ここに一軒のカイロプラティックがある
あまり繁盛はしていないがその腕には昔から定評がある
その店の名は『カイロプラティック・ユングの館』
今日も馴染みの客が疲れた体を癒しにやって来た
「ウィッス!」
「あぁ、どうもお久しぶり!」
ルルラッ!ルルラッ!ルルラッ!ルルララロォォォオォォ〜ッ!
(クルクルクルクル蝶のように舞いコマのように回りながら)
モモモモォオォ〜〜〜ンッ!ピィーーンッ!・・ドカッ・・
(マッサージ台の上にうつ伏せに垂直に跳び乗る)
「うん、うんうんうん、ほう、ほうほうほう、だいぶこわってますねぇモミモミ」
「残業残業の山でねぇ〜・・あ、そこそこ」
「ストレスを溜めないようにしないとですねぇクイッ、クイッ」
「ああ、だからストレス解消のためにここまでやって来てるんだよ、あ、ちょっと右」
「そう言ってもらうとやりがいがありますよ、ゴキッ」
「まぁ、なんだね、ここでリフレッシュしてまた明日から新たに戦闘モードON!ってとこだね、ちょっと痛い!」
「そう言って頂ければありがたいですよグリグリ」
「いやいやありがたいのは僕の方だよ、ん〜ん、Oooh〜・・」
「うっしっしっしっしっ!!モミモミグリグリ」
「あっはっはっはっはっ!効くぅぅ〜」
「じゃ、やりますか」
「はい、やってもらいましょう」
「いきますよぉ〜、グッと力をぬいてぇぇぇぇぇ〜」
ブニュゥゥゥゥゥゥゥゥウウウゥゥゥ〜〜〜〜ッッッ・・・・・・・
整体師は木製で出来た一つの側面に直径3センチの穴が約150か所空いた40×30×160センチの四角柱の筒状のBOXに客を詰め込むともう一方の30×20×150センチの角材で一気に客をさもトコロテンが如くプレスした。押し出された直径3センチ、全長176センチの150人の客の山下さんは一斉に床で勢いよく跳ね回りだすとそれを整体師は一気に大きめのタモですくい裏手にある溜め池へタモごと荒々しく放り投げた。150人に分裂した客、山下正敏48才はそれこそ水を得た魚のように悠々自適に池中狭しと活発に泳ぎまわり、時には水面から50センチほどジャンプして見せたりもしたのであった
「どぉーーですかぁーーーーっ!山下さぁーーーーん!!」
バシャバシャッ!バシャバシャバシャバシャーーッッ!!
山下さんは一斉に水面から顔を出し激しく左右前後に体を揺らしながら150人全員で声をそろえて「最高でぇーーーーーすっ!」と元気よく返答する
おおよそ2時間余り客を泳がせると整体師は豪快に投網を溜め池へ投げ放ち一網打尽に150人の山下さんを捕り込む。たまに何匹か逃す場合もあるが、その時は本人の身長がごくわずか短くなっているだけである。捕り込まれた山下さんはバシャバシャ跳ねながら全員大きな石臼の中に放り込まれ整体師とその嫁の二人の手によって杵でさも餅つきようにテンポよく軽快なリズムにのって力強く突かれ出すのであった
「オイショォオオッ!!」
「ハイッ!」
「オイショォオオッ!!」
「ハイッ!」
「アイショォオオッ!!」
「ハイッ!」
「テイショォオオッ!!」
「ハイッ!」
「ヨイショォオオッ!!」
「ハイッ!」
「マイショォオオッ!!」
「ハイッ!」
「チキショォオオッ!!」
「ハイッ!」
「どうですかぁああっ!?山下さぁああんっっ!?」
「な・・か・・なか・・いい・・ん・・じゃ・・な・・い・・」
山下さんの姿形がだいぶ練り上がり元の姿に復元されようとしていた
「オイショォオオッ!!」
「ハイッ!」
「オイショォオオッ!」
「ハイッ!」
「よし!とも子!練り上げて!もっともっと練り上げてぇええっ!!」
バシュッ!(ムチで嫁を打つ!)バシュッ!バシュバシュバシュッ!!「もっと!」
嫁は典型的なMであった。亭主からムチで打たれると妻のとも子は必要以上に労働意欲が湧いてくるのであった
「ぁぅっ!・・ぁああっ・・ぃぃっ・・ぃぃいいいっ!・・ぉ・・ぉぉ・・ぁ・・ぁああっ!・・」
「そう!その調子!バシュッ!いいぞとも子!バシュバシュッ!もっと!もっとだ!よし!ラストスパートだとも子!バシュッ!バシュッ!バシュッ!バシュバシュバシュバシュバシュッ!!!」
二人の掛け合いから1時間ほど経っただろうか、客の山下は完全に元の彼自身の姿に完璧に復元されていた
「ぁぁぁ〜・・癒されたぁ〜・・体もホグレ、おかげさんで疲れもスッキリとれたよぉ〜・・ぁあ〜気持ち良かった・・ありがとう、また来るよ!」
(夫婦共々拍手)パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチッ!!
(夫婦共々)「グレイトッ!グレイトッ!グレイトッ!イエッス!グレイトッ!グレイトッ!」
客の山下は夫婦に対して号泣しながらも凛とした姿勢で敬礼を送り颯爽と店をあとにした・・しかしその後も夫婦の拍手喝采の渦と息の合った「グレイトッ!」のかけ声はいっこうに止むことなくいつまでも延々と店内中、いや町内中にこだましていた
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチッ!!
「グレイトッ!グレイトッ!グレイトッ!オイショォオオッ!ハイッ!グレイトッ!グレイトッ!」
〓END〓
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