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第28話 大和司と初クエスト! その2

遅くなりましたが続きです!

 念じて、その鞘を取り去ると、手にしたTears of Dragonを改めて眺める。


 全くどんな金属でできているかわからない黒色の刀身は、なにか呑み込まれそうになるような美しい輝きだった。握った柄は手にすごくなじむが、ステータスが強化されているにも関わらずその重さはずっしりと手に伝わってくる。


 ナーシャからは、早くTears of Dragonを使うように催促されていた。なんでも、Tears of Dragonで魔物を攻撃するとその力の一部を剣が吸収してナーシャがより早く力を取り戻せるらしい?とはいえ、兎鳥なんてほとんど倒しても倒さなくても変わらないらしいが。


 ということで、武器を変えて、これまでと同じ作業を繰り返す。リエルには、念のため十分距離を取っておくように伝えておいた。


 ナーシャが発見した兎鳥に、先ほどより慎重に近づく。


 よし、前方に人影なし……


 軽く素振りをしてみても、剣から何かが、飛び出すみたいなことはなさそうだった。


 改めて、剣を振りかぶり、兎鳥に向かって振り下ろそうとする。すると、さすがに乱獲が原因か、兎鳥がこちらから逃げていく。あまり動きも早くないので、外壁の方に追い込んで、一気に剣で斬りかかる。目測を誤ってしまい、外壁までの距離が近く、剣が外壁にぶつか……ったはずなのだが、気が付くとその剣を振り下ろしていた。振り下ろした剣が足元まで振り下ろされている、何の感触もなしに。兎鳥にあたった感触もなく、壁に当たった感触もなく振り下ろされていた。



 兎鳥が、何事もなかったように数歩歩くと、アニメや漫画で見るように、身体が二つに分かれて地面に落ちた……


「ま、また、つまらぬものを切ってしまった……」

 

 外壁の状態を見るために剣を地面に立てかけ……ようとすると、雪にスキー板を刺すかのように、剣が地面に沈んでいく……ナーシャさん……ちょっとこれ切れすぎです……


 改めて、鞘に入れた状態で、剣を立て掛けると。外壁をチェックする。外壁を見ると剣が通り過ぎた部分だけに綺麗に線が入っている。ちなみに、投擲用のナイフを刀身に当ててみたところ、さっくり刃の部分が切れてなくなりました……これってなんて斬鉄剣??

 

「すごい切れ味ですね……」


 リエルが傍にやってくる。うん、おれもちょっと引いている。言うまでもなく、ナーシャはいつもの満足顔だが……なんというか、ありえない、とまではいえないものの、これも人の前で使うべきではないような気がする。

 ナーシャが人やモンスターの気配を感知できるようなのは、幸いだったが。それから、数匹兎鳥を倒して、リエルのLvが5になって、おれのLvに追いついたところで一旦狩りを終了する。少なくともこの辺りの兎鳥は狩り終わったようだ。

 体力的にはまだまだ問題がないが、初めての狩りで緊張していたようで、精神的にはちょっと疲れを感じていた。依頼分よりずいぶん多く兎鳥を狩ったし今日はこの辺りで切り上げた方がよいかもしれない。


「どうだ、ツカサ。 わが宝剣の切れ味は?」


 リエルがドヤ顔をしながらやってくる。


「うん、地味にすごいな」


 素直な賞賛を告げると。


「地味とはなんじゃ、地味とは!?」


 幼女がご立腹された……


「主が、使いこなせていないだけであろうが!!」


 なんでも、無理やりに近い形でTears of Dragonの所有権を取った形になっているらしく、その力が十全に使えていないらしい。それでもこの世のどんな剣よりもすごいというのを、延々と語られたわけだが……


「とはいえ、こんなもの人前で使えないぞ。 誰かに目をつけられたら、盗まれるかもしれないけど、ナーシャもそれは困るだろう?」


ナーシャは少し考えている素振りを見せると。


「人に見られなければよいのであろう? ツカサ、ちょっとこちらに来て、そこにしゃがむとよいぞ」


 ナーシャに言われるがまま、ナーシャの前でしゃがみ込む。


ガシッ


 ナーシャに両手で頭をロックされる。


「あの、ナーシャさん?」


 すると、そのまま、幼女に唇を奪われた……


 唇を通じて、何かが身体に入ってくるのを感じる。

 なんだろう、この感触は?

 どこかで経験したことがあるような気もする……

 そうか、魔法を使った時の感触に似ているのか。


「まあ、こんなところじゃろう」


 ナーシャが離れると、身体が少しほてっているのがわかる。


『Tears of Dragonの能力【感覚共有】が解放されました』


 何かメッセージが表示された。感覚共有?


「どうじゃ、これで、あたりの様子がわかるようになったじゃろ?」


 ナーシャに言われてあたりの気配に集中してみると……周りの生き物の気配が手に取るようにわかる。近くにいる2つの反応、これはリエルとナーシャだろう。あたりに小さな反応がいくつかあるが、これは、何かの小動物だろう。


「なんだこれ? すごいな……」


「我と感覚を共有できるようにしたからの。 まあ、あんまり我と離れると、効果はなくなるがの」


「こんなこともできるのか……」


「本来、こんなもの、宝剣のおまけでしかないぞ。 ツカサには早く宝剣の力を取り戻してもらわんとな」


 何か多大な期待をしているナーシャに、乾いた笑いを返す。だが、確かにこの感覚共有があれば人に見られることもなく、Tears of Dragonを使うことができるかもしれない。


 どれくらいの範囲の気配がわかるのか、意識をどんどん辺りの気配に集中していく……すると、意識の端になにか大きな気配が感じられた。

 その反応は、かなりのスピードでこちらに向かっている。


「むっ?」


 ナーシャも気づいたようだ。


 その反応は、いっきにおれ達との距離を詰めてきてくると、その位置が重なる。

 不意に、あたりが暗くなった。


「上じゃ!!」


 ナーシャの声に上の見上げると、何かの巨体が俺たちの頭上を飛び越えていった。


 ズゥーーーン!!


 巨体が砂煙をあげて地面に着地する。一体なんだっ!!?

 徐々に砂煙が晴れてくると、その巨体の正体が明らかになる。


 それは……兎鳥だった……ただし、そのサイズは桁外れだった。

 通常の兎鳥の体調はおよそ60センチというところだが、この兎鳥はその10倍はあるんじゃないだろうか?とにかく、その身体は大きく、頭には他の兎鳥とは違って、大きな角が生えている。

 あれで、突かれたら、きっとただでは済まないだろう……


「まさか、兎鳥クイーン!?」


 リエルが呟いている。女王にしても縮尺がおかしすぎるだろう……


「キィィィィィーーーーーーーーッ!!!」


「怒っておるな」

「怒ってますね……」


 うん、知ってた……というか、兎?って鳴くんだな……

 

 そんな悠長なことを思っていたら、地面を何度か足で引っ掻いたかと思うと、兎鳥クイーンがその巨体でこちらに突っ込んできた。


「クッ」


 何とか反応して、横に跳んでその突撃を回避する。轟音を上げて外壁に突っ込んだ兎鳥クイーンはその外壁に角で大きな穴をあけている。


 アレを喰らうと、ただでは済まないだろう。兎鳥クイーンはすぐにこちらを振り返ると突進の準備を始める。


 不味い、まだ、地面から立ち上がったばかりで態勢が整っていない。


「ツカサ様」


 リエルが、兎鳥クイーンに向けておおゆみを撃つ。リエルが放った矢は、兎鳥クイーンの身体に刺さることなく、弾かれて地面に落ちる。おれの方を向いていた兎鳥クイーンが、リエルの方へと向き直すと、その突進を始める。


「リエルっ!!!」


 リエルの方へと向かうが、どう考えても間に合わない。魔法を使うか??しかし……躊躇している間に、兎鳥クイーンがリエルとの距離を詰めていく。


「仕方ないのう」


 ナーシャが何かを呟くと、飛び込んできていた兎鳥クイーンの身体を黒い光が包み、兎鳥クイーンの動きがそこで止まった。


「主よ、ちょっと相手を間違えておらんかの?」


ゴゴゴゴゴゴゴッ


 幼女の後ろから何か効果音が聞こえてきた気がする。兎鳥クイーンはその雰囲気飲まれたのか、先ほどの勢いは、もうなくなっている。


「ツカサ!」


 ナーシャに言われて、我に返ったおれはTears of Dragonを握りしめて、兎鳥クイーンに近づくと、その頭を目がけてTears of Dragonを振りぬく。


 兎鳥クイーンの角にTears of Dragonが当り、その角を切り落とす。角を切られた兎鳥クイーンが悲しげな声を上げる。

 散々、兎鳥を切り殺してきたわけではあるが、ナーシャが動きを封じているこの状態で兎鳥クイーンを殺すことにかなり抵抗を感じてきた……おれは、もう一度Tears of Dragonを振りかぶると……そのまま地面に下した。


「ナーシャ、逃がしてやろう」


 色んな意味で甘いことだとは思うが、ここまで戦意をなくしている姿を見せられては、気持ちが萎えてしまう。角も切り落としているし、きっともう人を襲うこともできないだろう。


「ふむ、このくらいのものだといくらかは、足しになると思うんじゃがのう。 まあ、主が言うならそうするかのう」


 ナーシャが手をかざすと兎鳥クイーンの身体を包んでいた黒い光が消える。兎鳥クイーンはその身体の拘束が外れると同時に外壁を飛び越えて、壁の向うへ逃げて行った。


『剣士のLvが、Lv6に上昇した』

『剣士のLvが、Lv7に上昇した』

『剣士のLvが、Lv8に上昇した』


 角を切り落としただけでもそれなりに経験値が入るらしい。こうして俺たちの初クエストは少しの波乱とともに終了をした。


--------------------------------

名前:ヤマト ツカサ

年齢:23

性別:男性

職業:剣士

Lv:8【非表示】


能力 【非表示】

HP:(220+232)×2

MP:(100+189)×2

力:(34+22)×2

知力:(20+26)×2

精神:(22+20)×2

器用:(37+21)×2

敏捷:(43+27)×2

体力:(33+21)×2

運:3


スキル 【非表示】

神魔法Lv10

王国剣術が、Lv2

我流剣術が、Lv2

鑑定


称号 

神の暇つぶし(ステータス2倍)【非表示】

【無効】最強の村人(運+10)【非表示】

無慈悲な一撃(一定確率で即死攻撃発動)【非表示】

歩く災害【非表示】

ドラゴンスレイヤー(特攻:竜族、スキル成長ボーナス)【非表示】

大魔王(笑)【非表示】


【カスタマイズ】


--------------------------------

Tears of Dragon

ATK:????

感覚共有

???????????????

???????????????

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じわじわお気に入りに入れてくださってくれている方が増えてきました。

お付き合いいただきありがとうございます!


若干ペース落ちていますが、うまく更新していきたいと思います!

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