。
「・・・何か分かったのですか?」
「・・・ちょっとな。」
言葉を濁してしまう。
「そうですか。私はアオバさんの決めたことなら構いません。」
そういう遊佐の声はどこか寂しそうだった。
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