第27話 大和司と初クエスト! その1
遅くなりましたが、27話です。やっと初クエスト!
若干文章チェックが間に合っておりません^^;
「ツカサさま、朝ですよ、起きてください!」
リエルに言われて、目を覚ますと、枕を抱え込んで眠っていた。腕の中にあるのは、リエルでも、ナーシャでもない、本物の枕だった。なんだか、ちょっとがっかりだった。
「やっと起きていただけましたか、もう朝ごはんの時間ですよ」
「ああ」
ベッドから起こして身体をリエル達の方をみると見事に衣装が変わっていた、GJ、おれ!
ナーシャは黒だった。その小さな身体に少し大き目のネグリジェを着ている。肩口とかが大きくてネグリジェの口から肩がのぞいていて、そのほか色んなところも見えそうである。洋服を選んだ時に実際の寸法はわかっているだろうに、敢えて敢えて少しぶかぶかになるようなサイズを選ぶことによって、チラリズムを追及する。
一方のリエルは、白だった。丈の短いネグリジェというよりは、ロングキャミソールというのだろうか?にショートパンツを合わせている。ナーシャとは違って気持ち小さく作られているためにリエルの体型がはっきりと分かる。そして、キャミソールとショートパンツの丈は絶妙に設定されており、正面から見るとショートパンツは見えずに、まるでミニスカートを履いているように見える。単にミニスカート丈のものを着させると、警戒してしまうがショートパンツを履かせることによりその警戒心を瓦解させる。リエルの心証を読み切った素晴らしいチョイスである。マチルダさん、恐ろしい子!!
「この服、ありがとうございました。 肌触りがよくて寝やすかったです」
「お礼なら、マチルダさんに言っておくように。 それと、あんまり、外では着ないようにな」
「寝間着ですから、部屋できるものですよね?」
リエルが顔を少し傾けている。今自分が客観的にどういう風に見えているかは気づいていないようだ。うん、気づかない方がいいが……
食堂で朝食をとりながら受領したクエストについて話を聞く。エミリーさんが薦めてきたのは、討伐クエストと採集クエストだった。Fランクの冒険者用の入門用もので、兎鳥の10羽討伐と薬草5株の採取だそう。兎なの?鳥なの?兎鳥の討伐部位は耳らしい、うん、耳はあるんだ……ちなみにその肉や毛皮などは、街でももっとも流通しているものなので、冒険者ギルドでも引き取っているし、おっちゃんにも数匹持って帰ってくるように言われていた。
兎鳥は街の外に張り巡らされている低い壁(外壁)を飛び越えてきて畑の作物を荒らしてしまう。また、兎鳥が集まっているとそれを狙って肉食の魔物が集まってきてしまうので、定期的な駆除が必要になる。その駆除を駆け出しの冒険者が担うことで、魔の討伐に慣れることができて街のためにもなるシステムになっているとのこと。
兎鳥はそれなりの数がいるらしく、適当に外壁の内側を適当に巡回していると簡単に見つけられるらしい。一方、薬草は魔力のある場所に生えやすいので、兎鳥が集まっているところを探すと効率よく発見することができるとのこと。薬草の見分け方については、昨日ルドマンさんに教わっているので、特に問題がないだろう。
おっちゃんに昼ご飯用の弁当を包んでもらって、クエストへと向かう。
外壁の辺りであれば、どこでもいいようだったが、一度通ってきている東門の方へいくこととした。
もう2日前になるのか、街までやってきた道をしみじみとした気持ちで来た道と反対に歩いていく。
「おーい、おまえら」
外門の門番から声を掛けられる。そちらを見てみると、おれ達の受付をしてくれた、ゼンさんだった。
「お久しぶりです、ゼンさん」
「お久しぶりって、まだ数日もたってないんじゃないか? まあ、どうでもいいな。 その様子だと、冒険ギルドに無事登録できたみたいだな」
「わかりますか?」
「そりゃなー。 俺もここで長年門番をやっているんだが、おんなじような奴らは山ほどみてきたからな。 今日は兎鳥か?」
「はい、どの辺にいけばいますかね~?」
「そんなもん、どこにでもいるぞ。 その辺の畑の周りを探してみたらいい」
「あ、そうなんですか。 ありがとうございます、では、さくっと終わらせてきますよ~」
「おう、がんばってこい」
ゼンさんに挨拶をすると、目的の兎鳥を探しに歩き出した。道すがら、農作業をしている人に挨拶をしながら兎鳥を探す。道中で薬草も見つけてあり、すでに5株を揃っていた。
……
「い、いねぇ……」
もう2時間近くは歩きまわっただろう。あれだけ沢山いるといわれた、兎鳥だが、今まで一匹も見つかっていなかった。
「ツカサさま、如何しましょう? 一旦、休憩いたしますか?」
ナーシャはもう飽きてしまったようで、今は人の姿のまま、おれの背中で眠っている。
「そ、そうだな~、ちょっと早いけど、昼飯にするか」
適当な木陰を見つけて、ナーシャを起こすとその辺の石に腰掛ける。
なかなか目を覚まさなかったナーシャだが、おっちゃんの弁当を開けると直ちに目を覚ました。ナーシャは長命な生き物だからか、一日の大半を寝て過ごしている。本人がいうには数日続けて起きていることも可能ならしいが、そんな気配は今のところ全く感じられていない。
「にしても、あれだけすぐ見つかるといわれたんだが、全く見つからないな」
「そうですね、門番の人も、あたりの農民の方もみんな沢山いるといっているので、見つからないはずはないと思うのですが……」
おっちゃんの作ってくれたサンドイッチを食べながらリエルと相談していると、口いっぱいにサンドイッチを含んでいたナーシャがサンドイッチを呑み込んでようやく口を開く。
「なんじゃ、どうした、お主ら?」
ナーシャに、もうかれこれ2時間は探しても兎鳥が見つかっていないことを説明する。
「はっはっは、そんなの当たり前であろう。 主よ、羊がオオカミの群れに近づくか?」
「いや、そりゃー、逃げるんじゃないか?」
「そうであろう。 では、ツカサ、我は何じゃ?」
「トカ……ブラックドラゴンだっけ?」
途中でナーシャに物凄く睨まれた。
「い・だ・い・な ブラックドラゴンじゃ。 忘れるでないぞ……」
「ということは、つまり?」
「ふむ、お主は、街までの道中、何にも襲われなかったことを疑問に思わんかったのか?」
いや、地竜には襲われましたけどね?
「ん~、あんまり?」
……ナーシャがこちらをじと目で見てくる。
「我が、魔物が近寄ってこないようにしてやったんじゃろうが!!」
ナーシャが両手を上げて怒っている。
「ということは、つまり?」
「うむ、その兎鳥とやらも、我を恐れて近寄ってこないわけじゃ」
今度は、両手を腰に添えて、ない胸を張って偉そうにする。
お前が、やってたんか~い!!心の中でツッコミを入れる。
「ほれ、それに、たぶん探している魔物ならそのあたりにいるぞ」
そういって、ナーシャが、近くに見えている畑の傍のくぼみを指している。弁当が入っていたバスケットをアイテムボックスに片付けると、おれは二人をつれてナーシャが示す方へと歩いていった。
そのくぼみに近づいて中をよーく見ると、その中に土の色と少し違った色の塊があることに気が付いた。
「もう、気配も消しておるでな。 近づいても逃げはせんであろう」
ナーシャが言ってくる。 そのくぼみまでもう2mくらいに近づくと……くぼみから何かが起き上がった。
それは……兎だった……上半身は……姿はまるっきり兎なのだが、なんというか、位置が高い。下半身から鳥そのものの足が生えていて、兎がそのまま上に平行移動をしたような感じになっている。そして……思ったよりでかい……羊くらいのサイズはあるんじゃないだろうか?これが魔物といわれるゆえんか……確かにこの体格で突進されたら痛そうだ。
とうとう、目的の魔物も見つけたので、その強さをみつつ色々と検証していこうと思う。聞いた話によると初心者用の魔物ということもあって、Lv1の職業でも大けがをするような敵ではないとのこと。
まずは、リエルを後ろで待機させて、バスタードソードを鞘から抜いて慎重に距離を詰める。兎鳥もこちらを向いておれのことを警戒している。
「フッ!」
短く息を吐いて兎鳥の方へと飛び込んでバスタードソードを振り下ろす。ライネルさんのようにいつの間にか背後に回られるなんてことはなく、見事に兎鳥の身体を二つに斬ることに成功した。うん、自分でも若干流れる血にひいてはいるが、これならやっていけそうな気がする。兎鳥の耳をナイフで切り取ると、残った身体については、用意しておいた大き目の袋に入れて、アイテムボックスに突っ込んでおく。
ナーシャが兎鳥を発見するたびに、バスタードソードの錆に変えていく。兎鳥を3羽ほど倒したところで、視界の隅にLvアップのメッセージが流れる。
『剣士のLvが、Lv2に上昇した』
念のためにもう1羽倒してみたが、やはりリエルのレベルには変化がないようだ。攻撃を当てていない敵からは経験値は得ることができないようだ。次の3羽をまずリエルに弩で打たせた後に、剣で倒すということを試してみたら、リエルの狩人のLvが2に、さらに次の1羽でおれの剣士のLvが3に上昇した。なんとなく、経験値の低減みたいなものはないみたいだ。
次は、リエルとPTを組んでみる。ちなみにPTについては、お互いのステータスボード同士を操作することにより可能になるらしい。
ナーシャの案内があると、兎鳥をどんどん見つけることができる。それからの10羽をおれが一人で倒したところ、おれのLvは4に、リエルのLvが3に上がった。PTを組んでいると攻撃を加えなくてもおおよそ半分くらいの経験値が入るということなんだろう。兎鳥の駆除は、10羽という依頼で受けているが、10羽以上狩っていくと追加でその分の報酬をもらえるらしい。
次に、リエルに一人で、兎鳥を狩らせてみる。やはりエルフだからなのだろうか?さっきから、弩で射っているが、一度も外していない。一矢では、兎鳥は死なないようだが、矢を射ち、動きが弱くなったところで、ダガーでとどめを刺すという流れで、面白いように兎鳥を狩っていく。リエルにはチートなどないはずではあるが、これはかなりのセンスがあるように感じる。ちなみに、辺りに人の目がないことを確認した上で、精霊魔法で攻撃をさせてみたが、兎鳥に使うには精霊魔法は強すぎるようで、例えば、火で攻撃をすると黒焦げになってしまい、戦利品を得ることができなかったが、その威力を知ることができた。
ちなみに、ナーシャは、おれ達よりよっぽどLvが高いらしくて、PTに入らずにひたすらに兎鳥の位置をおれ達に教えるという作業を行っており、だんだん飽きがその表情に浮かんできていた。
とはいえ、ナーシャの助けもあり、乱獲を繰り返したおれ達は、あっという間に、おれのLvが5、リエルのLvが4になっていた。
30羽くらいは、もうすでに狩っているので、最後の検証に入ろうと思う。
とうとうこいつを試す時がきたか……おれは、あたりに人がいないことを改めて確認するとバスタードソードからTears of Dragonへと剣を持ち替えた。
途中で切ろうかと思いましたが、さすがに戦闘なしでは許されないだろうと思いいつもよりはちょっと長めです。
ただ、校正とかが間に合っていないので、誤記とかあればすみません……修正とかは明日以降で!!ではおやすみなさい……zzZ
ちょいちょい、帰ってくるのが遅いので基本的に感想とかの返事は投稿する日にまとめてさせてもらってます!
そうそう、ピエールさんに頼んでいる物が出来上がるのはひと月ほど先になってます……
ご指摘のあった誤記を修正しました。